年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
風の吹くまま気の向くまま 日々の出来事をつづる

被用者年金一元化・その12

2015年01月12日 | 被用者年金一元化
被用者年金一元化に伴う共済法・厚年法の改正事項を、アトランダムに取り上げています。今日は「リス」さんのコメントに応えて。

Q:60歳以降に同月得喪した場合は、1号や3号になりませんので、このときは障害厚生年金OKということになりますか?
A:OKでしょうね。初診日において被保険者であり、被保険者期間が1月生まれて、保険料が徴収され、標月が認識されるのですから。


Q:月単位で考えていくと、3月30日に厚生年金被保険者資格取得、同じ月の3月16日初診日は、障害厚生年金OKでしょうか。
A:初診日において被保険者でないので、3月が被保険者期間とされて保険料が徴収されたとしても、障害厚生年金は支給されません。


Q:「被保険者期間」は月単位、「被保険者であった期間」は日単位と、どこかで聞いたような気がします。保険料を徴収しないので、給付もないということ?
A:う~ん。3月の保険料徴収なし、よって給付なし…ということでもないのですが。

障害厚生年金の初診日要件は、「初診日において被保険者であること」であって、「初診日が被保険者期間であること」ではありません。
たとえば、被保険者であった者が3月10日に初診日があり、3月15日に資格喪失した場合、3月は被保険者期間でなく保険料も徴収されませんが、初診日において被保険者であるので、初診日要件を満たします。
また、被保険者でなかった者が3月10日に初診日があり、3月15日に資格取得した場合、3月は被保険者期間であり保険料が徴収されますが、初診日において被保険者でないので、初診日要件を満たしません。

一元化後、被保険者でなかった者が3月10日に資格取得、同15日に事故に遭って初診日、同20日に資格喪失した場合、3月は被保険者期間でなく保険料も徴収されませんが、初診日において被保険者なので、初診日要件を満たします。

私は、一元化後は初診日要件を満たさないから支給されないのでは?と思ったのではありません。この場合は初診日要件は満たすけれども、これ以前に被保険者期間がないとすると、この者は被保険者期間が一切なく、保険料を徴収されたこともない。社会保険といえども保険に違いはなく、その本旨からいって、このような者に保険給付がなされるかな?と思ったのです。

また、別の面からも疑問に思いました。仮に給付されるとして、年金額が計算できるかな?と。
障害厚生年金の年金額(厚50)は、老齢厚生年金の年金額(厚43)を準用しています。そこには、「被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額)の…」とあります。
一元化後、上記同月得喪のケース(3/10取得・3/20喪失)は、3月は被保険者期間とされません。これ以前に一度も被保険者であったことがないとすると、この者は被保険者期間が一切ないため、「平均標準報酬額」が計算できません。そうなると年金額が計算できません。これは、取得時決定された標月があること、月数が300月みなしされるとことは、別の話です。

ちなみに、では、もしこの同月得喪前に被保険者期間があったら? そうなると、被保険者であったことがあり、被保険者期間があり、保険料を徴収されたことがあり、平均標準報酬額が計算できるので、支給されるように思います。思いますが、あんまり問題を複雑にしたくないので(それでなくても十分複雑ですが)、この点は今は考えないようにしています。私の疑問の前提は、あくまでも同月得喪の前に被保険者期間がないケースです。

【一元化セミナーin大阪】http://nenkin.happylife.ne.jp/