もう一つ紹介します
医師と弁護士の「働き方」に未来はあるか?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141123-00052977-toyo-soci&p=1
東洋経済オンライン 11月23日(日)6時0分配信
今年、異色ともいえる企業の上場が相次ぐ。ひとつは医師向けに国内最大級のコミュニティサイトを運営するメドピア。もうひとつは、法律相談の大手ポータルサイトなどを運営する弁護士ドットコム(来月に上場予定)だ。両社の共通点は、国家資格を持つ社長が創業したということ。弁護士ドットコムの元榮太一郎社長は弁護士で、メドピアの石見陽社長は現役の医師である。
彼らがベンチャー経営に挑む背景などについて聞いた前回記事に続き、今回は両社のビジネスモデルや、医者・弁護士の「働き方」「稼ぎ」について語ってもらった。
※前回記事:「続々上場! 弁護士、医師がなぜベンチャー? 」はこちら
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■ なぜ弁護士が有料でネット登録?
石見:メドピアは、医師であればすべて無料でサービス利用できる仕組みになっています。弁護士ドットコムは、弁護士さんが使用料を払うのですか?
元榮:はい、今、収益方法に3つの柱があり、ひとつが弁護士課金。もうひとつはユーザー課金。そして広告です。弁護士ドットコムを運営して8年間、弁護士さんから1円ももらわずにやってきたのですが、効果的にユーザーとつながるためのプランとして、昨年(2013年)の5月から弁護士の有料プランを始めました。
石見:利用したい弁護士は、全員会員になるのですか。有料会員弁護士だけが大きく表示されて、優先的に紹介されやすくなっているとか?
元榮:「食べログ」が無料店舗会員と有料店舗会員の2階建てになっているのと同じように、無料弁護士と有料弁護士に分かれています。有料弁護士は得意分野ページというものを持てる。弁護士にはそれぞれ得意分野があるので、本当はそれに関する依頼を集中的に受けたいのです。あとは検索結果の上位表示です。
石見:なるほど。弁護士ドットコムは競合のサイトがないから、有料会員が増えるでしょうね。
――今まで強力な競合は出てこなかったのですか?
元榮:私は弁護士とは協力関係にあると思っていますが、強いていえば「法テラス」でしょうか。日本司法支援センターという公的機関による運営です。あとはサイトではありませんが、リスティング広告ですね。「弁護士」と1度検索すると、ほかのサイトを見ていても弁護士事務所の広告が出てくるようになる、あれです。
でもポータルサイトとしての類似サービスはいっさいいない。ほとんど儲からない、というより持ち出しでしたから。それで続けてきたところがなかったのだと思います。
■ 二極化する弁護士、世界的にも激務の医師
石見:弁護士ドットコムに登録している弁護士さんのネットワークは、何人くらいいるんですか。
元榮:今、約7000人なので、日本の弁護士の5人に1人が会員です。有料会員は先月1000人を突破して、毎月100人程度、増えています。
石見:すごいスピードですね。
元榮:おかげさまで月間600万人を超えるサイト訪問者数がありますから、本当にユーザーの方とはよくつながるようになっています。
――サイトを設立された頃と違い、近年はロースクール出身の弁護士が急激に増えて、弁護士間の競争が厳しくなっている印象があります。
元榮:確かに、2000年代までは依頼者の方が、本当に一生懸命弁護士を探してくれたんですね。ひとりの弁護士と出会うまでの手間が大変だったので、ひとり見つかった後は相見積もりをとることもなく、「お願いします」という時代だった。でもその後、弁護士がずいぶん増えて、僕が弁護士登録した2001年に1万7000人だった弁護士が、2013年に3万5000人になりました。
石見:今もそのくらいのペースで増えているんですか。
元榮:ほぼそうですね。いまでも毎年1500人くらい新規参入しています。13年間で弁護士の数が倍になったので、さすがに競争が促進されている。やはりちょっと厳しくなってきたかなという感じはしますね。日弁連が発行している「弁護士白書」を見ても、マーケットは拡大していますが、弁護士1人当たりの売り上げが若干下がってきていますね。
――ものすごく稼ぐ弁護士さんと、厳しい状況に置かれた弁護士さんと、二極化していると言われます。
元榮:感覚的にはそうですね。というのも国税庁の資料の中で、自由業に占める1億円プレーヤーの職業を見てみると、弁護士が圧倒的に1位なのです。プロ野球選手より絶対数も多いし、医師と比べても割合が多いんですよ。
ただ、昔は二極化の下のほうの層がいなかった。二極化する前はもうちょっと社会主義的な状況だったのが、下の層が生まれて、それが珍しいということでマスコミに取り上げられるようになったため、目立つだけではないでしょうか。
――お医者さんはどうですか。
石見:OECDの調査によると、日本の医師は人口10万人に対して2人強しかいなくて、世界でも下から2番めか3番めくらいに少ないのです。本当に医師の数が足りない。日本はフリーアクセスといって気軽に病院に行けるし、入院日数も長い。だから医師はものすごく忙しいのです。それでもあまり医師を増やそうという動きはありませんね。
元榮:今、通常の保険診療に加えて保険外の自由診療も認める「混合診療」が経済成長戦略のひとつとして検討されていますが、実現したら医療の現場が変わったりしますか。
石見:けっこう大きく変わる可能性がありますよ。今、大枠では混合診療の実施が決まって、反対派が最後の抵抗をしているという状況ですが、これが本当に運用されるようになると、かなり大きな改変になるでしょうね。
元榮:今までは画一的な医療サービスだったのが、少し差別化ができるようになるとか。
石見:そのはずですが、競争が激化することをおそれる一部の開業医が抵抗しているという話も聞きます。その先生方は戦々恐々としているでしょうけれど、患者さんにとっては選択肢が増えるわけです。「命が助かるならおカネはいくら払ってもいい」という人でも、極端に言えば生活保護の人と同じ最低限の医療しか受けられないということですから、そこは変わっていく流れにいなるのでしょうね。
■ 医師、弁護士の結婚問題
元榮:話はまったく変わりますけど、うちの妹は小児科の医師なんですよ。それで30歳独身なので兄としては心配なんですが、女性の医師ってモテますか?
石見:そうですね、「女子医大の法則」っていうのがあるんですよ。
――なんですか、それは?
石見:3分の1が既婚、3分の1が未婚、3分の1がバツイチ、というように大別できるという説です。つまりほかの職業に比べて未婚者や離婚経験者が多いという印象がある。経済的に自立しているから選択肢が多いということでしょうね。でも全体の3分の2は結婚を経験しているわけですから、モテないということはないと思います。だた、医師はとにかく忙しいですからね。ましてや妹さんのように小児科だと、患者さんとの出会いもない(笑)。
――患者さんとお付き合いするケースってあるんですね。
石見:整形外科などでは、そういうこともあるみたいですよ。たとえば脚を骨折した患者などは、病気ではないので健康な人と同じようにコミュニケーションをとれる。入院していればいろんな話をする機会もあるでしょう。
でもやっぱり医師は男のほうがモテますよ(笑)。でもそれは弁護士も同じじゃないですか。なんだか昼間っから夜の会話になってきましたね。
元榮:えーっと(笑)。実際、一部の女性弁護士は婚活に苦労するみたいですよ。弁護士は司法試験に合格すると、司法研修所というキャンパスみたいなところで一同に研修を受けるのですが、女性弁護士はそこで相手を見つけられるかどうかに一生がかかっているという話があります。集合修習といって、埼玉県の和光市にある研修所で一同に集まる期間が3~4カ月あるのです。そこで出会った同士が結婚することもある。
みんな司法試験に合格して、長いトンネルを抜けたばかりなので「浮かれている」という表現がぴったり。大学1年生みたいな、ハイな感じになってますね。
――医師も弁護士もハードワークだと思います。知人に弁護士と医者の夫婦がいて、2人とも忙しいのですが、どちらかと言うと弁護士のほうがまだ時間の融通は利くようです。
元榮:そうですね。弁護士はまだ時間のやり繰りができます。でも医師は完全にシフト制ですものね。
石見:医師はやっぱり当直があるので。たとえば僕は心臓の内科医だったのですけど、命に危険のある方がいれば駆け付けなければいけない。女子医大病院に勤めていたときは、医局からうちのマンションの部屋が見えたので、照明がついていたら呼び出されることもありました。弁護士さんは基本的に昼間の仕事ですよね。
元榮:そうですね。誰か逮捕されたりすると、夜間でも接見に行くことはあります。でもそう滅多にはない。
石見:弁護士報酬って、自由に設定していいんですよね。だから時間当たりの生産性は弁護士のほうがいい。当然、人気があるかどうかも関係あると思いますけど、生産性は弁護士のほうが断然高いですよ。
医師はだいたい当直をすると時給1万円なんですね。あとは「寝当直」といって、病院で寝るだけの当直は1泊3万円。あとは土日ですごく忙しい場合は20万円弱。でもいくら高くてもそこが天井ですね。すごく腕のいい医師になればメチャクチャ稼げるかというと、そんなことはない。保険診療の範囲が決まっているから、たとえば僕が切っても、ゴッドハンドを持った医師が切っても同じ点数なんですよね。
元榮:報酬を自由化しようという動きはないのですか。
石見:ないですね。本当にやるなら、完全に自由診療にしないといけない。だから今のところ、どんなに技術を研鑽しても給料は変わらない。それなのに、ひたすら職人のように頑張っている日本の医師を尊敬していますし、みなさんにそのことを知ってほしいと思っています。
――医師の皆さんは、そのことに不満の声を上げたりしないんですか。
石見:日本人の国民性かもしれませんが、あまりそこに不満を感じないんですよね。弁護士さんはどうかわかりませんが、やっぱり自分が治療することで、目の前で死にかけている人が元気に帰っていくことの喜びに比べれば、おカネは二の次になるんですよ。
元榮:患者さんはめちゃくちゃ感謝してくれますからね。経済的なこと以外に、ご褒美があるということですよね。
――弁護士は感謝されますか。
元榮:弁護士は一般的に弁護士資格を取ると、まずは先輩弁護士の弁護士事務所で働くことが多いのですが、何年かキャリアを積めば独立したり、企業内弁護士になることもできる。でもいったん働き始めると、ほかの選択肢を考えないことが多い。依頼者からとても感謝いただけて非常にやりがいがあるので、それに夢中になってしまうのだと思います。
石見:自分は今、週1回だけ診察をやっているんですよ。僕の場合は患者さんと直接、触れ合うことで、サイトにいい影響があると思っているので。やっぱり患者さんから「先生ありがとう」と言われると、非金銭的なインセンティブがありますね。(次回に続く)
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実際、今日もバックアップということですぐ駆けつけられる体制でおりますが(要するに妻の実家にはいかない)、自分の知識や・腕その他を高めようというのは患者さんのためであり、自分自身のためでもあります。
僕は急変対応が好きと人から言われます(別に急変してほしいとはかけらも思っていません)が、そこがおそらく自分の全身管理の技術を見せられる(あと、その経験を得られる)からではないかと思っております。患者さんの救命に僕がいるといないで差が出るといわれるのが(看護師さんにとりあえず呼ばれるとかも頼りにはされているという解釈にしています)、ちょっとしたプライドになっているのだろうと・・・。別に夜中の急変でも普通に呼ばれれば行きますし、苦痛でもなんでもないですし、呼ばれたからって「時間外手当をよこせ」とかいったことはないですが、多分・・患者さんや家族からの感謝と自分自身のプライドがあるからそういうことをかけらも思わないのだろうと思っています。
ただ、本当にどんどん新しい知識が増えていって、本当に追いつけなくなりつつあることにも危機感を覚えていますけど・・・
多くの医師は自分自身がいることで患者さんや家族に有益であれば駆けつけようと思っていると思います。しかし、今の医師数ではいろいろ難しいところがあると思います。上にも書きましたが、知識は増えていって本当にアップデートが追い付かなくなりつつあり、「専門医」と「総合医」に分かれても今の医師数では足りないのではないかと思います。
医師数に関しては僕は基本的には不足と思っています。ただ、募集人員が増えたのに教官数が変わらないためか、若干質が低下しつつあるかもしれないと思う今日この頃です。どうすれば教官数を増やして、よい教育環境下で医師を増やせるのか・・・。だからまずは大学改革から始めないといけないのでしょうけど・・・
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。