新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

大野事件をふと思い出す

2014-11-24 18:23:03 | 医療

少し前の記事ですが、ちょっと紹介します

 

吉村泰典氏、産科最大の危機を乗り切る 背景にあった医師不足

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141124-00000522-san-pol

産経新聞 11月24日(月)17時15分配信



 今は内閣府の少子化危機突破タスクフォースで少子化対策の提言をまとめたり、「少子化社会対策大綱案」を作る会議に参加したりしています。内閣官房参与というとわかりにくいですが、国の少子化対策や子育て支援についてのさまざまな政策立案に参加するのが仕事です。

 産婦人科医である私が政治に興味を持ったのは、日本産科婦人科学会の理事長として周産期医療の危機に対応したことがきっかけでした。

 〈平成19年に理事長となり、産科最大の危機と言っても過言ではない壁に向き合った。16年に福島県立大野病院で帝王切開した妊婦が失血死し、産科医が業務上過失致死と医師法違反(届け出義務違反)容疑で逮捕された事件の裁判が進んでいたのだ〉

 妊婦が亡くなられたことは大変悲しい出来事でしたが、医師の医療行為は正当でした。それなのに被告となってしまった医師には、「われわれも一緒に戦うから」と伝え、8人の刑事事件専門の弁護団を形成して裁判に臨みました

 心強かったのは、外科系を中心に多くの学会が応援してくれたことです。外科医は「こういう状況ではメスを握れない」、産科医は「もう分娩(ぶんべん)はできない」と、現場に共通の危機意識が芽生えていました。判決が近づくにつれ学会に届くメールも増え、1日400通を超えたこともありました。現場の若い産科医からは「理事長は生ぬるい」「ストライキをしてでも、私たちの置かれた厳しい状況を訴えるべきだ」と怒りの声も寄せられました。判決が出る前の1週間は、胃がキリキリと痛む毎日でした。

 〈20年8月、福島地裁で無罪判決が出た〉

 もし有罪判決が出ていたら、日本の周産期医療は崩壊していたと思います。ただでさえきつく、訴訟リスクが高い現場。あの無罪がなければ、今の産科の姿はなかったでしょう。

 検察が控訴すればまた戦いが始まります。私たちは全ての医学会の会長に手紙を書き、応援をお願いしました。これに応え、日本医師会や日本外科学会など多くの団体が、控訴断念を求める声明を出してくれました。結局、検察の控訴断念で無罪が確定しましたが、この問題が医学会、特に周産期医療に与えた影響は大きいものでした。大野病院の医師が逮捕された後、奈良県で妊婦のたらい回しが2件起きました。そして20年には東京でも妊婦受け入れ拒否が起きた。これらはまさに、日本の周産期医療の危機的状況の縮図だったと思います。

 〈事件の背景には、産科医不足があった〉

 病院を退院するとき、「お大事に」ではなく「おめでとうございます」と言えるのは産科だけ。日本の妊産婦死亡率は米国の3分の1と実に優れています。ところが、それゆえに「無事に生まれて当たり前」という安全神話ができてしまい、妊婦が死亡したり死産だったりすると医療ミスが疑われ、医療訴訟になってしまう。その結果、産科医のなり手がいなくなってしまっていたのです。(聞き手 道丸摩耶)

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実際に多分、あれで有罪判決が出れば急性期医療をやっている医師たちがみんな手を引いたと思います。そうすれば日本の医療崩壊として、多くの人に認識されていたかもしれません

 

まぁ、一回崩壊したら再生するまでは大変な時間がかかっていたのでしょうけど。

 

僕も一度ブログを書くのを止めましたが、大野事件を契機に再開しました。多くの医療従事者にとって衝撃的な事件だったと思います。

 

ふとこの記事を読んで、それを思い出しました。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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それでは、また

 

 

 

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4 コメント

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裁判 (自滅)
2014-12-05 10:38:10
この件だけでなく、奈良大淀の件でも問題になり奈良県南部で産婦人科医不足が深刻になった事ですが、マスコミ報道も検証必要ではないかと思います。当時の特に関西のテレビは医師の対応不足を散々報道していた記憶があります。当然、病院管理をしている自治体の医師対するサポート体制も必要ですが。6年前の加古川市民病院緊急搬送された患者の裁判で加古川市の医師に対するサポート体制不足を非難があった事を覚えているので、その自治体には医師が集まらない事になり結果住民が泣く事になります。
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サポートは大事です (アンフェタミン)
2014-12-14 14:20:26
>自滅さん
こんにちは、コメントありがとうございます

おっしゃられる通りでマスコミの報道も検証の必要はあると思います。ちょうどこの頃、一部の医療従事者と一部の報道関係者で勉強会のようなことをしたことがあります。

実際、医師も人間ですので働き続けることに関しては限界があります。個人的には患者さんのメリットを考えると頑張りたいと思いますけど、子供の事とかを考えれば不可能だと思います。

自分でいうのもんなんですが、1年に1日しか休まなかったことのある僕がそう思うのですから、普通はサポートのないところで働こうとは思わないと思います。

また、コメントいただければと存じます。
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二の前 (自滅)
2015-02-04 20:19:49
今、磐田市立総合病院の急患医対応で磐田市が患者の家族に謝罪する事が話題になってますが、医師のスレを見ていると、患者の家族の対応に医師がブチ切れしたみたいで、患者に問題があれば、磐田市が医師をサポートしないと磐田市は、舞鶴、銚子と並んで“聖地”と認定され医師が寄り付かなく結局は住民が泣く事になります!舞鶴は、松村先生に謝罪してかつての勉強出来る体制を復活させ、銚子は、市立病院を廃止して、島田総合病院内に総合診療科を立ち上げ、旭中央病院の負担を軽くするのがベスト!一度“聖地”に認定されると復活するには大変な労力が必要以上にいります!
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まぁ、いろいろあります (アンフェタミン)
2015-02-08 20:28:44
>自滅さん
こんばんは、コメントありがとうございます

おっしゃるように医師も行きたくない自治体だったり病院だったりというのはあります。
こういう問題でのサポートがあるかないかというのもそのひとつかもしれませんが、なんといっても本当のところがどうなのかがわからないので、コメントしにくいです。

ただ、そういう考え方はあるかもしれません。事実であろうとなかろうと、一度「あそこは・・・」という話になれば人は集まらないのかもしれません。

また、コメントいただければと存じます

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