絵本作家の五味太郎氏の絵が好きです。端正でいてユーモラスであり、幼い子供にぜひ触れさせたいものばかりだと思います。もちろん、内容も凝っていて、各作品ごとに、ユニークな試みがなされていて、好感が持てます。各作品での実験的な試みも、大変成功している気がします。
私が好きな作品は、まず『さる・るるる』(絵本館)です。全部「る」で終わる言葉からなる言葉遊びの本。文は少ないし、短文ばかりなので、小さい子にも親しみやすいでしょう。20年以上のロングセラーだといいます。次に『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ』(偕成社)。虫歯になったワニが歯医者へ行きますが、意外に意気地がなくて戦々恐々。歯医者さんも患者がワニなので怖がっています。この作品、文章は二人の気持ちが書かれているのですが、全編を通して、各場面での文章が、二人とも全く同じ。それなのに、二人の心境を見事に描き出しているのは、絵の力でしょう。『みんなうんち』(福音館書店)は動物のうんちを見ているうちにトイレのしつけができるようになるというもので、定評のある作品です。
私が最も好きなのは『おまたせしました』という、小さな本です。確か表紙からすべて黄色で、黒の単色だけで描かれていたと思います。レストランを訪ねてくる動物の客たちに、ウエイターの紳士が食事を出すシーンだけで構成されています。ウサギやネコは可愛いですが、ヘビやライオンといった珍客もあり、ロボットの客まで登場します。文章は「おまたせしました」という台詞だけ。若干の表現の違いが、客に対するウエイターの心理をうまく表現しています。レストランに来る動物たちを使って、人間が千差万別であると教えているような気がします。つまり、危険な人や自分勝手な人、意思の疎通ができない理解不能の人などが世の中にはいるということですが、考えすぎでしょうか。
図書館などに行ったときに、たまに絵本コーナーに立ち寄られてはいかがですか? 童心に帰れると同時に、けっこう考えさせられますよ。
私が好きな作品は、まず『さる・るるる』(絵本館)です。全部「る」で終わる言葉からなる言葉遊びの本。文は少ないし、短文ばかりなので、小さい子にも親しみやすいでしょう。20年以上のロングセラーだといいます。次に『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ』(偕成社)。虫歯になったワニが歯医者へ行きますが、意外に意気地がなくて戦々恐々。歯医者さんも患者がワニなので怖がっています。この作品、文章は二人の気持ちが書かれているのですが、全編を通して、各場面での文章が、二人とも全く同じ。それなのに、二人の心境を見事に描き出しているのは、絵の力でしょう。『みんなうんち』(福音館書店)は動物のうんちを見ているうちにトイレのしつけができるようになるというもので、定評のある作品です。
私が最も好きなのは『おまたせしました』という、小さな本です。確か表紙からすべて黄色で、黒の単色だけで描かれていたと思います。レストランを訪ねてくる動物の客たちに、ウエイターの紳士が食事を出すシーンだけで構成されています。ウサギやネコは可愛いですが、ヘビやライオンといった珍客もあり、ロボットの客まで登場します。文章は「おまたせしました」という台詞だけ。若干の表現の違いが、客に対するウエイターの心理をうまく表現しています。レストランに来る動物たちを使って、人間が千差万別であると教えているような気がします。つまり、危険な人や自分勝手な人、意思の疎通ができない理解不能の人などが世の中にはいるということですが、考えすぎでしょうか。
図書館などに行ったときに、たまに絵本コーナーに立ち寄られてはいかがですか? 童心に帰れると同時に、けっこう考えさせられますよ。