富山城郭カードは→こちら
上市町域及び近隣には、南北朝~戦国時代に新川郡一帯で権勢をふるった有力国人「土肥氏」に関わる城舘群が点在します。土肥氏の築いた城舘群には、「有金館ー堀江城ー郷柿沢館ー稲村城ー千石山城」と言う上市川流域に展開する一群と、「高原城ー弓庄城ー柿沢城ー茗荷谷山城ー(千石山城)」と言う白岩川・大岩川流域に展開する一群の二者が認められます。これらは平時の拠点となる堀江城・弓庄城とその支城群としてとらえられ、より前線に位置する「出城」、有事の際に立て籠もる山中の「詰城」、そしてその中間に位置する「繋ぎの城」で構成されています。
千石山城は、これらの中でも最も高所に築かれた山城で、標高は757mを測ります。これは現在知られている明確な城舘としては黒部市鋲ヶ岳城(861m)に次いで県内第2位の高さです。
城は山頂部に二段の曲輪を持ち、そこから延びる尾根沿いには堀切群が設けられています。曲輪はそれほど広くないものの、麓から隔絶された標高の高さや、尾根を完全に断ち切るほどの大規模な堀切は他の山城を圧倒しており、居住性よりも防御性を極端に重視した城であったことが伺われます。上市町教育委員会、、、(現地説明板より)
場所は富山県中新川郡上市町千石
上市川第二ダムの東側の山中にあります。まずは上市川第二ダムを目指します。
住所;富山県中新川郡上市町東種 ダム便覧2021のwebページは→こちら
劔岳がガスって残念でした
ダム湖右岸(東側)を走る「町道西種早乙女線」から左手の林道に向かって登っていくことになりますが、入り口は2か所。
分かり易いのは「ふるさと劔親自然公園」に向かっての登り口。大きな看板・案内板があるのでそれに従います。
パークゴルフ場やフィールドアスレチック、オートキャンプ場などの施設群を通り抜け「町道劔親公園線」にて山頂を目指します。
途中二つ目の登り口からの「林道千石線」と合流するポイントがありますが、そこから道は「林道伊折千石線」となり、終点「劔青少年研修センター」で県道333号線に接続します。
この分岐(合流)ポイントには大きな案内板があります。
もう一つの登り口はこの合流する「林道千石線」で、ダム石碑から400m程のところにある「上市カヌー競技場」の辺りで左手に向かって登っていく林道です。
自分は帰りにこちらを通ってみましたが、落石や折れた枝などがあり悪路に近い状態でした。
どちらから登っても最終的には「林道伊折千石線」に合流し、終点「劔青少年研修センター」で県道333号線に接続します。
千石山城へ登るには「城山登山口1」と、さらに「林道伊折千石線」を登った先の「城山登山口2」があります。
ヘタレな自分は少しでも楽をしたいので(;^ω^)、より標高の高いところにある「城山登山口2」を目指しました。
登り口の標柱が建っています
尾根道を登り始めて5分ほどで、「城山登山口1」からの道と合流。帰りはここが分岐となるので絶対間違えてはいけません。
鉄塔を過ぎたら矢印に従って山頂展望台を目指します。
ここで当日の行程を縄張り図で示します。
佐伯先生作図、安田城資料館提供資料より、、、(ブログ管理者加筆)
登り始めて15分程経った頃でしょうか、最初の堀切に遭遇
同断面
2本目の堀切が連続しています
1本目は上幅7m・深さ3m
主郭側大堀切
二本目は上幅7.5mに深さ3.7mだそうです
同断面
尾根の左右に竪堀を配し土橋のようです
同断面
上幅15.5m
最後の切岸
深さ6.3m、そびえ立つようです
登り始めて30分
ようやく山頂の主郭に到着
北方に護摩堂城や松倉城、西方に茗荷谷山城、また南東に劔岳を間近に望めるハズですが、残念💦
主郭台地
二段の削平地を設け、主郭となる上段の曲輪は東西55m×南北19mの広さがあり、西側にやや低い高まりがある。
主郭西側、一段低い曲輪
現地説明板が設置されています
その先は高さ約4mの急峻な切岸となっている。自分はそこを降りてみたが滑り落ちていく感じで這い上がるのに一苦労しました。その先に僅かに削平地がありました。
主郭北側虎口方向
一段低い曲輪は内枡形となっています
主郭南方向
今登ってきた登山道方向
虎口より築城時の大手道にて北尾根方向を目指します
藪が酷い
すぐ右手、東側に大きな空堀
藪をかき分け倒木を乗り越えながら北尾根を進むこと10分、いよいよ二重堀切とのご対面
先端部が高さ9.7mもの段差で切り落とされ、その下に二品の堀切が連続して設けられている
堀切①
同断面
堀切②
同断面
下から見上げる(攻め手目線)
急峻な斜面に落ち葉が堆積し、前日の雨でめっちゃ滑りやすい
もたもたしている間に狙い撃ちされるでしょう
ここは単なる詰めの城と言うより、谷筋の上流域を支配する意図と同時に、隣接する椎名氏の支配領との境界線上の「境目の城」としても重要な役割を果たしたと考えられるが、土肥氏はこの奥城さえ支えきれずに落ち延びたことになるという。
【千石山城】
《せんごくやまじょう》
名称(別名);
所在地;富山県中新川郡上市町千石
城地種類;山城
標高/比高;757.6m/140m(第2登り口)、400m(第1登り口)
築城年代;天正11年(1583)
廃城年代;
築城者;土肥氏
主な改修者;
主な城主;土肥氏
文化財区分;
主な遺構;削平地、堀切
近年の主な復元等;
※参考資料、、、上市町教育委員会資料、越中中世城郭地図Ⅲ、現地説明板
地図;
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