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あみの3ブログ

伏木台場@富山県高岡市伏木 令和三年(2021)9月14日

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加賀藩は文化3年(1806)1月の『ロシア船に備えよ』との幕命を受けて以降、着実に海防の準備を進め、佐渡沖に異国船出没が伝えられた嘉永年間には、海辺防衛を一層厳重なものにするために、越中国を含めた沿岸一帯に御台場(砲台)を建設するなど、一連の防衛構想を実行に移していきます。
越中国では、伏木放生津を加え直ちに着工の運びとなりましたが、藩主視察の結果生地氷見にも築造が命じられたそうです。


黒い☆印は先行築造の6ヶ所、赤い☆印は越中国、青い☆印は富山藩の台場を現わしています。




《越中の御台場を訪ねて第1弾》
大砲のレプリカと、砲台跡の復元展示は県内ではここだけ!
【生地台場】
生地台場の記事は→こちら



《越中の御台場を訪ねて第2弾》

【伏木台場】
嘉永3年(1850)10月に着工して、翌年2月に竣工された。馬蹄形をした台場で、土塁の長さは約26間、幅3間、高さ2尺(後部)で、砲眼5個が設置されていた。
矢玉、筒薬等は大野台場と同じ3日分で御蔵に保管したとある。配備された大砲は鋳物製「臼砲」6門だったが、安政2年(1855)には二十四斤迦砲3挺、十八斤迦砲2挺、六貫目臼砲4挺、一貫目臼砲1挺の10挺が配備されていた。台場は小矢部川の河口に位置しており、この付近の防備を目的としていたことが考えられる。武器御蔵、火薬御土蔵もあった
。、、、板垣英治「著加賀藩の火薬 Ⅸ.17か所の台場の規模と砲備の研究」より


つまり伏木台場は、(本吉台場、大野台場、黒島台場、輪島台場、宇出津台場)と共に最初の6台場として建設された。そして、最初に配備されたのは臼砲という砲身の短い迫撃砲のような大砲だったが、後にカノン砲という砲身と射程の長い高性能な大砲が追加され、攻撃能力が強化されたわけですね。


場所は富山県高岡市伏木錦町
小矢部川河口の伏木港を睨む場所で、現在は伏木港湾合同庁舎の向かいに記念碑が建っています。
地図中の★印



小矢部川に架かる最初の橋から河口と伏木港、富山湾を一望にします。
上記地図の矢印方向を撮影しています。
写真左側の鉄塔横のビルが伏木港湾合同庁舎なので、その向かいが台場跡になります。



伏木港湾合同庁舎
現地案内板によると江戸時代の澗改所跡(まあらためしょあと)があった場所のようですね。
澗改所とは今でいう税関と港湾管理事務所を兼ねた役所だそうで、現代版澗改所が伏木港湾合同庁舎になっているようで面白いですね。



その向かい側に記念碑が建っています。
トラックが止まっている交差点の辺りです。



【澗改所跡(まあらためしょあと)、伏木台場跡 江戸時代】
澗(ま)とは船着き場(港)のことで、「うるま」または「まがた」とも読んだ。澗改所とは、今でいう税関と港湾管理事務所を兼ねた役所であった。執務していた役人は周辺住人の中から選出され、加賀藩郡奉行の支配のもと港湾務一斉の執行にあたり大きな権限を持っていたそうである。

伏木台場は加賀藩が異国船に対する海岸防備にのため設置を定めた13か所の砲台の一つで、嘉永4年(1851)に澗改所と道を隔てて設置され、5門の大砲が据え付けられた。しかし幕末の慶応3年(1867)頃には既に撤去されていたという。




記念碑に描かれている縄張り図と現在の見取り図
馬蹄形をした台場で、土塁の長さは約26間、幅3間、高さ2尺(後部)で、砲眼5個が設置されていた。

現在は埋め立てが進められ台場跡はずいぶん内陸にあるように感じますが、当時は結構河口に近かったようです。照準は富山湾ではなく、小矢部川河口にあって、侵入してきたところを迎え撃つ戦略だったんですね。当時の大砲の射程距離では引き付けて撃つしかなかったんでしょうね。




※参考資料、、、現地案内板、板垣英治「加賀藩の火薬」、越中国の歴史と文化

【伏木台場跡】
住所;〒933-0105 富山県高岡市伏木錦町16
地図;



【周辺】

伏木や新湊周辺は貿易港の面影が濃いです。
古い時代のレンガ館がそのまま現役で使われていますが、徐々に姿を消しつつあります。


庄川と小矢部川にはさまれた港湾地区に建つレンガ館


台場跡の河口側にあるJRの廃車置き場
錆びたレールとジーゼル機関車が夏草に覆われている姿は、夢の跡を物語っているようです


同じく河口周辺の貿易倉庫跡
既に廃墟と化しています💦


JR伏木駅の正面には重要文化財の「勝興寺」があります。
かつて、戦国時代の守護代神保氏が居城の「古国府城」を勝興寺に寄進したのが現在の勝興寺で、今でも堀や土塁の遺構が残っています。
最近超音波による地質調査て、地中にある堀の跡も発見されたそうです。

古国府城の記事は→こちら
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