山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

いづくにか船泊てすらむ‥‥

2006-01-06 00:36:28 | 文化・芸術
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Information-Aliti Buyoh Festival 2006-

-今日の独言- 戌年のお犬様事情

 日本の少子化はさらに加速している。昨年の出生数は106万7000人で、死亡数は107万7000人と、いわゆる自然減1万人となったことを新聞は伝えているが、それにひきかえ、昨夜の報道番組WBSでの戌年にちなんだ昨今のお犬様事情によれば、犬の増加は昨年で150万にのぼるそうな。犬の年齢は人間の約1/7、15歳ならば人間の105歳に相当するといわれるが、7歳以上を高齢と見做され、高齢犬?にあたるのが50%以上を占め、すでに我々などよりずっと超高齢社会に突入しているというのである。我々人間よりペットであるお犬様こそ介護社会のさらなる充実を急務としている訳だ。

<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>

<雑-5>
 丹生の河瀬は渡らずてゆくゆくと恋痛きわが背いで通ひ来ね
                                   長皇子


万葉集、巻二、相聞、皇弟(いろと)に与ふる御歌一首。生年不詳-和銅8年(715)。天武帝第七皇子、弓削皇子の同母兄。
丹生の河瀬-大和の国(現、奈良県吉野郡下市町)の丹生川かといわれ、その川瀬。歌はその「恋痛きわが背」である同母弟弓削皇子に寄せたもの。
邦雄曰く、川の瀬を渡りきらぬように、足踏み状態で悲恋にやつれている弟に、私のところへ憂さ晴らしに来いと慰める趣き、と。


 いづくにか船泊(は)てすらむ安礼の崎漕ぎたみ行きし棚無し小舟
                                    高市黒人


万葉集、巻一、雑歌、大宝二年壬寅、太上天皇の三河国にいでましし時の歌。生没年、伝不詳。持統・文武朝期の歌人。高市氏は大和国高市(今の奈良県高市郡・橿原市の一部)の県主とされ、その一族か。万葉集に採られている18首はすべて短歌で、行幸に従駕して詠んだ旅先での歌か。
安礼(あれ)の崎-所在不詳。愛知県東部の海岸の何処か、また浜名湖沿岸説も。棚無し小舟-船棚(舷側板)の無い舟のことで、簡素な丸木舟。漕ぎたみ=漕ぎ廻み。
邦雄曰く、遠望を伝えてふと言葉を呑むこの二句切れ。「安礼の崎」以下は、あたかも船影が水上を滑るように歌い終る。なかなかの技巧であり、寂寥感はこの固有名詞の活用によって際立ち、結句の「小舟」によってさらに浮かび上がる。儚く悲しい、稀なる叙景歌である、と。


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