山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

玉章(たまづさ)の裏ひきかへす‥‥

2005-11-22 13:23:48 | 文化・芸術
051023-013-1
Information<四方館Dance Cafe>

-今日の独言-
著者からの思わぬ書き込み

 エコログに珍しい書き込みがあった。このところ私はその月に購入した書物をひと月ごとにまとめて「今月の購入本」として紹介しているのだが、11月分の掲載した記事(13日付)に著者自身からわざわざ購入御礼のコメントを頂戴したのである。朝日選書版「われら以外の人類」の内村直之氏だ。19日の発言でも書いたが、著者は朝日新聞社の記者である。彼のコメントには「この本は、質問なんでも受付アフターサービス付きでございます。なにとぞよろしくお願い致します。」と付記されている。科学医療部という学究肌の部署を担う人ゆえか、或はご本人の人柄ゆえか、謙虚さと真摯な姿勢でコミュニケーションを大事にしようとする心が爽やかに伝わってくる。

<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋-38>
 照る月にあはれをそへて鳴く雁の落つる涙はよその袖まで
                                 藤原良経


秋篠月清集、百首愚草、花月百首、月五十首。邦雄曰く、凄愴の気溢れる「月」七首目。萩や鹿、或は葛や雁に配した月も情趣は深いが、良経の持味は雁がひとしお。第四句「落つる涙は」の表現は後々流行するが、この歌は結句の「よその袖まで」が要、と。

 玉章(たまづさ)の裏ひきかへす心地して雲のあなたに名のる雁がね
                                 鴨長明


鴨長明集、秋、雁声遠聞。「玉章」は手紙・便りの美称で、玉梓とも表記。「裏ひきかえす」は同じことを繰り返すこと。邦雄曰く、確信を写した上句が技巧の冴えを誇る。第二句「裏ひきかえす」の効大きく、薄墨色にかすれて中空に消え、声のみ響く雁の形容としては絶妙といえようか、と。

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