Information<四方館Dance Cafe>
-今日の独言-
ガリア戦記のカエサル
さすがに、ガリア戦記のカエサルはおおいに読ませてくれる。塩野七生の「ローマ人の物語」シリーズ「ユリウス・カエサル」(文庫本)はルビコン以前、ルビコン以後を各々上・中・下に分け6冊になっているが、現在4冊目を読み進んでいる。
著者自身、本書に記すように、西ヨーロッパの都市の多くがガリア戦記に描かれたローマ軍の基地を起源としていることがよくわかる。後年、カエサルは、退役する部下たちを、現役当時の軍団のままで植民させるやり方をとったから、彼らが軍務で身につけた土木・建設の技術力に加え、共同体内部での指揮系統まで整った形で都市建設をはじめることになり、彼らのまちづくりが、二千年後でも現存することになった、という。
古代ローマを中心にしたヨーロッパの形成が絵巻物世界のごとく綴られてゆくのを享受する醍醐味はなかなかのものだ。
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>
<秋-21>
葛はうらみ尾花は招く夕暮をこころつよくも過ぐる秋かな
夢窓国師
正覚国師御詠、暮秋を。秋風に靡いて葉裏を見せる葛と、人を誘うように揺れて手招く薄の、いずれも無視しがたい強さで迫ってくる情意を、潔く、きっぱりと振り切って秋は通り過ぎてゆく。邦雄曰く、葛・尾花・秋三者の擬人化は微笑ましいくらい整っており、秋を男に見立てているのであろう、と。
なげくかな秋にはあへず色かはる萩の下葉を身のたぐひとて
宗尊親王
竹風和歌抄、萩。13世紀中葉、後嵯峨天皇の皇子。続古今集には最多入集。邦雄曰く、結句にあるべき言葉をわざわざ初句に置き換えたような、訥々とした調べがめずらしい。我が身もまた凋落の秋に遭い、免れがたく移ろっていく歎き。口篭るように「とて」で終る、むしろ余韻を残さぬのも一つの味であろう、と。
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