たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

モタメディ遥子『シルクロードの十字路』(4)

2021年02月20日 14時43分11秒 | 本あれこれ
モタメディ遥子『シルクロードの十字路』(3)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/a5f2f0c24dfbd391588ef460956e66cb


「《語りはじめた沈黙の過去》

-出土品に見る文化の交流-

 アイハヌムでは、クシャーン時代の都市ベグラムから、西暦1世紀頃のインドの象牙彫のすぐれた作品が多く出土している。数点の象牙彫はみな小さな丸彫の神像らしく、ギリシア的とはほど遠い、かたい様式的な手法で彫られている。頭から足まで一本彫であったが、腕はひじのところまでしかなく、そこに穴があけられてある。

 女神の像は、大きく見開いた目の、特に目立つ直立不動の裸体、まっすぐ前を凝視して口をしっかり結んだ像はいわゆるオリエント風のかたい表情をもち、首は誇張されてやや太い。みぞおちのところに3本横に線が入っている。胸部はふくよかに表されているが、腰はあまり目立たず、足は太くやや短め、全体にしっかりした彫で的確に堂々としている。しっかり前方を見つめる貫くようなまなざしは、パルチア朝のハトラーから出た多くの石像につながる表情ではないかと推察される。

 レスラーたちが、レスリングのあと体にぬったオリーブ油の上にこびりついた砂をこすり取る器具は、ギリシア語はストリジーラと呼ばれる青銅製の長さ30センチほどのもの。把手のついた棒に平行に少し長い棒が一本ついている。純ギリシア文化からのみ生まれたといわれる。」



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