2023年9月20日(火)NHKNEWSWEB、
東京 八重洲 建設現場鉄骨落下 業務上過失致死傷疑いで捜査へ | NHK | 事故
「19日、JR東京駅八重洲口近くのビルの建設工事現場でクレーンでつり上げられていた鉄骨が落下し、作業員2人が死亡、3人がけがをした事故で、警視庁は安全管理に問題がなかったか、業務上過失致死傷の疑いで捜査することにしています。
警視庁によりますと、19日午前9時20分ごろ、東京 中央区八重洲のビルの建設工事現場で、クレーンでつり上げられていた長さ30メートル、重さおよそ15トンの鉄骨が落下し、その上で作業をしていたとみられる埼玉県朝霞市の会社員、原裕一郎さん(33)と、千葉県市川市の会社員、花田大和さん(43)の2人が転落して、死亡しました。
ほかの3人の作業員も一緒に転落してけがをし、病院に搬送されましたが、いずれも意識はあるということです。
警視庁は周辺の防犯カメラの映像を確認するなどして事故の状況を調べていますが、これまでのところ、鉄骨をつり上げていたワイヤーが何らかの理由で切れたか、鉄骨から外れた可能性があるということです。
警視庁は今後、現場検証をすることにしていて、安全管理に問題がなかったか業務上過失致死傷の疑いで捜査する方針です。」
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中(@mori_arch_econo)さん / X (twitter.com)
「大変に痛ましい事故がまた起きた。
高度成長期のビルラッシュを超えるような都心の再開発が進み、100メートルを超える超高層ビルも当たり前のように建っている。
建設業界でもIT化が進んでおり設計者などは机上でCGやデータで自由にやりとり建設DX化などと言っている。
その一方で、実際の現場では超重量級の鉄骨やコンクリート材が人力で運搬され、鉄骨の建方ではあくまで鳶さん職人さん頼みの危険な現場であることは変わらない。
そして、建設現場の犠牲者は元請ゼネコンの社員ではなくいつも下請業者さんの社員さんであることも相変わらずである。
この数年、日本各地の工事現場で事故やミスや工事の遅れが報じられている。
それがまるで建設業界だけの問題であるかののように受けとめられているが、そうではない。
その根本は、少子高齢化による人手不足や資材の高騰、下請けや職人さんに十分な報酬がゆきわたらないままに、教育や安全管理の余裕もなくなっている。
資本家や金融機関に乗っ取られたデベロッパーからの厳しい工期圧縮や合理化の名のもとに、余裕のなくなったゼネコンがさらに下請けを追い込む。
長期の社会的視野が必要な建設業や社会資本に対し、今だけここだけ自分だけの短期的な経済優先の思想がこうした事故の根本原因なのである。
大手ゼネコンでも無理な工事は請けない、見積依頼も断る、下請け工事会社もそういう依頼はすべて断ってしまえばいい。
従来の黙ってこなし請負的ないい意味での建設屋の沈黙姿勢を改め、社会に向けて建設業界の明確なメッセージを発信していく必要がある。
それこそが建設的意見といえるだろう。
すべての建設現場の事故で亡くなった方々に黙祷を捧げ、ご冥福をお祈りいたします。」