日経電子版 2020年11月21日井上芳雄のエンタメ通信より
「ばかばかしさ」を追求して 怒濤の日々(井上芳雄)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO66416240Z11C20A1000000?channel=DF120720172677
2020年11月21日(土)17時開演、東急シアターオーブ
久しぶりの渋谷、初の東急シアターオーブ、生演奏でした。指揮はお久しぶりの上垣先生。3階席だったのでオーケストラボックスの全体もみることができました。開演前の劇場に音合わせをしている楽器の音色が流れてくるという幸せ。カーテンコールではオーケストラボックスの演奏者と舞台上のキャストがなんども互いを讃え、拍手を送り合うという生の舞台、生演奏らなではの光景。舞台とオケボックスとの呼吸があってこその作品。ダンスと歌が次々と怒涛のように続いていくので相当なエネルギーがいるだろうなと思いました。こんなときに粛々とばかばかしいといえばばかばかしい、下ネタ多めのコメディ。ばかばかしいことは全力でやるからこそ楽しい。一縷の希望を信じて踏み出してみたところに希望はなく続けていくのはきびしいとわかった現実の前に深く沈む込んでしまいそうになりましたが、しばし忘れて楽しみました。日々の生活には一ミリの笑いもないので『ピガール狂想曲』のライブビューイング以来かな、3週間ぶりに笑うことができました。脳みそウニウニ、疲れ過ぎなのが少し軽くなったように思います。
ルドルフでデビューしてから20周年を迎えた井上芳雄さんが今日もこうして舞台に立っている、それだけで安心感をもつことができます。コメディ作品のこんな芳雄さん、はじめてみました。大いなる挑戦でしょうか。ほぼでずっぱりで台詞も歌も多く、歌は難易度高そうでした。二幕ではいったん休憩して「ちょっと待って」っていう場面もありました。そういう時の客席との間のとりかたが上手い、アドリブと台本通りの境目がわからなかったのさすがだと思いました。クオリティ高い。「『RENT』家賃っていう意味だよ」っていう台詞はアドリブですね。公演中止となっているシアタークリエへの応援メッセージさりげなくぶちこんできていました。
大野拓朗さん、ルドルフとロミオしか観たことなかったので久しぶりに拝見。歌声につやがあり、こんなにいい声だったかしらとびっくり。たぶんアドリブで芳雄さんが「歌うまいね」って言ったの、素で本気だと感じました。弱気なレオ、赤ちゃんのときから加えているブルーのハンカチ?に依存しているレオ、芳雄さんのマックスに新聞ではたかれるところなんかもはまっていて、こんな役者の引き出しがある方なんだなあと新しい発見。芳雄さんよりも背が高いんですね。カーテンコールでは芳雄さんもおんぶして下手にはけていく場面もありました。
春風ひとみさんはさすが、吉野圭吾さんも歌上手いのは言うまでもなく、こんな濃いゲイの演出家役、似合いすぎでした。初でしたが木村達成さんのゲイの扮装がスタイルよくてびっくり、きれいだし歌も上手い。佐藤二郎さん、テレビではなんどかみていると思いますが舞台は初、異色の存在感がよかったです。
光っていたのが木下晴香ちゃん。いつかキムを演じてほしいと思っているのですが、可愛いグラマラスと歌声、素敵でした。登場した瞬間、お化粧と衣装で最初誰だろうと思いましたがすぐにわかりました。スタイルよくて小顔で足がきれい。片言英語しか話せないスェーデン人の新進女優をいやらしくなく、可愛く演じていました。技術的に上手いだけではなく、役として伝えたいものがしっかりあって歌っているので違和感が全くなく自然体。ほんとにこういう人なのかしらと思わせるような存在感。当たり前かもしれませんがダンスもできるんですね。これからますます成長していく予感、『モーツァルト』の「ダンスはやめられない」をどう歌うのか、楽しみで仕方ありません。
何役もこなす、アンサンブルメンバーのみなさん、『エリザベート』など、東宝の舞台でお馴染みなった方ばかり、中止が続いた時は仕事なくてかなりつらかったことと思います。こうしてまた舞台で会えてほんとうによかったなあと思いました。
芸達者なみなさんが全力で笑いを届けようとがんばっているクオリティの高い舞台。
千穐楽まで無事に公演が続いていくことを祈ります。
渋谷ヒカリエ11階、開演前、夕焼け色の富士山が浮かんでいました。
日本でまたひとつブロードウェイミュージカル開幕
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6cf7a065fac235bc08603bbdb65b7790
「ばかばかしさ」を追求して 怒濤の日々(井上芳雄)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO66416240Z11C20A1000000?channel=DF120720172677
2020年11月21日(土)17時開演、東急シアターオーブ
久しぶりの渋谷、初の東急シアターオーブ、生演奏でした。指揮はお久しぶりの上垣先生。3階席だったのでオーケストラボックスの全体もみることができました。開演前の劇場に音合わせをしている楽器の音色が流れてくるという幸せ。カーテンコールではオーケストラボックスの演奏者と舞台上のキャストがなんども互いを讃え、拍手を送り合うという生の舞台、生演奏らなではの光景。舞台とオケボックスとの呼吸があってこその作品。ダンスと歌が次々と怒涛のように続いていくので相当なエネルギーがいるだろうなと思いました。こんなときに粛々とばかばかしいといえばばかばかしい、下ネタ多めのコメディ。ばかばかしいことは全力でやるからこそ楽しい。一縷の希望を信じて踏み出してみたところに希望はなく続けていくのはきびしいとわかった現実の前に深く沈む込んでしまいそうになりましたが、しばし忘れて楽しみました。日々の生活には一ミリの笑いもないので『ピガール狂想曲』のライブビューイング以来かな、3週間ぶりに笑うことができました。脳みそウニウニ、疲れ過ぎなのが少し軽くなったように思います。
ルドルフでデビューしてから20周年を迎えた井上芳雄さんが今日もこうして舞台に立っている、それだけで安心感をもつことができます。コメディ作品のこんな芳雄さん、はじめてみました。大いなる挑戦でしょうか。ほぼでずっぱりで台詞も歌も多く、歌は難易度高そうでした。二幕ではいったん休憩して「ちょっと待って」っていう場面もありました。そういう時の客席との間のとりかたが上手い、アドリブと台本通りの境目がわからなかったのさすがだと思いました。クオリティ高い。「『RENT』家賃っていう意味だよ」っていう台詞はアドリブですね。公演中止となっているシアタークリエへの応援メッセージさりげなくぶちこんできていました。
大野拓朗さん、ルドルフとロミオしか観たことなかったので久しぶりに拝見。歌声につやがあり、こんなにいい声だったかしらとびっくり。たぶんアドリブで芳雄さんが「歌うまいね」って言ったの、素で本気だと感じました。弱気なレオ、赤ちゃんのときから加えているブルーのハンカチ?に依存しているレオ、芳雄さんのマックスに新聞ではたかれるところなんかもはまっていて、こんな役者の引き出しがある方なんだなあと新しい発見。芳雄さんよりも背が高いんですね。カーテンコールでは芳雄さんもおんぶして下手にはけていく場面もありました。
春風ひとみさんはさすが、吉野圭吾さんも歌上手いのは言うまでもなく、こんな濃いゲイの演出家役、似合いすぎでした。初でしたが木村達成さんのゲイの扮装がスタイルよくてびっくり、きれいだし歌も上手い。佐藤二郎さん、テレビではなんどかみていると思いますが舞台は初、異色の存在感がよかったです。
光っていたのが木下晴香ちゃん。いつかキムを演じてほしいと思っているのですが、可愛いグラマラスと歌声、素敵でした。登場した瞬間、お化粧と衣装で最初誰だろうと思いましたがすぐにわかりました。スタイルよくて小顔で足がきれい。片言英語しか話せないスェーデン人の新進女優をいやらしくなく、可愛く演じていました。技術的に上手いだけではなく、役として伝えたいものがしっかりあって歌っているので違和感が全くなく自然体。ほんとにこういう人なのかしらと思わせるような存在感。当たり前かもしれませんがダンスもできるんですね。これからますます成長していく予感、『モーツァルト』の「ダンスはやめられない」をどう歌うのか、楽しみで仕方ありません。
何役もこなす、アンサンブルメンバーのみなさん、『エリザベート』など、東宝の舞台でお馴染みなった方ばかり、中止が続いた時は仕事なくてかなりつらかったことと思います。こうしてまた舞台で会えてほんとうによかったなあと思いました。
芸達者なみなさんが全力で笑いを届けようとがんばっているクオリティの高い舞台。
千穐楽まで無事に公演が続いていくことを祈ります。
渋谷ヒカリエ11階、開演前、夕焼け色の富士山が浮かんでいました。
日本でまたひとつブロードウェイミュージカル開幕
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6cf7a065fac235bc08603bbdb65b7790