医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

ちょらちょらな美作2

2008年10月19日 21時37分56秒 | Weblog
 僕が勝手に思っている日本一の読書人、松岡正剛氏なども町田文学が密やかに好きらしいが・・・。

 日本音楽界の奇蹟、百年に一人の天才、キング・キヨシローを愛し、その振る舞いや歌詞にクスクス感を覚える僕のようなあかん人間は、町田氏の計算された出鱈目さが醸すグルーブ感が大好きなはずです。

 そうですねぇ、ちらりと書棚を見ると・・・傑作「くっすん大黒」の他に僕が所有する彼のブンガクは・・・

 「夫婦茶碗」「きれぎれ」「宿屋めぐり」「パンク侍、斬られて候」「土間の四十八滝」「外道の条件」「つるつるの壺」「へらへらぼっちゃん」「浄土」「供花」(くうげ)「耳そぎ饅頭」「壊色」(えじき)「正直じゃいけん」「テースト・オブ・苦虫」「告白」「権現の踊り子」・・・

 って、ほとんどじゃん。





 権現とは東照大権現であれば、徳川家康に朝廷から与えられた神号ですが、「権現の踊り子」本文中に家康など一文字も出てきやしません。

 「夫婦茶碗」の後半の「人間の屑」なんか、本当に人間の屑だ。

 「きれぎれ」は青空だか雲の切れ間のことみたいだが、最後にかろうじて触りますが本作中とほとんど関連性はなく、本書はマジックリアリズムやカットバック的な技法は感ずるものの、どうしてこれが芥川賞?と聞かれると、答えに窮する・・・。





 んでもってその文学性は、「ワヤ」である。

 「ワヤ」とういのは、広島出身の先輩が何かにつけ、「ワヤやのぉ!」と抜かしておったので覚えているのですが、ワではなくヤ辺りにアクセントがあり、ムチャクチャという意味です・・・たぶん。

 ブコウスキーより町田のほうがおそらくインテリジェンスが高く、腐りきっていない分、しょぼすぎてタチが悪い・・・。

 とにかく・・・こうだから、ああなんだけど、だからしたがってそこはまぁ常識的に、だからといってそういう意味ではなく、こういう風に取られがちなんだけど、それ自体実はそれがいやで、ぶっちゃけ、っていうかさー、モノホンでこうなわけで、「で、俺ってどうなのよ?」・・・

 的に、だらだらと思弁が混沌していくので、そのダラダラさが気に入らない方は不快なだけだと思います。

 町田流に言えば、著者町田の精神がぬらぬらしているわけッス。

 ちょらちょら、わじゃわじゃ、ぎゅんぎゅん、ぬらぬら、わぎわぎ、じゃらじゃら、うちゃうちゃ、しゅらしゅら、くんくん、しゅしゅっ・・・彼の独自の語彙が炸裂します。