【東京地検】:特捜検事、供述を誘導か…河井元法相の大規模買収事件で市議に不起訴を示唆
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京地検】:特捜検事、供述を誘導か…河井元法相の大規模買収事件で市議に不起訴を示唆
河井克行・元法相(60)が公職選挙法違反で実刑となった2019年参院選を巡る大規模買収事件で、東京地検特捜部の検事が、元法相から現金を受領したとして任意で取り調べた広島市議(当時)に対して不起訴にすると示唆し、「現金は買収目的だった」と認めさせていたことが、読売新聞が独自に入手した録音データで明らかになった。不起訴を期待させ、特捜部の描く事件の構図に沿った供述を引き出した利益誘導の疑いがある。
![東京地検などが入る検察合同庁舎](https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/07/20230721-OYT1I50023-1.jpg?type=large)
事件では、同法違反(被買収)で正式裁判を受けている広島の地元政治家11人のうち8人が「不起訴を示唆され、買収されたと認めるよう言われた」などと公判で主張する異例の事態となっている。最高検も録音データの内容を把握しており、調査を行う。
関係者によると、市議は自身が立候補した市議選期間中の19年4月、元法相から現金30万円を買収資金として受け取ったと検事に指摘され、「何かは受け取ったが、お金との認識も、買収資金との認識もなかった」と否定していた。
録音データによると、検事は市議に対して「彼(元法相)を処罰すればいい」と話し、「認識がないというのは否認になる」と説明。「できたら議員を続けてほしいと思っている」「先生(市議)を否認にしたくない」とも述べた。被買収罪で起訴されて有罪となれば議員失職が避けられないことから、検事の発言には、認めれば起訴を見送るとの意図があったとみられる。
![](https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/07/20230721-OYT1I50018-1.jpg?type=large)
市議は20年4月27日の聴取で買収資金と認める供述調書に署名。その後、改めて認識を否定したが、検事は市議に対して「全面的に認めて反省しているということを出してもらい、不起訴であったり、なるべく軽い処分に」と言って調書は修正しなかった。同年6月18日、特捜部は元法相と案里氏を逮捕した。
検察当局は21年7月、市議を不起訴(起訴猶予)としたが、22年1月の検察審査会の起訴相当議決を受け、同3月に略式起訴した。市議は議決時に「有権者の判断を重視したい」として辞職したが、罰金の略式命令を不服として正式裁判を請求し、公判が今後開かれる。市議の弁護人は取材に「公判では無罪と公訴棄却を求める」と話した。
刑事訴訟法は任意の自白でなければ証拠にできないと定める。元福岡高裁部総括判事の半田靖史弁護士は取材に対し、「検事の一連の発言は利益誘導そのもので、任意性に疑いを生じさせる不当な取り調べだ」と指摘した。
検察首脳は20日夕、取材に「個々の事案のコメントはできない」と答えた。
任意の取り調べは、検察による全面的な録音・録画(可視化)の対象にはなっていない。今回、本紙は録音データを独自に入手し、専門機関に音声鑑定を依頼。取り調べを受けたのは市議本人だと確認した。
◆ 大規模買収事件 =河井案里元被告を当選させるため、夫の元法相らが地元政治家ら100人に計約2900万円の買収資金を提供した。元法相は懲役3年の実刑、案里氏も有罪が確定。検察当局は被買収側全員を不起訴としたが、検察審査会が35人を起訴相当と議決した後、9人を在宅起訴、25人を略式起訴した。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【事件・疑惑、河井克行・元法相(60)が公職選挙法違反で実刑となった2019年参院選を巡る大規模買収事件】 2023年07月21日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます