【社説②・04.15】:衆院で集中審議 世界が注目する日米関税交渉
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.15】:衆院で集中審議 世界が注目する日米関税交渉
米国による関税措置の見直しに向け、日本は各国に先駆けて対米交渉に臨むことになった。
粘り強い協議で米国との接点を探りつつ、自由貿易体制の危機を回避できるか。世界の注目が集まる中、日本の外交力が問われる。
衆院予算委員会で米国の関税政策を巡る集中審議が行われ、各党から政府への注文が相次いだ。
日米両国は、第1次トランプ政権時代の2019年に結んだ貿易協定で、日本が米国産の農産品にかけている関税を、また米国は多くの工業品の関税を、それぞれ引き下げることを決めた。
この際、米国は日本車への追加関税を課さないことを約束した、と日本側は説明してきた。
だが、1月に返り咲いたトランプ大統領は、日本を含めて自動車や鉄鋼・アルミニウム製品に25%の追加関税を課した。
立憲民主党の野田代表はこうした経緯に触れ、米国に「協定違反だと問うべきではないか」と訴えた。また、米側が日本の安全基準などを「非関税障壁だ」と主張した場合、否定するよう求めた。
首相は「トランプ氏が、日本の言うことなら聞こう、という考えになるよう努力していく」と述べる一方、「擦り寄るとか 媚 びるという話ではない」とも語った。
米国の産業を守るためだとして、なりふり構わず関税をかけようとする米政権に、法律論を説くだけでは打開策になるまい。
かといって、例外扱いをしてもらおうと筋の通らない譲歩をすれば、国際社会の信頼を失いかねない。政府は主張すべきは主張し、また協力できる部分は協力して、同盟関係が揺らぐことのないよう交渉する必要がある。
集中審議では、日本が主導して環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟国を増やすべきだ、という指摘も出た。TPPの活用や拡充は、自由貿易体制を推進する上で積極的に取り組むべき課題だ。
日米交渉では、安全保障政策も議題になる可能性が高い。トランプ氏は「我々は数千億ドルを支払って日本を守るが、彼らは何も支払わない」と不満を示しているが、明らかに事実に反している。
日本は日米安保条約に基づいて米国に基地を提供し、多額の在日米軍駐留経費も負担している。15年には、安全保障関連法で米艦などの防護を可能にした。
政府は、米側にこうした事実を繰り返し伝えるとともに、アジアの平和と安定のために防衛力を強化していくことが重要だ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月15日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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