子どもが未就学の場合に認められていた看護休暇は、小学3年まで延長される。卒園式や入学式の際も休みが取れるようになる。
対策が強化されるのは、現行制度では働く人が十分に子育ての時間を取れていないためだ。
厚生労働省によると、18~25歳の男性の8割超は育休を取りたいと考え、約3割が半年以上を希望している。だが、実際の取得率は2023年度で30%にとどまる。半年以上取れた人はごくわずかで、6割近くが1カ月未満だ。
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育休を主に取得しているのは依然として女性だが、復職後の働き方への支援は十分とは言えない。キャリア形成に悩み、退職するケースも少なくない。
子どもの年齢に応じた両立支援のメニュー拡充で、より柔軟な働き方が可能になる。ただ、従業員が「職場に迷惑がかかる」と利用をためらうようでは広がらない。事業者側の後押しが必要だ。
サッポロビールは、1カ月以上の育休を取った同僚の業務を肩代わりした社員にポイントを付与する仕組みを導入した。賞与の算定に反映される。気兼ねなく休めるようになり、男性の育休取得日数は5年前の4倍以上に増えた。
子どもの送迎などがしやすいように勤務時間帯を自由に選べたり、配偶者の転勤に合わせ勤務地を変えられたりする制度を導入した企業もある。
しかし、人員に余裕がない中小企業は対応が遅れている。要員確保のための国の助成制度なども使い、環境を整えてほしい。
4月からは、これまでより多くの企業に育休取得率の公表が義務付けられる。対策を怠れば、若者から就職先として敬遠される。
子育て支援への姿勢は企業価値に直結する。経営者がこうした意識を持たなければ、人手不足の時代を乗り切れない。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月31日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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