路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説②】:薬の不正試験 医療の信頼を揺るがす行為だ

2023-10-31 05:01:40 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【社説②】:薬の不正試験 医療の信頼を揺るがす行為だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:薬の不正試験 医療の信頼を揺るがす行為だ

 薬の安全性や有効性にかかわりかねない不正が相次いでいる。現時点で健康被害は確認されていないというが、医療への信頼を傷つける行為であり、見過ごすことはできない。

 ジェネリック医薬品(後発薬)大手の沢井製薬が、販売中の胃薬の品質試験を国が承認していない方法で行っていたと発表した。

 不正があったのは、薬が胃の中で溶け出す働きに問題がないか調べる試験だ。期待される結果を出すために、溶けにくい経年劣化したカプセルから、薬の中身を別のカプセルに詰め替えていた。

 担当者は問題だと思わず、この方法が8年も続いていた。不正のあった九州工場で製造された薬は自主回収するという。

 後発薬業界では不正が続発している。業務停止が相次ぎ、薬不足を招いた。しかも今回は、業界大手で発覚した。業界のコンプライアンス(法令順守)意識の低さは深刻だと言うほかない。

 このほか、新しい薬や医療機器の臨床試験(治験)を巡る不正も明らかになっている。

 治験を行う医療機関を支援する会社「メディファーマ」が、123件の治験でデータ改ざんなどを行っていた。このうち25件は、すでに国が製造販売を承認し、製品化されていた。不正は10年以上繰り返されていたという。

 厚生労働省の立ち入り検査で、治験の条件に合わない人を対象にしていた例が確認された。決まった時間に薬を投与していないのに、計画通りだったかのように書き換えていたケースもあった。

 治験を担当する医師らが受けるべき研修に、社員が代理で参加した例もある。医療機関側の関与を疑わざるを得ない。

 治験の作業や対象者確保の負担を減らす意図があったのか。不正が業界で横行していないかも含めて、厚労省は調査を進め、厳正に対処してもらいたい。

 いずれも今のところ、薬の効能などに問題はないとされているが、患者に悪影響がなかったか、十分精査する必要がある。

 こうした不正が長期間、野放しにされてきたことも問題だ。

 厚労省は監視を強化し、再発防止に努めてほしい。企業側も自ら不正排除に取り組むべきだ。

 近年は「科学的根拠に基づく医療」を重視する考え方が普及した。医師の経験や勘に頼る医療から、データをもとに診断や治療をする医療が一般的になっている。薬のデータ不正がまかり通れば、科学的な医療など成り立たない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年10月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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