【社説②】:携帯の新料金 公正な競争で値下げを
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:携帯の新料金 公正な競争で値下げを
10月の改正電気通信事業法施行に伴う携帯電話会社の新料金プランが出そろった。しかし、おおむね高止まりとなった。
菅義偉官房長官が昨夏「4割程度下げる余地がある」と発言し、値下げへの期待が高まっていたにもかかわらず、価格競争は起きなかった。
楽天の本格的な参入が先送りとなり、大手3社の寡占状態が続いているのが大きな要因だ。
消費者にとっては公正な競争により、利用しやすい料金体系となることが望ましい。携帯各社の努力を求めたい。
改正法は、端末代と通信料のセット割引を禁止する。端末代を安売りする代わりに、通信料が割高になる設定になっていたからだ。
ソフトバンクとKDDI(au)は端末を最大で半額にするプランを発表した。
しかし両社とも100日間は他社回線が使えない「SIMロック」が端末にかかる仕組みだ。
NTTドコモは自社回線の契約者だけを対象に端末代を最大で3分の1にする。
3社とも他社への乗り換えを防ぐ「囲い込み」を継続しているように映る。SIMロックについては総務省が即時解除を義務付ける方針を示した。企業側も早急に対応する必要がある。
楽天の延期は、基地局など通信網の整備が計画通りに進まなかったためだ。
値下げ競争の起爆剤になると期待されていただけに、肩すかしをくった格好だ。見通しの甘さがあったのではないか。
本格サービスの開始時期や料金も明らかになっていない。社会インフラを担う企業として、責任を持って事業に取り組んでほしい。
今回の料金改定は菅官房長官の発言がきっかけとなった。菅氏は3社の新料金について「これから競争が始まっていくと思う。このままでいいとは全く考えていない」と不満を示した。
ただ「官製値下げ」は市場をゆがめ、健全な競争を促すとは思えない。企業側は政府から口出しされる前に、顧客本位の競争を展開すべきだ。
各社の料金体系はとても複雑で、比較が容易ではない。端末が「最大半額になる」などの広告を出しているのに、消費者の負担が半額を上回るケースがあるとして、消費者庁が注意を呼びかけた。
企業自ら、利用者の誤解を生まないように、丁寧でわかりやすい説明を心がけなければならない。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年09月29日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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