【「表と裏」の法律知識】:SNS時代の展開の目測を誤ったビッグモーターの大きな勘違い
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【「表と裏」の法律知識】:SNS時代の展開の目測を誤ったビッグモーターの大きな勘違い
連日、ビッグモーターの報道が過熱しています。ここでは、パンク詐欺やゴルフボール問題ではなく、SNS情報拡散に関するビッグモーターの目測の誤りを指摘したいと思います。
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記者会見で謝罪するビッグモーターの兼重宏行社長(左)/(C)日刊ゲンダイ
ビッグモーターは2017年にも別な経営上の問題が一部のメディアで報道されたことがありました。売り上げノルマを達成できなかった店の店長個人から10万円を罰金として集め、ノルマを達成した店の店長へ賞金として分配していたなどという労働基準法などの違反です。しかしビッグモーターは報道を無視し通し、記者会見も行いませんでした。その結果、今回ほど炎上することもなく事なきを得ました。
ビッグモーターのCMはテレビをはじめ多くのマスコミで流されています。要はテレビ局にとってはビッグモーターは大口のお客さま、スポンサーという関係にあります。そのため、2017年当時は忖度をし、大々的に報じることはしなかったのかもしれません。
しかし現在は、テレビなどの従来型メディアよりもSNSでの情報拡散が、比較にならないほど早く、そして大きな力を持つに至っています。ある意味、SNSが世論をつくり、SNSで大きく騒がれる結果、大手マスコミも報道せざるを得ないという状態に追い込まれるようになっています。しかもSNSでは、テレビ局などと違い、大手企業への忖度がまったく働きません。
むしろ大手企業の不祥事やトラブルの方が、市民感覚として、SNS拡散の動機になりやすい側面があります。昨今のジャニーズ問題の拡散状況がまさにこの流れといえるでしょう。
ビッグモーターは、このSNS時代の展開の目測を誤り、SNSで大きく騒がれ始めた時点でも、大手マスコミが報道していないから大丈夫と思っていたのかもしれません。
大手企業から相談を受ける弁護士も、最近の実情を把握できず、一般人のSNSなんて放っておいたらなんとかなる、大手マスコミに通知を出して箝口令を敷いておけば大丈夫という昔ながらの対応では取り返しのつかないことになるかもしれません。

「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。アトム市川船橋法律事務所。
元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載・「表と裏」の法律知識】 2023年07月30日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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