《社説②・10.25》:国連PKOへの攻撃 国際社会への敵対行為だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・10.25》:国連PKOへの攻撃 国際社会への敵対行為だ
平和の構築に向けた国際社会の努力を踏みにじる蛮行である。絶対に許されない。
イスラエル軍が隣国レバノンに展開する国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の施設を攻撃し、隊員に負傷者が出た。

UNIFILはレバノン内戦下の1978年、南部の停戦監視などのために始まった国連平和維持活動(PKO)だ。
国連のグテレス事務総長は「明らかな国際人道法違反だ」とイスラエルを非難し、米国や欧州連合(EU)も容認できないとの姿勢を示した。
イスラエルのネタニヤフ首相はイスラム教シーア派組織ヒズボラがUNIFILを「人間の盾」に利用していると主張し、意図的な攻撃ではないと弁明した。
これまでもネタニヤフ氏は、敵対するイスラム組織ハマスやイランへの対応が不十分だとして国連を「軽蔑すべきもの」と指弾してきた。国連大使は総会の場で国連憲章を記した紙を細断し、カッツ外相はグテレス氏の入国を禁止すると表明した。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)がパレスチナ自治区ガザ地区で運営する学校なども爆撃し、多数の職員の命を奪った。停戦を求める国連総会決議にも応じていない。
国連不信の背景には、アラブ・イスラム諸国をはじめ自国に批判的な新興・途上国が国際的な発言力を高めている状況がある。だからといって国連をないがしろにする振る舞いは受け入れられない。
国連は第二次世界大戦の反省から、世界の平和と安定を維持するために誕生した。
イスラエルの建国も国連の取り組みと無関係ではない。パレスチナの地にアラブ人とユダヤ人の2国家を建設する47年の国連総会決議が、独立にお墨付きを与えた。
シャレット初代外相は48年の加盟申請時、「国連憲章の義務を尊重する」と宣言している。
ネタニヤフ氏は「我々の消滅を狙う敵」の脅威を強調し、国際ルールの順守よりも自国の防衛を優先する姿勢を鮮明にする。
だが、国際的な孤立を深めれば、かえってイスラエルの安全保障を損なう。国連加盟時の約束を守るべきである。
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