【社説①】:衆院予算委員会 実態解明はどこまで進むか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:衆院予算委員会 実態解明はどこまで進むか
自民党の派閥の政治資金規正法違反事件は、不透明な点が今なお多い。岸田首相は国会答弁で実態解明を約束した以上、調査を徹底し、内容を公表すべきだ。
衆院予算委員会で2024年度予算案の実質審議が始まった。
立憲民主党の岡田幹事長は、首相が事件の関係者に政治責任を取らせる、と述べていることを踏まえ、「できなかった時にどう責任を取るのか」と問いただした。
首相は「党の政治刷新本部の中間とりまとめを実行していくことが私の責任だ」と述べ、政治資金の透明性を高めるための法改正に取り組む考えを強調した。
自民党は先週末から、「裏金作り」が疑われている安倍派や二階派の幹部らの事情聴取を進めている。党所属議員全員に対し、収支報告書に載せていないお金がないか、アンケート調査も始めた。
政治団体である派閥が政治資金パーティーを開くことも、パーティーで集めたお金を所属議員に配ることも、それ自体は違法ではない。問題はその資金の一部を収支報告書に載せなかったことだ。
記載をしない意図は何だったのか。不記載のお金は何に使ったのか。その解明が最優先だ。
野党は、安倍、二階両派の幹部らを国会の政治倫理審査会に呼ぶべきだと主張し、自民党も応じる姿勢を示している。
派閥幹部を政倫審に出席させるのは当然としても、今までの記者会見での説明内容を繰り返すようでは意味がない。しっかりと真実を明らかにする必要がある。
岡田氏はまた、岸田派も約3000万円の虚偽記入の罪で立件されたことを追及した。
首相は「事務的ミスが積み重なった」と述べたうえで、「パーティー収入は銀行口座に入金されていた。意図的に隠したという指摘は当たらない」と強調した。
「事務的ミス」といっても、多額の虚偽記入で立件された事実は重い。それ以上の何かがあったのではないか、と疑わせる。国会審議で解明すべきだ。
予算委員会では、能登半島地震への対応もテーマとなった。
首相は、住宅が全半壊した高齢者や障害者のいる世帯について、最大300万円を給付する制度を創設すると表明した。現行の被災者生活再建支援制度と合わせ、被災世帯は最大で600万円の支援を受けられるようになる。
被災地支援は、政府と与野党が協力すべきテーマだ。今後も建設的な議論を進めてもらいたい。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年02月06日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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