【政界地獄耳】:何でもかんでもデジタル化でいいのか/10.12
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:何でもかんでもデジタル化でいいのか/10.12
★首相・菅義偉は就任早々、行政のデジタル化を加速させデジタル庁の設置を打ち上げた。今後さまざまなIT化が進み、あれもこれもデジタル化、IT化の花盛りになるだろう。だが、国民はそれを望んでいるのだろうか。もっと言えば、国民1人1人のデジタル化やIT化のイメージはさまざまだろう。
★ここ最近でも、今年3月に政府の経済財政諮問会議の民間議員が、オンライン診療の規制緩和を政府に提言。コロナ禍の中、初診だけは患者が直接対面診察することが条件だったが緩和させ、最初からオンライン診療が受けられるようにした。これは特例措置だったが、政府は初診からのオンライン診療を恒久化しようとしている。だが日本医師会は安全性などを理由に慎重だ。便利だから進めるということでいいのだろうか。医師会が言うように「補助的な」使い方としての併用ではだめなのだろうか。
★法相・上川陽子は9日、婚姻届や離婚届の押印の廃止を検討していると言い出した。現在、市区町村で提出されている婚姻届と離婚届には、署名や押印が必要。だが国民から見れば、それをデジタル化やIT化というのかと感じるはずだ。逆に婚姻や離婚など人生の岐路にハンコが不要というのなら、ほかにハンコが必要な場所などあるのだろうか。それならば極めて分かりにくい収入印紙などの廃止などを優先してほしい。
★オンラインで行う遠隔地同士の会議は、従来行われてきた。コロナ禍で会社に出勤するべきところを、リモートで対応しただけだ。しかしあたかも在宅勤務がこれからの社会の基本になるような報道もある。それならば、まず霞が関の役所のデジタル化を推進し、一極集中する役所を全国に分散するところから実現してほしい。婚姻届はそれからでいい。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2020年10月12日 08:35:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。