路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【政界地獄耳】:何でもかんでもデジタル化でいいのか/10.12

2020-10-17 09:22:00 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【政界地獄耳】:何でもかんでもデジタル化でいいのか/10.12

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:何でもかんでもデジタル化でいいのか/10.12 

 ★首相・菅義偉は就任早々、行政のデジタル化を加速させデジタル庁の設置を打ち上げた。今後さまざまなIT化が進み、あれもこれもデジタル化、IT化の花盛りになるだろう。だが、国民はそれを望んでいるのだろうか。もっと言えば、国民1人1人のデジタル化やIT化のイメージはさまざまだろう。

 ★ここ最近でも、今年3月に政府の経済財政諮問会議の民間議員が、オンライン診療の規制緩和を政府に提言。コロナ禍の中、初診だけは患者が直接対面診察することが条件だったが緩和させ、最初からオンライン診療が受けられるようにした。これは特例措置だったが、政府は初診からのオンライン診療を恒久化しようとしている。だが日本医師会は安全性などを理由に慎重だ。便利だから進めるということでいいのだろうか。医師会が言うように「補助的な」使い方としての併用ではだめなのだろうか。

 ★法相・上川陽子は9日、婚姻届や離婚届の押印の廃止を検討していると言い出した。現在、市区町村で提出されている婚姻届と離婚届には、署名や押印が必要。だが国民から見れば、それをデジタル化やIT化というのかと感じるはずだ。逆に婚姻や離婚など人生の岐路にハンコが不要というのなら、ほかにハンコが必要な場所などあるのだろうか。それならば極めて分かりにくい収入印紙などの廃止などを優先してほしい。

 ★オンラインで行う遠隔地同士の会議は、従来行われてきた。コロナ禍で会社に出勤するべきところを、リモートで対応しただけだ。しかしあたかも在宅勤務がこれからの社会の基本になるような報道もある。それならば、まず霞が関の役所のデジタル化を推進し、一極集中する役所を全国に分散するところから実現してほしい。婚姻届はそれからでいい。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2020年10月12日  08:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【週刊コラム】:中国・香港と同じ異議・異論の排除 学術会議任命拒否問題を考える

2020-10-17 07:30:30 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【週刊コラム】:中国・香港と同じ異議・異論の排除 学術会議任命拒否問題を考える

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【週刊コラム】:中国・香港と同じ異議・異論の排除 学術会議任命拒否問題を考える 

 発足早々の菅義偉政権が、日本学術会議会員の任命に際して、会議側が推薦した105名の候補者から6名を除外したことが政治問題となっている。学者の団体の人事がこれほど人々の関心を集めるのは意外だが、事が憲法23条の学問の自由を脅かすと受け取られたことで、大きな争点になったと思われる。

写真はイメージですPhotobyiStock

 ■「学問の自由の侵害に当たらない」の的外れ

 まず、学問の自由とは何か、そして学術会議の人事への政府の介入がなぜ憲法違反なのかを説明しておきたい。

 学問の自由とは、学者が好きな勉強をする自由を意味するのではない。そのような知的、精神的活動の自由は、表現の自由や思想信条の自由の規定によって確保されている。日本の憲法がわざわざ学問の自由という規定を置いているのは、学者コミュニティの独立、自立を確保するためである。

 研究という作業は、学者が一人で出来ることではない。我々は、過去の学者が残した本を読み、同時代の同分野の学者と議論し、若い人々を教えながら対話することを通して、研究という活動を進める。

 学校や学者の共同体なしには、学問はできない。そして、この共同体が独立性を失えば、孤立した学者は筆を折り、口を閉ざすようになる。そのことは、敗戦のわずか十年前に起こった天皇機関説事件などを見れば、明らかである。

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 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【週刊コラム】  2020年10月17日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【札幌地裁】:死の全容、見えぬまま 2歳虐待死判決 

2020-10-17 06:45:30 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・再審請求)、刑法39条】

【札幌地裁】:死の全容、見えぬまま 2歳虐待死判決 「刑軽く納得できぬ」関係者に憤りの声も

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【札幌地裁】:死の全容、見えぬまま 2歳虐待死判決 「刑軽く納得できぬ」関係者に憤りの声も 

 当時2歳の池田詩梨(ことり)ちゃんを繰り返し虐待したとされる藤原一弥被告(25)に対し、札幌地裁は16日、懲役13年の実刑判決を下した。詩梨ちゃんを衰弱死させた点は認めた一方で、暴行が死に結び付いたとは言えないとも判断した。詩梨ちゃんの死の全容は、司法の場でも明らかにならないまま。事件を知る関係者は複雑な思いで受け止め、裁判員は乏しい証拠で罪の見極めを迫られた難しさを口にした。うつむいたまま判決理由を聞く藤原一弥被告(イラスト・柿崎善行)

 

 黒のスーツにマスク姿で入廷した藤原被告は裁判長に促され、落ち着いた様子で証言台の前に立った。

 ※:この記事は有料会員限定です。いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:北海道新聞社 北海道のニュース 社会 【裁判・事件・犯罪・疑惑】  2020年10月17日  06:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新型コロナ】:イタリアの新規感染者が初の1万人超え

2020-10-17 06:09:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【新型コロナ】:イタリアの新規感染者が初の1万人超え

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新型コロナ】:イタリアの新規感染者が初の1万人超え 

 イタリア政府は16日、新型コロナウイルスの感染者が前日から1万10人増え累計約39万人になったと発表した。

 1日での新たな感染者が1万人を超えたのは初めてで、3日連続で過去最多を更新した。新たな死者は55人で、前日発表の83人から減少した。死者数の累計は約3万6000人となった。

 コンテ首相は今月13日に新たな首相令を出し、外出時の屋外でのマスク着用を原則義務とするなど感染拡大防止のための制限措置を強化した。

 新規感染者が増えている背景にはウイルス検査の実施数増加もあるとみられている。

 イタリアではロックダウン(都市封鎖)実施中だった3月下旬に1日の死者が900人を超え、北部などが医療崩壊に陥ったが、その後減少。バカンスシーズン以降、感染者と共に再び増加傾向にあり、より厳しい首相令を求める声も上がり始めている。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・欧州・新型コロナウイルスの感染拡大】  2020年10月17日  06:09:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:菅政権発足1カ月 国会で説明責任果たせ

2020-10-17 06:01:55 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説】:菅政権発足1カ月 国会で説明責任果たせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:菅政権発足1カ月 国会で説明責任果たせ 

 菅義偉首相が就任して16日で1カ月を迎えた。就任2週間で日本学術会議が推薦した新会員候補6人を任命拒否することが明らかになった。安倍前政権からの「強権体質」が引き継がれている。

 「何も問題はない」と菅首相は強調するが、問題の核心と言える任命拒否の理由についていまだに明らかにしていない。野党の要求する臨時国会召集に耳を貸さず、国会は開かれていない。透明性に欠けた政権が続くことを危惧する。26日召集予定の臨時国会で国民に説明責任を果たしてもらいたい。
 菅首相は就任記者会見で、行政のデジタル化や携帯電話料金の引き下げの実現などに強い意欲を示した。しかし、学問の自由を侵害しかねない日本学術会議の新会員の任命拒否について、正面から向き合おうとしない。
 学術会議から提出された推薦者名簿を「見ていない」と開き直る。ではなぜ見てもいないのに「総合的、俯瞰(ふかん)的に判断」できたのか。まったく理解できない。
 首相の任命決裁前、杉田和博官房副長官が内閣府の提案に基づき、任命できない人が複数いると、首相に口頭で報告していたことが判明している。「官邸官僚」の官房副長官が関与したのなら、首相の任命権や日本学術会議法に基づく選考権に対する重大な侵害と言わざるを得ない。
 首相は「任命する責任は首相にある。推薦された方をそのまま任命する前例を踏襲していいのかを考えた」と述べ憲法が保障する「学問の自由」への侵害との指摘には「全く関係ない」として別問題だと強調している。「任命責任は首相にある」と言うのなら、一連の経緯を国民に説明する責任がある。
 これまでの菅政権の姿勢は前政権の東京高検検事長の定年延長問題を思い起こさせる。人事を通して政治からの独立を求められる検察に介入した。同様に「任命責任」を持ち出して学問の自由に介入した。二つの事例は同根である。
 さらに説明に窮すると論点をすり替える。学術会議から答申や勧告が出ていないと言い始めた。そもそも諮問されていないので答申できない。学術会議はその代わり提言を行っている。すると今度は、自民党が学術会議の在り方を検討するプロジェクトチームを発足させた。問題の核心である会員候補6人の任命拒否理由を明かさないまま「行政改革」として国費支出や組織形態を検証するのだという。
 学術会議問題を巡り、さまざまな学会や大学が抗議の声を上げている。「(戦前の)滝川事件が思い起こされる」という文言に危機感がにじむ。滝川事件は著書や講演内容が「共産主義的」とレッテルを貼って、文部省が京都帝大法学部の滝川幸辰教授を一方的に休職処分などにした学問弾圧事件だ。政治介入という政権の「暴走」を止めない限りこの国に未来はない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月17日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:非正規格差訴訟判決 全ての待遇改善が必要だ

2020-10-17 06:01:45 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【社説】:非正規格差訴訟判決 全ての待遇改善が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:非正規格差訴訟判決 全ての待遇改善が必要だ 

 日本郵便の契約社員が正社員との待遇格差是正を訴えていた訴訟の上告審判決で、最高裁は15日、扶養手当や年末年始勤務手当などを支払わないのは「不合理な格差」に当たると判断した。日本郵便だけでなく、同様の立場に置かれた労働者の待遇改善が図られることが必要だ。

 一方で最高裁は、13日に判決を言い渡した2件の訴訟では、非正規社員にボーナス(賞与)や退職金が支払われないことを不合理な格差とは認めなかった。非正規の待遇格差を巡る訴訟で司法判断が分かれたことは納得がいくものではない。不安定な立場にある全ての労働者の待遇を底上げするのが潮流であり、非正規の格差是正に社会全体で取り組まなくてはならない。
 15日の判決は、郵便局で集配業務などに従事する契約社員に各種手当や休暇が付与されないのは、「有期雇用による不合理な格差」を禁じた旧労働契約法20条に反するのかどうかが争われた。
 最高裁での原告勝訴で、約18万人に上る日本郵便の契約社員の待遇改善が前進する。それとともに、賃金や労働条件に正社員との格差を強いられる非正規労働者にとっても朗報となるものだ。
 今年8月時点で全国の非正規労働者は2070万人に上り、雇用労働者の4割弱を占める。企業の人件費抑制のために正規から置き換えが進み、臨時や限定的な業務という以上の役割を担っている実態は少なくない。厚生労働省によると非正規の平均賃金は正規の3分の2とされ、不合理な格差が横たわっている。
 働き方改革関連法が施行され、仕事内容が同じで能力や成果も同様であれば、待遇も同じでなければならないとする「同一労働同一賃金」の順守が企業に義務付けられた。国も重い腰を上げ、非正規の待遇改善に動いている。
 郵便局職員への判決は格差是正の流れに沿うものだ。その一方で、大阪医科大の元アルバイト職員、東京メトロ子会社「メトロコマース」の契約社員が起こした訴訟の判決との乖離(かいり)があまりに大きい。
 両訴訟で二審の大阪高裁と東京高裁はそれぞれ、非正規社員にも一定の退職金やボーナスが支払われる必要を認めていた。しかし、13日に最高裁は、いずれのケースもボーナスや退職金の不支給は不合理な格差だとはいえないと結論付け、原告の訴えを退けた。使用者側の裁量を広く認め、格差の是正に司法が踏み込むことを避けた格好だ。
 極端に分かれた一連の判決が、個別の判断によって「不合理な格差」を認定する場合もあるという最高裁のバランスをとるためのものだとすれば、裁判所の公平性に疑問を持たれかねない。
 「同一労働同一賃金」の制度運用を鈍らせることがないよう、格差是正に向けた道筋や違法性の基準をより明確に示していくことが司法や行政に求められている。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月16日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:新聞週間始まる 使命自覚し権力を監視

2020-10-17 06:01:35 | 【新聞社・報道・マスコミ・雑誌】

【社説】:新聞週間始まる 使命自覚し権力を監視

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:新聞週間始まる 使命自覚し権力を監視 

 きょうから新聞週間が始まった。今年は「危機のとき 確かな情報 頼れる新聞」が代表標語だ。コロナ禍の中で冷静、的確、そして迅速な報道が求められる。

 戦後75年を迎えた今年の新聞週間は、戦争動員のために新聞が国民を欺いた過去を痛切に反省し、報道の使命と責任を自覚する機会としたい。私たちは菅政権下で国民に代わって立法、行政、司法をチェックする役割を果たさなければならない。
 アジア・太平洋戦争の最中、国家による言論統制によって地方紙が1紙に統合された。沖縄は1940年「沖縄新報」が創刊された。この新聞は、国家の戦争遂行に協力し、県民の戦意を高揚させる役割を担った。
 あれから80年。7年8カ月に及んだ安倍政権は、報道の自由を制限する法律を次々と成立させた。特定秘密保護法や「共謀罪」法、小型無人機(ドローン)規制法などだ。国家の恣意的な運用によって取材の自由が骨抜きにされかねない。特定秘密保護法は秘密指定の基準が曖昧で市民がそれと知らずに「特定秘密」に接近し、処罰されることもあり得る。報道機関も同様だ。萎縮効果を狙う手法は、かつての言論統制と酷似している。今、最も問われているのはジャーナリズムの在り方である。
 安倍政権下で沖縄の基地問題取材の制約は顕著だった。2016年8月、東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に抗議する市民を取材中の本紙記者ら2人が機動隊によって拘束され取材を妨害された。
 今年9月に改正ドローン規制法が施行され、テロ防止などを理由に米軍基地やその周辺でドローンによる飛行が原則禁止された。政府が建設を強行している名護市の辺野古新基地建設現場の上空取材が困難になっている。
 沖縄にとどまらない。18年12月に首相官邸が当時の菅義偉官房長官の記者会見で東京新聞記者の質問を「事実誤認」と断定し、質問制限ともとれる要請文を官邸記者クラブ宛てに出した。この事態に「特定記者の排除を狙い、国民の知る権利を狭めるものだ」と批判の声が上がった。
 安倍政権下で知る権利も侵害された。森友学園問題や加計学園の獣医学部新設問題で、政治の私物化や官僚の忖度(そんたく)によって公文書の改ざん、隠匿、廃棄が表面化した。
 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が発表した2020年の世界各国の報道自由度ランキングで、調査対象の180カ国・地域のうち日本は66位(昨年67位)。「反愛国的」テーマを扱ったり政権を批判したりする記者がSNS上で攻撃を受けていると指摘している。
 安倍政権を引き継いだ菅政権下で公文書の改ざんや廃棄を許さず、伝えたいすべてのニュースを読者に届ける新聞でありたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月15日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:ヘイトスピーチ規制 多様性の保障が急務だ

2020-10-17 06:01:25 | 【ヘイトスピーチ(「憎悪にもとづく発言」、主に、人種・国籍・思想・性別・障...

【社説】:ヘイトスピーチ規制 多様性の保障が急務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ヘイトスピーチ規制 多様性の保障が急務だ

 ヘイトスピーチの規制条例が県議会でも議論されている。しかし文教厚生委員会で議題に上るものの、制定に至っていない。憲法が保障する表現の自由の兼ね合いを県は指摘するが、個人の尊厳が憲法上の核をなす権利である。

 5年ほど前から県内でも那覇市役所前などで外国人を対象にヘイトスピーチがあった。この事案で県はヘイトスピーチと認識していることを初めて県議会で示した。外国人を含め個人を脅かす事態を放置するわけにはいかない。
 基幹産業が観光である沖縄で海外から訪れる人々が安心して過ごせる地域づくりは欠かせない。世界に開かれたダイバーシティ(多様性)を追求し、保障する方策は条例化を含め急務だ。
 コロナ禍以前の2019年に県内を訪れた外国客は300万人近い。県内の外国人就労者は昨年10月末時点で最高を記録し1万人を超えた。コロナ禍を超えれば、私たちは再び観光をはじめ、就労や生活の場に至るまで海外からの人々と身近に向き合うことになる。
 そんな機運を台無しにしてしまいかねないのがヘイトスピーチだ。特定の人種や民族、国籍、出身地、宗教などの属性を持つ人を差別したり、憎悪をあおったりすることと定義される。いわれのない「犯罪者」との誹謗、果ては「殺せ」「出て行け」などの罵声は聞くに堪えない。
 沖縄を標的にしたヘイトスピーチが認識されたのは2013年に東京都で県内首長たちがデモをした時ではないか。オスプレイ配備撤回を求める中、「おまえら中国人の手先か」「死ね」などの言葉を浴びせかけられた。
 15年10月の県議会で翁長雄志知事が、ネット上での娘が中国に留学しているとの根も葉もない風説を否定した。
 今年7月に投開票された東京都知事選では立候補者の1人が中国大使館前で中国の蔑称「支那」を連呼、侮辱的発言を繰り返した末、矛先を玉城デニー県知事に向け「支那の工作員」とも発言した。デマで分断や排除をあおる。ヘイトスピーチの根源的な危うさが再び顕著となっている。
 封じ込める動きは国内でも出てきた。大阪市が16年1月に初めて規制条例を制定し、昨年6月には神戸市も続いた。今年7月に全面施行された川崎市の条例は全国で初めて罰則を盛り込んだ。川崎市は今月9日にはネット上の書き込み2件を「不当な差別的言動」に当たると判断し、削除を求める答申をまとめた。
 女性や障がい者、外国人、そして性的マイノリティーなど多様な人材の活用は社会や企業の活力、競争力を高める上で鍵を握る。GAFAと呼ばれる米国の大手IT企業の隆盛は多様な人材が支えている。
 差別を許さず、多様性ある社会づくりが沖縄の活力源になることを自覚したい。条例整備は差別を拒む姿勢を発信し、信頼を得る機会となる。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月14日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:過疎新法で適用外も 地域に即し柔軟に指定を

2020-10-17 06:01:15 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説】:過疎新法で適用外も 地域に即し柔軟に指定を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:過疎新法で適用外も 地域に即し柔軟に指定を 

 過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)の期限切れに伴い2022年度から始まる過疎新法で、現在過疎地域に指定されている県内18市町村のうち半数以上が指定から外れる見通しであることが、県の試算で判明した。同法は人口減少で過疎化が進む市町村に国が財政支援するもので、指定が外れれば、住民サービスの低下を招く恐れがある。

 県内で指定されている自治体の多くは財政力が乏しい離島の市町村だ。他の自治体と陸続きではないので医療などのサービスを一定程度、自己完結しなければならない。沖縄は米国施政下に置かれていたため全国で唯一、過疎法適用が10年遅れた経緯もある。
 新法では、こうした地域の特殊事情に即して過疎地域を柔軟に指定すべきだ。指定要件の基準をしゃくし定規に適用することで住民サービスの低下を招き、それが人口減に拍車を掛ければ元も子もない。「地域の自立促進」という法の趣旨にも反する。
 指定要件は、主に人口減少率や財政力指数だ。指定されている県内市町村は財政力が弱い自治体で、全て財政力の基準に達せず指定要件を満たしている。しかし人口減少率に関しては、県全体の人口が増えている中、過疎地域でも減少率に改善が見える。主にそうした地域が指定から外れる見通しとなっている。
 新法を審議している与党・自民党は指定要件の一つである人口減少の起点を、現在の1960年から、75年か80年を軸に変更することを検討している。変更した場合、本紙の取材では少なくとも5町村が外れる見通しを持っている。
 指定から外れた場合の影響は大きい。過疎法は指定地域に対し、元利償還の70%を交付税措置する過疎債の発行を認めたり、公共事業の補助率をかさ上げしたりしている。
 県内指定地域では、農林水産業や診療所の運営など、各事業全般を網羅する形で適用されている。義務教育施設や上下水道施設の整備など国の補助事業の裏負担を賄うのが厳しい自治体は過疎債を活用している。
 中でも過疎債で実施しているソフト事業は、他の制度でも起債できる箱物などのハード事業と異なり、代替が効かないという。
 診療所や歯科診療所の運営委託費に過疎債を充てている自治体の担当者は「仮に指定が外れても診療所をなくすわけにはいかない。他の住民サービスを絞ることになるだろう」と話す。当該自治体の危機感は強い。
 自民党は来年の通常国会に新法の法案を提案する予定で、年内には法案の骨格を固める方針だ。これに先立ち当該市町村だけでなく、県や県関係国会議員も一丸となって過疎地の住民サービスを守れる施策を政府に求めていく必要がある。島の暮らしが豊かでこそ、沖縄の多彩な特長を発揮し、全県の発展につなげることができる。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月13日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:コロナ民間臨調 検証結果を政策に生かせ

2020-10-17 06:01:05 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:コロナ民間臨調 検証結果を政策に生かせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:コロナ民間臨調 検証結果を政策に生かせ 

 「泥縄だったけど、結果オーライだった」

 安倍政権下での新型コロナウイルス対策は、この一言に象徴される。8日までにまとめた新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)の報告書に記された証言だ。
 誰もが想定しなかった感染症拡大への対応が難しかったのはやむを得ない。だがそこから何を学ぶのか。政府は民間の指摘を真剣に受け止め、政策に生かさねばならない。
 コロナ民間臨調はシンクタンクが設立した。財界、研究者ら4人の委員の下に専門家19人の作業部会を設け、安倍晋三首相(肩書はいずれも当時)や菅義偉官房長官、西村康稔コロナ担当相をはじめ、政府関係者ら83人に延べ101回のヒアリングとインタビューをした。検証期間は国内初の感染者が確認された1月から7月までの半年間だ。
 報告書から見えてくるのは、準備不足と場当たり的対応が積み重なったことだ。アベノマスクに代表されるように政策的、疫学的な検証もなく首相と周辺スタッフが暴走した状況も浮かび上がる。
 安倍氏が決断を下したもののうち、特に世論の反発を招いたのは全国一律の一斉休校とアベノマスクだろう。一斉休校の内情について報告書は「2月24日の専門家による『瀬戸際』発言がターニングポイントとなり、総理室は急きょ方針を転換」したと明かす。萩生田光一文科相(当時)から不満や疑問があったが、安倍氏が押し切った。
 マスク配布は「厚労省や経産省との十分な事前調整なしに首相周辺主導で決定」した。報告書で官邸スタッフは「総理室の一部が突っ走った。あれは失敗」と認めている。
 こうした判断ミスの積み重ねは欧州からの旅行客流入制限遅れにもつながり、国内での感染拡大の一因になった。その背景を「一斉休校要請に対する世論の反発と批判の大きさに消耗し(中略)指導力を発揮できなかった」と報告書は結論付けている。
 法的な強制力を伴わない行動制限や集団感染対策、補償なき自粛・休業要請による拡大防止と経済の両立を目指すのが「日本モデル」と報告書は定義している。次に来るであろう感染拡大の波に対応するには、従来の「日本モデル」に不足する部分を補う政策立案と政権の指導力が必要だ。
 菅氏は安倍政権の継承を掲げたが、失敗と結論付けられたコロナ対策まで継ぐことはない。臨調の提言のうち専門家組織の総括・検証や危機対応法制見直しなど、できることを速やかに実行すべきだ。
 そもそもこうした検証は政府が主導して実施すべきものである。そのために不可欠なのが公文書による記録だ。安倍政権下では森友問題に見られるように公文書を軽視する姿勢が目立った。直面する課題への対応、将来世代への説明責任を含め、現政権には記録を残す重要性を肝に銘じてもらいたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月12日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:2歳虐待死判決 命を救う連携を深めよ

2020-10-17 05:05:55 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【社説①】:2歳虐待死判決 命を救う連携を深めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:2歳虐待死判決 命を救う連携を深めよ 

 札幌市中央区で昨年6月に池田詩梨(ことり)ちゃん=当時(2)=が死亡した事件で、札幌地裁はきのう、母親の交際相手だった藤原一弥被告(25)に対し、懲役13年の判決を言い渡した。

 判決は、藤原被告による暴行と詩梨ちゃんの死亡との間に直接の因果関係を認めなかったものの、傷害と保護責任者遺棄致死の二つの罪を適用し、虐待事件としては重い量刑を下した。

 全身にけがを負った詩梨ちゃんは食事をほとんど与えられずに放置され、やせ細って短い生涯を終えた。裁判員がこの犯行を極めて悪質だと判断したと言えよう。

 関係機関の判断の甘さや連携の悪さなど、多くの課題が表面化した事件だった。悲劇を繰り返さぬよう、各機関は連携を深めて虐待の早期発見に努めねばならない。

 藤原被告が詩梨ちゃんの死亡につながる暴行をしたか、詩梨ちゃんの衰弱を知りながら保護しなかったのか―が主な争点だった。

 被告側は「一切やっていない」と無罪を主張し、懲役18年を求刑した検察側と全面対立していた。

 判決は、司法解剖を担当した医師の意見や、母親の池田莉菜被告(22)から藤原被告の暴力について相談を受けていたという証人の証言などを重視した。

 その上で、藤原被告が詩梨ちゃんを保護する立場にありながら暴行を加え、自己保身や遊興を優先させて救命に当たらなかったことを、「誠にむごく悪質」と厳しく非難した。

 この事件では、札幌市の母子保健などの各部署が情報交換を怠り、詩梨ちゃんの発育不良をそのままにし、児童相談所は虐待通告に適切に対応できず、最悪の結果を招いた。

 詩梨ちゃんを救う機会は何度もあったはずだ。ここからくみ取るべき教訓は多い。

 市は児童相談所の児童福祉司の増員や、道警との連絡体制の見直しなどを進めている。

 大事なのは新しい仕組みに実効性を持たせることだ。関係機関同士で意思疎通を重ね、スムーズな連携ができるよう努めてほしい。

 乳幼児への虐待は後を絶たない。今年1~6月の全国の児童相談所の虐待対応件数は例年同様、過去最多を更新するペースだ。

 新型コロナウイルス禍による外出自粛で外部の目が子どもに届きにくくなり、虐待が潜在化した恐れも指摘されている。

 関係機関が全力で子どもに向き合い、幼い命を守りたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月17日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:「弔意」の通知 内心の自由侵さないか

2020-10-17 05:05:50 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【社説②】:「弔意」の通知 内心の自由侵さないか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:「弔意」の通知 内心の自由侵さないか 

 憲法が保障する内心の自由を侵しかねず、配慮に欠けたやり方と言わざるを得ない。

 きょう行われる故中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬について、文部科学省が全国の国立大などの教育現場に弔意を表すよう求める通知を出した。

 政府はこれに先立って、各府省が合同葬に合わせて弔旗の掲揚や黙とうすることを決めた。最高裁が全国の裁判所に協力を要請するなど、さまざまな機関にも影響が及んでいる。

 故人を悼むありようは個人の思想や信条に基づくべきものだ。国が弔意の表明を求めたり指示したりすれば、受け手が強制ととらえても不思議ではない。政府の対応は慎重かつ抑制的にするべきだ。 政府は2日に合同葬当日の対応について関係機関に弔意を表すよう協力を求めると閣議決定した。 加藤勝信官房長官からの周知文書を受けて文科省は13日付で、国立大や日本私立学校振興・共済事業団などに通知した。そこには明治天皇の葬儀での弔旗掲揚の方法を示す文書も添えられていた。

 北大や道教大、小樽商科大など道内の6校が弔旗を掲揚することを決めたが、教員や学生から批判の声が上がっている。

 同様の通知は2000年の小渕恵三氏、06年の橋本龍太郎氏ら過去の元首相の合同葬でも出された。政府は今回も前例を踏襲していて問題はないとする。

 だが、教育現場に弔意を表すよう国が求めるのは、特定政党を支持する教育を禁じる教育基本法に反する恐れはないか。憲法が保障する思想信条の自由を侵す懸念もぬぐえない。

 加藤官房長官は記者会見で「通知は広く哀悼の意を表すよう協力を求める趣旨」として強制性はないと説明する。

 しかし、文科省は運営費交付金などの予算配分を含め大きな権限を握る。通知を受け取った大学側が「無言の圧力」を感じ、協力に従わざるを得ないと受け取る可能性は消えないだろう。

 加藤官房長官は、弔意の表明は各機関の自主的判断に委ねるとの見解も示している。そうであれば弔意表明を実施したかどうかなどの調査も厳に慎むべきだ。

 菅義偉首相が日本学術会議の会員候補の任命を拒んだ問題が起きたばかりだ。安倍晋三政権以降、教育学術分野へ国が統制を強めていると感じざるを得ない。

 こうした懸念に対し、政府は説明を尽くさなければならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:葛の葉の裏風

2020-10-17 05:05:45 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【卓上四季】:葛の葉の裏風

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:葛の葉の裏風

 「恋しくば尋ね来て見よ和泉(いづみ)なる信太(しのだ)の森の恨み葛(くず)の葉」。葛の葉姫に化けたキツネが正体を暴かれわが子を残し森に帰る際に詠んだ歌だ。悲しいまでの親子の情愛が心を打つ▼通称「葛の葉」。浄瑠璃や歌舞伎の「芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」は、「夕鶴」と並ぶ異類婚姻譚(たん)の代表作である。助けられた動物が妻となって恩返しする話は、全国に似た伝承が残る▼折口信夫(しのぶ)によると、日本の婚姻の例え話は、外族から母が奪われてきたと読めるものが古くからあるそうだ。夫婦間の異なる価値観が家庭での破局を招き、そのしわ寄せが子どもに向かうことを示唆していたのかもしれない▼児童虐待死の事例を調べた国によると、実母のうちの約2割が配偶者や恋人からの暴力を受けていたことがわかった。家庭内のトラブルが幼い命を奪う原因になっているとしたら、あまりの無情に言葉もない▼秋の七草のクズの葉は裏が白く、風にそよぐ様を「葛の葉の裏見(うらみ)」という。冒頭の句のように「恨み」にかけたものもあるが、葉が風に裏返る様子から、「還(かえ)る」や「元に戻る」を連想させる「葛の裏風」という、うたことばもある▼札幌市の女児が昨年衰弱死した事件で札幌地裁はきのう、母親の交際相手に懲役13年の判決を言い渡した。誰も望まぬ「子別れ」はもうたくさんだ。家庭に閉じ込められた「恨み」はないか。「裏風」が優しく吹く世であれと願う。2020・10・17

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年10月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:非正規格差判決 是正の流れ止められぬ

2020-10-17 05:05:40 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【社説①】:非正規格差判決 是正の流れ止められぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:非正規格差判決 是正の流れ止められぬ 

 非正規労働者に対する待遇格差の是非が争われた5件の訴訟で、最高裁が相次いで判決を出した。

 日本郵便の契約社員らが正社員との格差是正を求めたきのうの3件では、契約社員に扶養手当や夏期冬期休暇などがないのは不合理な格差だと認めた。

 一方、駅売店の元契約社員と大学の元アルバイト職員が退職金と賞与がないのはおかしいと訴えた13日の2件では、不支給は不合理とは言えないとして退けた。

 判断が割れた。待遇に差をつけることが妥当かどうかは各企業の事情を踏まえ個別に判断する―との姿勢を最高裁が明確にしたことを意味する。

 これでは格差容認につながりかねないではないか。

 同時に経営側には格差問題の解決に不断に努める責務が課せられた。経営者らは肝に銘じなければならない。労働組合も格差解消に向け積極的に関わるべきだろう。

 いずれも、労働契約法20条(現パートタイム・有期雇用労働法8条)が禁じる不合理な待遇格差に当たるかが争点だった。

 日本郵便訴訟は、年末年始の繁忙期に同じく出勤した正規と非正規の間に、著しい格差があった実態などを浮き彫りにした。

 公平性に配慮したのは妥当であり、日本郵便は重く受け止めるべきだ。透明性の高い処遇制度の整備を急がねばならない。

 一方で13日の判決は格差是正の動きに逆行していると言わざるを得ない。請求を退けた理由に、正規と非正規とでは職務の難易度や責任の重さに差があり、非正規には配置転換もないことを挙げた。

 経営側の主張に寄った内容であり、賞与や退職金を支払わなくていい理由になるのか疑問だ。

 企業側は、この判決を都合良く利用してはならない。

 非正規は労働分野の規制緩和によって増え、企業が雇用の調整弁として利用してきた。今や働く人の4割を占める。賃金格差は大きいままだ。少子化の要因の一つにもなっている。

 格差是正はこれへの反省に端を発する社会的要請と言える。流れを止めてはならない。

 非正規はコロナ禍で真っ先に解雇されるなど依然厳しい環境に置かれている。政府は4月にスタートした同一労働同一賃金制度の達成に向け手だてを尽くすべきだ。

 一人一人が納得して働ける職場を増やす必要がある。それが社会の安定につながる。この認識を広く共有したい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:JR減便 縮小の悪循環が心配だ

2020-10-17 05:05:35 | 【経済・産業・企業・IT・ベンチャー・起業・インバウンド(訪日外国人客)事業】

【社説②】:JR減便 縮小の悪循環が心配だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:JR減便 縮小の悪循環が心配だ 

 JR北海道が来春のダイヤ改正で、特急列車や札幌圏の普通列車などについて減便や編成車両数を減らす方針を決めた。

 新型コロナ禍による旅客激減で、2021年3月期の売上高が前期に比べ400億円も減少し、半減する見通しとなったためだ。

 島田修社長は会見でコロナ以前の規模と比べ「7割経済が続く」と述べ、経費節減のため、一時的な減便ではないことを強調した。

 厳しい経営環境を考えれば、やむを得ない側面もある。だが、利用客への影響は小さくない。

 ダイヤ改正が一層のJR離れを招き、さらなる減便や路線廃止につながる悪循環も懸念される。

 鉄道は地域全体の財産だ。国や道などが主導して、次代にどう残していくのか、根本的に考える時期がきている。

 計画では「北斗」など五つの特急で定期便を1日計80本から66本に減らし、新たに12本を臨時便として運行する。「おおぞら」など二つの特急は車両を減らす。

 気になるのは、これまで順調だった札幌圏にも切り込むことだ。普通列車などの減便は最大20本程度で、新千歳空港を結ぶ快速エアポートも検討対象という。

 JRは31年度までの長期ビジョンで、札幌圏の通勤通学客と新千歳利用のインバウンド(訪日観光客)を旅客の中核に置いていた。

 これを事実上修正することになりはしないか。だとしたら再生に向けた前提条件が崩れる。

 本数は未定ながら、地方路線も留萌線や石北線など6区間で減便する。もともと少ない本数がさらに減り、利便性は損なわれる。

 JRは4年前に「単独では維持困難」な赤字13区間を公表した。5区間は廃止・バス転換の方針だが、このうち留萌線など2区間は地元合意が得られていない。

 札幌圏ですら減便されることで、廃線圧力は強まりそうだ。なし崩しで廃止されるとの疑念が起きる可能性もある。

 国は19年度からJR北海道に年約200億円の支援を行ってきた。根拠法の期限は本年度末だ。法改正による継続が焦点になる。

 だが、小出しの財政支援に終始するのではなく、将来的な地域の鉄道像を描いたうえで財政スキームを考えるべきだ。

 インバウンド回復が見込めない中、鉄路再生は地域の支えなくしては成り立たない。自治体だけでなく企業や学校なども巻き込んだ利用促進への議論を深めたい。道はこれらを主導する責務がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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