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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【金口木舌】:不信感の基底

2020-07-03 05:59:15 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【金口木舌】:不信感の基底

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:不信感の基底

 「終戦とともに山野が軍事基地化され、毒ガスが貯蔵され、ベトナム戦争への発進が繰り返される。美里村の姿は沖縄の縮められた姿だ」。1969年10月31日、在沖米軍が貯蔵していた毒ガスの撤去を求める県民大会が美里村(現在の沖縄市)で開かれた。翌日の本紙に登壇者の声が載っている

 ▼同年7月、基地内でガス漏れ事故があり、毒ガスの貯蔵が発覚した。当時、住民が目にした不可解な事例も報じられている。「演習場近くで住民が皮膚に炎症を起こした」「ウサギが死んでいた」

 ▼毒ガスは71年に沖縄から撤去された。それから49年、嘉手納基地の火災で塩素ガスが発生した。米軍関係者多数が軽傷を負った

 ▼基地で保管されていたのは次亜塩素酸カルシウム。プールの消毒などで使用される物質だ。米軍は「基地の外には流出していない」とする。県民はこの物質が保管されていたことを火災によって知った

 ▼すぐそばに毒ガスがあった当時の恐怖を想起した県民もいるだろう。基地周辺の水源で有機フッ素化合物が検出されている問題もある。普天間基地で同物質が含まれる泡消火剤の流出事故もあった

 ▼美里村での県民大会参加者が昨年、取材に答えた。「基地の中は見えない。毒ガスだって絶対にないと断言できるのか」。不信感の基底には米軍が情報を隠し、県民を欺き続けた戦後の75年間がある。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2020年06月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:地位協定発効60年 「合意議事録」を撤廃せよ

2020-07-03 05:59:10 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説】:地位協定発効60年 「合意議事録」を撤廃せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:地位協定発効60年 「合意議事録」を撤廃せよ

 在日米軍の法的な地位や駐留の条件を定めた日米地位協定は23日、発効から60年を迎えた。日本の独立回復前に交わされた日米行政協定に代わる新協定として締結されたが、在日米軍に特権を認めており、行政協定と何ら変わっていない。

 日米地位協定に占領期の米軍の特権が残された背景に「合意議事録」の存在がある。民主主義の観点からも正当性が疑われる合意議事録は直ちに撤廃すべきだ。
 米国と協定を締結しているほかの国々と比べてみても、日米地位協定の対米従属ぶりは明白だ。例えばドイツと米国のボン補足協定は、米軍基地が返還される場合、米軍に汚染物質などを除去する原状回復義務が明記されているが、日米地位協定には盛り込まれていない。
 本土と沖縄で運用に違いもある。米軍ヘリ沖国大墜落事故で米軍は独自に境界線を張り日本側の捜査を拒んだ。九州大学へのファントム機墜落事故(1968年)などでは、日本側の警察の現場検証を認めており違いは明確だ。
 日米地位協定の改定を求める動きが全国にも拡大しつつある。米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが各地に配備され、墜落の恐れや騒音被害を招き、全国の問題と認知されてきたからだ。全国知事会が日米地位協定の抜本的改定を提言した2018年7月以降、日米地位協定の改定や見直しを求める意見書が、少なくても5月19日までに全国155の道県議会や市町村議会で可決された。
 琉球大学の山本章子准教授(安全保障論)によると、日米地位協定締結と同時に運用を決めたのが「合意議事録」だった。日米安全保障条約の改定に際し、日本側から不平等な日米行政協定の改定を求める声が高まった。だが米軍部が反発したため、日本側が米政府に提案したのが、日米行政協定の内容を継承する「合意議事録」だった(山本氏『日米地位協定』)。
 国民に知らされず、国会でも審議されず密室で交わされた。21世紀初頭まで非公開だったが、現在は外務省のホームページで公開されている。
 例えば、地位協定3条で米軍は基地外では必ず日本政府と協議した上で日本の国内法令に基づいて行動すると定められている。しかし、合意議事録は基地外の民間地でも米軍の判断で米軍機を離着陸させることになっている。刑事裁判権に関する地位協定17条は、米軍の警察は「必ず日本国の当局との取極(取り決め)に従う」と定めている。だが、合意議事録は米軍の財産を捜索、差し押さえ、検証する「権利を行使しない」としている。
 合意議事録が効力を持ち続けることで、在日米軍は基地の排他的管理権を維持している。非公式な取り決めの合意議事録が地位協定より上位にある状況を見直す必要がある。同時に、不平等な日米地位協定を早急に改定すべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月25日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:この船が向かっているのはどっちだ

2020-07-03 05:59:05 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【金口木舌】:この船が向かっているのはどっちだ

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:この船が向かっているのはどっちだ

 折り紙のヨットの帆をつまんで、目をつぶるとあら不思議、指先はへさきをつまんでいる。子どもの頃遊んだ「だまし船」だ

 ▼こちらの船はどちらに向いているだろう。河野太郎防衛相が、秋田県と山口県で進めてきた陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画の停止を表明した。安倍晋三首相は計画停止に併せて、安全保障政策を見直し敵基地攻撃能力の検討に言及した

 ▼寝耳に水の決定で自民党内からも不満が出る。あれは河野氏のスタンドプレーだったのか。あるいはもともと能力が疑問視されていた陸上固定型迎撃ミサイルを見限り、防衛力の「空白」を強調することで「どさくさ紛れ」の禁じ手の攻撃ミサイル配備移行の布石か

 ▼システムを推進するはずの米側が静かなのも不気味だ。軍事評論家の前田哲男氏は、陸上イージスの停止は、米国の中距離核戦力全廃条約(INF条約)離脱と連動したものと見るべきだと指摘する

 ▼昨年8月に失効して無条約下で、米国は東アジアに今後、中距離弾を配備してくる、さらにそれを自民党の国防族が下支え、日本自身による攻撃ミサイル配備へとつなげていく―と前田氏は見る

 ▼琉球弧では自衛隊のミサイル部隊配備が進み、まさに日米による軍事の「南西シフト」が構築中だ。かつて方便に使われた魔法の言葉「抑止力」に頼っていてはまた、船の針路を誤る。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2020年06月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:コロナと専門家 知見生かす政治の責任

2020-07-03 05:03:55 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説①】:コロナと専門家 知見生かす政治の責任

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:コロナと専門家 知見生かす政治の責任

 政府は新型コロナウイルス対策の専門家会議を廃止し、自治体や危機管理の関係者を加えた新組織に改組する方針を決めた。新型コロナ特措法に基づく有識者会議の下に分科会を設置する。

 専門家会議は「3密回避」など感染防止の注意点を国民に積極的に発信し、浸透させてきた。その功績は大きかったと言えよう。

 新型コロナのような未知の分野では、科学の知見を最大限生かして対処するのが政治の責任だ。

 きのう100人を超えた東京を中心に新規感染者数が再び急増している。その時に唐突に廃止が打ち出され、改組の発表はメンバーに事前に伝えられていなかった。

 専門家に対する敬意を欠いた不透明な対応だ。これでは政府の政策への信頼性が揺らぎかねない。

 専門家会議は、医学的な見地から政府に助言を行うことを役割として発足した。だが感染拡大に危機感を強め、対策の重点や戦略も積極的に発信するようになった。

 「人との接触を8割減らす」などはその象徴だろう。

 こうした経緯を専門家会議は先週公表した最終提言で「あたかも政策を決定しているような印象を与えていた」とし、脇田隆字座長は「前のめりだった」と述べた。

 それは政府の姿勢が首尾一貫していなかったことの裏返しだ。

 安倍晋三首相は独断で大規模イベント自粛や全国一斉の休校を要請し、批判を浴びた。感染状況が深刻になると一転、専門家の見解を重視する姿勢を強調した。

 しかし緊急事態宣言を解除する局面では、根拠が曖昧なまま見切り発車で突き進んだ。

 科学的知見を踏まえ指導者として責任のある最終決定を下すのではなく、都合のいい時だけ会議の存在を利用したのではないか。

 専門家会議は、今後の助言組織の在り方として責任範囲と役割の明確化を挙げ、政府が国民と丁寧な対話を行うよう求めた。

 政府はこれを受け止め、新たな分科会が十分な役割を果たせるように努めなければならない。

 そのためには、専門家会議が出してきた提言を改めて精査しながら政府の対応を検証し、反省点を今後に生かしていく必要がある。専門家の意見が政策にどう反映されたかを記録することも重要だ。

 だが政府は専門家会議に続き分科会でも議事録ではなく、発言者と内容を簡単に記した議事概要の作成にとどめるという。歴史的危機の教訓を国民に伝え、後世に残すという意識が欠落している。

  元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年07月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:北大学長解任 長期混乱の説明足りぬ

2020-07-03 05:03:50 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説②】:北大学長解任 長期混乱の説明足りぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:北大学長解任 長期混乱の説明足りぬ

 萩生田光一文部科学相が、北大の名和豊春学長を解任した。

 大学職員らを過度に叱責(しっせき)するなどの不適切な行為を重ねたのが理由とされる。国立大が2004年度に法人化されて以降、学長の解任は初のケースだ。

 名和氏は問題が表面化した直後から休職し、1年半にわたって学長不在という異常事態が続いている。にもかかわらず、北大側が対外的な説明を十分にしてこなかったのは納得できない。

 解任を受けた記者会見を経ても「内部で何があったのか」という疑問は残されたままだ。

 北大は問題が長期化した経緯を含め混乱の原因を明らかにし、再発防止に努めてもらいたい。

 北大によると、名和氏は学長に就任した2017年以降、職員らに過度な叱責や威圧的な言動を重ね、特定業者のために再入札を求めるなど不適切な行為を重ねた。

 これを受け北大の学長選考会議が文科相に名和氏の解任を申し立てた。文科相は調査の上、「(国立大学の)役員たるに適しない」との理由で解任を決めた。

 ただ、名和氏の行為が解任に十分相当するかの具体的根拠は示されず、処分が適正かは判断が難しい。名和氏と大学側との間でどんないきさつがあったのかも、詳しく知りたいところだ。

 名和氏は不適切な行為を否定し、「処分は不当だ」として、文科相に対する審査請求や国を相手取った処分取り消しの訴訟を起こす構えだ。

 だが、処分理由に対する反論は明確さを欠き、疑問は残る。名和氏にも説明責任はあるだろう。

 一連の混乱が学内外に及ぼした影響は小さくはない。

 新型コロナウイルスの感染拡大が、大学の授業や入試日程に影響を及ぼしている。在籍する学生や受験生らに、大学の現状や今後を不安視する向きは多かろう。

 そうした中で、大学の役員らが内部の混乱を長引かせるのでは、信頼を得ることは難しい。まずは学生らの不安を解消し、学問に落ち着いて打ち込める環境を整えるべきだ。

 北大の学内規定は、学長欠員の場合は速やかに次期学長選挙を行うと定めている。大学側は年内に行う意向を示したが、不在の長期化を考えれば、早期の決着が望ましい。

 今回のような問題の再発防止を徹底し、地域の拠点的研究・教育機関としての責任を果たしてもらいたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年07月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:衣替え

2020-07-03 05:03:45 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【卓上四季】:衣替え

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:衣替え

 「源氏物語」の冒頭文に登場する「更衣(かうい)」とは、女御(にょうご)に次ぐ位のことだが、もともとは天皇の衣替えをつかさどる女官の呼び名であった。天皇の居室などに出入りができることから、后妃を指すようになった。光源氏の母、桐壺更衣を思い起こす方も多かろう▼平安時代に中国から伝わった衣替えの習わしは、四季の装束を定めた江戸時代に庶民の間にも浸透。新暦を採用した明治維新以後は、年2回の夏服、冬服として学校や職場で定着した▼寒暖に対応する習慣は、着物を有効に利用する知恵でもあった。糸をほどいて仕立て直したり、中綿を打ち直したり。着物を大切に扱う文化を象徴する▼政府の新型コロナウイルス対策の専門家会議が廃止され、新たな分科会が発足する。政府との関係や法的位置づけを明確にするためという。実効性のある議論と提言を期待したい▼専門家会議を巡っては議事録の未作成が判明したが、政府は新設する分科会でも要点を記した議事概要の作成にとどめるそうだ。これでは十分な教訓を得ることは難しい。「衣替え」で問題を封印するようなことがあっては困る▼衣替えと合わせて行われる土用の虫干しは、虫やカビの発生を防ぐ。衣類や調度品を長く使うための工夫だ。会議の記録も、市民の共有財産として繰り返し活用され、歴史の検証に耐えるためには、正確で詳細な内容を備えることが肝要だろう。2020・7・3

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年07月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:強制不妊判決 実態直視し救済の道を

2020-07-03 05:03:40 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【社説①】:強制不妊判決 実態直視し救済の道を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:強制不妊判決 実態直視し救済の道を

 旧優生保護法下で不妊手術を強制されたとして、東京都の男性が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は請求を棄却した。

 「不良な子孫の出生防止」という誤った思想にとらわれた、国による重大な人権侵害である。被害者に対し、冷淡な判決と言わざるを得ない。

 さらに問題なのは、旧法が違憲かどうかの判断を避けたことだ。

 同種訴訟の仙台地裁判決は昨年5月、障害者らに不妊手術を強制した旧法は、幸福追求権を保障する憲法13条に違反すると明確に指摘した。

 東京地裁判決はここから大きく後退し、手術の違法性を指摘するにとどまった。

 子どもを産み育てる権利を奪われた人々は言葉に尽くせない苦労を強いられてきた。その実態に目を向け、被害者救済の道を開かなくてはならない。

 判決が請求棄却としたのは、賠償請求権は不法行為から20年で消滅するとした民法の「除斥期間」の規定を厳格に適用したためだ。

 男性が遅くとも旧法が母体保護法へと改められた1996年以降は提訴できる状況にあったのにそうせず、請求権は消滅したと結論付けた。

 しかし、手術の内容を知らない被害者は多く、差別を恐れて近年まで提訴に踏み切れなかった実態がある。

 裁判で原告側は、子を産めない状態は続いており被害は終わっていないとして、除斥期間は適用するべきではないと主張した。被害の深刻さを思えば、考慮に値するのではないか。

 仙台地裁判決は、子を持つか持たないかを自ら決定する「リプロダクティブ権」を個人の基本的権利だと認め、これを侵害する旧法を違憲だと断じた。

 東京地裁判決がその権利に踏み込むのを避けたのは疑問だ。人権擁護に消極的すぎないか。

 昨春、被害者に一時金を支給する救済法が施行された。しかし内容には課題が多い。

 一時金の金額は320万円と、札幌を含む各地の裁判所で争われている訴訟の賠償請求額を大きく下回る。

 これまでに支給が認められたのは600人余で、亡くなった人を含め全国で約2万5千人とされる被害者のごくわずかだ。本人からの請求を基本としているためだ。

 国は、国策に抑圧された被害者を放置せず、責任を持って救済の手だてを尽くさねばならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年07月02日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:景況感大幅悪化 政策の総動員が必要だ

2020-07-03 05:03:35 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説②】:景況感大幅悪化 政策の総動員が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:景況感大幅悪化 政策の総動員が必要だ

 コロナ禍が経済に与えた打撃の深刻さと感染再拡大へ不安を強める企業心理が浮き彫りになった。

 日銀がきのう発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)で、代表的な指標の大企業製造業の業況判断指数はマイナス34と、前回3月調査から26ポイント悪化した。

 リーマン・ショック後の2009年6月以来の低い水準で、下げ幅も過去2番目の大きさだ。

 大企業非製造業は過去最大の下げ幅で9年ぶりにマイナスに転落し、中堅・中小企業も急激に悪化した。規模、業種を問わず、ほぼ総崩れの状態と言える。

 注視すべきは、緊急事態宣言が解除されたのに3カ月後の先行きも中堅・中小企業は一段の悪化を見込み、大企業も小幅な改善にとどまると見ていることである。

 安倍晋三首相は「経済をV字回復させる」と繰り返すが、いつ収束するか見通せない中で企業が慎重姿勢を強めるのは当然だろう。

 政府・日銀は経済動向にいっそう目を配り、あらゆる政策を動員して企業倒産と失業者の増加を食い止めなければならない。

 政府は6月の月例経済報告で、国内景気が「下げ止まりつつある」とし、「悪化」の文言を削った。

 だが海外では感染者の増加ペースが加速しており、外需の回復は厳しい。内需も感染防止対策が必要なことから改善が緩慢にならざるを得ない上、感染再拡大への警戒感もあり本格回復には程遠い。

 国際通貨基金(IMF)は先週改定した経済見通しで、日本の今年の成長率をマイナス5・8%とし、4月予測より下方修正した。

 不況の「谷」が深まり、回復が遅れる事態を見据える必要がある。

 とりわけ心配なのは収益力が弱く、資金繰りに制約を受けやすい中小企業への影響だ。そこで働く従業員は労働者全体の7割を占め、休業要請で打撃を受けた宿泊・飲食業のウエートも大きい。

 コロナ関連の企業倒産は既に約300社に上る。5月の有効求人倍率はオイルショック後に次ぐ下げ幅となったが、雇用の悪化はこれからが本番との見方が強い。

 失業や所得減少で消費が低迷し、企業収益が悪化して雇用調整がさらに進む悪循環は何としても避けなければならない。

 政府・日銀はこの点を最優先に、企業の資金繰りや休業者への補償などに引き続き手厚い支援を講じることが求められる。

 必要に応じ、持続化給付金の複数回支給を含め追加経済対策を打つこともためらうべきではない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年07月02日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:名乗り出る痛み

2020-07-03 05:03:30 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【卓上四季】:名乗り出る痛み

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:名乗り出る痛み

 米ボストン・グローブ紙が2002年に報じた記事は、米カトリック教会が長年隠蔽(いんぺい)してきた少年らに対する性的虐待を暴くスクープとなった。その後4千人以上の聖職者の関与も判明。ローマ教皇も対応に追われるなど影響は世界に広がった▼この実話を元に15年に製作された映画の最後の場面が印象深い。記事の掲載後、1本の電話が新聞社に入る。その数は瞬く間に増え、編集局中の電話が鳴り始める。被害を告発する声だった。それは報道があるまで泣き寝入りせざるを得なかった人々の悲鳴でもあった▼名乗り出ることが、どれほどの痛みを伴い、勇気を必要とするか。理解していただろうか。旧優生保護法下の強制不妊手術を巡る国家賠償請求訴訟の東京地裁判決のことだ▼不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」について、判決は、遅くとも旧法が改定された1996年には被害と違法性を認識し提訴が可能だったとして、手術を強制された男性の主張を退けた▼昨年には一時金を支払う救済法も成立したが、支給は進んでいない。周囲に知られたくないという被害者の事情こそ、根強い偏見の表れだろう▼一昨年札幌地裁に提訴した小島喜久夫さんは「私も闘っていくので、少しでも多くの人が勇気を持って名乗り出てほしい」と呼び掛けた。実名を明かして臨んだ覚悟にどう応えるか。人々の想像力が試されている。2020・7・2

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年07月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:香港「安全法」 一国二制度が崩壊する

2020-07-03 05:03:25 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、残留孤児、国家による抑圧統治】

【社説①】:香港「安全法」 一国二制度が崩壊する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:香港「安全法」 一国二制度が崩壊する

 香港の民意を無視し、自治を奪う横暴としか言いようがない。

 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、中国政府による香港の統制強化を目的とした香港国家安全維持法案を、返還23年の前日となるきのう可決した。

 治安維持を担う中国政府の出先機関を新設し、香港で続く抗議デモなどに対して中国当局が直接、取り締まることが可能になる。

 香港の既存の法律より、維持法が優先されるとも規定する。

 香港に高度の自治や独自の司法制度を認めた「一国二制度」は、返還時に中国が50年変えないとした公約だ。それが完全に形骸化しかねない。言論や集会の自由も失われかねず、人権の危機だ。

 国際社会に対する重大な背信行為であり、撤回すべきである。

 習近平指導部は香港立法会(議会)を経ず頭越しに制定する異例の手続きを取り、審議も従来になく短期間で行った。

 新型コロナウイルスの感染拡大で経済が悪化する中、力ずくで統治を強化する姿勢を示し、引き締めを図ることを狙ったのだろう。

 維持法は選挙の候補者について、香港基本法の順守や香港政府への忠誠を誓う確認書に署名しなければならないとする。

 9月には立法会選挙があり、民主派の躍進が予想される。その前に施行して、民主派を門前払いする意図が透ける。民意を封じ込める強権政治は言語道断だ。

 司法への影響も懸念される。国家の安全に関わる犯罪を審理する裁判官は、香港政府トップの行政長官が指名する。中国寄りの判決しか出なくなる恐れがある。

 司法の透明性が失われて外資系企業が敬遠し、国際金融センターの機能も損なわれかねない。

 世論調査で市民の6割超が法制化に反対しているのは当然だ。

 日本をはじめ国際社会は中国への批判を強めるべきである。

 トランプ米政権は香港への優遇措置を見直す方針だ。中国共産党当局者らのビザ(査証)発給を制限し、軍民両用の技術に関する輸出を中国本土並みに規制する。

 中国は香港の民主派を米国が支援していると警戒しており、「内政干渉」と猛反発している。米中対立は一段と先鋭化しかねない。

 だが、中国の国際公約違反は明らかだ。一国二制度を維持すると言う以上、それを担保する姿勢を見せなければ信用を失うだけである。これでは大国を名乗る資格などあろうはずがない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年07月01日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:ふるさと納税 判決を機に抜本是正を

2020-07-03 05:03:20 | 【税制・納税・減税・消費税・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説②】:ふるさと納税 判決を機に抜本是正を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:ふるさと納税 判決を機に抜本是正を

 最高裁はきのう、総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したのは違法と認め、処分を取り消した。

 判決は、豪華な返礼品で多額の寄付を集めた泉佐野市の手法が当時としては適法であり、新制度で設けた返礼品の規制を前倒しで適用して排除することはできないと判断した。

 「法の不遡及(そきゅう)」の原則に照らせば当然である。新しい法律を過去にさかのぼって適用できるなら、後付けの理由で恣意(しい)的に処罰されかねない。

 度を超した返礼品競争を招き、その場しのぎで規制を強化した総務省の責任は大きい。

 判決を機に、地方自治体の政策に賛同して寄付する本来の趣旨に立ち返り、制度のゆがみを根本から正すべきだ。

 新制度は返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に限定し、2019年6月に始まった。

 総務省はその際、まだ規制がなかった18年11月~19年3月に、この基準に反した返礼品を贈っていた泉佐野市など4市町を新制度の対象から外した。

 裁判では、過去の不適切な寄付集めを理由とした除外処分が違法かどうかが争点になった。

 他市町村との公平性を保つためだとしても、総務省の処分は見せしめに等しい。法令に基づいた行政執行が求められる中央省庁の権限を逸脱していよう。

 ただ、インターネット通販大手のアマゾンのギフト券を贈るキャンペーンで、18年度に全国で最も多い497億円を集めた泉佐野市のやり方は異常だ。

 制度復帰に当たっては、寄付の集め方を改める必要がある。

 新制度は、寄付者に人気の高い農畜産物や魚介類といった地場産品が少ない市町村には不利な仕組みであることは否定できない。

 返礼品を巡っては、高知県奈半利(なはり)町の担当者が調達代を実際より安く見せる虚偽の書類を提出して新制度に参加した事案も表面化している。

 返礼品がなくても寄付が集まる制度を目指すのが理想だ。高所得者ほど恩恵が大きくなる問題点も見直しが求められる。

 ふるさと納税は、新型コロナウイルスの感染症対策の財源にもなっている。とはいえ、地方の税収格差を是正する手段としては弥縫(びほう)策と言わざるを得ない。

 政府は国から地方への税源と権限の移譲こそが重要であることを忘れてはならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年07月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:ふるさと納税

2020-07-03 05:03:15 | 【税制・納税・減税・消費税・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【卓上四季】:ふるさと納税

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:ふるさと納税

 法の運用を巡り、国や自治体の間で対立した時、どう解決するか。日本で初めて高齢者の医療費無料化を実現した岩手県沢内村(現西和賀町)の例が興味深い▼1960年当時の国民健康保険は10割給付を認めておらず、法に反していた。だが、生命尊重行政を掲げる村は譲らない。すると、岩手県の厚生課長は「なんとか法に触れないような解釈を考えてみませんか」と提案。村は保健活動の一環としての治療という理屈で無償化を実現する(「村長ありき」れんが書房新社)▼苦肉の策だが、その後、国の政策として70歳以上の医療費無料化が一時実施されたことを思えば、血の通った行政は国をも動かすということではなかろうか▼豪華な返礼品で多額の寄付を集める手法が制度の趣旨を逸脱しているとして、総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を外したことの妥当性が争われた訴訟で最高裁はきのう、処分は違法と判断し、取り消しを命じた。制度改正前の募集行為を除外理由とした総務省のやり方は、法の不遡及(そきゅう)の原則にも反する。妥当な判決だろう▼とはいえ、インターネット通販大手のギフト券を返礼品とし、497億円もの寄付を集めた泉佐野市の手法も決して褒められたものではあるまい▼まずは、当事者が話し合うことが制度改善にもつながろう。知恵を持ち寄ることで解決の道があることを沢内村から学びたい。2020・7・1

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年07月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:コロナ1千万人 感染抑止もっと重視を

2020-07-03 05:03:10 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説①】:コロナ1千万人 感染抑止もっと重視を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:コロナ1千万人 感染抑止もっと重視を

 新型コロナウイルスの感染者が全世界で1千万人を超え、感染による死者は50万人を突破した。

 昨年末に中国で最初の感染者が報告されて以来、感染の中心は欧州から米国、さらに中南米やアフリカなど全世界に広がっている。

 特に今月は感染者の拡大ペースが加速している。各国が経済的な苦境に陥る中で活動の再開に踏み切り、そのことが感染拡大に影響している。

 感染症は全世界で終息しなければ、繰り返し流行する懸念がある。20世紀初めの「スペイン風邪」は3波にわたった。

 新型コロナも封じ込めが一筋縄ではいかないことを改めて認識する必要がある。経済活動の再開を急げば、かえって感染の拡大を招き、正常化は遠のきかねない。

 感染者数が急速に増えているのは1位の米国と2位のブラジルだ。両国だけで全世界の3分の1以上を占める。

 4月に一度ピークを迎えた米国は5月にかけて減少傾向にあったが、早期の経済再開に踏み切った南部や西部を中心に再び拡大した。それでもトランプ大統領は楽観的な見方を繰り返している。

 ブラジルも同様だ。当初は州が主導して店舗休業などの対策を取ったが、ボルソナロ大統領は「ちょっとした風邪」と軽視したことで、貧民街を中心に感染が急速に広がっている。

 両大統領とも、国内の支持者向けに以前の生活に戻すことを優先し、感染対策には消極的だ。その結果、甚大な被害を受けているとしか言いようがない。

 このままでは脅威を他国に与え続けるばかりだ。世界共通の危機を抑え込むには、自国第一主義では無理である。各国が連携して対策に取り組むことが欠かせない。

 懸念されるのは、南アジアやアフリカなどの途上国で感染者が急増していることだ。こうした国は医療体制が脆弱(ぜいじゃく)で、検査が追いつかず正確な把握も困難という。医薬品の配布が難しい地域もある。

 コロナは弱い立場の人々をさらに苦境に追い込む。国際社会の支援が不可欠である。

 夏の観光シーズンを迎え、欧州連合(EU)などは往来規制の緩和を急ぐ。日本も出入国制限の段階的な緩和を検討しており、まずベトナムへの渡航が始まった。

 拙速な対応を避け、万全の水際対策が必要であるのは言うまでもない。難しい道ではあるが、感染を封じ込めつつ経済活動の再開を模索するほかあるまい。

  元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月30日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:プラごみ削減 「使い捨て」脱却真剣に

2020-07-03 05:03:05 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説②】:プラごみ削減 「使い捨て」脱却真剣に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:プラごみ削減 「使い捨て」脱却真剣に

 プラスチックごみ削減が国際課題となる中、あすからプラスチック製レジ袋が原則有料化される。

 代替プラ製レジ袋の導入、マイバッグの利用など、事業者も消費者も慣習の見直しを迫られる。

 ただ、レジ袋は国内で排出されるプラごみの2%にとどまる。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出自粛中、家庭から出るプラごみはむしろ増加した。

 レジ袋有料化は、抜本対策にはほど遠い。政府は、使い捨て容器の削減やリサイクルの一段の促進、代替品の利用拡大などを効果的に進めるべきだ。

 プラごみ削減が喫緊の課題となったのは、海に流出したごみによる深刻な海洋汚染のためだ。

 昨年の20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合で、「50年までに新たな海洋汚染をなくす」という初の国際枠組みができた。

 先進国のプラごみを受け入れてきた国々が、環境問題から輸入規制を強めた影響も大きい。

 プラごみ削減の要となるのは、その半分近くを占めるボトルなどの容器包装や家電、家具などだ。

 環境、経済産業両省は5月、合同で有識者会議を設け、国内でのプラごみ処理を進めるため、容器包装リサイクル法(容リ法)などの規制の見直しに着手した。

 政府が昨年策定したプラスチック資源循環戦略は、使い捨てプラの排出量の25%削減や、容器包装の6割の再利用・削減を掲げる。

 それには、容器包装などのデザインを、再使用やリサイクルを前提に改めていく必要がある。

 産業界の協力を得るには取り組みが商機となるような仕組みが必要だが、規制の見直しに当たっては欧州のように企業に対応を義務づけることも検討されてよい。

 分別回収の拡大や、これを担う自治体の負担軽減、リサイクル業者の育成支援など、総合的に施策を進め、リサイクル体制を再構築しなくてはならない。

 プラごみ対策の「3R」のうち、日本はリサイクル(再生利用)が先行し、より優先すべきリデュース(減らす)、リユース(再使用する)の取り組みが遅れた。

 そのリサイクルも製品への再生は2割強で、多くを焼却して熱や電気を利用してきたのが実情だ。

 近年は、3Rにリフューズ(包装などを断る)を加え、消費者に意識改革を促す動きもある。

 消費者の関心が高まれば、企業の取り組みも進むだろう。レジ袋有料化が、その契機となるよう期待したい。

  元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年06月30日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:買い物かご

2020-07-03 05:03:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【卓上四季】:買い物かご

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:買い物かご

 インターネットで商品を購入することも多い昨今、買い物かごと耳にして、籐(とう)で編んだかごを思い浮かべる方も少なくなったのではないか。ポリエチレン製レジ袋が登場した1970年頃から、見かける機会が減っていった▼思えば「エコ」な時代であった。アルマイトのボウルを持って豆腐店に走り、ビール瓶は洗浄して返却した。お刺し身などを包む経木(きょうぎ)は滅菌作用もあり、そのまま燃やせる究極のエコグッズでもあった▼東京都大田区で「昭和のくらし博物館」を開く小泉和子さんは、「くらしは人間が生きていくための土台。社会や時代そのものである」と自著「くらしの昭和史」(朝日新聞出版)に記している▼例えば、ちゃぶ台の普及がそうだ。身分順に並び、身分に応じた膳を使用する箱膳は封建制度の象徴だった。家族全員が集まってちゃぶ台を囲む一家だんらんは、身分制度から解き放たれたことの証左だそうだ▼ちゃぶ台が、出しっ放しのダイニングテーブルに取って代わられたのが、昭和50年代のこと。外食やテークアウトが定着した時期と重なる。朝食抜きや箸の持ち方を知らない子供が増えたのもこの頃ではないかとは小泉さんの分析である▼あすから小売店のレジ袋有料化が始まる。ごみ発生量の抑制の一助になると期待を寄せたい。デザインも多彩な買い物バッグがあふれるくらしは、どんな時代を映し出すのだろう。2020・6・30

  元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年06月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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