路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【北京冬季五輪】:日本のロコ・ソラーレが5勝目 カーリング・16日

2022-02-17 01:00:30 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【北京冬季五輪】:日本のロコ・ソラーレが5勝目 カーリング・16日

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【北京冬季五輪】:日本のロコ・ソラーレが5勝目 カーリング・16日

 女子1次リーグで前回銅メダルの日本のロコ・ソラーレは10―7で米国に快勝し、5勝3敗とした。17日の最終戦でスイスに勝てば、自力で準決勝進出が決まる。3位の日本は敗れても4勝4敗の英国、カナダ、韓国の最終戦の結果により可能性がある。米国は4勝5敗。

 日本は不利な先攻の第2エンドで3点スチール。7―7の第8エンドから連続得点で突き放した。

 首位のスイスが韓国を下し7勝1敗として、準決勝進出を決めた。連覇を狙うスウェーデンもROCを破って6勝2敗でベスト4入り。

 男子1次リーグは5勝3敗で3位のカナダの4強入りが確定。(共同)

 元稿:北海道新聞社 北海道のニュース 社会 【話題・北京冬季五輪・カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレ】  2022年02月16日  01:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【北京冬季五輪】:カーリング女子 スキップ藤沢五月、人知れず続けた努力 祖父母の応援を力に

2022-02-17 00:49:30 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【北京冬季五輪】:カーリング女子 スキップ藤沢五月、人知れず続けた努力 祖父母の応援を力に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【北京冬季五輪】:カーリング女子 スキップ藤沢五月、人知れず続けた努力 祖父母の応援を力に 

 【北見】北京冬季五輪カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが16日、正念場の米国戦を制した。新型コロナウイルス禍で海外遠征や練習が満足にできない中、地元の北見市で人知れず努力してきたスキップ藤沢五月(30)を、祖父母は静かに見守ってきた。17日のスイス戦の結果が、1次リーグ突破を大きく左右する。「最後まで悔いのない試合を」。孫の底力を信じ声援を送る。

  • アメリカ戦の第1エンドでショットを決め、鈴木夕湖(左)とハイタッチする藤沢五月=16日、北京(野沢俊介撮影)
 アメリカ戦の第1エンドでショットを決め、鈴木夕湖(左)とハイタッチする藤沢五月=16日、北京(野沢俊介撮影)
 
 「こちらに向かって歩きながらメダルを見せてくれた。うれしそうだった」。4年前の平昌五輪で銅メダルを獲得したロコ。女満別空港に凱旋(がいせん)した日の藤沢の表情を、祖父の重信さん(89)=北見市常呂町=は懐かしそうに振り返る。

 5歳でカーリングを始めた藤沢は幼少期からセンス抜群だった。常呂に競技を根付かせた「カーリングの父」で、選手育成に力を注いだ旧常呂カーリング協会初代会長の故小栗祐治さんが「(この子は将来)うまくなるぞ」と絶賛するほど。重信さんは「小栗さんの言葉通りになった」と笑う。

 コロナ禍で北見市のカーリングホールが一時休館した時期もあった。氷上練習が難しい中、藤沢は地元で黙々と練習を続けた。祖母の一栄(かずえ)さん(87)によると、藤沢は常呂から網走市まで片道約30キロを自転車とランニングで往復していたという。英語の勉強にも打ち込んだ。全ては平昌五輪の自分を超えるため―。「こんなにタフだったなんて」。ひたすら努力する孫に一栄さんは心を打たれた。 ※残り:244文字 全文:990文字

 元稿:北海道新聞社 北海道のニュース 社会 【話題・北京冬季五輪・カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレ】  2022年02月16日  00:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録】:「対応力」がもたらした「金」

2022-02-08 06:58:40 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【天風録】:「対応力」がもたらした「金」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:「対応力」がもたらした「金」

 技術や体力がなくても五輪に出場する。早道はカーリングかもと思い、長野のリンクで小手調べをしたことがある。すぐさま勘違いも甚だしい愚か者だと気付かされた。なまったこの体が脳の指示通りに動くはずがない

 ▲この人は、イメージ通りに体を動かす対応力の天才という。北京冬季五輪のジャンプ個人男子ノーマルヒルを制した小林陵侑(りょうゆう)選手だ。指導する「レジェンド」葛西紀明氏がスポーツ雑誌「ナンバー」で舌を巻いていた

 ▲時速90キロで踏み切る瞬間、膝をいきなり伸ばすとスキー板が後ろにスリップして推進力が落ちるらしい。それでスランプに落ち込んだ陵侑選手に、葛西師匠は「膝を5割くらい固定したまま飛べ」

 ▲そんなあいまいな指導なのに、たちまちマスターしたそうだ。今回、本番直前に認められる試技をパスしたのも、リラックスしつつ集中力を切らさない師匠の流儀をまねてのこと。対応力とは吸収力でもあるのだろう

 ▲このジャンプ台は飛び出す直前の傾斜が緩く、踏み切りで必要以上に力みがちという。そうしてライバルが相次ぎ失速し、ふわり舞い上がった陵侑選手は軽やかに遠くへ飛んだ。台への対応力も相まっての「金」である。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2022年02月08日  06:58:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:五輪の夢

2022-02-03 05:05:45 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【卓上四季】:五輪の夢

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:五輪の夢

 「友好と平和へ 希望たぎらせつどう世界の千六百人」。50年前のきょうの北海道新聞朝刊1面の見出しだ。アジア初となる冬季五輪開幕の高揚感である

 ▼五輪関連施設の建設にとどまらず、幹線道路や下水道の整備も進んだ。地下鉄や地下街の開業でまちは活気にあふれ、多くの人がテーマソングに歌われた通り「生まれかわるサッポロの地」を実感しただろう

 ▼札幌市の原田与作市長が五輪招致を決めたのは、街づくり総合計画を進める起爆剤とするためだった。経済成長と人口増のさなか、都市基盤整備は急務だった

 ▼立候補決議案の説明では「北海道開発はもちろん市政十カ年計画などの推進力にもなり、北海道観光を世界に紹介する機会となる」と訴えた。開催時にはすでに職を辞していたが、1度の落選を経てこぎ着けた大会に喜びもひとしおだったろう

 ▼誤算だったのは開催関連費用の膨張だった。当初試算は50億円で市費負担は倍増しても25億円程度と見込んだが、全体費用は最終的にスケート関連施設だけで50億円を超えた。「弁明のしようがない増大に市民の不満も理解できる」と、自著「私の五十年 札幌と聖火」の中で複雑な胸の内を吐露していた

 ▼五輪を巡る環境や規模は大きく様変わりした。政令指定都市移行からも半世紀。人口減少社会を迎える中、再び五輪招致を目指す「サッポロ」の理念と意義が問われている。 2022・2・3

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2022年02月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:ラグビーの新リーグ 地域への浸透が未来開く

2022-01-31 02:04:40 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

《社説②》:ラグビーの新リーグ 地域への浸透が未来開く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:ラグビーの新リーグ 地域への浸透が未来開く 

 ラグビーの国内新リーグ「リーグワン」が始まった。企業チームが中心だった従来のトップリーグが、地域性も加味した運営形態に衣替えした。3部まで計24チームが参加し、上位の1部には強豪12チームが顔をそろえる。

 2019年に日本で開催されたワールドカップ(W杯)の盛り上がりを追い風に、当初はプロリーグを創設する構想だった。しかし、親企業に依存せず、地域密着で自立したサッカー・Jリーグのようなプロ化は見送られた。 

 新型コロナウイルス禍の影響でW杯の熱気は続かず、採算性を危ぶむ声も根強かったためだ。結果的には企業名と愛称に地域名を加えたチームが大半となった。

 日本のラグビーは企業に支えられてきた。しかし、経済環境の変化で、今後も丸抱えのまま競技を続けられるとは限らない。

 新リーグは、各チームにチケット販売や会場選定の「興行権」を認めた。これまでは日本ラグビー協会が権利を持っていた。

 試合の興行権があれば、自前で商業活動ができ、収益をチームの強化にも使える。逆に赤字の運営が続けば、存続が危うくなるリスクもある。 

 新リーグ発足にあたり、会社本体の分割に揺れる東芝は、厳しい経営状況の中、ラグビー部を分社化した。今後は「東芝ブレイブルーパス東京」という名称で自立した運営を目指す。

 一方で、あえて企業名を外したチームもある。「静岡ブルーレヴズ」はヤマハ発動機から分社化し、「日本一のプロラグビークラブをつくる」とうたう。元日本代表の五郎丸歩さんも、今はチケット販売を担う運営側の一人だ。 

 ただ、全体を見れば、課題は多い。地域性をPRするにも、名称に「東京」が入るチームは1部に五つも集中している。

 競技人口は減少傾向が続いている。少子化に加え、子どもたちがラグビーに接する機会は少ない。将来を考えれば、集客だけでなく、低年齢層への普及や選手の育成にも力を注がなければならない。

 W杯での日本代表の活躍に心打たれた人も多いだろう。新リーグが地域にもっと目を向けて魅力を浸透させれば、未来の展望は開けてくるはずだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月31日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:札幌五輪50年 レガシーの検証が大事

2022-01-30 05:05:55 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【社説①】:札幌五輪50年 レガシーの検証が大事

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:札幌五輪50年 レガシーの検証が大事 

 アジア初の冬季五輪が1972年に札幌市で開催されてから来月3日で50年を迎える。

 70メートル級ジャンプで、笠谷幸生選手らの「日の丸飛行隊」が金銀銅のメダルを独占した快挙を記憶している人も多いだろう。

 冬季スポーツ施設や道路、地下鉄などのインフラ機能が整備され、道都発展の起爆剤になった。

 札幌市は2030年冬季五輪・パラリンピックの招致を目指す。

 ただ昨年はコロナ禍で東京五輪が強行されたことで世論が分断されるなど、五輪の在り方はいま大きな転機を迎えている。

 少子高齢化の時代に、再び巨大なイベントにまちの将来を託す考えが適切なのかどうか。市は前回大会が残したレガシー(遺産)と半世紀の歩みを検証し、市民意見も踏まえ慎重に判断すべきだ。

 72年大会はスピードスケートでオランダのアルト・シェンク選手が3冠を達成した。フィギュアスケートでは米国のジャネット・リン選手が「銀盤の妖精」として人気を集めた。

 世界の一流選手が競う姿が札幌の歴史に刻まれた。

 14カ所の競技施設が設けられ、大倉山ジャンプ競技場などは今でも冬季スポーツの拠点だ。

 一方、開会式が行われた真駒内公園屋外競技場は老朽化が進み、利用者の減少が著しい。トップアスリート育成に札幌の「地の利」が生かされているとは言い難い。

 スキー滑降コース造成のため恵庭岳の一部を伐採し、五輪による自然破壊の象徴と批判された。

 開催を機に南北線をはじめ市営地下鉄が整備されていった。ただ、現在は巨額の累積赤字を抱え市財政の負担にもなっている。

 札幌市は64年の東京五輪開催を機に高速道路建設などが進んだことに触発され、大会を招致した。

 今度も30年大会に合わせ、スポーツ施設の再整備や道路のバリアフリー化などを推進する考えだ。

 だが札幌市の人口は今月、減少に転じた。高度成長期の72年大会と同じ成功体験は望めない。

 東京五輪では開催経費の倍増など祭典の負の側面が露呈した。国際オリンピック委員会(IOC)が開催の決定権を握り、開催国の政府や都市の意向を十分に反映できない実態も浮き彫りになった。

 市は今春に道民対象の意向調査を行う。大会開催時に新たな感染症や気候変動による暖冬少雪、大規模災害に直面する可能性など、招致には多くのリスクが伴うと率直に示すことも求められる。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月30日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2021年、彼らのやったことを忘れるな!・12.31】:五輪サッカー・久保建英が南アの陽性者判明に「僕らに損ではない」とフェアネス欠く発言!

2022-01-10 23:59:20 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【2021年、彼らのやったことを忘れるな!・12.31】:五輪サッカー・久保建英が南アの陽性者判明に「僕らに損ではない」とフェアネス欠く発言! ■日本有利の不公平はびこる東京五輪

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年、彼らのやったことを忘れるな!・12.31】:五輪サッカー・久保建英が南アの陽性者判明に「僕らに損ではない」とフェアネス欠く発言!  ■日本有利の不公平はびこる東京五輪

 

 2021年も、残すところあとわずか。本サイトで今年報じた記事のなかで、反響の多かった記事をあらためてお届けしたい。
編集部
***************
【初出 2021.07.21】

 23日の開会式に先立ち、本日21日から競技がスタートした東京五輪だが、早速、感染対策をおざなりにする姿勢が露わになっているのが、明日22日におこなわれるサッカー男子1次リーグ初戦だ。U-24日本代表と対戦するのが、選手2人とスタッフ1人が新型コロナ陽性となり、多数の濃厚接触者が出ている南アフリカ代表チームなのだが、予定通り試合が強行されそうなのだ。

【2021年、彼らのやったことを忘れるな!】五輪サッカー・久保建英が南アの陽性者判明に「僕らに損ではない」とフェアネス欠く発言! 日本有利の不公平はびこる東京五輪の画像1

東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイトより

 東京五輪組織委員会は濃厚接触者となった選手について、相手チームの了解を得た上で試合前6時間以内にPCR検査で陰性となれば出場できるとし、サッカーの場合、出場可能選手が13人を下回った場合は不戦敗となる。南アフリカ代表チームで現在、濃厚接触者に認定されているのは18人におよんでいるが、スポーツ報知によると、組織委の幹部は「最後の運営はIF(国際競技連盟、サッカーはFIFA)が決めることだが、もちろん情報を共有しながら協議している。予定通りだということです」と明言。どうやら試合がおこなわれる可能性が高いらしい。

 本来ならば14日間の隔離が必要な濃厚接触者を、偽陰性が出ることもあるPCR検査だけで出場可能としてしまえば試合によって感染を広げる可能性があり、安全安心どころか「危険な博打」としか言いようがない。

 しかも、そんなななかで、当の日本代表選手から信じられないような発言が飛び出した。その選手とは、日本代表の「攻撃の」だと注目を集めているMFの久保建英選手だ。

 本日配信された「サッカーダイジェストWeb」の記事によると、オンライン取材に応じた久保選手は、初戦で対戦する南アフリカ代表チームに陽性者や多数の濃厚接触者が出ていることについて、こうコメントしたという。

 「僕らにとってマイナスではない。僕らに陽性者が出ていたらマイナスですけど、いまのところゼロなので、自分たちのことに集中したい。こんなこと言っていいか分からないですけど、損ではない。自分たちのことにフォーカスしたい」

 南アフリカ代表チームは陽性者や濃厚接触者が出て、本来の戦力で戦えない状況に追い込まれているというのに、「僕らにとってマイナスではない」「損ではない」と言い放つ──。「こんなこと言っていいか分からないですけど」と留保をつけているが、この発言は、あまりにも無神経だ。

 ◆コロナによる不公平な状況を是正せず、より地の利を生かそうとする日本の競技団体

 南アフリカでは6月以降、感染拡大の第3波に晒されており、サッカー代表チームも当初は21人の選手を招集していたが、出国前に「医療上の理由」によって5人がチームを離脱、追加招集できた選手も3人だけとなっていた(ダイアモンド・オンライン20日付)。

 南アフリカのノトアン監督は陽性者が出たことなどについて、会見で「予期していなかったし、精神的にはとても難しい。思ったようにここまではきていないし、どう100%の力を出せるか確認しないといけない」と語っていた。

 実際、自国開催である日本代表選手とは違い、直前に来日する海外の代表選手たちは長時間、一般客と交ざりあったかたちで飛行機に乗るという大きなリスクを抱えて日本に入ってきている。つまり、国によって新型コロナ対応やワクチン接種状況も大きく違うだけでなく、「バブル」が弾けたなかで来日する海外選手はその時点で圧倒的にリスクが高く、不利な状況にあるのだ。

 そうした状況で感染者が出てしまったというのに、そのチームと対戦する日本代表選手が「僕らにとってマイナスではない」「損ではない」とコメントするというのは、無神経というだけでなく、スポーツのフェアネス精神を欠いていると言わざるを得ない。

 しかし、こうした不公平な状況への鈍さは、久保選手に限った話ではない。

 もともと自国開催の五輪は自国チームに有利だが、コロナの影響でその「アンフェア」さがさらに増している。

 たとえば、本番に向けた調整をおこなう事前合宿では、新型コロナを理由に中止した自治体が相次ぎ、大会直前に選手村に直接入ることを余儀なくされた選手は多い。さらに、練習相手を連れて来られないというハンディもある。このように、ホームグラウンドでの出場となる日本選手とは違い、海外選手の多くが事前に現地入りして調子を整えることができていないのだ。

 さらに、インドなど特定の国に対して組織委は6月、来日後3日間、他国との練習試合や合同練習を認めないなどの対策を打ち出し、これにインドのオリンピック委員会は「不公平で差別的だ」と反発する文書を出すという事態も起こった。

 ようするに、海外の選手やチームは選手が出場できなくなったり、満足な事前合宿や練習がおこなえないという非常に不利な状態に置かれているのだ。

 ところが、日本の各競技団体はこうした不公平さを是正するどころか、 “いまこそ地の利を活かせ”とばかりに狡猾な手段に出ている。たとえば、メダル獲得が有望視されている卓球や柔道、レスリングなどの選手団は選手村に入らず、使い慣れた施設で調整をおこなって本番に挑むことになっている(共同通信17日付)。

 ◆吉田麻也「ソーシャルワーカーだけでなく、選手たちも命かけている」という発言の問題点

 おそらくこの不公平な状況を考えると、今回の東京五輪は日本選手の金メダルラッシュが起きるだろう。しかし、それで金メダルがたくさん獲得できて本当に喜べるのだろうか。

 北京五輪の馬術障害飛越個人で金メダルを獲得したカナダのエリック・ラメーズ選手は、感染リスクの懸念から代表最終選考を辞退した際、このような声明を出していた。

「五輪はアスリートの祭典であるが、東京では心の底から楽しめないだろう。五輪を祝う時ではない」

 この「心の底から楽しめない」というのが普通の感覚ではないか。にもかかわらず、日本の競技団体はより自国に有利になるような環境を整え、日本代表のスター選手が「損はない」などという発言をおこなう。これはフェアネスに対する意識、そして社会のなかでのスポーツという視点があまりに欠けていると言わざるを得ない。

 実際、五輪日本代表選手からはほかにも、社会への視点を欠いたスポーツ至上主義的な発言が飛び出している。

 そのひとりが、久保選手と同じ男子サッカーU-24日本代表の吉田麻也選手だ。吉田選手は17日、オンライン会見で無観客での開催になったことについて「真剣にもう一度検討していただきたいと心から思っています」と有観客開催の再検討を訴えた。

 無観客でも感染拡大が懸念されているというのに、それでもなお有観客にこだわること自体、あまりに社会的視点に欠いているが、絶句したのはこのあとだ。

「国民の税金をたくさん使って、その国民が見にいけない。選手たちも毎日、命を懸けて戦っている。その家族だって一緒に戦ってくれている。その人たちも見られないのはクエスチョンです」
「ソーシャルワーカーの方々が毎日命かけて戦ってくれていることは重々理解しているし、五輪がやれるということに感謝しなきゃいけない立場にあるのは理解しています。けど、忘れないでほしいのは、選手たちもサッカーに限らず毎日命かけて人生かけて戦っているからこそ、ここに立てている選手たちばかりです。人生かけている選手ばかりだし、この五輪にかけている選手は山ほどいると思います。だからそのためにも、なんとかもう一度考えてほしいなと」

 この発言にはSNS上で「よくぞ言ってくれた!」などという称賛の声があがっていたが、勘違いも甚だしい。

「ソーシャルワーカーが毎日命をかけて戦っている」ことと、「選手たちが毎日命かけて人生かけて戦っている」ことは、まったく意味が違う。選手たちの「命をかけて」はただの意気込みや比喩でしかないが(実際、負けたとしても命を失うわけじゃない)、医療従事者やソーシャルワーカーはコロナ患者の命を救うべく、自分自身が命の危険に晒されながら、本物の「命をかけて」戦っているのだ。

 吉田選手の発言は、「命」という言葉が持つ本来の意味をはき違え、社会状況や人間の本当の命に対する視点を欠いている。

 ◆体操の内村航平の「五輪がなくなったら、死ぬかもしれない」発言の裏にあるスポーツ至上主義

 「命」といえば、体操の内村航平選手も同様の発言をしていた。今年1月、「もしこの状況で五輪がなくなってしまったら、大げさに言ったら死ぬかもしれない」「それだけ命かけてこの舞台に出るために僕だけじゃなく東京オリンピックを目指すアスリートはやってきている」などと発言したのだ。

 内村選手はほかにも「“できない”ではなく、“どうやったらできるか?”を考え、どうにかできるように考えを変えてほしい」だのと口にしてきたが、結局は自分の努力を披露する場のことしか頭になく、この世界的パンデミックで大げさではなく「死ぬかもしれない」状況に置かれている人がごまんといる現実や、五輪開催がさらなる感染拡大の引き金になるという指摘の重大さがわかっていない。五輪代表選手という選民意識、スポーツ至上主義と言われてもしようがないのではないか。

 アンフェアな状況下での「僕らにとってマイナスではない」という久保選手の発言しかり、世界中で400万人以上がコロナによって死亡している現実のなかで「選手も命がけ」「死ぬかも」などと軽々しく口にする吉田選手や内村選手。──そもそも不公平な大会になることを理解しながら開催を強行した政府や組織委、IOCの「不公正さ」も重大な問題だが、こうした日本代表選手たちによる不公正や不条理を疑わない「社会への視点の欠如」も、大きな問題だと指摘しておきたい。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 芸能・エンタメ 【スポーツ】  2021年12月31日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2021年の記憶】:五輪「非公式競技」ピントレード、コロナ禍でマニア苦戦

2021-12-31 23:55:20 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【2021年の記憶】:五輪「非公式競技」ピントレード、コロナ禍でマニア苦戦

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年の記憶】:五輪「非公式競技」ピントレード、コロナ禍でマニア苦戦

 ◆<2021年の記憶>

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外からの観客受け入れが見送られる異例の形で開催された東京オリンピック(五輪)・パラリンピック。長年、五輪の「非公式競技」として続いてきた記念ピンバッジの交換会「ピントレード」は、どのように行われていたのか。

<2021年の記憶>

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外からの観客受け入れが見送られる異例の形で開催された東京オリンピック(五輪)・パラリンピック。長年、五輪の「非公式競技」として続いてきた記念ピンバッジの交換会「ピントレード」は、どのように行われていたのか。

東京五輪・パラリンピックに関連するピンバッジに囲まれ笑顔を見せる玉井政道さん(本人提供)東京五輪・パラリンピックに関連するピンバッジに囲まれ笑顔を見せる玉井政道さん(本人提供)

玉井政道さんが東京五輪の開催期間中に海外メディアと交換して集めたピンバッジ(本人提供)玉井政道さんが東京五輪の開催期間中に海外メディアと交換して集めたピンバッジ(本人提供)

 「海外の有名なトレーダーが来ない。マニアにとって『地獄の五輪』になりそうです」。98年長野五輪からピンバッジ収集を20年以上続けてきた長野市の愛好家玉井政道さん(69)は開幕前、ほぼ絶望していた。男子体操や女子テニスなど、競技チケットを8枚持っていたが、無観客での開催が7月に決定。世界中のファンと交流できるはずだった会場での観戦ができなくなった。

コカ・コーラが88年カルガリー冬季五輪から設置してきた専用スペース「ピントレーディングセンター」も中止された。それでも、玉井さんはファイザー製のワクチン接種を2回済ませ、競技場が集まる東京・有明にホテルを予約。開幕1日前から約2週間滞在した。狙いは外国人メディアやボランティア。大会期間中は、ホテルと国際放送センターの行き来を繰り返し、五輪関係者に「ピンバッジチェンジ」と声を掛け続け、大会期間中で150種類ほど集めたという。

オンラインで集めた人もいる。五輪関連のピンバッジを5000個ほど持つ東京ピンクラブの寺島喜之代表幹事は、東京大会期間中はフェイスブックなどを経由して海外のトレーダーと交流し、約100個集めたという。北京五輪のピントレードはオンラインではすでに始まっている。寺島さんは10月ごろから30個ほど集めたという。

24年パリ五輪まであと2年7カ月。コロナは収束しているだろうか。玉井さんは、パリ五輪のボランティアにすでに申し込んでおり、現地での交流を待ち望んでいる。【沢田直人】

◆ピントレーディング 近代五輪の第1回大会である1896年アテネ五輪で、選手や大会役員、報道関係者などを判別するために、バッジが制作され「友好の証」として交換したことが始まりといわれている。次第に一般客にもピントレードの輪が広がり、海外のコレクターも多い。各国・地域の組織委員会が制作するNOCピン、種類が豊富なスポンサーピンや、テレビ局などのメディアが制作するピンが愛好家からの人気が高い。希少なピンは高値で取引されることもある。

 「海外の有名なトレーダーが来ない。マニアにとって『地獄の五輪』になりそうです」。98年長野五輪からピンバッジ収集を20年以上続けてきた長野市の愛好家玉井政道さん(69)は開幕前、ほぼ絶望していた。男子体操や女子テニスなど、競技チケットを8枚持っていたが、無観客での開催が7月に決定。世界中のファンと交流できるはずだった会場での観戦ができなくなった。

 コカ・コーラが88年カルガリー冬季五輪から設置してきた専用スペース「ピントレーディングセンター」も中止された。それでも、玉井さんはファイザー製のワクチン接種を2回済ませ、競技場が集まる東京・有明にホテルを予約。開幕1日前から約2週間滞在した。狙いは外国人メディアやボランティア。大会期間中は、ホテルと国際放送センターの行き来を繰り返し、五輪関係者に「ピンバッジチェンジ」と声を掛け続け、大会期間中で150種類ほど集めたという。

 オンラインで集めた人もいる。五輪関連のピンバッジを5000個ほど持つ東京ピンクラブの寺島喜之代表幹事は、東京大会期間中はフェイスブックなどを経由して海外のトレーダーと交流し、約100個集めたという。北京五輪のピントレードはオンラインではすでに始まっている。寺島さんは10月ごろから30個ほど集めたという。

 24年パリ五輪まであと2年7カ月。コロナは収束しているだろうか。玉井さんは、パリ五輪のボランティアにすでに申し込んでおり、現地での交流を待ち望んでいる。【沢田直人】

 ◆ピントレーディング

 近代五輪の第1回大会である1896年アテネ五輪で、選手や大会役員、報道関係者などを判別するために、バッジが制作され「友好の証」として交換したことが始まりといわれている。次第に一般客にもピントレードの輪が広がり、海外のコレクターも多い。各国・地域の組織委員会が制作するNOCピン、種類が豊富なスポンサーピンや、テレビ局などのメディアが制作するピンが愛好家からの人気が高い。希少なピンは高値で取引されることもある。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東京五輪・パラリンピックは史上最多のメダル獲得数を更新した結果だけでなく、未来に継承する「レガシー」(遺産)】  2021年12月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2021年の記憶】:東京五輪の「レガシー」夢広がるパークと恒久赤字施設

2021-12-31 23:55:10 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【2021年の記憶】:東京五輪の「レガシー」夢広がるパークと恒久赤字施設

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年の記憶】:東京五輪の「レガシー」夢広がるパークと恒久赤字施設

 ◆<2021年の記憶>

 東京五輪・パラリンピックは史上最多のメダル獲得数を更新した結果だけでなく、未来に継承する「レガシー」(遺産)にも注目が集まる。新競技スケートボードの日本勢活躍の余波もあり、来年秋の完成を目指して東京・江東区に「スケートボードパーク」建設が決定。東京・晴海の選手村跡地は再開発され、24年3月までに新たな街に生まれ変わる。一方で、東京2020大会で新設された試合会場などの施設は、今後の赤字運用が見込まれ、“負のレガシー”となりかねない状況だ。【取材・構成=鎌田直秀】

スケートボードパーク建設予定地の江東区夢の島総合運動場(江東区広報広聴課提供)スケートボードパーク建設予定地の江東区夢の島総合運動場(江東区広報広聴課提供)

    ◇    ◇    ◇

 1年延期で閉幕した東京五輪・パラリンピックは何を残したか。女子ストリート西矢椛(もみじ)が史上最年少13歳の金メダリストとなり、「ゴン攻め」などの言葉も注目されるなど、大いに盛り上がった新競技スケボーでは、来年11月、夢の島総合運動場内にスケボーパークがオープン予定だ。来春着工し、同10月に完成予定。区は初期費用として補正予算案に468万円を計上。約2500平方メートル規模で総工費は今後の設計などで決まるが、着実に実現へ歩みを進めている。

 維持費を含めて、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで資金を募ることも検討。五輪会場「有明アーバンスポーツパーク」も国際大会や上級者用として存続予定だ。山崎孝明区長は「こちらは初心者や中級者向けで、両方がうまくいくように活用してもらいたい」と期待した。

 男子ストリート金メダル獲得の堀米雄斗が生まれ育った同区担当者は「施設を整備し、教室の開催やマナー啓発に取り組むことで、東京大会のレガシーとして競技の裾野を広げ、発展につなげていく」。多くの公園などで禁止されるなど、恵まれない競技環境を変えるレガシーとなりそうだ。

 一方、13年の立候補ファイルでは7340億円だった経費について、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は22日に総額1兆4530億円となる見通しと発表した。組織委の収入と支出は同額で、都や国の公費追加負担はないとしている。しかし、都が別途計上した暑さ対策などの関連経費は含まれていない。最終決算は来年6月ごろとみられ、まだ詳細な説明はなされていない。

 都内に新設された6つの恒久施設も、今後の黒字試算は「有明アリーナ」のみ。水泳の「東京アクアティクスセンター」や「カヌー・スラロームセンター」「海の森水上競技場」など、計5施設で年間11億円程度の赤字運用が見込まれている。都はネーミングライツ(命名権)販売なども検討しているが、こちらも具体化には至っていない。

 64年東京五輪は、東海道新幹線開通などのインフラ整備、カラーテレビの普及など今も生活に欠かせないレガシーが残る。今回は大会前に組織委幹部の女性蔑視発言や、開閉会式に携わる演出家らがタレントの容姿を侮辱するような提案をしていたり、障がい者らに対する過去のいじめが発覚するなど、人権侵害の問題も浮上。ジェンダーや多様性などを考えさせられるきっかけとなった。これも1つのレガシーとなるのかもしれない。【鎌田直秀】

 ○…選手らが使用していた宿泊棟は、21棟のマンションに改装される。東京都都市整備局の大久保雅典選手村整備調整担当課長は「子育て、高齢者、外国人など多様な人々が住める街づくり。水素を街のエネルギーとして先導的に導入します」。小中学校、商業施設に加え、水素ステーションも新設。交通網も新橋や虎ノ門と結ぶ東京BRT、都営バス、中央区コミュニティーバスが整備される。年明け着工の2つの地上50階タワー棟以外は、24年3月末までに居住空間が完成する。

 全5632戸で約1万2000人が暮らす見込みの「晴海五丁目西地区市街地再開発事業」が、25年度末までには完了する。すでに2LDK~4LDKの1571戸を販売。特定建築者の1社となる三井不動産の担当者は「幅広い年代層、家族構成の方にご購入いただいている」。段差が少なくバリアフリーな歩行空間や、緑地環境など、快適性が人気を博している。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東京五輪・パラリンピックは史上最多のメダル獲得数を更新した結果だけでなく、未来に継承する「レガシー」(遺産)】  2021年12月24日  04:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【JOC】:アスリート巡る性的画像の通報2500件「定期的にこの問題を発信」

2021-10-16 22:01:30 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【JOC】:アスリート巡る性的画像の通報2500件「定期的にこの問題を発信」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【JOC】:アスリート巡る性的画像の通報2500件「定期的にこの問題を発信」 

 アスリートへの性的な意図を持った撮影や画像拡散の問題で、日本オリンピック委員会(JOC)が被害把握のため昨年11月に設置した特設サイトに寄せられた情報提供が東京五輪・パラリンピック前後で倍増し、今月15日時点で約2500件に上ることが16日、分かった。

 7月上旬時点で約1300件だったが、約3カ月で急増した。警視庁などと協力して逮捕者が相次ぎ、東京大会で問題への関心が高まった背景があるとみられる。

 スポーツ界の性的画像を巡る問題は昨年8月、日本代表経験もある陸上女子選手が日本陸上競技連盟のアスリート委員会に被害を相談して表面化。JOCなどスポーツ7団体が盗撮や写真・動画の悪用を「卑劣な行為」として被害撲滅に取り組む共同声明を出してから、間もなく1年となる。JOCは提供された情報を関係機関と共有しており、籾井圭子常務理事は「忘れられていないことは、すごく重要だ。定期的にこの問題を発信し、皆さんに意識を持ち続けてもらえれば」と強調した。

 東京五輪は新型コロナウイルス禍で大半の会場が無観客となったが、体操女子ドイツ代表がレオタードではなく「ユニタード」と呼ばれる足首までを覆うボディースーツで競技し、海外でも深刻化する被害の対応策に一石を投じた。

 選手の性的画像問題は社会問題化し、5月には警視庁がテレビ番組の女性アスリートの競技画像をアダルトサイトに無断転載したとして、著作権法違反容疑でサイト運営者の男を逮捕。JOCの情報を基に立件に踏み切った全国で初めてのケースだった。千葉県警も6月に名誉毀損(きそん)容疑で会社員の男を逮捕するなど、立件が相次いでいる。情報提供があったうちの半数前後が立件後にネット上から削除されたことも報告されており、抑止効果につながっている。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・日本オリンピック委員会(JOC)・アスリートへの性的な意図を持った撮影や画像拡散の問題】  2021年10月16日  22:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:横綱・白鵬の引退 苦境続く大相撲を支えた

2021-10-01 02:10:40 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

《社説②》:横綱・白鵬の引退 苦境続く大相撲を支えた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:横綱・白鵬の引退 苦境続く大相撲を支えた 

 大相撲の第69代横綱・白鵬が現役を引退した。幕内優勝45回、幕内通算1093勝など、数多くの記録を樹立した。歴代の横綱を上回る飛び抜けた実績だ。

 15歳でモンゴルから来日した。体が小さく、角界入りはすんなり決まらなかったが、最終的に受け入れてくれた宮城野部屋で次第に力をつけた。

 2001年春場所で初土俵を踏むと、体のしなやかさと下半身の強さを生かして番付を一気に駆け上がり、22歳で横綱に昇進した。

 09年夏場所で連勝が33でストップした際には「いまだ木鶏(もっけい)たり得ず」と口にした。木鶏とは中国の故事に由来する木彫りの鶏で、泰然自若、無心の境地を示す。昭和初期の大横綱、双葉山が70連勝を逃した後、知人に電報を打った時の名言だった。

 モンゴル出身力士ながら往年の名力士のエピソードを心に留めていた。双葉山を目指して理想の相撲を追求し、歴史からも学ぼうとしていたのだろう。

 当時、力士による野球賭博や八百長といった不祥事が相次いでいた。11年春場所は中止され、続く夏場所も入場料をとらない技量審査場所として開催された。

 同郷の先輩、朝青龍が引退した後は「一人横綱」の時代が続いたが、東日本大震災の被災地にも赴いて信頼回復に努めた。苦境続きの大相撲を支えた功績は大きい。

 だが、看板力士としての自負心ゆえか、言動が不遜と受け取られることもあった。

 判定に抗議する態度を取ったり、優勝インタビューでは観客に万歳三唱を求めたりして物議を醸した。立ち合いでの張り手や、肘打ちのようなかち上げも「横綱としてふさわしくない」と批判を浴びた。

 近年は右ひざのけがもあって長期の休場を余儀なくされ、36歳での引退となった。

 後に続くスター力士はまだ育っていない。新型コロナウイルス禍で客足も遠のき、角界の厳しい状況はしばらく続きそうだ。

 国際化や時代の変化に即した改革が求められている。白鵬は年寄「間垣」を襲名し、親方として再出発する。新しい大相撲のあり方を見据え、土俵に活気を取り戻す役割を果たしてほしい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年10月01日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:米大リーグも粋なことをする…

2021-08-25 02:00:30 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【余禄】:米大リーグも粋なことをする…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:米大リーグも粋なことをする…

 米大リーグも粋なことをする。野球史を背景にした米映画「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)のロケ地、米アイオワ州のトウモロコシ畑の中の野球場でホワイトソックス対ヤンキースの公式戦が行われた▲映画は19年の八百長事件に巻き込まれ、球界から追放された「シューレス・ジョー」ことジョー・ジャクソンがモチーフ。農場経営者が啓示を受けて畑に作ったグラウンドに姿を現し、野球を楽しむ。「野球愛」にあふれた作品だ▲試合では主演したケビン・コスナーさんら7800人の観客が見守る中、20世紀初頭のデザインを模したユニホーム姿の選手たちが8本の本塁打をトウモロコシ畑に打ち込んだ。全米に中継され、映画のDVDの売り上げも伸びたそうだ▲「シューレス・ジョー」の新人最多安打記録を90年ぶりに破り、「悲運の打者」に改めて光を当てたのが2001年に大リーグ入りしたイチロー選手だった。その後も年間最多安打記録を84年ぶりに更新するなど古い歴史を掘り起こしながら実績を重ねた▲今度はエンゼルスの大谷翔平選手の番だ。大リーグ4年目で「二刀流」を本格的に開花させた。本塁打40本と8勝を同時に達成し、「野球の神様」ベーブ・ルースが1918年に達成して以来となる同一シーズン「2桁勝利、2桁本塁打」の快挙に近づいた▲大谷選手が活躍すると、球場に「MVP」の歓声が響き渡るそうだ。イチロー選手に続いて大リーグの長い歴史を書き換える日が待ち遠しい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2021年08月20日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:受け継がれてきた精神であろう。沖縄空手会館の一角に昔の達人…

2021-08-10 07:44:45 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【筆洗】:受け継がれてきた精神であろう。沖縄空手会館の一角に昔の達人…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:受け継がれてきた精神であろう。沖縄空手会館の一角に昔の達人…

 受け継がれてきた精神であろう。沖縄空手会館の一角に昔の達人たちの言葉が記されているのを見たことがある。「空手に先手なし」「長年修行して、体得した空手道の技が、生涯を通して無駄になれば、空手修行の目的が達せられたと心得よ」「人に打たれず 人を打たず」▼鍛えよ、しかし自ら仕掛けるな。そんな倫理観の色濃い格闘技や武術もあまりないのではないか。平和を願う沖縄の人の心に、どこかつながっているようでもある。近代的なスポーツの中に入ると、異色の競技にも思える空手だ▼沖縄ではぐくまれたその精神が、ついに世界に披露される時を迎えたようで、いつにない誇らしさを感じる。沖縄に源流を持つ空手は、東京五輪で初めて正式競技として実施されている▼形の喜友名諒(きゆなりょう)選手が昨日、沖縄県出身者で初めてという金メダルを獲得した。殺気を感じる突きや蹴りの中、打たずして、見えない敵をすくませるような目線の強さ。門外漢にも沖縄空手の伝統的な精神が重なったように感じられた▼空手は野球などと同様、次のパリ大会では採用されない。都市型スポーツといわれる競技の存在感が増す中、ブレイクダンスの実施が決まり、沖縄発祥の武道は、五輪から去ることになる▼いずれ大会を振り返る時があれば、少し異質な張り詰めたこの空気に、あの目力も思い出すことになるのかもしれない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年08月07日  07:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:五輪と福島 「復興」掛け声だけでは

2021-08-04 07:36:50 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【社説①】:五輪と福島 「復興」掛け声だけでは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:五輪と福島 「復興」掛け声だけでは 

 「復興五輪」を掲げて誘致に至った大会は、その理念を実現していない。東京電力福島第一原発事故の被災者は「復興五輪」という言葉に追い詰められてきた側面すらある。五輪をむしろ、復興が道半ばであるという現実と向き合い続ける契機としたい。
 
 五輪・パラリンピックの競技会場が林立する東京都江東区で、福島からの避難者たちが住まいを追われかけている。
 
 
 福島県は国家公務員宿舎・東雲住宅に住む三十四世帯に立ち退きを迫り、退去しなければ法的措置を取るという文書を送付した。いずれも避難指示区域外からの避難者だ。非正規雇用で働き、コロナ禍で経済的困難がさらに増している人もいる。
 
 住宅は災害救助法に基づき無償提供されていた。区域外避難者は二〇一七年に無償提供を打ち切られ、今は通常家賃の二倍を請求されている。県は避難者の親の自宅を訪問して退去を促すよう要請するなど強硬な姿勢を見せている。
 
 長期的な避難を余儀なくされた原発事故被災者の住宅問題に、自然災害と同じ枠組みで対応することが適切なのか。その問いには国が答える責務がある。
 
 七月に開かれた避難者らの集会では「五輪の招致時、(当時の)安倍晋三首相に『(原発事故の状況は)アンダーコントロール』とされたことで、私たちは二〇年に向けて解決されるべき存在になった」との声も聞かれた。
 
 五輪本番でも福島に光が当たる場面はわずかだ。福島市での野球やソフトボールは無観客で開催された=写真。
 
 選手村の食事に福島県産食材が使用されているのに表示されていないとして、平沢勝栄復興相は大会組織委員会に「取り組みが不十分」と苦言を呈した。PRの場にするはずが、逆に、生産者たちを落胆させたり傷付けたりしてはいないか。福島のための実行計画が十分練られていたのか疑問だ。
 
 原発事故からの復興は、被災者に寄り添いながら時間をかけて取り組むしかない。復興五輪の掛け声倒れからくみ取るべき教訓は、その一点に尽きる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年08月04日  07:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【東京五輪】:「被災地」「復興」ないがしろが酷い! コンセプトから消し、開会式でもアリバイ的な扱い… 

2021-07-29 11:06:20 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【東京五輪】:「被災地」「復興」ないがしろが酷い! コンセプトから消し、開会式でもアリバイ的な扱い… ■被災県の子どもの深夜動員にも批判

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京五輪】:「被災地」「復興」ないがしろが酷い! コンセプトから消し、開会式でもアリバイ的な扱い… ■被災県の子どもの深夜動員にも批判

 23日におこなわれた東京五輪開会式の演出をめぐり、「恥ずかしい」「しょぼすぎ」という批判が巻き起こっている。世界的な映画監督でもある北野武は24日放送『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS)のなかで「税金からいくらか出してる。金返せよ! 困ったねえ」「外国恥ずかしくていけないよ俺。本音はそうでしょ? あれ、素晴らしかったですか?」と酷評した。

五輪の「被災地」「復興」ないがしろが酷い! コンセプトから消し、開会式でもアリバイ的な扱い…被災県の子どもの深夜動員にも批判の画像1

東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイトより

 たしかに、開会式の演出・内容は東京五輪に賛成か反対かは関係なくひどいものだった。何しろ最初のパフォーマンスが、アスリートがランニングマシーンやエアロバイクなどで黙々とトレーニングするというもの。「コロナ禍でのアスリートを表した」らしいが、表現が安直で稚拙すぎるうえ、これでは、コロナの困難をアスリートだけの問題に矮小化するようなものではないか。

 

その後も、火消しや大工、職人に扮した人たちのパフォーマンス、ピクトグラムを人間がマイムで表現するパフォーマンスなど、社会への視点も必然性もまったく感じられない小ネタが続く。さらに、劇団ひとりと荒川静香が五輪開会式の照明スタッフに扮してイタズラするというロンドン五輪のMr.ビーンのバッタもんのようなVTR、複数回登場したなだぎ武らがテレビクルーに扮した寸劇にいたっては、レベルの低いバラエティ番組のコントを見せられているようだった。

 あれで閉会式合わせて165億円もの予算をかけているとなれば、「金返せ」と言いたくなるだろう。

 だが、問題はその中身の「お粗末さ」だけではない。最大の問題は、東京五輪の出発点だったはずの「復興五輪」というテーマが、開会式ではまったくフィーチャーされなかったことだ。

 全体を通じて、「震災からの復興」をテーマとしたパートは一切ない。IOCのトーマス・バッハ会長や組織委の橋本聖子会長が挨拶でアリバイ的に触れた以外は、「震災」「復興」の言葉すらまともに出てこなかった。

 披露された映像映像やパフォーマンスにもそのメッセージを打ち出すものはまったくなかった。むしろ、「震災」や「復興」を意図的に避けているのではないかとさえ思えるほどだった。

 たとえば、オープニング直後に流された映像も、2013年の招致決定の瞬間から現在までを振り返るだけで、2011年の震災は入っていなかった。

 また、式の序盤に森山未來のダンスが披露されたが、その際、「新型コロナウイルスで亡くなった友人・家族をともに偲ぶ時間」とアナウンスされ、「この世を去ったすべてのオリンピック選手」、なかでも「1972年のミュンヘン大会中に襲撃され死亡したイスラエル選手団」への黙祷が捧げられたが、東日本大震災の犠牲者に黙祷が捧げられることはなかった。

 ◆聖火ランナーとして被災3県の子どもを登場させるも詳しい説明なし、完全にアリバイ的

 ほかにも、「復興」の要素を入れようと思えば、いくらでもできたはずだ。前述のような何の必然性もない劇団ひとりのコントや人間ピクトグラムをあんなに長々とやる暇があったなら、被災地を紹介するVTRを流すとか、東北の文化を紹介する時間だってつくることができただろう。今回の開会式では五大陸を中継で結び、各大陸代表が「イマジン」を合唱したが、被災地と中継で結んでダンスや歌を披露してもらうことも可能だった。実際、紅白歌合戦や民放の音楽特番でもそれくらいのことはやっている。

 しかし、東京五輪開会式は「復興五輪」を掲げながら、そういうことさえまったくやろうとしなかった。

 結局、開会式でかろうじて「復興五輪」を表していたと思えるのは、聖火リレーの模様をまとめたVTRのなかで宮城や福島に触れられた場面、五輪旗を掲揚する際のBGM・オリンピック賛歌を東京の豊島岡女子学園高校の生徒とともに合唱したのが、福島県立郡山高校の生徒だったこと、聖火台への点火者となった大坂なおみ選手に聖火をつないだのが岩手・宮城・福島の被災3県の6人の子どもたちだったことくらいだった。

 だが、そのわずかに「震災」「復興」に関係しているように見える数少ない場面も、「おざなり」としか言いようのないものだった。

 まず、聖火リレーのダイジェストVTRは、聖火がギリシャから宮城に到着したこと、福島県楢葉町からリレーがスタートしたことに触れただけで、震災や原発事故、復興についてきちんと言及したわけではない。

 前述の郡山高校の合唱にしても、ただ校名が読み上げられただけ。岩手・宮城・福島の子どもたちの聖火リレーにしても、岩手・宮城・福島の子どもたちであることと、子どもたちの名前が読み上げられただけ。岩手、宮城、福島のどういう町から来たのか、その町の被災や復興の様子はどうなのか、本人や家族が震災や復興過程でどのような経験をしたのか、どんな思いを抱いて臨むのかといった背景はまったく紹介されることがなかった。岩手・宮城・福島が東日本大震災の被災地であることすら触れていない。日本に住む人なら被災地とわかっても、海外の人にはまったく伝わらないだろう。

 1964年の東京五輪の最終ランナーは、広島に原爆が投下された1945年8月6日に広島で生まれた青年が務めたことは有名な話だが、それも「1945年8月6日に広島で生まれた」という背景がきちんと説明されているからこそ、平和への強いメッセージが伝わっている。

 今回はまるで、とりあえず東北3県の子どもを入れておけばいいだろう、とアリバイ的に盛り込んだとしか考えられないようなものだった。 

 ◆コンセプトから消えていた「復興」の文字 開会式の制作責任者は「たまたま書いてないだけ」

 しかし、考えてみれば、こうした開会式になるのは当然だろう。組織委はおそらく直前まで、ほんとうにこの「震災」や「復興」というテーマを「どうでもいい」と考え、むしろ排除しようとすらしていた。

 その証拠が、今月14日、組織委が発表した「東京2020開閉会式4式典共通コンセプトならびに東京2020オリンピック開閉会式コンセプト」だ。発表されたこのコンセプト文書には「コロナウイルスというかつてない困難」「コロナウイルスという驚異」という文言はあったものの、「震災」や「復興」の記載が一切なかった。

 しかも、同日14日に日刊スポーツが配信した、開会式の制作責任者である組織委の日置貴之氏への独占インタビューでは、「東京五輪招致の起源だった「復興五輪」という言葉をコンセプトに盛り込まなかった意図は」という質問に対し、日置氏はこう回答していた。

「省いたつもりはない。たまたま書いてないだけ。演出には復興の観点もあり、1ミリも忘れていない」

「たまたま書いていないだけ」という雑な言い方からも、「復興五輪」というテーマがいかにおざなりになっていたかがわかるが、このインタビューにおける日置氏の発言が終始“上から目線”で居丈高だったことも相まって、ネット上では日置氏への批判が殺到。「1ミリも忘れてないなら言葉にするやろ」「たまたまなわけない。意図的に省いたんだよ」「復興のことなんて1ミリも考えていないということ」などという批判が巻き起こっていた。
 
 そして、今回の開会式、前述したような震災、復興へのおざなりな扱い、アリバイ的でしかない内容を見ていると、この14日のコンセプト発表まで、組織委は本当に「復興」がテーマであることを完全に忘れていた、あるいは一切無視しようとしていたのは間違いないだろう。

 実際、開会式で唯一、震災・復興につながりのある数少ないシーンのひとつ「被災3県の子どもたちの聖火リレー」にしても、「急ごしらえだったのではないか」という疑惑の目が向けられている。

 ◆被災3県の子どもたちの深夜登場に「労働基準法違反」の声 急遽動員の結果か

 開会式の翌日、24日の午前に放送されたフジテレビ東京五輪番組で、開会式の舞台裏に独占密着した模様を放送したのだが、そのなかで、被災3県の子どもたちが開会式の4日前に国立競技場に呼び出され、組織委の橋本聖子会長が聖火ランナーに任命。そのあとすぐリハーサルに行かされたことが明かされた。

 このあまりに急な任命の仕方に、「14日のコンセプト発表で『復興』がないことを批判されたから、急遽盛り込んだのではないか」という声が上がっているのだ。

 もちろん、これはサプライズ演出や情報が事前に漏れるのを防止するためで、候補者の決定や保護者、学校への依頼はもっと以前になされていた可能性もある。

 しかし、一方で、この子どもたちの動員の仕方があまりに不自然なのも事実。というのも、子どもたちの役割が開会式のクライマックスである聖火リレーだったため、その時間が24時近くになっていたからだ。

当然ながら、ネット上では、「こんな遅くに子どもを出させていいのか」「労働基準法や東京都青少年の健全な育成に関する条例に引っかかるのでは」という批判や指摘が相次いでいる。基準法には例外措置があるといっても、こんな公的な大会で深夜に子どもにパフォーマンスをさせるというのは常識的にありえない。

 この深夜動員の事実が、「復興五輪のテーマを土壇場で入れ込むには聖火リレーしかなく、無理やり生で動員したのではないか」という疑惑に拍車をかけているのだ。

 子どもたちの開会式聖火リレー動員が以前から決まっていたとしても、前述したような説明の欠如、急ごしらえぶりをみると、組織委が開会式でこの「復興」のことを歯牙にもかけていなかったのは間違いない。

 実際、コンセプト文書が発表された14日、共同通信が前出の日刊スポーツのインタビューとは別に、開会式制作責任者・日置氏との一問一答を配信していたのだが、「演出に日本の歴史や文化、大会テーマである復興や感染症との戦いも入ってくるか」という質問に対して、日置氏は「最初から検討の中に入っているし、大会ビジョンにつながる要素は多い。当然そこにコロナも加わる」とは言ったが、「復興」という言葉は一切使わなかった。

 ◆橋本聖子は「コンセプトに復興五輪はない」と問われ「今も入ってない?」とうろたえ

 また、橋本聖子組織委会長も21日に開いた会見で不可解な反応を見せていた。被災3県の子どもたちに聖火リレーを任命した2日後の会見だったためか、橋本会長は開閉会式に「(復興というテーマは)しっかりと入っております」「心に被災地の火がともるようなものが込められたオープニングであることに期待しています」と語ったが(あの内容で自信満々というのも呆れるが)、問題はその発言の前。

 記者から、コンセプト発表文書に「復興五輪」の記載がどこにもなかった理由を問われると、橋本会長は「いまも入ってない?」と、まだコンセプトが修正されていないこと自体に驚き、慌てて「リリース上、入っていなかったということでありますけど、これは確実に入らなければいけないものですので、私自身も確実に入るものだとちょっと思っていました」と言い繕ったのだ。

 その様子は、組織委がコンセプトの発表文書に記載がないことで批判を受けて、慌てて急場凌ぎの対応をしていたことを物語るものだった。

 だが、こうした姿勢は組織委だけではない。菅首相は日本時間23日に公表された米NBCテレビのインタビューのなかで「世界で40億人を超える人がオリンピックを見ることになる。新型コロナウイルスを克服して開催することに真の価値がある」などと発言。「コロナを克服」するどころか感染拡大が止まらない状態なのだが、もはや開催の大義名分は「復興五輪」から「コロナ」に移っている。

 本サイトでは以前から、五輪開催決定によって東京で建設ラッシュが起きたために人手不足や建築資材の高騰が起きたことなどから、むしろ東京五輪が被災地の復興を妨げたと指摘してきた。その上、肝心の開会式でも「復興五輪」を消し去るとは──。いかに東京五輪が嘘まみれであるか、またひとつはっきりとしたと言えるだろう。(本田コッペ

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 芸能・エンタメ 【スポーツ・東京オリンピック2020・パラリンピック】  2021年07月25日  07:41:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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