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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ

2025-01-25 16:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ 

 通常国会が開会した。

 少数与党の石破茂政権は予算や重要法案の成立に向け、手腕が問われる。与野党は党利党略でなく、開かれた議論を通じ、一致点を見いだす新たな立法府の姿を示してもらいたい。

 石破首相がきのう、就任後初めての施政方針演説を行った。

 「戦後80年は民主主義を考える年」とし、「党派を超えた合意形成を図るため、与野党とも責任ある立場で熟議」する必要を訴えた。就任以来、言葉に行動が伴わないことが目立つだけに、今度こそ正念場となる。

 まず過去最大の総額115兆円に上る2025年度予算案の審議が焦点だ。規模ありきの防衛費や経済対策、増大する借金財政のリスクを中心に厳しいチェックが欠かせない。

 石破氏は昨年の臨時国会で補正予算案を28年ぶりに修正し、25年度予算案も修正に応じる構えを示す。予算委員長のポストを握る立憲民主党をはじめ、野党の責任は重大である。

 与党は「年収の壁」で国民民主党、「教育無償化」で日本維新の会の取り込みをうかがう。

 懸念されるのは、今夏の東京都議選、参院選を控え、「手柄」の分捕り合戦になることだ。密室協議で与党と取引し、予算賛成の「手打ち」を図るようでは、国民の不信を招こう。実現への財源も含め、国会を足場に論戦を交えてほしい。

 施政方針では「楽しい日本」の実現を掲げ、看板政策の「地方創生2・0」を「令和の日本列島改造」と位置づけた。大きく時間を割いたが、フレーズだけが躍っている感は否めない。

 地方の英知を集め、権限や財源の裁量を増やす抜本改革こそ求められよう。

 疑問なのは、与野党が3月末までに結論を出すことで合意した企業・団体献金の扱いなど、「政治とカネ」を巡る問題に言及が乏しかったことである。

 自民党派閥の裏金事件に続き、東京都議会自民会派でも同様の事件が発覚し、問題の根深さが浮き彫りになっている。

 しかし、衆参の政治倫理審査会でも裏金関係議員らは当事者意識のない答弁を繰り返し、真相は明らかにされていない。

 野党が求める安倍派会計責任者の参考人招致などにも、自民は後ろ向きだ。虚偽答弁が刑事罰に問われる証人喚問を含め、強制力のある調査に切り替えるべきではないか。野党の連携を求めたい。

 自民の一部を除き推進の声が高まる選択的夫婦別姓制度の導入、持続可能性が懸案の年金改革を巡る議論も注視したい。

 就任早々、内外に波紋を広げるトランプ米大統領を巡り、石破氏は「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と述べたが、持論の地位協定の改定に触れなかった。多国間協調の強化を含め、与野党で外交戦略を更新してほしい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月25日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

2025-01-25 02:07:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

 内外の懸案にどのように対処するのか。国民への説明を避けて通るようでは、理解と納得は得られない。

 通常国会が召集され、石破茂首相が施政方針演説を行った。今年1年間に取り組む政策の見取り図を示す場である。

 しかし、演説は具体性に乏しく、説得力を欠く内容だった。

<picture>衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相=国会内で2025年1月24日午後2時6分、平田明浩撮影</picture>

 衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相=国会内で2025年1月24日午後2時6分、平田明浩撮影

 国づくりのキャッチフレーズは示した。人口減少下で、国家や企業よりも国民一人一人が主役となる「楽しい日本」の実現を目指すという。 

 そのための政策の柱に据えたのが、地方創生による一極集中の是正だ。地方で若者や女性の居住を促す方策などを列挙したが、多くが従来の焼き直しである。

 経済政策も曖昧だ。「物価上昇に負けない賃上げ」を後押しするなどと述べるにとどまった。財政健全化に真摯(しんし)に取り組む姿勢もうかがえなかった。

 いずれも今国会で焦点となるテーマのはずである。

 「政治とカネ」の問題も踏み込み不足だ。幕引きを急ぐのではなく、政策をゆがめかねない企業・団体献金の禁止を決断すべきだ。

 「米国第一」を掲げるトランプ大統領とどう向き合うのか。最大の外交課題であるにもかかわらず、戦略は明示されていない。

 少数与党の政権にとって、今国会はまさに正念場だ。衆院で多数派を占める野党の協力を得なければ、国民生活を左右する来年度予算案などを可決できない。

 減税や歳出拡大を求める野党に対し、首相は「責任ある立場での熟議」を呼びかけた。財源の問題などを念頭に置いた発言だ。

 だが、そうであるなら、まずは政権が方針を明確化し、開かれた国会の場で議論するのが筋だ。一部野党との協議で「数合わせ」を優先するようでは、熟議の実現はおぼつかない。

 政権のビジョンを正面から語り、幅広い意見を踏まえて合意形成する。それこそが「熟議の国会」で求められる首相の姿勢である。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月25日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

2025-01-25 02:07:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

 満ち足り愉快な気持ちを表す「楽しい」という言葉の語源は諸説ある。一説によると、手(た)を伸ばして喜ぶことに由来する(日本語源大辞典、小学館)

 ▲そんな伸びやかな心境を指す言葉が、政権のスローガンに登場した。石破茂首相が施政方針演説などで掲げた「楽しい日本」である。作家の故・堺屋太一氏の著作からの引用で、富国強兵による「強い日本」、経済が栄える「豊かな日本」に続く新しい国の姿としている。首相は演説で「今日より明日はよくなると実感でき、一人一人が自己実現を図れる」国づくりを強調した

衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相(手前)=国会内で2025年1月24日午後2時5分、平田明浩撮影
 
堺屋太一さん

 ▲故・安倍晋三元首相はかつて「美しい国、日本」を掲げた。「楽しい日本」は、社会の閉塞(へいそく)感を打ち破りたいというメッセージなのだろう。だが、困難に向き合いながら暮らす人々に、このかけ声は響くだろうか。目標とはいえ、現実との落差に違和感を覚える人も多いはずだ

 ▲国会では少数与党の厳しい現実が首相を待つ。「手を伸ばす」といえば、自民党は日本維新の会と教育無償化を巡り協議するなどテーマ別に各党と接点を探り、局面打開を図る。楽しいどころか、四苦八苦だ

 ▲偶然ながら、渦中にあるフジテレビの発展期のキャッチフレーズは「楽しくなければテレビじゃない」だった。組織のゆがみは当時から始まっていたのかもしれない

 ▲中身ある政策を示すことはもちろん、まずは政治とカネの問題に向き合い信頼を取り戻すことだ。さもないと「楽しい日本」の言葉ばかりが上滑りしてしまう。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月25日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.13】:2025年の政治 熟議深める新たな道筋を

2025-01-14 04:05:45 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・01.13】:2025年の政治 熟議深める新たな道筋を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.13】:2025年の政治 熟議深める新たな道筋を 

 2025年の政治は24日召集予定の通常国会で本格始動する。発足2カ月が過ぎた少数与党の石破茂政権下で、夏の東京都議選、参院選を控えた与野党の激しい攻防が予想される。
 
 しかし各党の真価が問われるのは論戦の中身である。
 
 開かれた議論を通じた幅広い合意に基づく政治をいかに実現するか。昨年の臨時国会でその萌芽(ほうが)は見えたが、新たな形はいまだ定まっていない。
 野党の協力なしには予算も法律も成立しない以上、与党にとっては妥協が大前提となる。だが「数合わせ」のために一部の野党の主張を丸のみするだけでは熟議とは言えない。
 野党も賛否のカードを単なる駆け引きに使う交渉は慎まねばならない。独自政策はそのリスクや財源についても一定の説明責任を果たすのが当然だ。
 政策全体の整合性を欠いたポピュリズム(大衆迎合主義)や党利党略を排し、与野党は立法府主導による国民本位の政治を真摯(しんし)に探り続けねばならない。

 ■1強体質脱却せねば

 通常国会は政府・与党が新年度予算案の衆院通過を目指す2月下旬から3月初めがまずヤマ場となろう。
 首相は政策ごとの部分連合で衆院審議を乗り切りたい構えだ。国民民主党と日本維新の会を対象に想定し、与党が所得税非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げや教育無償化についてそれぞれ協議を続ける。
 しかし、焦点が個別政策に偏り、協議の詳細が国民に見えないのは問題だ。予算審議は国会での多党間による透明性の高い議論を基本とすべきである。
 首相は一見、低姿勢で丁寧に答弁しているようで結局は核心部分をはぐらかす場面が多い。自民1強時代は歴代首相によるそうしたかみ合わない答弁が国会の空洞化を招いた。
 同じ対応を繰り返すようでは熟議にはほど遠い。
 首相は昨年末、予算案が否決された場合に衆院を解散することも「あり得る」と述べた。野党をけん制する前に、国会の議論を実のあるものにするよう答弁姿勢を改めるのが行政府の長としての責務である。
 少数与党の国会はこれまでの1強政権が強引に押し通してきた政策を見直す好機にもなる。改めるべき第一は対米追随一辺倒と言われても仕方のない外交・安全保障ではないか。
 首相は2月以降に訪米し、今月大統領に就任するトランプ氏と首脳会談を行う見通しだ。
 その前に、米国からの巨額の装備品購入を続け膨張する一方の防衛費について、予算委員会での徹底論議が求められよう。
 ほかにも福島の教訓を忘れたかのような原発回帰路線や膨らみ続ける財政赤字など、重要な論点は多岐にわたる。
 国民生活を左右する予算案の全体像を問うとともに、細部の費目に至るまで点検する―。その上で、政府・与党は野党の意見に耳を傾けて予算案の組み替えに柔軟に応じる必要がある。

 ■企業献金は禁止が筋だ

 深刻な政治不信を招いた政治とカネの問題も、今度こそ抜本改革を成し遂げねばならない。
 30年前の改革の積み残し課題である企業・団体献金の禁止は3月までに結論を出す与野党合意がある。営利を目的とした企業が何の見返りも求めずに献金するのは考えにくく、政策がゆがめられかねない。
 野党はこうした問題でこそ一致して禁止に持ち込むべきだ。
 改革が必要なのは政治とカネに限らない。首相は年頭会見で選挙制度見直しの必要性に言及した。現行の小選挙区比例代表並立制は少数派の意見が反映されにくい。与野党は早急に協議の場を立ち上げるべきだ。
 選択的夫婦別姓は与党の公明党を含め自民党を除く大半の政党が賛意を示す。個人を尊重し、多様性に富んだ社会を目指す上で欠かせない制度だ。この国会で実現したい。

 ■野党は政権像を示せ

 仮に新年度予算案が成立しても、会期末には内閣不信任決議案が提出される可能性がある。野党が一致すれば可決する。その場合、衆院解散か内閣総辞職かの緊迫した展開となる。
 野党第1党の立憲民主党は、不信任案提出の重みを理解し、慎重に見極める必要がある。提出する場合は、野党連携の枠組みと政権構想を準備して国民に示さなければならない。
 7月の参院選の行方も不透明だ。与党が敗れて過半数割れとなるようなことがあれば、一気に政権交代の機運が高まろう。
 首相は、参院選に合わせて衆院選を行う「衆参同日選」の可能性を否定していない。
 
 だが、衆院への民意は昨年示されたばかりだ。同日選が与党に有利とみて、あわよくば衆院の過半数を回復したいとの思惑は筋が通らない。
 
 民主主義は手間暇と時間をかけて磨かれてゆく。有権者も目先の動きに惑わされず、冷静に政治の動向を見極めたい。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月13日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ

2025-01-11 07:00:15 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ 

 石破茂首相はきのうの年頭会見の冒頭で「民主主義を改めて考える年にしたい」と切り出し、民主主義という言葉を繰り返した。主権者である国民の声を聴き、野党とも合意形成を図る政治の原点をかみしめているに違いない。

 少数与党での政権運営に絡んで、首相は合意形成のため「野党にもこれまで以上に責任を共有してもらうことが求められる」と強調した。自らには「次の世代の国民に対して責任を持つ責任与党でなければならない」と課した。

 衆院選で大敗して2カ月余りが過ぎた。野党の賛成がなければ法案が通らない現実を前に、丁寧な説明や審議を心がける姿勢は見える。だが、臨時国会で規模ありきの政府補正予算案をほぼ変えず、国民民主党が提起した「年収103万円の壁」の引き上げで税や社会保障の抜本的な議論に持ち込むわけでもない。また日本維新の会とは教育無償化の政策協議を始めた。

 野党と個別協議に持ち込み、数合わせに躍起になっているように見える。将来世代に負担を先送りする、やみくもな財政出動にもつながりかねない。自民党の政権維持を最大の優先事項にする旧来の政治そのものではないか。1強時代に与党の事前調整で予算も法案も決め、数でごり押しして国会審議をないがしろにしてきたやり方を省みるべきだろう。

 長年のそうした政治が、経済力低下や低賃金、時代や家族の在り方とずれた社会保障と税、格差拡大を変えられずにきたのではないか。国政選挙の投票率低迷や既存政党への不信を招いた面もあろう。いわば民主主義の危機を招いたわけで、脱却すべきだ。

 最たる国民とのずれは「政治とカネ」の問題である。臨時国会でようやく使途の公開が要らない政策活動費の廃止など一定に政治資金改革を進めたが、企業・団体献金の禁止に踏み込んでいない。会見で首相は「真摯(しんし)に議論する」とし、本年度末までに結論を目指す考えを示した。

 これは30年前の政治改革で積み残した議題であり、なお生ぬるい。派閥裏金事件を巡っても、昨年末に開いた衆参両院の政治倫理審査会で当該議員が弁明に立ったが、真相解明どころか疑問は強まった。政治不信の払拭にはリーダーシップが欠かせないが、熱意が伝わってこない。

 通常国会で示すべきは、民主主義に資する国会への変革と、政策の熟議である。その点、会見で政府提出を目指す年金制度改革の法案について与野党協議を呼びかけたのは大事な一歩だ。103万円の壁の議論とも関わり、超高齢社会での社会保障の在り方で知恵を出し合う機会になる。

 昨年末から年頭にかけ、首相からは少数与党を巡る政局の発言が目立った。夏の参院選に合わせた衆参同一選の可能性に言及し、野党との大連立を「選択肢としてあるだろう」とも語った。会見で否定はしたが政権維持への執着ばかりが先立つように見える。

 少数与党として、国民と向き合う政治に変える務めこそ最優先で果たすべきだ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月07日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.06】:石破政権の課題 ポピュリズム横行が目に余る

2025-01-08 05:00:35 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・01.06】:石破政権の課題 ポピュリズム横行が目に余る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.06】:石破政権の課題 ポピュリズム横行が目に余る

 ◆難局の舵取りを任せられるのか◆ 

 少数与党が、政策を実現させるために野党の協力を仰ごうとするのはやむを得ない。

 だが、政権の維持に執着するあまり、財源の確保を棚上げして減税などの要求を唯々諾々とのんでいたら、国力は低下してしまう。そんな政治をいつまで続けるのか。憂うべき事態である。

 衆院で与党が過半数を失った昨年の臨時国会は、石破政権の低姿勢ぶりが際立った。

 ◆熟議には程遠い国会

 国民民主党の協力を得るため、所得税の課税が始まる「年収の壁」の見直しに動いた。日本維新の会にも秋波を送り、維新の掲げる教育無償化の協議を始めた。

 石破首相はこうした国会・政局運営を「幅広い合意形成を図るよう努力してきた。まさに熟議の国会になった」と評価したが、自らの延命目的で野党の「機嫌取り」をしているだけのように映る。とても「熟議」とは呼べまい。

 内外の課題は山積している。ポピュリズム(大衆迎合主義)的な政策を進めるだけでは、難局を乗り切ることはできない。

 日本の人口は毎年のように数十万人規模で減り続け、少子化に歯止めはかからない。

 政府は「賃上げに取り組んでいる」と強調しているが、実質賃金の伸びは限定的だ。

 児童手当の拡充など、給付に偏った従来の少子化対策を練り直し、社会全体で子育てを支えていく仕組みを改めて考える必要があるのではないか。税と社会保障の制度を、より均衡のとれた形に改革していくことも大切だ。

 国際情勢が激変している中で、日本の外交力が試されている。

 中東ではパレスチナ自治区ガザでの戦闘による犠牲者が増え続け、人道危機は深刻だ。来月で3年となるロシアのウクライナ侵略を巡っては、欧米の「支援疲れ」が目立っている。

 中東諸国と良好な関係を築いてきた日本は、停戦に向けた協議を仲介するなど、もっと役割を果たせるはずだ。ウクライナ支援では、ミサイル防衛の装備など、防御に限った武器の輸出に道を開くことを検討してもいいだろう。

 悪化した日本周辺の安全保障環境への対応も、待ったなしの課題だ。防衛力の向上や日米同盟の強化、日米豪印など多国間協力を深めていく必要がある。

 ◆外交力が問われている

 多くの難題を抱えているのに、就任から3か月たった首相がいまだに日本の進むべき針路を示せないでいるのは嘆かわしい。国の 舵 かじ 取りを担うリーダーとしての資質を疑われるようでは困る。

 国会論議は昨年、自民党の政治資金問題一色だった。収支報告書への不記載は厳しく批判されなければならないが、この問題だけが国家の一大事であるかのように、「徹底追及」に専念する野党の姿勢には、違和感を禁じ得ない。

 今月下旬に始まる通常国会では重要法案の審議が控えている。

 政府機関や重要な社会インフラへのサイバー攻撃は相次いでいる。大規模な被害を未然に防ぐための「能動的サイバー防御」の法制化は急務といえる。

 政府は年金改革で、厚生年金の加入要件を変更し、多くのパート労働者などの加入を義務づける方針だ。

 将来受け取る年金が増す、とメリットを強調しているが、企業などからは、保険料負担が増えることへの反発も出るだろう。

 政府が、どれだけ納得の得られる説明をできるかが焦点だ。

 立憲民主党など野党は、選択的夫婦別姓を実現するための法案を提出するとみられる。

 首相も同調姿勢といわれるが、選択的夫婦別姓は、社会や家族のあり方に大きな影響を与える。

 夫婦が別々の姓を名乗る場合、子どもが、父親か母親と別姓になるといった問題を軽視すべきではない。国会運営への配慮で判断を間違えるようなことがあってはならない。慎重に議論したい。

 ◆民主主義の根幹を守れ

 与野党は2013年、有権者の政治参加を促進しようとインターネットによる選挙活動を解禁し、ネットの活用を広範に認めた。

 しかし、昨年の兵庫県知事選などでは、SNS上に真偽不明な情報が大量に出回った。偽情報が選挙結果に影響を与えかねない事態を放置することは許されない。民主主義の根幹である選挙の公正さをどう守るかは重い課題だ。

 今夏には参院選や東京都議選が予定されている。与野党は、選挙に関するSNS規制についての議論を急ぐべきだ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《24色のペン・01.07》:石破政権が歩み始める「いばらの道」=飼手勇介

2025-01-07 06:00:05 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《24色のペン・01.07》:石破政権が歩み始める「いばらの道」=飼手勇介

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《24色のペン・01.07》:石破政権が歩み始める「いばらの道」=飼手勇介

 「石破政権は意外と続いていくのかもね」。昨年の臨時国会を乗り越えたこともあり、永田町で取材をしていると政権の行く末を楽観する声も耳にする。確かに報道各社の世論調査の内閣支持率は横ばいか微減が多く、30~40%を維持している。背景には、所得税がかかり始める「103万円の壁」を123万円まで引き上げるなど、少数与党として野党の意見に耳を傾け「国民生活を豊かにしてくれる政権」という期待値があるようにも見える。

2024年度補正予算案が可決された衆院本会議終了後、各党へのあいさつ回りで国会内を歩く石破茂首相(中央)=2024年12月12日午後6時、平田明浩撮影

2024年度補正予算案が可決された衆院本会議終了後、各党へのあいさつ回りで国会内を歩く石破茂首相(中央)=2024年12月12日午後6時、平田明浩撮影

 だが、その雰囲気は1月24日にも召集される通常国会で一変する可能性がある。参院選を7月に控え、与野党対決の度合いが一気に高まることが想定されるためだ。

 昨年の臨時国会で石破政権は、「壁」の引き上げや政治改革で譲歩を繰り返しながら、かろうじて野党の協力を取り付けて、補正予算や政治改革関連法を成立させた。

 一方、その過程では、立憲民主党が「本丸」と位置づける企業・団体献金の禁止法案について3月末までに結論を出すことで与野党が合意。立憲からすれば、2025年度当初予算の成立の条件として、企業・団体献金の禁止で自民党に譲歩を迫る「カード」を手にしたことを意味する。

 さらに、旧安倍派の元会計責任者に対する参考人招致や「壁」のさらなる引き上げなど、与野党の「譲れない一線」が明確になった。野党からすれば昨年の臨時国会は、通常国会に向けた「弾込め期間」だったともいえる。

 野党の協力がなければ、予算案も法案も成立させられない石破政権。さらに内閣不信任決議案の可決で野党が一致すれば、内閣総辞職か衆院解散の選択に追い込まれる。

 通常国会前半戦の最大の関門は、当初予算を成立させられるかだ。野党の協力が得られるかがカギを握る。ただ、国民民主党との「壁」の引き上げ交渉を担っている自民の宮沢洋一税調会長は「暫定予算を組むしかないだろう」と周囲に漏らしている。

 暫定予算とは、3月末までに予算を成立させられない場合に備え、4月以降の政府運営に必要な経費を盛り込んだ一時的な予算のことだ。編成すれば2015年以来、10年ぶりとなる。

 つまり宮沢氏は、国民民主との「壁」引き上げ交渉が難航すると予測しているのだ。その結果、衆院の予算通過は遅れ、3月末までには当初予算は成立しないと見ている。

 予算成立は政権継続の必須条件。追い込まれた石破政権は企業・団体献金の禁止や「壁」引き上げで、大幅な譲歩を余儀なくされるリスクをはらむ。

 どの野党とも連携が取れずにいると、数カ月分にも及ぶ暫定予算を組む可能性も出てくる。一方で、衆院で予算委員長ポストを握るのは立憲だ。予算成立を一定の大義名分もなく遅延させた場合、批判は立憲に向かいかねない。与党と立憲の「チキンレース」(自民閣僚経験者)が始まることになる。

 自民が更なる「壁」の引き上げに慎重なのは、必要となる恒久財源にメドが立っていないためだ。党内からは、大幅引き上げを強行すれば財務省が「石破政権打倒」に動くと警戒する声が上がる。自民中堅は「財務省からすれば『政権の継続のために、いったいいくら将来世代に借金のつけ回しをするのか』ということだ」と語る。

 故安倍晋三元首相も財務省を警戒した。「彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから」(安倍晋三回顧録)と記したほどだ。

 財務省は…

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【社説・01.04】:年のはじめに考える チキンレースの勝者は

2025-01-04 07:06:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・01.04】:年のはじめに考える チキンレースの勝者は

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.04】:年のはじめに考える チキンレースの勝者は

  海に面した断崖絶壁の上で、対立する2人の若い男がそれぞれ車に乗り込みます。海に向かって全速力で並走し、どちらがより崖っぷちまで突っ込めるかの度胸試しです。一方の男は「先に運転席から飛び出した方が『チキン』だ」と主人公をあおります。

 「チキンレース」あるいは「チキンゲーム」の言葉を世に知らしめた1955年の米映画「理由なき反抗」の場面です。主演のジェームズ・ディーンの格好良さにしびれた読者も多いのではないでしょうか。英語のChickenには、俗語で「臆病者」という意味があります。
 新年早々いささか物騒なシーンを紹介するのは、今月下旬に召集される通常国会が与野党によるチキンレースの様相になりそうだからです。もちろん与野党には正々堂々の論戦を期待しますが、それぞれが「成果」を出そうと真剣になればなるほど、政治的な駆け引きは避けて通れません。

 ◆予算巡り交渉が活発化

 通常国会前半の焦点は2025年度政府予算案の成否です。予算はあらゆる政策の裏付けとなりますから、政府・与党は年度内成立を目指します。成立が大幅に遅れた場合、国や地方の行政、国民生活に影響が出るばかりか、石破茂首相の政権運営が行き詰まる可能性もあります。
 自民、公明の与党は衆院で過半数に届かず、野党の賛同を得なければ予算案を成立させられない状況です。日本維新の会と教育無償化、国民民主党とは「年収103万円の壁」引き上げを協議しているのはそのためです。両党の主張を受け入れる見返りに、予算案に賛成してもらう交渉なのです。
 財源に限りがある以上、与党が維・国両党の提案を丸のみすることは難しいでしょう。ですが、維・国から「ならば予算案に賛成できない」と言われては元も子もありませんから、一定の譲歩はせざるを得ません。維・国は与党の足元を見ながら高い要求を突きつけます。こうした押し引きはチキンレースの色彩を帯びてきます。
 与党には立憲民主党との交渉も重要です。立民に予算案賛成を期待しているわけでなく、安住淳予算委員長が属する立民の同意なしに衆院予算委員会の採決日程を決められないからです。仮に維・国のいずれかが予算案に賛成し、可決できる数がそろっても、採決できなければ意味がありません。
 安住氏が不偏不党の議事を進めるなら、政府・与党の望む採決日程を野党の反対を押し切って決めることはないでしょう。予算案の採決日程は与野党の話し合いで決まりますから、野党第1党の立民の意向が重要になるのです。
 立民の野田佳彦代表は企業・団体献金の禁止を「政治改革の本丸」に位置付け、通常国会での実現を目指しています。昨年の臨時国会に禁止法案を提出したものの存続に固執する自民との溝が埋まらず、結論は今年3月まで先送りされました。
 企業・団体献金は長年、政治腐敗の温床と指摘されてきました。30年前の「平成の政治改革」では公費による政党助成を導入する代わりに企業・団体献金を禁止する方向になった経緯もあります。
 立民もこうした正論を繰り返し訴えることで自民に翻意を促そうとするはずです。

 ◆参院選控え主張を強く

 そこで自民は、維・国に加えて立民とのチキンレースにも直面する可能性が出てきます。
 野党が予算案の採決を取引材料にして、政治改革の「実」を得るようなことは本来、慎むべきですが、国会審議が緊迫しなければ、自民が派閥の裏金事件を心の底から反省し、企業・団体献金の禁止などの政治改革に本気で取り組むことはないでしょう。
 予算案の問題点も徹底的に洗い出さなければなりません。
 冒頭のチキンレースでは1人の若者が車ごと崖下に転落し、死亡します。はやし立てた仲間たちは重大な結果に恐れをなし、現場から逃げ出します。主人公はレースでは無事でしたが、その後銃撃事件に巻き込まれ、新たな犠牲を目の当たりにします。チキンレースに勝者はいなかったのです。
 
 今年の通常国会の後には参院選が控えます。党勢拡大を目指す各党は国会論戦をアピールの機会と考え、主張を強めるでしょう。
 
 まるでチキンレースですが、政治の場合、勝者は国民でなければなりません。与野党が国民のための政治をしているか、通常国会の論戦を見届けていきます。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月04日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.04】:熟議の政治へ 国会の古い慣行を見直せ

2025-01-04 06:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・01.04】:熟議の政治へ 国会の古い慣行を見直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.04】:熟議の政治へ 国会の古い慣行を見直せ 

 衆院が少数与党となり、野党の賛同を得ないと予算案や法案が通らない。与野党が合意点を見いだすまで議論を重ねる「熟議」を定着させる年にしたい。

 越年した「政治とカネ」の問題は、これ以上決着を先送りしてはならない。

 2025年度予算案を巡る与野党の攻防は様変わりするだろう。見据えるのは夏の参院選だ。石破茂首相にとっては政権の存立に関わる正念場となる。

 ■最大の決戦は参院選

 自民党派閥の裏金事件に端を発した政治資金問題は、先の臨時国会で政策活動費を廃止するなど一定の成果が見られた。

 少数与党の現実は重い。野党案に反対していた自民党も最後は折れるしかなかった。

 今月下旬に始まる通常国会でも引き続き重要なテーマとなる。焦点は企業・団体献金だ。禁止を求める立憲民主党などの野党と、存続を訴える自民との溝は深い。

 与野党は3月末までに結論を出すことに合意している。過去の事件や疑惑を見れば、全ての企業・団体献金が浄財だとは言えない。政治をゆがませる可能性がある以上、禁止すべきだ。

 政治資金の収入が減れば、政治活動ができないと主張する議員がいる。この際、政治にはカネがかかるのか、必要以上にかけているのかを国民に明らかにして、政治資金の在り方を根本から見直してはどうか。

 政治資金の集め方、支出の範囲を規定し、それらの実績は全て公開する。国民がチェックできる仕組みを整えたい。

 一連の改革を通じて、長年の課題である「カネをかけない政治」が実現すれば、国民の政治を見る目も変わるはずだ。

 裏金事件の解明も急ぎたい。旧安倍派の幹部や会計責任者らを参考人招致し、さらに証人喚問で、意思決定の過程や裏金の目的などを明らかにする必要がある。

 政治資金問題が長期化すれば、参院選への影響が大きくなる。昨年の衆院選のように結果を大きく左右する要因になり得る。

 立民などの野党は政権交代へ弾みをつけたいところだ。改選1人区で候補者を調整し、与党との一騎打ちに持ち込めるかが勝敗の鍵となる。

 与党は参院で過半数を維持することが最低限の目標だ。

 石破首相は昨年暮れ、内閣不信任決議案が可決された場合、衆院解散に踏み切る可能性に言及し、早くもけん制している。

 ■通年会期制の検討を

 当初予算案を採決する日程が視野に入る2月後半から、与野党の駆け引きは熱を帯びそうだ。

 与党と野党が個別に交渉し、野党の政策実現と引き換えに、予算案への賛成を取り付ける可能性がある。これを繰り返していては、真の予算案審議にならない。

 野党は予算案の内容を精査し、修正の必要性と賛否を判断する。与党は野党の修正案が妥当なら、柔軟に取り入れる。財源にも責任を持たなくてはならない。与野党共に、政策決定過程が国民に見える国会運営に努めてほしい。

 立民は通常国会に選択的夫婦別姓制度の法案を提出する構えだ。大半の野党は導入に前向きなのに対し、自民は党内に強硬に反対する議員を抱える。

 首相は通常国会の大きな論点となることを見越して「党として議論の頻度を上げ、熟度を高めることに力を入れる」と述べた。その言葉通り、党や国会で徹底して話し合い、結論を出してほしい。

 議論に十分な時間をかけられるように通年国会を導入するなど、熟議の国会に見合う制度を検討してはどうか。

 通常国会は1月に開会し、会期は150日と決まっている。法案審議が始まるのは例年、予算成立後の4月からだ。会期は1度だけ延長できるが、参院選の年は大幅な延長が難しい。通年国会なら会期末を気にせずに議論できる。

 政治資金や法案審議をはじめ、国会の古い慣行を変える転機となることを望む。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.03》:戦後80年 転換期の日本政治 民主主義、鍛え直す努力を

2025-01-03 02:01:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・01.03》:戦後80年 転換期の日本政治 民主主義、鍛え直す努力を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.03》:戦後80年 転換期の日本政治 民主主義、鍛え直す努力を

 戦後日本政治が転換期を迎えている。激動する時代にあって、民主主義をいかに鍛え直すことができるかが問われる。

 国会の風景は様変わりした。昨年の衆院選で自民、公明両党が惨敗し、少数与党の石破茂政権は、野党の理解を得られなければ政策を実現できなくなっている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月03日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.29】:少数与党国会 「熟議」と呼ぶには程遠い

2024-12-29 06:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.29】:少数与党国会 「熟議」と呼ぶには程遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.29】:少数与党国会 「熟議」と呼ぶには程遠い 

 少数与党になった国会の風景は確かに変わった。先日閉会した臨時国会は、与野党が合意形成に試行錯誤する姿が見られた。

 その真価は来年1月に召集される通常国会で問われることになる。「熟議の国会」にはまだ程遠い。

 10月の衆院選で自民、公明の両与党の議席が過半数を割った。少数与党となったのは30年ぶりである。

 「自民1強」だった2012年の第2次安倍晋三政権以降は、与党が数の力を振りかざし、国会論議を軽視する政権運営が続いた。

 それが一転し、与党だけでは予算や法律を成立させることができなくなった。野党の賛同を得なくてはならない。

 熟議に努めよとの民意である。国会を本来あるべき姿に戻す好機と捉えたい。

 石破茂首相は臨時国会閉会後の記者会見で「与野党がかんかんがくがくの議論を行い、まさに熟議の国会にふさわしいものとなった」と述べた。自画自賛が過ぎる。

 特に問題にしたいのは補正予算案の審議だ。

 自民、公明は野党の中から予算案に賛成したことがある国民民主党に接近した。国民民主が公約した「年収103万円の壁」の引き上げを約束し、賛成を取り付けた。

 日本維新の会に対しては、教育無償化の協議の場を設けることで賛成を引き出した。

 成立した補正予算は、歳出総額が13兆9400億円に上る。石破首相が衆院選で「昨年を上回る規模」を約束したため、内容よりも規模優先で編成された。

 緊急性に乏しい事業費も含まれているとの指摘は政府内からも漏れる。

 疑問点の多い予算案にもかかわらず、国民民主や維新は内容をただし、修正を求めようとしなかった。

 これでは重点政策を実現するために、補正予算案を取引材料に使ったことになる。来年夏の参院選を見据えた実績作りと非難されても仕方がない。与党にとっては思惑通りの結果ではないか。

 一定の成果もあった。使途の公開義務がなかった政策活動費は廃止が決まった。国会議員に月額100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)については、ようやく使途公開と残金の国庫返納が決まった。

 特別委員会では関連法案を提出した政党の議員が答弁に立ち、意見を交わした。政策活動費廃止の野党案を自民が丸のみしたのは、少数与党ならではの結果である。

 石破首相は「他党の意見を丁寧に承り、可能な限り幅広い合意形成を図るよう努力した」と振り返った。

 その首相の答弁は、謙虚な姿勢で質問者に理解を示しながらも、肝心な点ははぐらかす場面が目についた。

 通常国会は25年度当初予算案をはじめ、重要法案が控える。かんかんがくがくの議論を次こそ見せてもらいたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.25》:臨時国会が閉幕 まだ熟議は足りていない

2024-12-27 09:31:25 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・12.25》:臨時国会が閉幕 まだ熟議は足りていない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.25》:臨時国会が閉幕 まだ熟議は足りていない 

 衆院選で自公が少数与党に転落後、初の本格論戦となった臨時国会が閉会した。

 自民1強時代の強引な国会運営は影を潜めた。与野党が議論して合意を目指し、双方が納得できる法案をつくりあげるのが国会のあるべき姿だ。試金石となった今国会は、その一部が垣間見えた。

 焦点は、政府の経済対策の財源となる補正予算案と、自民党の派閥裏金事件を受けた政治改革関連法案だった。いずれも与党が野党の要求を一部受け入れる形で成立している。

 補正予算案は能登半島地震の復興予算を拡充した。補正予算案が国会提出後に修正され、成立したのは28年ぶりである。

 政治改革では野党7党が提出した政策活動費の全廃法案などが成立した。自民党は使途公開が不要な政活費を全廃しつつ、支出先を非公開にできる「公開方法工夫支出」新設を明記した法案を提出。野党が「新たな抜け道になる」と反発し、断念に追い込まれた。

 石破茂首相は閉会後、「可能な限り幅広い合意形成を図るよう努力した。熟議の国会にふさわしいものになった」と述べた。立憲民主党の野田佳彦代表は「動かなかったテーマが具体的に前進したのは一定の成果だ」とした。

 真価が問われるのは次期通常国会である。積み残した課題も多い。まず企業・団体献金である。立民や日本維新の会が「政策決定をゆがめる」として禁止を主張。自民党は公開による透明性向上が重要として「企業献金が悪で、個人献金が善としない」と反論。与野党は来年3月末までに結論を得ることで合意している。

 通常国会では「カネのかかる政治」のあり方や「民主主義のコストを誰が負担するのか」といった根源的な議論が欠かせない。裏金事件の真相解明も必要だ。

 所得税が生じる「年収103万円の壁」が焦点となった税制改正は、減税による手取り増を掲げる国民民主党と自公の協議がまとまらなかった。自公のみで与党税制改正大綱に123万円までの非課税枠の引き上げを明記し、今後も協議が続く。代替の財源確保の問題を避けて通れないことを強く認識する必要がある。

 気になるのは、国民民主や維新などとの「政治的な駆け引き」で、多数確保を図る思惑が自公にみえることだ。公開の場で全政党が議論を尽くし合意形成を図るのが筋である。「熟議」には時間がかかることを前提に、必要な議論を進めたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・12.20】:自民もくろむ衆参ダブル選に大きなツケ

2024-12-27 07:40:10 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【政界地獄耳・12.20】:自民もくろむ衆参ダブル選に大きなツケ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.20】:自民もくろむ衆参ダブル選に大きなツケ 

 ★補正予算審議などを見ていると自民党の老獪(ろうかい)さが目立つ。25年度の与党税制改正大綱には国民民主党が掲げていた178万円ではなく、与党案の123万円への引き上げになった。国民民主党代表(役職停止中)・玉木雄一郎は「3党の幹事長間の合意も、我々からしたら無視される形で大綱が決定されるというのは残念というか驚き」と同党が自民党と繰り返す「いいところまで行って、ほごにされる」がまた現実になった。野党幹部は「自民党にすり寄るから突き放される。自民党は国民民主と話を進めながら他党にも秋波を送る。相変わらず野党はお人よしだと思われる。最初から野党政権を作れば、いかようにもできたはずだ。自公国で対等だと考えるところが甘い。国民民主党は学習しない」と手厳しい。

 ★案の定、自公政権との対決姿勢を示したばかりの日本維新の会が補正予算に賛成。水面下で自民党と握る姿勢を示し党内にも不満が残る。ふわふわしている執行部など自民党ならひとひねりというところか。自民党の複雑な弱小野党への攻略の先にあるのは衆参ダブル選で安定多数獲得という野望だ。議席さえ増えればいい自民党の与党・政権への執念と自民党を少数与党化させたのに、野党同士が仲が悪く、立憲民主党にも野党をまとめる力がなく、自民党はそれを横目で見て国民民主を切り維新に素早く乗り換え、補正予算を乗り切った。

 ★与野党とも相手がどう出るか、今国会は探り合いが続いた。結果もろい野党が崩れたといえる。ただ野党も学習するはず。来年からの本予算審議は慎重かつ、野党の情報交換が緊密になれば自民党の思い通りにはならない。政倫審では裏金議員たちが満を持して「知らなかった」「秘書が」を繰り返し反省の言葉は出るものの、さして悪いとも思っていない。国民が「相変わらずだけど、まあいいか」というとでも思っているのだろうか。野党もさることながら国民をなめてはいけない。来夏に衆参ダブルをもくろめば、そのツケも大きいはずだ。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年12月20日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を

2024-12-27 07:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を 

 衆院選で少数与党になって迎えた初めての臨時国会がきのう閉幕した。閣僚の答弁は丁寧になり、野党も反対一辺倒ではなくなった。政治資金規正法の再改正などを審議した政治改革特別委員会は与野党提出の9法案の審議で答弁席に各党の実務者が並び、討論を繰り広げた。「自民1強」時代にはない光景だろう。

 閉幕を受けた記者会見で石破茂首相は「可能な限り幅広い合意形成を図るように一生懸命努力した」と語ったが、政策議論が深まったとはまだ言い難い。自民、公明両党が2024年度補正予算などの成立を最優先し、野党も目先の成果を欲しがったためだ。

 与党からの政策協議の誘いに乗って野党が安易に妥協を重ねる。そんな数合わせに終始するようでは、国民本位の政治とはいえまい。

 その象徴が補正予算を巡る攻防だろう。

 国会の場外では、国民民主党が「年収103万円の壁」の引き上げ、日本維新の会が教育無償化の協議を与党に求め、補正予算への賛成に回った。個別の要求が取り入れられれば、さまざまな問題をはらむ予算全体を承認する。そんな手法が適切なのか。

 自公は同時に、立憲民主党の要求に応じる戦略を見せる。能登半島地震の復旧・復興費を1千億円上積み、採決容認を取り付けた。同党は採決で反対したものの、「規模ありき」で編成された巨額補正をすんなり成立させてしまったことに変わりはない。緊急性や妥当性の吟味がしっかりできたか疑問である。

 その意味で野党第1党の立憲民主党が野党をまとめ切れず力量不足だった。自民党の「壁」を乗り越えるために、野党間で協力して予算の修正案や法案をまとめる仕組みを取り入れるべきではないか。

 例えば103万円の壁を引き上げるなら、目的や効果、負担の公平性を精査し、社会保障とセットで大局的な議論を進めたい。その場しのぎではなく、政策の深掘りこそ、今の国会に求められているはずだ。

 政治資金改革では、使途公開不要な政策活動費の全廃を野党が一致して求め、自民党にのませて実現させたのは評価したい。一方で企業・団体献金は自民党が存続を主張。立憲民主党や日本維新の会などが禁止を求めて対立した。与野党は立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、来年3月末までに結論を得ると先送りした。

 与野党協議では、政治資金の透明化はあくまで手段であり、目指すべきは「カネのかからない政治」と改めて確認したい。裏金事件の全容解明も不可欠である。精力的に議論を重ね、踏み込んだ改革を実現してもらいたい。

 与党は臨時国会こそ乗り切ったものの、来年の通常国会で25年度予算案などを成立させる見通しは立っていない。来夏の参院選をにらんだ政局の動きが出てくる可能性もあろう。それでも少数与党時代は、熟議を通じた政策実現の絶好の機会だ。各党が審議の充実に責任を持たなくてはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな

2024-12-27 06:10:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな 

 少数与党が譲歩し、政治改革の取り組みは前進した。しかし課題は残っている。国会は歩みを止めず、改革を遂げてもらいたい。

 臨時国会が24日、閉幕した。焦点となった政治改革では、政治資金規正法の再改正を含む政治改革関連3法が成立した。

 使途公開不要な政策活動費を全面廃止する。政治資金を監視する第三者機関の「政治資金監視委員会」設置や、外国人による政治資金パーティー券の購入禁止などを定めた法も成立した。

 石破茂首相が年内に結論を示すとしていた政治改革に、一定の成果が示されたといえる。

 国会閉幕後の記者会見で、首相は「与野党で侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行い、熟議の国会にふさわしいものとなった」と評価した。

 ただ、審議の過程で、政治改革に後ろ向きな自民党の姿勢が目立ったことは指摘しておきたい。

 政策活動費では、自民は支出先の相手を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を提案し、野党から「ブラックボックスだ」と批判されて撤回した。

 不透明性が問題になった政策活動費を温存するような案だった。「政治とカネ」を巡る問題の本質を理解しているとは到底いえず、撤回して当然だった。

 3法とは別に、国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)に、使途公開や残金返納を義務付ける内容の改正歳費法も、成立にこぎ着けた。

 旧文通費は2021年秋に問題提起されながら、自民1強下の国会では法改正が進まなかった。実現に3年もの時間を費やしたことにはあぜんとする。

 片や、政治改革関連3法は、自民が野党案を丸のみし、今国会での成立が実現した。働き控えにつながると指摘される所得税の「年収の壁」の引き上げが、与党税制改正大綱に盛り込まれたのも同様で、伯仲国会の効果といえる。

 だが企業・団体献金の扱いは、与野党が一致できなかった。公開による企業・団体献金の透明性向上を訴える自民と、禁止を求める立憲民主党などで開きがある。

 共同通信が今月行った世論調査では、企業・団体献金を「禁止するべきだ」とする回答は56・3%で、半数を超えた。

 国会は、立民などが共同提案した禁止法案について議論し、来年3月末までに結論を得るとしている。国民の声に耳を傾け、改革を進めてほしい。

 今国会では、自民派閥裏金事件を巡る政治倫理審査会が再度、開かれた。しかし一度中止された資金還流が復活した経緯などの解明には至らなかった。

 政治改革の関連法が成立したところで、裏金問題の幕引きは図れない。政治不信の払拭には、真相解明が不可欠だ。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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