【政界地獄耳・06.01】:「新しい」役所 必要性をどう解釈し受け止めるか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・06.01】:「新しい」役所 必要性をどう解釈し受け止めるか
★内閣官房の「新型コロナ感染症対策推進室」と厚労省の「対策推進本部」などを統合する「健康危機管理庁(仮称)」設置が検討されている。昨年9月の自民党総裁選での岸田文雄候補の公約だ。コロナ対策では、さして有効な手立てを実現することができなかった首相だが、ここにきて健康危機管理庁のみならず、先行するこども家庭庁設置法案が先月17日、衆院本会議で可決された。文科、厚労、内閣府、警察などの関連する機能が統合され勧告権を持つ。23年4月に内閣府の外局として発足する。
★11年には東日本大震災の復興事務を補助するため復興庁が設置された。10年間の計画だったが期限が延長され31年、3月31日までとなっている。ただ復興庁は時限官庁で予算も復興特別会計が適用され一般予算はない。このように特別会計で設置された役所と自衛隊以外の国家公務員には総定員法が適用される。現在の総定員の最高限度は33万1984人。その中でやりくりしなければならない。
★新しい役所はいずれも重複して省庁間で利害対立が起きる場合、つまり省益もあれば、お互いが押し付け合って所管があいまいな部分もあった。現行省庁のはざまでたらいまわしになっている問題もあったろう。ところが既に発足しているデジタル庁も含め新しい役所は個人情報を扱い利用し積極的に事態や国民個人に関与していく。それらが本来の役所の業務を超えかねず、線引きが大変でしばらくは混乱や批判の的になるだろう。だから、これらの役所が設置された意味と時代の必要性をどう解釈し、受け止めるのかが大切になる。今までの役所は、国民の個人情報を利活用することはあっても役所から個人の中に入ってくることはなかった。今までの役所の感覚と逆の業務になる。国民もそれを理解しなくてはならない。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2022年06月01日 07:58:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。