元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年12月28日 08:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【金口木舌】:移民の苦難の体験に光を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:移民の苦難の体験に光を
1943年、第2次世界大戦で連合国側についたブラジルのサントスで、日系人ら約6500人が収容所などに強制退去させられた
▼「サントス事件」と呼ばれる。79年前の出来事だが、ブラジル沖縄県人会などは名誉回復のため、政府に補償を伴わない謝罪を求める署名運動を先月始めた
▼強制立ち退きは米国やカナダなどでも起き、後に政府が過ちを認め、謝罪・補償した。ブラジル政府は沈黙を貫く。ブラジル沖縄県人移民研究塾代表の宮城あきらさん(84)は「事件は歴史の暗部」と話す
▼国策で送り出された移民は世界各地で翻弄(ほんろう)された。戦前旧満州国(現中国東北部)に送り出された「満蒙開拓団」は敗戦で大勢の犠牲者を出した。沖縄では、戦後もボリビアへの計画移民など辛苦があった
▼宮城さんは「送り出されたウチナーンチュがどう人生を切り開いてきたのか、苦難の歴史の記録がこれまで十分ではなかった。歴史を究明する努力が必要だ」と語る。もうすぐ世界のウチナーンチュ大会。移民の成功体験だけでなくその苦難にも目を向けたい。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年09月14日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:[外国籍児の教育] 就学前から支援手厚く
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[外国籍児の教育] 就学前から支援手厚く
ロシアの侵攻が続くウクライナから戦火を逃れ来日した避難民は、4月末までに700人を超えた。中には親と一緒に避難してきた子どももおり、政府は就学サポートや日本語教育など積極的な支援策を打ち出している。残り1041文字(全文:1138文字)
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元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年05月02日 09:22:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説②》:外国ルーツの子ども 日本語習得支える制度を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:外国ルーツの子ども 日本語習得支える制度を
外国にルーツを持ち、日本語に不慣れな子どもが通常の授業を受けられないケースが少なくない。
公立の小中学校に通う20人に1人が、本来は障害のある子を対象とする特別支援学級に在籍している。国による初めての全国調査で明らかになった。
小中学生全体では、この学級に通うのは30人に1人だ。それに比べて割合が高い。
障害に応じて特別な指導をするクラスであり、日本語に習熟していないことは在籍の理由とはならない。
問題は、こうした子どもたちが学校で日本語を学ぶ環境が整っていないことにある。
学校側に通常学級で受け入れる態勢ができていないことから、特別支援学級を勧められた子どもがいる。日本語が壁になっている事情に留意せず、学習の遅れを障害とみなした学校や教育委員会もあったという。
国や自治体には、日本で暮らす外国人らへの日本語教育を推進する責任がある。2019年6月に法律で定められたが、地域によって取り組みには差がある。
日本語教室を各校に開設し、担当教員や通訳ボランティアを配置している自治体がある。一方で、そうした人材が足りず、十分な支援ができていない地域もある。
まずは、限られた人材を活用して、より多くの子どもを指導する方法を考えてほしい。担当教員らが地域内の各校を回って指導したり、オンラインで複数の学校の子どもを教えたりしている実践例は参考になる。
外国ルーツの子どもが今後増えていくことを見据えた制度づくりが欠かせない。
必要なのは、通常の授業に参加できる水準の日本語を身につけられる環境だ。教える技量とさまざまなルーツへの理解を持った教員の確保に向け、人材育成の仕組みを整えることが重要となる。
ほとんどの中学生が高校や専修学校などに進学する中で、日本語指導が必要な生徒の進学率は9割に届いていない。
日本で暮らす全ての子どもが分け隔てなく学ぶ機会を保障されることが大切だ。受け入れ態勢が不十分であるために、進路を狭められることがあってはならない。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年04月17日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:実習生の妊娠 孤立防ぐ支援を急げ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:実習生の妊娠 孤立防ぐ支援を急げ
外国人実習生らが予期せぬ妊娠の末、孤立出産に追い込まれるケースが相次いでいる。熊本では二〇二〇年、実習生が強制帰国を恐れて誰にも相談できないまま死産し、死体遺棄罪に問われた。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年04月07日 07:57:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【政界地獄耳】:入管の闇に消えていった罪なき人たち/03.10
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:入管の闇に消えていった罪なき人たち/03.10
★ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、2日のポーランドとの首脳電話会談で「親族や知人が日本にいる方々」だけでなく、その他の人々の希望にも「人道的な観点から対応していく」と積極姿勢を見せた首相・岸田文雄。ウクライナ避難民の日本国内受け入れが8日スタートした。日本政府は外国人観光客などの短期入国者には極めて寛容だが、避難民や政治亡命のビザ(査証)発給には「本国の治安に対する不安」を理由に、世界有数の後ろ向きな鎖国政策をとっている。つまりカネを落とす外国人は歓迎するが、低所得者や不法入国などには事情があろうと厳しく冷たい。
★紛争や人権侵害、貧困、飢餓などから自分の命を守るためにやむを得ず母国を追われ、逃げざるを得ない人たちに入国管理センター(入管)は保護するというよりも、偽装難民ではないかという疑いから管理することに立脚し、偏見に満ち差別的な拘留をする。人権や国際法令を無視した非人道的で犯罪者のように追い込んでいく姿勢は日本人には知らされてこなかった。法務省も出入国在留管理庁も異文化などの多様性にそもそも対応する気がない。その改善がないまま、今までの閉鎖的入管政策が突然、ウクライナ問題で人道論に転じたところで満足のいく避難民政策として評価されるのだろうか。
★それでなくとも1年前には名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性・ウィシュマ・サンダマリが死亡した。しかしそれが氷山の一角だったことはさまざまな告発で表面化している。しかも彼女の体調不良に入管は詐病を疑う。偽装難民を見つけ出すことを目的とし、認定されるべき避難民をはじいてきた失策を改めない限り、政府が入管政策を「人道的」などという美談にされたら、多くの入管の闇に消えていった罪なき人たちが浮かばれない。首相はこの際そこまで踏み込んでもらいたい。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2022年03月10日 08:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【風・論説委員室から】:入管問題の根断つ時だ 相内亮
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【風・論説委員室から】:入管問題の根断つ時だ 相内亮
出入国在留管理庁の名古屋の施設で、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが適切な医療を受けられずに亡くなって1年が過ぎた。
入管施設での外国人の病死や自殺は多発している。
その元凶と目されているのが入管の強大な裁量権だ。
入管は入管法上、在留期間を超えるなどした外国人を全員、司法の審査なく、無期限に施設収容することができる。
閉ざされた空間に長く拘束され、精神的にも肉体的にも追い詰められる外国人は多い。
送還を拒む外国人に圧力をかける装置として施設が使われていると言っていい。
この運用は、国際人権ルールに反しているとして国連の機関が是正を求めている。
だが日本政府は応じていない。ウィシュマさんに関して入管庁が昨年公表した最終報告書は、職員の意識や医療体制などを改善点に挙げるにとどまり、事を矮小(わいしょう)化した。
政府は問題の核心に向き合っていないと言わざるを得ない。
外国人を人と思わないかのような入管行政の根っこに何があるのかを知ろうと、昨年末から専門家に話を聞いてきた。
OBの立場から入管改革を訴える元東京入管局長の水上洋一郎さん(80)は「戦後の入管の当初の実体は、朝鮮半島からの密航を取り締まり、在日朝鮮人を管理する機関だった」と解説した上で、「2018年の入管法改正に伴いやっと共生社会に向けた総合調整の役割も担うようにはなったが、入管法の基本は『外国人の出入国管理』のまま変わっていない」と話した。
入管が、朝鮮半島をはじめとする外国の人々に対する差別性を内に宿したまま今に至ったことがうかがえる。
その歩みの中で、外国人を管理の対象としてのみ見る習性が染みついたのではないかと疑わざるを得ない。
日本とアジアの関係史が専門の田中宏・一橋大名誉教授は、「東西冷戦構造の西側に組み込まれ経済発展した日本は、戦争が遠景となる中、かつて支配したアジア諸地域との関係構築やその出身者の処遇に十分向き合わなかった。入管問題はそういう流れの中で考えるべきではないか」との見方を示した。
戦後日本は米国追従を強め、アジアと距離を置いた。入管が変わらずにきた背景にアジア軽視があるとも言えそうだ。
日本には300万人近い外国人が暮らす。すでに移民大国だと見る専門家もいる。
ウィシュマさんらの悲劇は外国人との共生が求められる時代に入管行政が対応できていないことの表れと見るべきだろう。
入管問題は戦後日本の歩みに深く根ざしている。その根を断つ抜本改革が急務だ。
現在の入管法と入管庁に代わって、外国人を日本社会の一員に位置づけ対等な共生社会の実現を図る新法と、それに関する政策を主導する新組織の設置を国会と政府に強く求めたい。
戦後日本のアジアでの立ち位置に関しては、国際政治に詳しい我部政明・琉球大名誉教授にも話を聞いた。
我部氏は「アジアに友好国がない日本には、米軍がいなければ安心できないという『おびえ』がある。それが日米同盟を支える原動力だ。政権には『対米関係さえ良ければ』という考えが強い」とした上で、「そのツケでアジア近隣国と良好な関係を築けていないのが日本外交の弱み。アジアの一員となる姿勢が求められる」と指摘した。
入管の抜本改革を、日本のおびえを過去のものとするための一歩にすべきだとも考える。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【風・論説委員室から】 2022年03月13日 10:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【政界地獄耳】:映画「牛久」に見る入管の実態/02.01
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:映画「牛久」に見る入管の実態/02.01
★「牛久」をご存じだろうか。もちろん茨城県牛久市であるのだが、今回はその牛久にある、全国に17カ所ある東日本入国管理センターを描いたドキュメンタリー映画のタイトルだ。そこに収容された人々の証言から日本の入管収容所の実態が描かれる。東京では今月26日から公開される。監督はアメリカ出身のトーマス・アッシュ。日本の法律は在留資格がない人や難民、更新が認められず国外退去を命じられた外国人を「不法滞在者」として強制的に収容している。人権無視などの実態が初めてさらされたということになる。昨年も「東京クルド」というクルド人難民を描くドキュメンタリーがあったが、この映画は入管の収容実態が明らかになる。
映画「牛久」。2022年2月26日(土)から全国順次ロードショー。
★映画は施設の厳しい規制の中、収容されている内部の状況を当事者たちの了解を得て、面会室での隠し撮りも含めてこれが入管の実態かと思わせる目を覆うシーンもある。医療を受けることもままならず、日本語ができても難民申請しても日本人と結婚していても、犯罪者でないのに彼らは非人間的に扱われる。日本に期待し信頼し、日本が好きで、だが彼らから語られる胸を突く言葉にこれが日本の国際化、ダイバーシティ、共生社会の実態なのかと思わざるを得ない。
★収容者は入管にとって模範的な態度をとり条件を満たすと仮放免を受け施設の外に数週間でることができるが、指定の県外に移動してはいけない、住民票がないから生活保護、健康保険が受けられず医者にかかれば10割負担になる。だが働いてはいけないから収入はない。その繰り返しだ。映画後半、国会でこの問題が予算委員会の議題になるシーンがあるが、政府はまじめに対応しない。昨年12月1日現在、牛久には18人が収容されているが、20年以降仮放免が急増したのは皮肉にも新型コロナのクラスター防止のためだ。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2022年02月01日 10:17:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【斜面】:奴隷労働
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【斜面】:奴隷労働
ネットの動画から目を背けたくなった。
「イタイー、イヤー」。
悲鳴を楽しむかのように日本人の従業員がベトナム人の男性を事務所で何度も蹴っている。
トラックの荷台にいれば棒でたたく。車内でも隣から肘鉄を何度も食らわせる…、
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元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【斜面】 2022年02月01日 09:32:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:長期収容で提訴 入管の強圧性が争点だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:長期収容で提訴 入管の強圧性が争点だ
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年01月26日 07:53:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:入管に違憲判決 非人道性が断罪された
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:入管に違憲判決 非人道性が断罪された
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年09月27日 07:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【筆洗】:二十人ほどの学生アルバイトを雇い、半分に分ける。一方は看守役、もう…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:二十人ほどの学生アルバイトを雇い、半分に分ける。一方は看守役、もう…
二十人ほどの学生アルバイトを雇い、半分に分ける。一方は看守役、もう片方は囚人役。その役になりきってもらい、模擬刑務所の中で生活させる▼映画にもなった米国の有名な心理学実験は一九七一年八月に行われた。「スタンフォード監獄実験」という。どうなったか。ごっこにもかかわらず、看守役は囚人役に次第に支配的になり、精神的虐待や暴力まで使うようになった。実験は中止になった▼人を支配できる役割を与えると残酷な行為も平気になっていく。実験の信ぴょう性には以前から疑問も出ているが、人間にはそんな悲しい側面が確かにあるかもしれない。名古屋市の入管施設に収容されていたスリランカ人女性が病死した問題に考え込む▼女性は診療を求め続けたが、職員は詐病と決めつけた。体調不良で飲み物をこぼした女性に対し、ひどい言葉を使う。問題を伝える記事にやりきれぬ思いとなる▼人権意識も持ち合わせているはずの現代人とその無情な行為がうまく結びつかぬ。不法滞在の外国人を預かる入管という特殊な空間。その中に職員を冷酷にする何かが潜んではいないか▼今後の対策として医療体制の整備を図ると聞く。それだけでは再発防止にはなるまい。問題の背景を探り、職員の徹底的な意識改革を図るのは当然のことで、あんな実験はうそっぱちなのだと証明できる場所へとつくり替えたい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2021年08月14日 07:08:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:収容女性の死亡 入管の閉鎖性問い直せ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:収容女性の死亡 入管の閉鎖性問い直せ
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年08月11日 07:50:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【愛知県】:名古屋入管に脅迫状、県警が捜査 スリランカ人女性死亡巡り
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【愛知県】:名古屋入管に脅迫状、県警が捜査 スリランカ人女性死亡巡り
名古屋出入国在留管理局(名古屋市)の施設収容中にスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(33)が死亡した問題を巡り、局長宛ての匿名の脅迫状が管理局に届いていたことが24日、捜査関係者への取材で分かった。
元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【事件・疑惑・名古屋出入国在留管理局(名古屋市)の施設収容中にスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(33)が死亡した問題】 2021年05月24日 11:22:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:入管法見送り 長期収容の弊害是正が必要だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:入管法見送り 長期収容の弊害是正が必要だ
不法滞在の外国人を、入国管理施設に長期収容する運用が常態化している。法改正の見送りで解消は遠のいたが、人権に配慮しつつ、早期の改善を実現しなければならない。
外国人の収容を見直す出入国管理・難民認定法改正案について、政府・与党が今国会での成立を断念した。衆院で審議されていたが、名古屋市の入管施設で3月、スリランカ人女性が死亡したことを巡って野党が反発を強めていた。
女性は留学ビザで来日し、学費が払えずに退学した後、不法滞在状態となった。同居していた男性の家を出て警察に出頭し、半年間、入管施設に収容されていた。
遺族は、女性の体調が悪化したのに、必要な医療を受けられなかったと訴えている。法務省は、対応に問題がなかったのか、外部の第三者を交えて調査し、事実関係を速やかに公表すべきだ。
法務省の中間報告書には、女性の容体を懸念した医師が仮放免を勧めたことが記載されていなかった。国会での政府側の説明も十分とは言えず、審議の混乱を招く一因となった。入管行政全体への不信感につながりかねない。
入管施設では、半年以上の長期収容者が目立ち、5年を超える人もいる。2007年以降、収容中に死亡した外国人は17人に上り、長期収容に抗議するハンガーストライキも起きている。管理・医療体制の検証が必要だ。
収容が長期化する背景には、退去処分を受けても帰国に応じない外国人が増えているという現実がある。20年末時点で入管施設に収容されている約350人のうち、7割が送還を拒否している。
政府が今国会に提出した入管法改正案は、長期収容の解消を目指すものだった。送還前の外国人全員を収容する原則を改め、支援者らの監督下で生活することを認める制度も盛り込んでいた。
生活環境の改善につながる柔軟な制度として評価できよう。
同時に、難民申請を3回以上行った場合は、申請中でも送還できることを明記した。送還を逃れる目的で、難民申請を繰り返すケースが相次いでいるためだ。
送還された外国人は、現行法では5年間、日本に再入国できないが、自発的に出国すれば1年間に短縮する予定だった。違法状態を解消し、正規に再来日できる方策として有効と考えられる。
法改正が先送りになったからといって、現状を放置するのは好ましくない。与野党は引き続き、議論を深めてもらいたい。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年05月20日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。