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チラシの裏

これがマニアの生きる道

2010年10月20日 | 本棚の埃
先月の本の雑誌の特集は「たちあがれ、翻訳ミステリー」でした。
翻訳ミステリが苦境に立たされている、というような話でしたが、
ミステリだけじゃなく翻訳SFも往時の勢いがないような感じを受けます。
若い人はラノベしか読まないんじゃないか、とも思いますがどうなんでしょう。

あかね書房 少年少女 世界推理文学全集
岩崎書店 エスエフ世界の名作
講談社の世界の科学名作

わたしらの子供のころは、学校の図書館や地域の図書館、書店にもこういう児童書のミステリやSFが置いてありました。
子供向けに抄訳・アブリッジしてあるので、元作品のもつ妖しい感じがそのまま出ていて、
ふつうの児童書とは一線を画したものになっていたような気がします。
これらを読んで、次は創元推理文庫に行くというのがマニアの歩く道ではなかったでしょうか。
しかしある時から姿を消してしまったのは、作品内容のせいではなく、
翻訳が完訳ではないから、という理由だからだそうです。
元が大人向けの作品を子供向けに訳し直しているので、設定変更や省略もあることが、
完訳主義の児童書界から排斥されてしまったそうです。
えー、面白かったのに。
山中峯太郎のホームズものなんて、原作にない会話が勝手に挿入されていて、
まったく別モノだったことに気づいたのはホームズ聖典を読んでからでした。

SFのファーストコンタクトはこれ、「少年火星探検隊」「星雲から来た少年」。
「少年火星探検隊」は題のごとく、少年たちが火星で探検をします(笑)。
少女もいるんですが、少年としか書かれていないのは、少女は少年に属するものと思われていた時代のせいでしょうか。

「少年火星探検隊」を訳した白木茂について
※懐かしいなあ…。
このあと、妹は磁力靴(?)を脱いで無重力状態の中で遊んでいるうちに、
頭に怪我をしてしまう展開だった記憶があります。
おお、これは妹萌えとしても読めるのでしょうか。


「星雲から来た少年」はいま思い返すと翻訳するにあたって設定変更に無理なところがあって、
主人公が小学生ぐらいなのに車を運転しているんです。
いくらアメリカが舞台でも、小学生が車を運転しないでしょう。
おそらくオリジナルでは主人公はハイティーンだったのを、
日本で翻訳するにあたって読者層にあわせて小学生にしたため
不思議な場面ができてしまったのではないでしょうか。

とはいえ、ジュブナイルSFの魅力の一つは表紙のイラストですよ。
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