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やがて悲しきハミルトン

2012年09月28日 | SF
エドモンド・ハミルトンの「フェッセンデンの宇宙」は名作だけあって、
あちこちのアンソロジーに入っていますが、好き嫌いは世代によるかな。
テッド・チャンが最高、と思う世代には、古臭くて読めた代物じゃないと思われるかも。
訳編者の中村融の激しい思い入れに共感できるかどうかが、
分かれ目だと思いますが、私は中村融側です。

ハミルトンは「キャプテン・フューチャー」の作者として非常に有名で、
「スター・キング」の作者でもあるのですが、
「スター・キング」は「ゼンダ城の虜」のSF風焼き直しで、
この短編集に入っている「夢見る者の世界」もそのまま同じ趣向。

キャプテン・フューチャー OP


大野雄二のルパン風OPはヒデ夕木のバージョンじゃないと観た気がしません。ディスカバリー号のようなコメット号は・・・
パースの効いた原画には湖川友謙も参加。カメラが回り込むところは当時のアニメでは珍しいカットだったような。


キャプテン・フューチャー ED


じつはシングルを買って持ってます

スターウルフOP


こんなのもありました。「スターウォーズ」を向こうにまわして奮戦する円谷プロによるスペースオペラ。
OPはけっこうかっこいいですね。東映の「銀河大戦」(?)とごっちゃになってます。


短編作品のトーンは、ペシミスティックで無常観がずっと流れているような感じですね(とくにこの作品集)。
日本では中村融の訳編で創元文庫から短編集2冊、
河出と青心社からソフトカバーで短編集が1冊ずつ出ています。
(今度の河出文庫版はソフトカバーを編集しなおしたもの)




この作品集には入っていないのですが、
「ベムがいっぱい!」は、パルプSFに登場する怪物(BEM=big(or bug) eyed monster)たちが実体化して、
探検隊たちに「なんでこんな格好にしたんだ」と罵詈雑言をぶちまけるSFパロディ。
「反対進化」も笑えるおバカSFですが、
読み終わったあとにちょっと寂しくなるんですね・・・「楽しうてやがて悲しきハミルトン」





「太陽破壊者」も「スター・キング」調の話ですが、
究極兵器「ヴァルカー家のハンマー」は、恒星を新星化させるもので、
(原題「Sun Smasher」サン・スマッシャーのこと)
この本を読む前にどこかで読んだ気がすると思っていたら、
たしか光文社版鉄腕アトムの解説にこの名前があったはず。
アトムの内容からすると「地球最後の日」あたりかも。
彗星に突入する宇宙人のロボットは「ベム」という名前でしたし。

「キャプテン・フューチャー」も「スター・キング」も読んでないですし
ファンでもいないのに、なぜか短編集となると買ってしまうんですね。
内容はともかく(パルプ作家ですから)「SFを読んでいる」という実感を与えてくれる作家、とでも言えます。
しかし代表作の「時果つるところ」が
早川SF全集でしか読めないと今知りました。
銀背にも文庫にもなってないんですね。
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