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空想軍艦物語

2017年10月31日 | ノンフィクション
雑誌「丸」に連載されていたもの、とあるので
ミリタリーマニアの文章かと思いきや、
ミリオタではあるけれど昭和9年うまれの筆者が戦中に読んだSF戦記ものを中心して、
明治大正から昭和に書かれた冒険軍事小説に登場するスーパー兵器(おもに戦艦)を真剣に論じています。

ほとんどヨコジュンの「SFこてん古典」ミリタリー版といった趣ですが、
「SFこてん古典」と違うところは、
リアルタイムで読んでいた人の熱い思いが溢れているところ。
「SFこてん古典」も熱いのですが、リアタイの人にはかなわない。

「当時の少年読者を興奮させた…」とある文章中の少年たちには
当然この筆者自身も含まれるわけで、
好きなものを縦横無尽にこの御年(連載時74歳ぐらい、現在83歳?)で
書くことができる喜びが伝わってきます。
「空想は自由でも、もうすこしリアリティが欲しい」と、言わずもがなの愚痴もほほえましい。

こちらも、相変わらず東宝版「海底軍艦」や円谷「マイティ・ジャック」、
アンダーソンプロ「サンダーバード」に心ときめかせているのだから、先達の心意気や見習うべし。

ところで、「ノーチラス号」の章の中で「アナロックス教授」とあるのは、
「アロナックス(またはアロナクス)教授」の誤植でしょう。
フランスの潜水艦の名称が宝石からとられていたというエピソードの最後を
「玉石混淆」というオチで締めたのにもかかわらず(出囃子が聞こえてきそう)、
誤植という石は誤算でしたネ。

光人社NF文庫はときどきこういう本を出していて、
これはトンデモ発想の戦闘機などを紹介したもの。
だいたい試作機あたりでボツになっていることが多いみたい。



海底軍艦

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