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旅芸人のいた風景 など

2016年09月27日 | ノンフィクション
2016年9月25日
「旅芸人のいた風景 遍歴・流浪・渡世」(沖浦和光 河出文庫)。
読んでいて、ふと連想するのは横溝正史「獄門島」に登場する3人娘、とくに末娘の月代のこと。
加持祈祷を趣味(?)にする月代の巫女姿は、「第十五章山狩りの夜」で読めます。
この月代の母親は中国筋を流していた旅回りの女役者で加持祈祷もこなす、という設定。
「旅芸人~」には播州の役者村高室のことが出ている。
高室には元禄期に陰陽師が流れ着き、やがて村人は加持祈祷や門付けを生業とするようになる。
幕末期には歌舞伎を演じて巡業する村になったのでは、とある。芝居と加持祈祷は同根だったのですね。
すると正史はどこでこんな設定を思いついたのか。戦後、高室の研究が本になったのは80年台だそう。

やはり正史「悪魔の手毬歌でも、若い頃の青柳リカは三味線弾きだったという設定が、
じつは重要な伏線になっていたわけです。
横溝正史作品における被差別芸人の位置なんてのも興味深いところです。
ところで「獄門島」の「釣り鐘の力学」は「吾輩は猫である」の寒月君による「首吊りの力学」ですね、きっと。

「滑稽の研究」(田河水泡 講談社学術文庫)は途中放棄。
翁の挿絵やほかの漫画家の作品のほうが文章より面白いと思うことが申し訳なし。
「死の鳥」(ハーラン・エリスン 早川SF文庫)、
超技巧文体(そのわりにアイデアは普通のような)には、平伏するしかないです。
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