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新訳 絞首台の謎 その1

2017年11月07日 | JDカー
おもしろかった。
「夜歩く」「蝋人形館の殺人」と同じく、都市を舞台にして(しかも街の名前がテーマ)、
独身時代のカーがやっていた夜遊び、女遊びをネタにしたんですかねえ。
不思議と戦前の乱歩の通俗長編や正史の由利先生ものを思い出します。
小さい人が出てくるところなんぞ、乱歩だなあ。

カーのアマチュア時代の総決算として、伝統的な探偵小説のフォーマット(その分古くさい)
を使った作品を書いてみた、というところか。

解説にあるとおり、探偵バンコランのキャラクターが際だっている反面、
かれに対抗しうる悪魔的(遊戯的)犯人の登場はここまで。
後の2作は、地味でリアルな犯行にふさわしい無辜の犯罪者(?)なので、
バンコランのキャラクターが空回り気味。
「髑髏城」でバンコランの厭味の矛先をライバル探偵に向けてみたものの、
毎回ライバルを登場させるわけにもいかず、
「蝋人形館の殺人」でバンコランの登場は打ち止めに。
してみると、バンコランに三行り半をつきつけたのは、
近代化した犯罪者たち、ということか。
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