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幻の名探偵

2013年05月22日 | ミステリ
なぜか、立て続けに古臭い探偵小説を読むはめになってますが。

光文社文庫のアンソロジーですが、
これ、論創社で刊行されている論創ミステリ叢書の
ショーケースみたいになってます。

「拾った和同開珍」甲賀三郎
「蒔かれし種」あわぢ生(本田緒生)
「素晴しや亮吉」山下利三郎
「古銭鑑賞家の死」葛山二郎
「競馬会前夜」大庭武年
「麻雀殺人事件」海野十三
「医学生と首」木々高太郎
「青い服の男」守友恒

山下利三郎は江戸川乱歩と同時に探偵作家活動をスタートさせましたが、
いつのまにかフェイドアウト、
普通小説の書き手として再スタートしたものの目が出ず、
乱歩のところに口利きを頼んできた、という乱歩の話を思い出しました。
乱歩が正史に相談したところ、
「あんな硯友社ばりではダメだ」みたいなことを言われたとも。
文体が古臭かったんですかねえ。

久しぶりに海野十三を読んだら、ずいぶんハッチャけてたんですね。
ちょっと間が抜けた感じの帆村荘六が好きです。

この本で最大の収穫は守友恒。
短編なので、探偵黄木陽平(おぎ・ようへい、と読むそうです)が
作者代わりの説明役になってしまったうらみはありますが、
この作品は、ディクスン・カーの超有名作と同じプロットを使ってます。
発表が昭和14年なので「魔棺殺人事件」からの影響が大きいのかも。
守友恒探偵小説選 (論創ミステリ叢書) を買ってこなければ。
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