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●《岸田新内閣が…発足したが、その陣容をみると原発推進派が要職に就いており、今後のエネルギー政策で「原発回帰」が強まるとの見方》

2021年10月25日 00時00分50秒 | Weblog

[※ 野党共闘 市民連合と政策合意 (週刊金曜日、2021年9月17日1345号)↑]


(20211017[])
長周新聞の記事【自民党が原発に固執する理由 核武装願望&米国の核戦略 岸田内閣を歓迎する原子力ムラ】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21947)。

 《岸田新内閣が4日召集の臨時国会で発足したが、その陣容をみると原発推進派が要職に就いており今後のエネルギー政策で「原発回帰」が強まるとの見方が広がっている。福島第一原発事故から10年が経過した。国民世論は圧倒的多数が原発からの撤退を求め、再稼働や新増設に反対している。また54基の原発がすべて稼働を停止していた期間を含めて、原発が止まっても電力供給にはほぼ支障はなかった。さらに世界的に原発撤退の流れが進み、安倍政府が掲げた原発輸出戦略ことごとく失敗し、東芝や日立、三菱などは大きな経営的な打撃を受けたどこから見てもエネルギー源としての原発は必要ないにもかかわらず、執拗に原発に固執するのは、原子力の「平和利用」と「軍事利用」は同一技術であり、いつでも核兵器製造に転用できるという理由がある。1955年に日米原子力研究協定を締結して以来、日本は核兵器保有を意図して原発を推進してきたことがあらためて浮き彫りになっている。…こうした発言からも、戦後一貫して日本政府がアメリカの核戦略の一翼を担う形で核武装を意図し続けておりそのための原発建設であったことが浮き彫りになっている》。

   『●核発電「麻薬」中毒患者の覚めぬ悪夢…《安全神話、
       経済神話、クリーン神話-三つの神話》を脱却できず

 《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(内橋克人さん)。先日亡くなった内橋さんは見事に喝破している。内橋克人さんは「集団的自衛権の先に待っているのは、核兵器を持って抑止力にしようという政策原発はプルトニウムをつくる装置でもあり、原発を止めることは日本の核武装に待ったをかけることだ」と訴えた》(アサヒコム【「川内原発再稼働に反対」東京で集会 5500人参加】、2014年6月29日)
 「原子力の平和利用」という核発電への幻想…。

   『●「原子力の平和利用」という核発電への幻想…「原発は『プルトニウム
         をつくる装置』」(内橋克人さん)にこだわる周回遅れのニッポン

 「核=悪」、「原子力=善」を使い分けてきた我国、世界でも稀なその独特の心理。でも、その本質は全く同じであり、「核兵器=原子力発電」。ヒロシマナガサキの「被害者」としての感情の陰に、戦争の加害者としての反省が曖昧にされたこと。そして、東京電力原発人災で核技術の加害者」となったことへの戸惑い。
 (烏賀陽弘道さん)《兵器としてアメリカで生まれ、ヒロシマに落とされた「核」。その双子の兄弟「原発」……》。そう両者は双子の兄弟。《アメリカは、臨界状態をつくり出して自然の中に眠っていた核エネルギーを引っ張りだすところから始まって、原爆をつくり、爆発させ、原子炉に閉じ込め、それを発電所に設置しそれが全国や世界に普及していくところまで、全部ひとつながり》。核分裂のエネルギーを放出させるか、原子炉の中に閉じ込めるかの違いであり、原理的には全く同じ。
 《核兵器をタブーの領域に押し込めた。双子の兄弟の一人をいないこと」にしてしまった。原発と核兵器の「血のつながり」を論ずることはタブーになった》。

   『●烏賀陽弘道さん『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』読了

 最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。そして、最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か? それから、いま噂の幹事長殿・甘利明氏も…。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
        遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》

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https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21947

自民党が原発に固執する理由 核武装願望&米国の核戦略 岸田内閣を歓迎する原子力ムラ
2021年10月11日

 岸田新内閣が4日召集の臨時国会で発足したが、その陣容をみると原発推進派が要職に就いており今後のエネルギー政策で「原発回帰」が強まるとの見方が広がっている。福島第一原発事故から10年が経過した。国民世論は圧倒的多数が原発からの撤退を求め、再稼働や新増設に反対している。また54基の原発がすべて稼働を停止していた期間を含めて、原発が止まっても電力供給にはほぼ支障はなかった。さらに世界的に原発撤退の流れが進み、安倍政府が掲げた原発輸出戦略ことごとく失敗し、東芝や日立、三菱などは大きな経営的な打撃を受けたどこから見てもエネルギー源としての原発は必要ないにもかかわらず、執拗に原発に固執するのは、原子力の「平和利用」と「軍事利用」は同一技術であり、いつでも核兵器製造に転用できるという理由がある。1955年に日米原子力研究協定を締結して以来、日本は核兵器保有を意図して原発を推進してきたことがあらためて浮き彫りになっている。


新内閣固める原発族議員  被爆国を利用する米国

 岸田新内閣の陣容で、電力業界がもっとも歓迎しているのは甘利幹事長だ。甘利は2006年の第一次安倍内閣から08年の福田内閣まで経済産業相を務め、経産省有力幹部のほか、電力、ガス業界などエネルギー業界に幅広い人脈を持った「原子力ムラのドンの一人として有名だ。4月に結成された原発の建て替えや新増設を推進する自民党議員連盟の呼びかけ人でもあり、安倍晋三らとともに顧問に名を連ねている。同議連は総裁選前の9月15日に会合を開き、経産省が今年7月に公表したエネルギー基本計画の原案を撤回し、原発のリプレース(建て替え)を明記するよう求めることを決議した。

 さらに山際経済再生担当相は国会で「原発を使い倒さなければカーボンニュートラルはできない」とのべるなど原発推進の急先鋒となってきた。高市政調会長は総裁選では「小型の新型原子炉の開発を加速」させるよう主張し、高木国対委員長は甘利が顧問を務める議連の一員として新増設や老朽原発の運転期間の延長などを主張した。

 岸田新内閣は今秋にも新エネルギー基本計画を閣議決定する予定だが、こうした原発推進派が要職についており、新増設やリプレース容認に転換するのではないかとの見方が強まっている。

 福島第一原発で世界最悪レベルの事故を起こしながら、なぜどこまでも原発推進にこだわるのか――それは日本の原子力政策の根幹にかかわる問題である。

 日本の原子力政策はアメリカの核戦略と深く結びついている。アメリカは世界で最初に原爆を製造し、人類史上初めて広島と長崎の人々の頭上に投下した。「マンハッタン計画」と呼ばれる原爆製造の過程から副産物として産まれたのが原発技術だ。1949年にソ連が初めて核実験に成功すると、アメリカは翌年の1950年から日米原子力協定の交渉を開始し、1955年に日米原子力研究協定を締結する。

 アメリカはこの協定で、本来戦勝国にしか認めていない核物質の実験や取り扱いを「平和利用」を掲げて日本に認めた。ちなみにこの協定は日本の国会では一度も審議されることなく決まった。

 アメリカが日米原子力協定を締結した目的は日本に核兵器開発と核戦略の一翼を担わせるためであり、日本側には核兵器を保有するという思惑があった。

 日米原子力協定では、核燃料サイクル技術を日本に認めている。原発でウランを燃やし、その使用済み燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、そのプルトニウムを高速増殖炉の燃料として燃やすというものだ。現状ではほとんど破たんしているが、重要なのは天然ウランを原子炉の燃料にするためのウラン濃縮技術や使用済み燃料からプルトニウムを抽出して再利用する再処理技術で、これらは核兵器への転用が可能な技術だ。

 天然ウランは核分裂しにくいウランが大半で、0・7%程度の核分裂しやすいウランを原発で燃やせるように濃度を3~5%に高めたのが低濃縮ウランである。その濃度を20%以上に高めた高濃縮ウランは核兵器に使われる。広島型原爆「リトルボーイに使われた。

 また、核分裂しにくいウランも原子炉内で燃やせば自然界には微量しか存在しないプルトニウムができる。原発で燃やした使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを抽出し再利用する。これは長崎型原爆「ファットマンに使用された。

 日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムをとり出し、現在約46㌧を国内外で保有している。敗戦国にもかかわらず日本がこれだけ大量のプルトニウムの保有が可能になっているのは、アメリカが容認しているからだ。核保有国以外でこれほどのプルトニウムを保有しているのは日本だけで、諸外国からは事実上の核兵器保有国とみなされている

 日本の電力業界は「日本が保有しているプルトニウムは“原子炉級”であり、“兵器用”には適さない」と主張してきた。プルトニウムの同位体のなかで、核分裂の連鎖反応を起こしやすいのがプルトニウム239で、アメリカ政府はこれが93%以上のものを「兵器級」、そこまで高くないものを「原子炉級」などと分類している。

 だが、1997年に米エネルギー省が発表した報告書では原子炉級プルトニウムでも、より高度の設計技術を用いればより大きな破壊力を持つ核兵器が生産可能と結論づけている

 IAEAもプルトニウムが原子炉級、兵器級にかかわらず、一発の核爆弾がつくれる可能性がある量を8㌔としている。日本は約46㌧のプルトニウムを保有しており、6000発の核爆弾が製造可能ということになる。

 1974年にはインドがカナダから導入した民生用の研究用原子炉からプルトニウムをとり出して核実験を成功させ、核兵器を開発しており、日本の核兵器開発は物理的に可能である。


歴代の自民党幹部 繰り返される核武装発言

 敗戦後アメリカに単独占領された日本の歴代政府が「核兵器保有は合憲」との発言をくり返しているのを見ても、原発が核兵器製造と密接に結びついていることがわかる。

 1957年に岸信介総理大臣は参議院予算委員会で「核兵器と名前がつけば憲法違反かというと、憲法の解釈論としては正しくない」と答弁し、「核兵器保有は合憲」との認識を示した。

 1964年に中国が初の核実験に成功すると、当時の佐藤栄作政府は1969年に西ドイツとのあいだで核保有の可能性を探る会合を持っている。

 1970年には中曽根防衛庁長官が核武装について日本の能力を試算し、「(当時の金で)2000億円、5年以内で核武装できるが、実験場を確保できないため現実には不可能」との結論に達したと明らかにした。ちなみに当時の防衛費は4800億円。

 1971年には石原慎太郎参議院議員が「(核兵器が)なければ日本の外交はいよいよ貧弱なものになり、発言権はなくなる」「だから一発だけ持っていてもいい。日本人がなにをするかわからないという不安感があれば、世界は日本のいい分を聞くと思う」と発言した。

 1973年には田中角栄総理大臣が参議院予算委員会の答弁で「自衛の正当な目的を達成する限度内の核兵器であれば、これを保有することが憲法に反するものではないというのが、従来政府がとってきたものだ」とのべた。

 1975年には日本の科学技術庁の原子力担当課長が在京の英国大使館員に「日本は3カ月以内に核兵器の製造が可能」と語り、イギリス政府は大騒ぎになった。

 1978年には福田赳夫総理大臣が参議院予算委員会で「憲法第九条によってわが国は専守防衛的意味における核兵器はこれを持てる。ただ、別の法理により、また別の政策によりそういうふうになっていないというだけのことだ」とのべた。

 1979年には旧ソ連のアフガニスタン侵攻をきっかけとして、「ソ連からの核攻撃の脅威を回避するためには日本も核武装し抑止力を持つべきだ」という主張がおこなわれた。1991年に宮澤喜一は総理就任前に「日本にとって核武装は技術的に可能であり、財政的にもそれほど難問ではない」とのべている。

 1991年にソ連が崩壊し、米ソ2極構造が崩れたのちの2001年に内閣府高官が雑誌のインタビューに「3年で核武装可能」と回答している。

 2002年、安倍晋三官房副長官(当時)は早稲田大学の講演で、「自衛のための必要最小限度をこえない限り、核兵器であると、通常兵器であるとを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではない」とのべた。

 2003年に発表されたアメリカの国防白書は、未来予測のなかで「2050年までに日本が核武装する」としている。

 2005年北朝鮮が核武装を公式に宣言したのをうけて評論家の大前研一は韓国マスコミの「北朝鮮の核保有が最終確認された場合、日本も核武装に動くのか」との質問に対し、「その可能性は大きい。日本はその気になれば90日以内に核爆弾を製造し、ミサイルに搭載できる技術的能力をもっている。われわれはすでに大陸間弾道弾(ICBM)水準のミサイル(ロケット)を保有しており、50㌧以上のプルトニウムを備蓄している。核爆弾2000基を製造できる分量だ。日本はすでに30~40年前、原爆製造に必要なあらゆる実験を終えた。日本が核武装しないのは国民情緒のためだ。9割の日本人が核兵器の開発に反対している。広島と長崎の悪夢のためだ。しかしわれわれが北朝鮮核兵器の実質的脅威を受ける状況になれば世論は急変するはずだ」と答えている。

 こうした発言からも、戦後一貫して日本政府がアメリカの核戦略の一翼を担う形で核武装を意図し続けておりそのための原発建設であったことが浮き彫りになっている。
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●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶

2016年09月24日 00時00分30秒 | Weblog


東京新聞の記事【もんじゅ廃炉へ 政府、年内に結論 核燃サイクルは維持】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201609/CK2016092202000156.html)と、
社説【もんじゅ、廃炉へ 大転換の時代に移る】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016092202000181.html)。

 《「廃炉を含め抜本的な見直しをする」とした。一方で核燃料サイクルは維持し、新設の「高速炉開発会議」で、年末までに今後の方針を出す》。
 《「もんじゅ」がようやく廃炉に向かう。高速増殖原型炉。使用済み燃料を再利用する核燃料サイクルの要の石だ。日本の原子力政策は転換すべきである》。

 東電核発電人災からでさえ5年以上、《九五年にナトリウム漏れ事故》から20年以上、無為な月日を費やし、お金をドブに捨ててきました。予想に反して、プルトニウムを燃やしつつ「増殖」させるという「悪夢」から、ようやく目覚め、「閉じない環」である第2の「環」が終わりを迎えることになりそうです。
 一方で、「閉じない環」である第1の「環」を継続し、プルトニウムを取り出す六ヶ所村の再処理工場の稼働を目指すことを続けるそうだ。恐ろしいリスクを抱えつつ、瀕死の「ホワイト・エレファント」にエサを与え続け、エサ代を支払い続けるつもり。「もんじゅ」という悪夢に目覚めるのにこれだけの月日を費やし、誰も責任をとらず…、「第1の閉じない環」の悪夢からいつ目ざめるのだろうか? あまりに愚かすぎる。

   『●原発人災、犯罪者を追求すべし:  
      なぜ自民党議員は口を閉ざし、マスコミは黙り込むのか?
   『●原子力ムラは土台から腐ってる
    「河野太郎氏のブログより…」
    《やっぱり日本の原子力の土台は腐っていた
     自民党本部に九大、東工大のエネルギー、原子力関係の教授を
     招いて、原子力関連の人材育成についてのヒアリング…
     あきれるというよりも、その象牙の塔ぶりに笑いが出た…
     シビアアクシデント対策とか、放射性物質の除去とか、
     核のゴミの処分や廃炉のために必要な人材を供給しよう等
     ということは一言もない
     もちろん、使命感や倫理感に欠けた人材を供給してきたこと
     に対する反省など全くなし
     こういう人間達に、原子力を任せたくないし、こういう人間達に、
     原子力に関わる人材育成を任せたくない。
     日本の原子力、根底の根底からおかしい

   『●湯水のごとくカネ浪費:核燃料サイクルに十二兆円を
       ドブガネし、今後も毎年千六百億円ずつ増えていく悪夢

   『●「もんじゅ」の知恵ではなく、 
      「絵に描いた餅」に「一日当たり五千五百万円」!
   『●もんじゅ「エサ代」の無残さ: 《ナトリウムを使う
      原子炉の解体技術は確立されておらず》…無責任過ぎる
   『●全く知恵の無い「もんじゅ」は発電もせずに、
      「年間の電力消費量は一般家庭約二万五千世帯分にも上る」
   『●核燃サイクル=「ホワイト・エレファント… 
     私たちはいつまで、エサ代を払い続けなくてはならぬのか」?
   『●「夢の高速増殖炉」もんじゅ、「夢から覚める時が来た」
                 ……とっくに目覚めの時は過ぎている
   『●談合: 原子力「ムラ寄生」規制委員会から運営交代を
             申し付かったあの日本原子力研究開発機構
   『●「核兵器廃絶」に対するニッポンの歯切れの悪さ…
       原発は『プルトニウムをつくる装置』、双子の兄弟の一人
   『●高速増殖炉もんじゅ…ニッポンでは、
       巨額の「エサ代」を支払い続けるつもりらしい
   『●「(悪)夢の高速増殖炉」もんじゅの延命に向かって着々と
                   …ドブガネという巨額の「エサ代」は続く
   『●ナトリウムを取り扱う技術を持つ日本原子力研究開発機構…
                   ナトリウムを使う原子炉の解体技術は?
   『●NHK解説委員長、原発は人間の手に負えないモンスター…
                 「アベ様のNHK」発の核発電政策への波紋

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201609/CK2016092202000156.html

もんじゅ廃炉へ 政府、年内に結論 核燃サイクルは維持
2016年9月22日 朝刊



(↑すいません、コピペさせて頂きました
  『もんじゅを巡るこれまでの主な動き』
  【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201609/images/PK2016092202100047_size0.jpg】)

 政府は二十一日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について関係閣僚会議を開き、「廃炉を含め抜本的な見直しをする」とした。一方で核燃料サイクルは維持し、新設の「高速炉開発会議」で、年末までに今後の方針を出す。もんじゅにはこれまで国費一兆円以上をつぎこんだ。再稼働には数千億円の追加費用が必要。成果を得られないまま幕引きとなる。

 菅義偉官房長官は閣僚会議で「高速炉開発は、原発の新基準の策定など大きな情勢変化がある。本年中に、高速炉開発会議で、廃炉を含めて抜本的な見直しを行う」と述べた。

 核燃料サイクルは、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、再利用する。プルトニウムを燃やすもんじゅはサイクルの柱だもんじゅに代わるものとして、フランスとの共同開発や、実験炉「常陽」(茨城県大洗町、停止中)の再稼働が検討される

 廃炉も容易ではない。もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構の試算によると、三十年の期間と三千億円の費用がかかる。地元の福井県には、松野博一文部科学相が陳謝し、直接出向いて事情を説明した。

 もんじゅは、消費した以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」とされた。半面、危険なナトリウムを冷却材に用いる必要があり、構造も複雑。一九九四年に本格稼働したものの九五年にナトリウム漏れ事故を起こして停止した。その後もトラブルが相次ぎ、稼働日数は二百五十日にとどまる。停止状態でも一日あたり約五千万円の維持費が必要だ。

 原子力規制委員会は昨年十一月、約一万点の機器点検漏れなどを受け、所管する文部科学省に新しい運営組織を示すよう勧告した。運営主体は、動力炉・核燃料開発事業団に始まり、すでに二回変更されている。文科省は新しい受け皿を探したが、電力会社は難色を示し、引き受け手はなかった。


◆核燃、既に12兆円 本紙調べ

 高速増殖原型炉「もんじゅ」を中心とした核燃料サイクルには、少なくとも十二兆円以上が費やされてきたことが本紙の調べで判明している。施設の維持・運営費で年間約千六百億円が新たにかかる

 本紙は一九六六年度から二〇一五年度までのもんじゅや再処理工場、取り出したプルトニウムを再利用する混合酸化物(MOX)燃料工場、高レベル廃棄物の管理施設の建設費や運営費、必要になる廃炉・解体費などを積算した。立地自治体への交付金も足しているが、通常の原発向けと判別が難しい場合は、全額を除外している。

 その結果、判明しただけで総額は計約十二兆二千二百七十七億円。主なものでは、もんじゅは関連施設なども含めると約一兆二千億円。青森県六ケ所村にある再処理工場はトラブル続きで稼働していないが、七兆三千億円かかった。

 核燃サイクルのコストを巡っては、電力会社などでつくる電気事業連合会が〇三年、建設から最終処分までの総額は約十九兆円と試算している。


<もんじゅと核燃料サイクル> 普通の原発は、主な燃料に「燃えるウラン」を使う。それに中性子をぶつけて、核分裂の連鎖反応を起こし、生じた熱を取り出し、タービンを回して発電する。

 もんじゅでは、主な燃料がプルトニウム。中性子を高速でぶつけ、燃料周囲に置いた「燃えないウラン」をプルトニウムに変える。燃料が増えるので、「高速増殖炉」の名がある。

 中性子を減速させないよう、炉内は水ではなく、高温の液体金属(ナトリウム)で満たされている。ナトリウムは水などと激しく反応し危険だ。

 核燃料サイクルは、原発で燃やした使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、もう一度高速炉で燃やそうという試み。青森県六ケ所村に、巨費を投じて再処理工場が建設されている。だが高速炉がいつまでもできないので、普通の原発にプルトニウムを含む燃料を装填(そうてん)する「プルサーマル」が行われている。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016092202000181.html

【社説】
もんじゅ、廃炉へ 大転換の時代に移る
2016年9月22日

 「もんじゅ」がようやく廃炉に向かう。高速増殖原型炉。使用済み燃料を再利用する核燃料サイクルの要の石だ。日本の原子力政策は転換すべきである。

 原発停止、火力による代替が長引くと、石油や天然ガスの輸入がかさんで「国富」が消えていくという。

 だとすれば、展望なき核燃料サイクル計画による長年の国費の乱用を、どのように説明すればいいのだろうか

 原発で使用済みの燃料からウランとプルトニウムを取り出す再処理を施して、新たな核燃料(MOX燃料)にリサイクルして、もんじゅでまた燃やす-。それが核燃料サイクル計画だった。


◆色あせた原子力の夢

 もんじゅは、計画の要とされた新型の原子炉で、理論上、燃やせば燃やすほどリサイクル燃料が増えていく“夢の原子炉というふれ込みだった。

 現在の運営主体は、文部科学省が所管する独立行政法人の日本原子力研究開発機構、正真正銘の国策である。

 一九七〇年代の計画当初、もんじゅにかかる費用は、三百五十億円という見積もりだった。

 ところが、ふたを開けると、深刻なトラブルが相次ぎ、費用もかさむ。本格稼働から二十二年、原子炉を動かせたのは延べわずか、二百数十日だけだった。

 そんな“夢”というより“幻”の原子炉に、政府は一兆円以上の国富を注ぎ込んできた止まったままでも、もんじゅの維持には年間二百億円という費用がかかる

 冷却材として、水ではなくナトリウムを使うのが、高速炉の特徴だ。ナトリウムは固まりやすく、停止中でもヒーターで温めて絶えず循環させておくことが必要だ月々の電気代だけで、一億円以上になることも


◆飛べない鳥のように

 発電できない原発が、日々大量に電気を消費する。むだづかいを通り越し皮肉と言うしかないではないか。

 米国や英国、ドイツは九〇年代に、高速増殖炉の実験から手を引いた。もんじゅでナトリウム漏れ事故が発生し、当時の運営主体による隠蔽(いんぺい)が指弾を浴びた九五年、日本も夢からさめるべきだった

 青森県六ケ所村の再処理工場も九三年の着工以来二十三回、完成延期を繰り返し、建設費用は当初の三倍、二兆円以上に膨らんだ核燃料サイクルという国策も、ほとんど破綻状態なのである。

 二〇一〇年策定の国のエネルギー基本計画は、高速増殖炉を「五〇年より前に実用化する」とうたっていた。ところが一四年の計画からは目標年が消えていた。

 政府の中でも、もんじゅは終わっていたのだろうか。

 それなのに、廃炉の決断は先延ばし。科学の夢を塩漬けにする愚を犯しただけでなく金食い虫の汚名を着せて放置した。その責任は軽くない。

 プルトニウムは核兵器に転用できる。日本は日米原子力協定で、非核保有国では例外的に、プルトニウムを取り出す再処理を認められてきた。政界の一部には「特権を手放すべきではない」との声も根強くある

 日本は現在、四十八トン、長崎型原爆六千発分とも言われるプルトニウムを国内外に保有する。

 核不拡散を主導する米国も、再来年に迫った協定の期限を前に、日本の「核の潜在力」に対する警戒感を強めている。

 プルトニウムは増殖どころか、そもそも減らすべきものなのだ。

 日本はおととし、ランスが、核廃棄物の減量や無害化をめざして開発を進める高速炉「ASTRID(アストリッド)」への技術協力に合意した。核燃料サイクルのシステム自体、減量に軸足を移すべきである。

 3・11を経験した日本で、もはや原発の新増設などあり得まい。これ以上ごみを増やさないように脱原発依存を進めるべきである。しかし、最終処分場の選定が容易ではない以上、保有するプルトニウムや、一時保管されている、すでに出た使用済み核燃料を減らす技術は必要だ。

 先月に再稼働した四国電力伊方原発3号機のような、MOX燃料を通常の軽水炉で燃やすプルサーマル発電だけでは、とても追いつかない。


◆雇用や経済は維持を

 廃炉にしたもんじゅの設備を核廃棄物減量の研究拠点に転用できれば、地元の雇用や経済は維持できる。もんじゅと共生してきた自治体も納得できるに違いない。

 いずれにしても、もんじゅがなければ、核燃料サイクルは根本的に行き詰まり、日本の原発政策の大前提が崩れ去る。

 それは、核のごみを増やせない時代への転換点になる。
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●核発電所は『プルトニウムをつくる装置』…《核兵器六千発分相当の四十八トンを抱える》ニッポン

2016年03月29日 00時00分59秒 | Weblog


東京新聞の記事【減らぬ日本のプルトニウム 米、核再処理に懸念】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016032702000121.html)。

 《米国で三十一日に始まる核安全保障サミットを前に、原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再利用する核燃料サイクル事業に米国が神経をとがらせている。背景にあるのはオバマ大統領が問題視するプルトニウムの大量保有だ。核兵器六千発分相当の四十八トンを抱える日本は核燃料サイクル事業実現で減らすと強調するが、めどが立たない現状に米国が疑問を呈した形だ》。

 核発電所は『プルトニウムをつくる装置』…プルトニウムの蓄積・核兵器転用=世界は「それも」怖れている。内橋克人さんは、「集団的自衛権の先に待っているのは、核兵器を持って抑止力にしようという政策原発はプルトニウムをつくる装置でもあり、原発を止めることは日本の核武装に待ったをかけることだ」と訴えました(『●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、「風船爆弾」が語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~』)。

 アメリカ合州国大統領を目指すトランプ氏からニッポンは御墨付きを頂けたようです。東京新聞の記事【トランプ氏、日韓の核保有容認も NYタイムズ電子版】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016032701001147.html)によると「日本と韓国の核保有を容認することもあり得るとの考え」だそうです。ハハハッ、アタマダイジョウブデスカ? アベ様が泣いて喜びそう。歴代自民党の皆さんが核発電、核燃料サイクルに拘り続けたその成果でしょうね。哀しい国です。HIROSIMA・NAGASAKI・FUKUSIMAは一体何だったのでしょうか。

   『●原発再稼働と「軍産複合体国家・米国の商売」と
      「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」

   『●核燃サイクル=「ホワイト・エレファント…
     …私たちはいつまで、エサ代を払い続けなくてはならぬのか」?

   『●湯水のごとくカネ浪費:核燃料サイクルに
     十二兆円をドブガネし、今後も毎年千六百億円ずつ増えていく悪夢
   『●プルトニウム報告漏れ: 「疑念」ね~?、 
     目的あっての「隠蔽」??・・・っていうのは穿ち過ぎ???
   『●核発電所は『プルトニウムをつくる装置』…
       プルトニウムの蓄積・核兵器転用=世界は「それも」怖れている

 「冷戦期に英米仏が日本に提供した研究用プルトニウム331キロ」は何のため? 何の「研究」なのか?

   『●烏賀陽弘道さん
     『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』読了
    《核兵器をタブーの領域に押し込めた。双子の兄弟の一人を
     「いないこと」にしてしまった。原発と核兵器の「血のつながり」を
     論ずることはタブーになった》

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016032702000121.html

減らぬ日本のプルトニウム 米、核再処理に懸念
2016年3月27日 朝刊

     (研究用プルトニウムや高濃縮ウランを積み米国に向け
      出航した輸送船「パシフィック・イグレット」(中央)
      =22日、茨城県東海村沖で)

 【ニューヨーク=北島忠輔】米国で三十一日に始まる核安全保障サミットを前に、原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再利用する核燃料サイクル事業に米国が神経をとがらせている。背景にあるのはオバマ大統領が問題視するプルトニウムの大量保有だ。核兵器六千発分相当の四十八トンを抱える日本は核燃料サイクル事業実現で減らすと強調するが、めどが立たない現状に米国が疑問を呈した形だ。

 米上院外交委員会が十七日に開いた公聴会。国務省で国際安全保障や核不拡散を担当するカントリーマン次官補は「再処理事業に経済的合理性はなく、核の安全保障と不拡散に懸念をもたらす。すべての国の撤退が喜ばしい」と言い切った。AP通信は「異例の踏み込んだ発言」と報じた。

 オバマ氏は「テロリストの手に渡らないよう努力している分離済みプルトニウムのような物質を絶対に増やし続けてはいけない」と述べている。

 一九七七年に再処理事業から撤退した米国は他国の参入を止める一方、日本には一九八八年に定めた日米原子力協定で例外的に認めた。協定期限は二〇一八年七月。いずれかが再交渉を求めなければ自動更新される。米国には期限前に問題提起する狙いがあった。

 背景には事業を請け負う認可法人を設ける日本側の法制定の動きが指摘されている。鈴木達治郎・長崎大教授は「法律は、使用済み核燃料が出たら再処理費用を積み立てると規定。必要以上に持たないとの合意に反すると米側がみなした可能性がある」と話す。

 公聴会で民主党のマーキー上院議員は「(事業認可を求める)韓国の後追いを促し、北朝鮮の核保有を防ぐ米国の努力を台無しにする危険がある」と更新交渉の必要性を指摘した。


<米国のプルトニウム回収> オバマ大統領は2009年、「核なき世界」を訴えたプラハ演説で、各国が保有する核物質がテロなどに悪用されるのを防ぐため、管理を強化する考えを示した。日本やドイツ、ベルギー、イタリアなどにあるプルトニウムが対象となっている。

 日米は14年の核安全保障サミットで、冷戦期に英米仏が日本に提供した研究用プルトニウム331キロの返還に合意。今月22日に英国の輸送船が茨城県東海村を出港した。ところが運搬先のサバンナリバー核施設がある米サウスカロライナ州の知事が「住民の安全と環境保護のために受け入れられない」と反発。5月ごろに到着する輸送船が滞留する恐れが出ている。
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●原発再稼働と「軍産複合体国家・米国の商売」と「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」

2015年09月14日 00時00分55秒 | Weblog


asahi.comの記事【室井佑月「アメリカの脅威の話は、もう避けて通れない」】(http://dot.asahi.com/wa/2015090200103.html)。
東京新聞の社説【核燃料サイクル なぜこだわり続けるの】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015090702000132.html)。

 「再稼働したばかりの川内原発で、復水器に海水が混じり込むトラブルがあった。ニュースを聞いたときそれほど驚かなかったのは、慶応大学教授の金子勝さんから、「最低でも4年間停止した原発の運転が再開されたのは、世界で14基。そのすべてが運転再開後にトラブルに遭っている」(国際原子力機関や米国、カナダの規制当局のデータ)ということを教えてもらっていたからだ」。
 この数字に慄いた!! 大竹まこと ゴールデンラジオで大竹さんと室井佑月さんと金子勝さんとの会話で、この話を聞いていたので、ブログに書かないと、と思っていたところでした。

   『●川内原発再稼働: 「経済麻薬」=思考停止、
       「他の方法で経済発展する手を考えることを放棄させる」


 ……「が、メディアはこのことに触れず(東京新聞がちょろっと触れていた)。ほかの野党も、そこの部分にはそれほど突っ込まない。それほどあの国は恐ろしいのか?……各国が抑止力のために、飢えている国民をほっといても、競争するみたいに軍費に金をつぎ込むことは、正しいことなのか?
 「戦争」に参加して「商売」しましょう、という浅ましさ。死の商人山岡俊介さん曰く、「軍産複合体国家の米国商売としての戦争にわが国が引きずり込まれる…」ことの怖さ、そして、それに向かい「ハタ振る」自公支持者や財界卑しさ

   『●山岡俊介さん「軍産複合体国家の米国の
       商売としての戦争にわが国が引きずり込まれる・・・」


 「核燃料サイクルは、経済的にも技術的にも、とうに破綻しているのではないか。なのに、今さら国が関与を強め、電力会社に維持させたいのはなぜか。再処理にこだわり続けるのは、なぜなのか」。
 回らない核のサイクル。それでも、原子力発電=核発電を続け、「再処理にこだわり続けるのは、なぜなのか」? 内橋克人さんは「原発は『プルトニウムをつくる装置』」だと喝破。

   『●プルトニウム報告漏れ: 「疑念」ね~?、
     目的あっての「隠蔽」??・・・っていうのは穿ち過ぎ???

   『●核のゴミと云う地獄:「王様は裸」
   『●「回らない核のサイクル」六ヶ所村: 
       どちらも「地獄」という二択だったのか?
     「長崎の原爆は、プルトニウム型である
      抽出技術は今も昔も変わらない。/日本は、
      中曽根・レーガン関係で結んだ日米原子力協定で、
      核兵器を持たない国では唯一、再処理を認められてきた
      /ただし、抽出、精製したプルトニウムの粉末は、
      一対一の割合でウランを混ぜて保管することになっている
      濃度が高いほど、兵器に転用しやすいから。」

   『●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、
     「風船爆弾」が語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~

     「……内橋克人さんは「集団的自衛権の先に待っているのは、
      核兵器を持って抑止力にしようという政策
      原発は『プルトニウムをつくる装置』でもあり、
      原発を止めることは
      日本の核武装に待ったをかけることだ」と訴えた」

 ニッポンのシビリアンは……「中谷元・防衛相は……「核兵器の運搬も法文上は排除していない」」、そして、武器輸送・弾薬輸送はOK。武器の提供はNG、でも、弾薬の提供もOK、だそうです。「弾薬は武器ではない、その武器ではないもののなかに、ミサイルも入る(と言う)。それに核弾頭が載っていてもそれが(輸送可能な弾薬の範囲に)入るという。安倍内閣は、武器輸出三原則などを大胆に緩和をしていて、非核三原則があります、(だから輸送しない)と言っても、ほとんど説得力をもたない」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/39e29c617eb397df19a718406be3074a)。

   『●戦争法案・壊憲法案では核兵器も「弾薬」と解釈、
              つまり、何でもできる「積極的平和主義」


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http://dot.asahi.com/wa/2015090200103.html

室井佑月「アメリカの脅威の話は、もう避けて通れない」
 (更新 2015/9/ 4 07:00)

    (あの国は恐ろしい?)

 参院特別委員会で審議中の安全保障関連法案。作家の室井佑月氏は、アメリカが法案に影響していることをきちんと国民に伝えるべきだという。

 *  *  *

 再稼働したばかりの川内原発で、復水器に海水が混じり込むトラブルがあった。ニュースを聞いたときそれほど驚かなかったのは、慶応大学教授の金子勝さんから、

   「最低でも4年間停止した原発の運転が再開されたのは、
    世界で14基。そのすべてが運転再開後にトラブルに遭っている

    (国際原子力機関や米国、カナダの規制当局のデータ)

ということを教えてもらっていたからだ。この国は大チャレンジをするつもりだということを。あたしはそんな重要なことを、何人の国民が知っているのかと思った。国が、国民の命や生活をかけた勝負にあっさり踏み込むことも恐ろしいが、重要な真実が広がらない世の中になっていることも恐ろしいと思った。

 さて、話は安保法案に飛ぶのだが、衆議院から参議院の国会審議となって、相も変わらずこの法案がなぜ我が国のためになるのかという野党の質問に、政府はまともに答えない

 8月19日の参議院特別委員会で、生活の党の山本太郎共同代表がこんな暴露をした。

 米国の民間シンクタンクから出たレポート「アーミテージ・レポート」と、この国がやろうとしていることは、「完コピ」(完全コピー)だと。

   「憲法違反の閣議決定から今回の憲法違反の安保法制、
    戦争法制までだけを見たとしても、何だこれ、アメリカの
    リクエスト通り
じゃないか。おまけに原発再稼働、TPP、
    特定秘密保護法武器輸出三原則の廃止
    何から何まで全てアメリカのリクエスト通り
    行(おこな)っている」

   「アメリカ、アメリカ軍の要請、ニーズには憲法を踏み
    にじってでも、国民の生活を破壊してでも、
    真摯に全力で取り組む
って、
    これ、どういうことなんですか?これ、独立国家って
    呼べますか? 完全コントロールされてんじゃないかよ! 
    誰の国なんだこの国は!

 永田町ではみんな知ってることらしい永田町では常識かもしれないが、国民は知らないのだから、この国とアメリカの関係性をもっと教えてもらいたいものだ。その話をきちんとしないと、安保法案を強引に進める理由はいつまでたっても国民は理解できないに違いない。

 が、メディアはこのことに触れず(東京新聞がちょろっと触れていた)。ほかの野党も、そこの部分にはそれほど突っ込まない。それほどあの国は恐ろしいのか?

 安保賛成派は「この国が戦争に巻き込まれないためには抑止力が必要だ」と必ずいう。けど、各国が抑止力のために、飢えている国民をほっといても、競争するみたいに軍費に金をつぎ込むことは、正しいことなのか? 「この国が世界におけるリーダーシップを……」というならば、堂々と世界に向けて正しい提言をしていけばいい。しかし、それはしない。その理由として、あの国の脅威の話は、もう避けて通れないように思う。

週刊朝日  2015年9月11日号
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015090702000132.html

【社説】
核燃料サイクル なぜこだわり続けるの
2015年9月7日

 核燃料サイクルは、経済的にも技術的にも、とうに破綻しているのではないか。なのに、今さら国が関与を強め、電力会社に維持させたいのはなぜか。再処理にこだわり続けるのは、なぜなのか

 使用済みの核燃料、つまり核のごみに再処理を施して、原爆の材料にもなり得るプルトニウムとウランを取り出し、もう一度燃料として利用する-。それが核燃料サイクルだ。

 このリサイクルの輪が閉じてこそ、核の平和利用という国策は完成される。ところがその国策は、入り口でもうつまずいた。肝心の再処理工場青森県六ケ所村)完成のめどが立たない。

 当初は一九九七年の完成予定が、今は来年の三月と、二十二回も先送りされている。七千六百億円と見込まれた建設費用は、二兆二千億円にも膨らんだ

 再処理工場を運営する日本原燃は、原発を持つ電力十社が共同で設立した株式会社で、事業費は電力会社が積み立てている。

 今は「総括原価方式」で、その費用を電気料金に上乗せできる。しかし来年四月に電力の小売りが完全に自由化されると、地域独占の壁が崩れて、お互いが競争相手になり、料金値下げの圧力がかかってくる。再処理は、ますます経営の重荷になり、原燃自体を維持できなくなる恐れがある。

 日本は核兵器保有国以外で唯一、米国から再処理を許されている。政府はその権利を手放したくないために、てこ入れをしようというのだろうか。

 核燃料サイクルの新たな担い手として、政府が直接所管する「認可法人」を電力会社につくらせて、そこから日本原燃へ再処理事業を委託するかたちをとる。

 日本銀行や日本赤十字社と同じ認可法人は、国の許可なくつぶせない膨大な費用がかかっても核燃料サイクル事業を維持したいという、政府としての明確な意思表示と言えるだろう。

 だが、再処理工場だけではない。再処理してつくった燃料を燃やすべき高速増殖原型炉の「もんじゅ(福井県敦賀市)もトラブル続きで止まったままだ。それでも電気代など一日五千五百万円の維持費がかかる

 寸断され、閉じる見込みのない再処理の輪の夢からは、もう目覚めるべきである

 既に大量にたまってしまったプルトニウムや核のごみをどうするかにこそ、知恵と費用を傾けるべき時ではないか。
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●「回らない核のサイクル」六ヶ所村: どちらも「地獄」という二択だったのか?

2014年08月24日 00時00分45秒 | Weblog


東京新聞の6回シリーズ社説【回らない核のサイクル(1) プルトニウムはどこに』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072802000152.html)、
【回らない核のサイクル(2) プルトニウムの焼却炉】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072902000170.html)、
【回らない核のサイクル(3) 「青い森」に広がる不安】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073002000132.html)、
【回らない核のサイクル(4) 大きすぎる万一の危険】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073102000141.html)、
【回らない核のサイクル(5) 電気代が支える再処理】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080102000142.html)、
【回らない核のサイクル(6) 村に吹け、新生の風よ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080202000163.html)、
【回らない核のサイクル 読者から 私にできることがある】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014081602000147.html)。

 内橋克人さんは「原発は『プルトニウムをつくる装置』」だと喝破している。
 そして、原燃のやろうとしていることはドブ金だけでなく、とてつもなく危険 

   『●「もんじゅ」の知恵ではなく、
      「絵に描いた餅」に「一日当たり五千五百万円」!
   『●プルトニウム報告漏れ: 「疑念」ね~?、
     目的あっての「隠蔽」??・・・っていうのは穿ち過ぎ???
   『●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、「風船爆弾」が
      語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~
   『●「原子力は血液」・・・・・・ではなく、「原子力=核」は「麻薬」


 「そんな本州の最果てに一九六〇年代末、巨大開発計画が持ち上がる。高度経済成長の真っ最中、むつ小川原開発は国策・・・・・・推進と反対に二分され、前にも増して六ケ所村は傷ついた莫大(ばくだい)な核燃マネーが流れ込み、見た目には豊かになった。しかし「進むも地獄、戻るも地獄」と元村議は目を伏せる・・・・・・六ケ所村は政治次第で生まれ変わることもできる。ただし、原発に頼らない国ならば」・・・・・・選択すべきは、少なくとも「進むも地」ではなかったはずだ。かといって「戻るも地獄」との二択でもなかったはず。「核燃マネー」に汚染され、「麻薬」中毒にかかり、何が「豊か」を見失っていた。

   ●核のゴミと云う地獄:「王様は裸」
    「核燃サイクルという王様は裸で、遠に破綻している。
     自民党や電力会社は服を着ていると言ってきたし、
     いまだに多くがそう言っている。廃棄物の処理法・場所さへ
     決まっていないのに。核燃施設が誘致されなかったら
     六ヶ所村は限界集落だった、という発言・・・・・・。行くも地獄
     引くも地獄。でも行く(誘致)地獄の先は、FUKUSIMAの
     ような取り返しのつかない大地獄だった訳。限界集落と比べて
     どうか? 限界集落という地獄を避けるためには、核関連施設の
     誘致しかなかったのか?」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072802000152.html

【社説】
回らない核のサイクル(1) プルトニウムはどこに
2014年7月28日

 ヤマセという冷たい霧が吹き寄せる青森県六ケ所村。

 太平洋につながる尾駮(おぶち)沼を馬蹄形(ばていけい)に取り巻いて、日本原燃が運営する核燃料サイクル施設は広がっている。

 原燃は、原発を持つ九つの電力会社が出資する民間の事業者だ。

 ウラン濃縮から廃棄物処分にいたる関連施設群のうち、人、モノ、カネの約七割を占めるのが、核燃料の再処理工場である。

 再処理とは、何だろう。

 原発で使用済みのウラン燃料から、再利用が可能な核分裂性のプルトニウムとウランを取り出す作業のことを言う。取り出した燃料で発電を繰り返すのが、核燃料サイクルだ。

 燃えかすの燃料棒はプールの中で冷やされたあと、指先ほどに切断し、硝酸に溶かす。次に有機溶媒(油の一種)を使ってプルトニウムとウランを分離する。プルトニウムは硝酸の方へ、ウランは油へと分離されていく。

 長崎の原爆は、プルトニウム型である。抽出技術は今も昔も変わらない。

 日本は、中曽根・レーガン関係で結んだ日米原子力協定で、核兵器を持たない国では唯一、再処理を認められてきた

 ただし、抽出、精製したプルトニウムの粉末は、一対一の割合でウランを混ぜて保管することになっている。濃度が高いほど、兵器に転用しやすいからだ。


 工場内には試験的に抽出された六・七トンのプルトニウム・ウラン酸化物粉末が保管されている。見ることはできないが、黄褐色の粉だという。

 国際原子力機関(IAEA)の査察官が数人常駐し、二十四時間体制で監視に当たっている。随所に監視カメラがある。

 「日本には核兵器級のプルトニウムはない。原爆数千発分とかいうのは誤りです」と原燃幹部

 保管場所を尋ねると「それは言わない方がいいでしょう…」。

 厚い秘密のベールに包まれたプルトニウム。猛毒の熱源その使い道は。 

(論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072902000170.html

【社説】
回らない核のサイクル(2) プルトニウムの焼却炉
2014年7月29日

 本州最北端まで四キロ。一本釣りのマグロで知られ、海峡越しに函館の夜景を望む青森県大間町に、大間原発の建設は進む。

 普通の原発とは少し違う。

 大間原発は、プルトニウムを混ぜたMOX燃料だけを燃やすように設計された、世界初のフルMOX原発である。年に約一トンのプルトニウムを処理できる。

 運営は、電力卸売会社の電源開発Jパワー)。水力や石炭火力で日本経済を支え、大間は初めての原発だ。だが、今なぜか。

 日本原子力研究開発機構が、福井県敦賀市で新型転換炉と呼ばれた「ふげん」の解体を進めている。世界で初めて本格的にプルトニウムを使った原子炉だ。一九七八年から二十五年間運転された。

 プルトニウム239の半減期は二万四千年。直接廃棄処分にすれば、数万年単位の管理が必要になる。そこで、それを燃やして半減期の短い、別の死の灰(核分裂生成物)に変えてしまうのが、転換炉の目的だった。MOX燃料の放射線量はウラン燃料より高い。

 いわばプルトニウムの焼却炉。燃やしてさらに新たな燃料を生み出す高速増殖原型炉の「もんじゅ」(福井県敦賀市)とは、根本的な違いがある。

 当初政府は、小型の原型炉「ふげん」の次の実証炉を大間に造るつもりでいた。

 ところが、建設費が巨額で引き受ける電力会社がない。「もんじゅ」は、トラブルが続いたまま。米国は日本に、プルトニウムの蓄積を許さない。国の原子力政策は既に崩壊していた

 Jパワーは二〇〇三年まで、政府出資の特殊法人だった。

 「国と電力会社の協力を得てやりなさい-。原子力委員会の決定でした」と、大間駐在の幹部は振り返る。

 大間原発は、プルトニウム減らしという新たな国策を背負う。しかしこのまま原発を動かして、再処理も続ければ、追いつける量ではないこれをサイクル(環(わ))と言うのだろうか

 (論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073002000132.html

【社説】
回らない核のサイクル(3) 「青い森」に広がる不安
2014年7月30日

 核燃料サイクルは本当に回らないのではないか…。六ケ所村のある青森県に不安が広がっている。

 日本原燃が六ケ所村で進める核燃料サイクルのうち、要の再処理工場、MOX燃料工場は完成の前に福島で原発事故が起きた。状況は一変した。

 「地元のためだけではない。エネルギー資源のない日本に使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは必要だ。だから長い年月と先人の労苦で立地してきた」と県関係者は変わらぬ決意を語るが、不安は隠せない。

 そのひとつが高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題だ。

 六ケ所村では、フランスなどに使用済み核燃料の再処理を委託して出た核のごみ「高レベル放射性廃棄物」を三十~五十年保管する貯蔵施設がすでに稼働している。むつ市には再処理までの間、使用済み核燃料五千トンを備蓄する施設が建設中だ。

 いずれも核のごみを地層深く埋める最終処分場の建設地が決まるまでの中間貯蔵施設と位置付けられる

 現在、国内の原子力発電所などに保管され、再処理を待つ使用済み核燃料は一万七千トンにのぼる。最終処分の候補地は原子力発電環境整備機構NUMOが公募してきたが進んでいない。サイクルの中核、高速増殖原型炉「もんじゅ」もトラブルで停止している。サイクルが行き詰まれば、なし崩し的に青森県が最終処分を受け入れさせられるのではないか。

 豊かな自然を「青い森」として売り出し、観光にも力を入れる青森県は「最終処分は絶対に受け入れられない。これは県民との約束だ。もし核燃料サイクルが回らないなら、現在貯蔵している高レベル廃棄物も撤去を求める」と断言する。

 そうなれば六ケ所村に中間貯蔵されている核のごみさえ行き場を失って宙に浮く。リサイクルどころではない事態が今、直面している現実だ。 (論説委員・安田英昭)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073102000141.html

【社説】
回らない核のサイクル(4) 大きすぎる万一の危険
2014年7月31日

 六ケ所再処理工場の約二十キロ南に、軍民共用の三沢空港がある。「北の槍(やり)」との異名を持つ米国空軍が駐留し、F16戦闘機が実戦配備され、大陸へのにらみをきかせている。航空自衛隊や民間航空を合わせた離着陸は、年間四万回以上という。

 二〇〇七年には、その三沢基地からF16がイラク戦争に出動し、その一部がアフガニスタン東部で反政府武装勢力タリバンの拠点を攻撃した。

 そうなると気がかりなのが、核燃料サイクル施設の航空事故対策、そしてテロ対策だ。

 再処理工場の上空は飛行禁止区域になってはいる。それでも、戦闘機の墜落事故対策は福島第一原発事故以前から、安全評価の対象にされてきた。

 米国の構造物研究機関で、本物のF16を滑走させてコンクリート壁に衝突させる実験を繰り返し、主要建屋の天井や壁の厚さは一・五メートルと、原発よりも厚くした。

 しかし、実験では爆弾を積んでいたわけではなく、墜落事故への効果も定かでない。

 テロへの備えは、どうか。

 日本原燃は特別に武装した警備員の配備について「いるともいないとも言えません」(広報部)。

 仏のラアーグの再処理工場は対空ミサイルを備えている。一九七五年、英国原子力公社の再処理施設は、軽機関銃などで武装していることが明らかになった。

 その後の公聴会で市民団体などから、「このままでは、核の管理機関に強力な権限が与えられ、市民生活にさまざまな制限が課される『プルトニウム社会の到来は避けられない」との声が強まった。

 保安対策の強化などにより、六ケ所再処理工場の建設費は二兆円超と、当初の三倍に膨らんだ。原子力規制委は稼働の条件に、航空機の墜落やテロ対策のさらなる強化を求めている。そこにプルトニウムがある以上、対策に限りはないようだし、核拡散の恐れはつきまとう。

 (論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080102000142.html

【社説】
回らない核のサイクル(5) 電気代が支える再処理
2014年8月1日

 青森県六ケ所村で核燃料サイクル施設を運営する日本原燃には、展望タワーのある三階建てのPRセンターがある。

 地上二十メートルの展望ホールから広大な施設の全景を眺めたあと階下へ下りると、パネルや映像、大型模型でプルトニウムを取り出す再処理工程など、核燃料サイクルの流れを模擬見学できる。予約すればスタッフが案内してくれる。見学者は施設の安全性を見せつけられるが、日本原燃という企業の実態は見えない

 日本原燃株式会社は一九九二年の設立で、資本金四千億円、売上高二千九百億円。二千五百人の従業員がいる大きな会社だ。八十五社が出資し大株主は東京電力、関西電力、中部電力など電力九社。原発から出るプルトニウムなどの核廃棄物を再処理するため、電力会社が共同で立ち上げた。

 不思議なのは二兆円もかけて建設した本業の再処理工場が稼働していないのに、九十億円の経常利益が出ている点。実は再処理の稼働を前提に、電力会社が巨額の資金を毎年「基本料金」としてつぎ込み、経営を支えている。その資金は消費者が電気料金で負担している。政府系金融機関も融資しており、政府が推進してきた「国策民営」会社の姿がここにある。

 四月、政府がエネルギー基本計画を発表すると、多くの関係者は「核燃料サイクル」をめぐる政府方針に変化の兆しを感じ取った。

 最優先は福島の原発事故対応で、核燃料サイクルは後回しにならざるを得ない。プルトニウムを使う高速増殖炉は実用化にはほど遠い。経済性や核不拡散、安全性を重視すると、六ケ所村での「再処理」よりも、使用済み核燃料を容器に入れて安定した地層に埋める「直接処分」が有利-との見方が徐々に強まっているのだ。そうなれば再処理工場も日本原燃も無用の長物になる

 日本原燃は二〇一四年、七十五人の新入社員を採用した。しかし再処理か直接処分か、出口は見えない。

 (論説委員・安田英昭)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080202000163.html

【社説】
回らない核のサイクル(6) 村に吹け、新生の風よ
2014年8月2日

 あるのは原野だけだった。海からヤマセ(東風)が吹きすさぶ。農業には向いていない。戦後、中国東北部から再入植した開拓民の労苦はしのぶよしもない。

 そんな本州の最果てに一九六〇年代末、巨大開発計画が持ち上がる。高度経済成長の真っ最中、むつ小川原開発は国策だった。

 太平洋ベルト地帯に集中し過ぎた重化学工業を分散させるため、青森県六ケ所村を中心に、日本最大のコンビナートを造るという。開発か、農業・漁業か。地域は割れた

 政府と県の強い働き掛けを受けて、村は結局、計画を受け入れた。

 ところが、七一年のニクソンショック、続く石油ショックが高度成長の流れを止めた。企業は来ない。代わりに持ち上がったのが、核燃料サイクル施設の建設だった

 政府と県は、過疎地に再び国策を押しつけるようにして、頓挫した巨大開発計画のツケを回してきた。推進と反対に二分され、前にも増して六ケ所村は傷ついた

 莫大(ばくだい)な核燃マネーが流れ込み、見た目には豊かになった。しかし「進むも地獄、戻るも地獄」と元村議は目を伏せる。

 新たなその国策が、またも激しく揺れている。

 福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」は、使用済み核燃料から抽出したプルトニウムを燃やして増やす、核燃料サイクルの要である。それが長年トラブル続きで、実用化にはほど遠い。

 政府は半減期の短い、別の核物質に転換するための高速炉に改造するという。そうなれば、プルトニウムを取り出す再処理工場の役目は終わり、核のごみだけが残される。個々の施設はしばらく残る。だが核燃料サイクルの輪は既に寸断されている

 強いヤマセが吹く青森県は、風力による発電能力が日本一、原発〇・三基分になる。

 例えば、大間原発の電力を全国に送り出すために建設中の送電網(大間幹線)などを拡充し、再生可能エネルギーの一大拠点に再び生まれ変われないか。雇用の維持も可能だろう。

 六ケ所村は政治次第で生まれ変わることもできる。ただし、原発に頼らない国ならば

 (論説委員・飯尾歩)=おわり

 ◆ご意見、ご感想をお寄せください。〒460 8511(住所不要)中日新聞論説室、ファクス052(221)0582へ。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014081602000147.html

【社説】
回らない核のサイクル 読者から 私にできることがある
2014年8月16日

 今回もたくさんのご意見、ご感想、そしてご示唆をいただきました。ありがとうございました。

 青森県三沢市の「核燃料サイクル阻止一万人訴訟」原告団の山田清彦事務局長からは、さまざまなご指摘をいただきました。

 青森県六ケ所村の再処理工場では、核兵器に転用しにくくするために、プルトニウムにウランを混ぜて保管することになっている。それでも核爆弾への加工は約二週間で可能

 米軍三沢基地では、ミサイルの破壊に当たる電子攻撃機グラウラーが配備。沖縄の負担軽減のためにF18戦闘機による射爆撃訓練が常態化するなど、核燃料サイクル施設が大事故に巻き込まれる恐れは、高まっている。

 再処理施設を運営する日本原燃の経営資金は「消費者が電気料金で負担している」のではなく、「電気料金に上乗せされて取られていると言ってほしい」-。

 東京都町田市の浅生忠克さん(69)は、下北半島の六ケ所、大間、東通を三度ほど回ったことがあるそうです。「荒涼の大地。国策にひかれて核関連施設立地に傾いていった事情は、現地に立てばコトバもなくワカルしかないわけで…」というのが、その時の感想でした。

 「ふだん都会の便利な暮らしに浸りきっている者が、訳知り顔に『原発や核のマネーに頼るな』とはいえません。代替案がなければ安易にものいうべからず」と、これまでは、沈黙を守り続けていたそうです。しかし今回、「下北半島で風力発電に活用できそうな土地の総面積と、そこで可能な総発電量の試算を、専門家の方にしていただいた上で、東北電力に採用を提案したい、と考えます」と、声を上げることにしました。

 国策といえば、安倍政権がトップダウンで進める集団的自衛権の行使容認に、国策としての核燃料サイクルを重ね合わせて、歴史が巻き戻されつつあるのではないか、と不安視する声も目立ちます。

 川崎市多摩区の浜本さだ子さんは「青森県の核の歴史をはじめて知りました。(中略)同じ道を逆もどりしている政権のやり方を肌で感じる八十二歳です。今くい止めねば、間にあわない。(中略)私もできることをやります」

 むろん、そんなサイクル(繰り返し)は、許されません

 (論説委員・安田英昭、飯尾歩)
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●『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209)についてのつぶやき

2013年11月07日 00時00分42秒 | Weblog


自然と人間』(2013年11月号、Vol.209)の最新号について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge

 ブログ主のお薦め記事は、志葉玲氏【止まらない福島第一原発の汚染水漏れ】。

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■①『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 森達也さん【第92回つぶやくニッポンの街角 誰が誰に何を言ってんの?】、「適応能力の高さ・・でもこの国は突出して高い。だからこそ失敗も大きい。そんな歴史を繰り返す。つまり過去に学ばない。時おり思う。この国は世界の反面教師となる定めなのかもしれないと」

■②『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 前田哲男さん【日本版NSC国家安全保障会議と秘密保全法 集団的自衛権行使への“プログラム法”】、「安倍首相が「積極的平和主義」を語る」「「9条の縛り」から離脱」「集団的自衛権行使の“露払い法案”」「密接にかかわる戦争準備と情報統制」「統制社会の下で国民生活は息づまる」。西山太吉さんが喝破(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b2db1d90312dd74e39c7492159840a78

■③『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 村田くみ氏【「年金だけでは生活が出来ない!」 高齢者の叫びを聞け】、「年金生活者を直撃する年金カット」「所得格差を示すジニ係数が過去最大に」。冷たい国(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9c78acf8a563c3202beed3147d12cf78

■④『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 志葉玲氏【止まらない福島第一原発の汚染水漏れ】、「漁民のことを考えていない!」「現場の声が伝わらない」、小出裕章さん「汚染水はアンコントロール」。世界に公約・・(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/060c22aa9939913740ad6aaaa7acd5df

■⑤『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 安田節子氏【TPPの現段階と食品の安全】、「ホゴにされる安倍自民党公約」「米国のTPP交渉官はモンサント出身者」。「ウソはつく。TPP交渉参加。ブレる。」、そしてあのモンサントとは!(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9aa9a37ce141e31cb36346e06c01b27b

■⑥『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 橋本淳司氏【海外の地下水を枯渇させる日本人の食卓】、「生態系と共生した水マネジメントが必要」「田んぼで食糧生産し生態系を保全する」。そして、原子力との共存は無理(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b4f689c5708ac4157ad72c84f4cb7dec

■⑦『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 古川琢也さん【ブラック企業に対峙する 社会がしていくべきこと】、「「ブラック企業包囲網」は狭まっていない」「・・ここで労組が存在感を発揮できないようだと絶望的な未来しか描けない」。言い訳(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/1a6dc6e6616bc6f3c2eb908e0a89627e

   (※「ブラックについては『●「露骨な企業優遇、労働者いじめ」 『週刊金曜日』
      (10月11日、963号)についてのつぶやき』」を)

■⑧『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 【大谷昭宏の言いたい放題/特定秘密保護法案が成立したら、政府の腐敗・不正が覆い隠され、戦争への道が拓かれる!】、「意地でも秘密暴露して国家に吠え面を」。ウソツキによる法案(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b2db1d90312dd74e39c7492159840a78

■⑨『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 秋山豊寛氏【京都竹やぶ日記第23回/「日米原子力協定」を神格化する愚劣】、「問題は日本人の意志なのです」。核と人類は共存し得ない(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/45b62d73c320b3389c1c5d51b1dd2342

■⑩『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / books【『隠して核武装する日本』槌田敦・・井上澄夫山崎久隆・・+核開発に反対する会著/橋下勝え(影書房)】、【『日本は過去とどう向き合ってきたのか』山田朗著(高文研)】、【『げんばくとげんぱつ』増山麗奈文・絵(子どもの未来社)】

■⑪『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / books【チェルノブイリ救援カレンダー2014『チェルノブイリ・福島 命は宝』撮影広河隆一】。広河さん(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/166146cd879a9411ca5bc308da52abf1
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