[※ 野党共闘 市民連合と政策合意 (週刊金曜日、2021年9月17日1345号)↑]
(2021年10月17日[日])
長周新聞の記事【自民党が原発に固執する理由 核武装願望&米国の核戦略 岸田内閣を歓迎する原子力ムラ】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21947)。
《岸田新内閣が4日召集の臨時国会で発足したが、その陣容をみると原発推進派が要職に就いており、今後のエネルギー政策で「原発回帰」が強まるとの見方が広がっている。福島第一原発事故から10年が経過した。国民世論は圧倒的多数が原発からの撤退を求め、再稼働や新増設に反対している。また54基の原発がすべて稼働を停止していた期間を含めて、原発が止まっても電力供給にはほぼ支障はなかった。さらに世界的に原発撤退の流れが進み、安倍政府が掲げた「原発輸出戦略」はことごとく失敗し、東芝や日立、三菱などは大きな経営的な打撃を受けた。どこから見てもエネルギー源としての原発は必要ないにもかかわらず、執拗に原発に固執するのは、原子力の「平和利用」と「軍事利用」は同一技術であり、いつでも核兵器製造に転用できるという理由がある。1955年に日米原子力研究協定を締結して以来、日本は核兵器保有を意図して原発を推進してきたことがあらためて浮き彫りになっている。…こうした発言からも、戦後一貫して日本政府がアメリカの核戦略の一翼を担う形で核武装を意図し続けており、そのための原発建設であったことが浮き彫りになっている》。
『●核発電「麻薬」中毒患者の覚めぬ悪夢…《安全神話、
経済神話、クリーン神話-三つの神話》を脱却できず』
《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(内橋克人さん)。先日亡くなった内橋さんは見事に喝破している。内橋克人さんは「集団的自衛権の先に待っているのは、核兵器を持って抑止力にしようという政策。原発は『プルトニウムをつくる装置』でもあり、原発を止めることは日本の核武装に待ったをかけることだ」と訴えた》(アサヒコム【「川内原発再稼働に反対」東京で集会 5500人参加】、2014年6月29日)
「原子力の平和利用」という核発電への幻想…。
『●「原子力の平和利用」という核発電への幻想…「原発は『プルトニウム
をつくる装置』」(内橋克人さん)にこだわる周回遅れのニッポン』
「核=悪」、「原子力=善」を使い分けてきた我国、世界でも稀なその独特の心理。でも、その本質は全く同じであり、「核兵器=原子力発電」。ヒロシマ・ナガサキの「被害者」としての感情の陰に、戦争の「加害者」としての反省が曖昧にされたこと。そして、東京電力原発人災で核技術の「加害者」となったことへの戸惑い。
(烏賀陽弘道さん)《兵器としてアメリカで生まれ、ヒロシマに落とされた「核」。その双子の兄弟「原発」……》。そう両者は双子の兄弟。《アメリカは、臨界状態をつくり出して自然の中に眠っていた核エネルギーを引っ張りだすところから始まって、原爆をつくり、爆発させ、原子炉に閉じ込め、それを発電所に設置しそれが全国や世界に普及していくところまで、全部ひとつながり》。核分裂のエネルギーを放出させるか、原子炉の中に閉じ込めるかの違いであり、原理的には全く同じ。
《核兵器をタブーの領域に押し込めた。双子の兄弟の一人を「いないこと」にしてしまった。原発と核兵器の「血のつながり」を論ずることはタブーになった》。
『●烏賀陽弘道さん『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』読了』
最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。そして、最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か? それから、いま噂の幹事長殿・甘利明氏も…。
『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために』
『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
“最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」』
『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき』
『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》』
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【https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21947】
自民党が原発に固執する理由 核武装願望&米国の核戦略 岸田内閣を歓迎する原子力ムラ
2021年10月11日
岸田新内閣が4日召集の臨時国会で発足したが、その陣容をみると原発推進派が要職に就いており、今後のエネルギー政策で「原発回帰」が強まるとの見方が広がっている。福島第一原発事故から10年が経過した。国民世論は圧倒的多数が原発からの撤退を求め、再稼働や新増設に反対している。また54基の原発がすべて稼働を停止していた期間を含めて、原発が止まっても電力供給にはほぼ支障はなかった。さらに世界的に原発撤退の流れが進み、安倍政府が掲げた「原発輸出戦略」はことごとく失敗し、東芝や日立、三菱などは大きな経営的な打撃を受けた。どこから見てもエネルギー源としての原発は必要ないにもかかわらず、執拗に原発に固執するのは、原子力の「平和利用」と「軍事利用」は同一技術であり、いつでも核兵器製造に転用できるという理由がある。1955年に日米原子力研究協定を締結して以来、日本は核兵器保有を意図して原発を推進してきたことがあらためて浮き彫りになっている。
新内閣固める原発族議員 被爆国を利用する米国
岸田新内閣の陣容で、電力業界がもっとも歓迎しているのは甘利幹事長だ。甘利は2006年の第一次安倍内閣から08年の福田内閣まで経済産業相を務め、経産省有力幹部のほか、電力、ガス業界などエネルギー業界に幅広い人脈を持った「原子力ムラのドン」の一人として有名だ。4月に結成された原発の建て替えや新増設を推進する自民党議員連盟の呼びかけ人でもあり、安倍晋三らとともに顧問に名を連ねている。同議連は総裁選前の9月15日に会合を開き、経産省が今年7月に公表したエネルギー基本計画の原案を撤回し、原発のリプレース(建て替え)を明記するよう求めることを決議した。
さらに山際経済再生担当相は国会で「原発を使い倒さなければカーボンニュートラルはできない」とのべるなど原発推進の急先鋒となってきた。高市政調会長は総裁選では「小型の新型原子炉の開発を加速」させるよう主張し、高木国対委員長は甘利が顧問を務める議連の一員として新増設や老朽原発の運転期間の延長などを主張した。
岸田新内閣は今秋にも新エネルギー基本計画を閣議決定する予定だが、こうした原発推進派が要職についており、新増設やリプレース容認に転換するのではないかとの見方が強まっている。
福島第一原発で世界最悪レベルの事故を起こしながら、なぜどこまでも原発推進にこだわるのか――それは日本の原子力政策の根幹にかかわる問題である。
日本の原子力政策はアメリカの核戦略と深く結びついている。アメリカは世界で最初に原爆を製造し、人類史上初めて広島と長崎の人々の頭上に投下した。「マンハッタン計画」と呼ばれる原爆製造の過程から副産物として産まれたのが原発技術だ。1949年にソ連が初めて核実験に成功すると、アメリカは翌年の1950年から日米原子力協定の交渉を開始し、1955年に日米原子力研究協定を締結する。
アメリカはこの協定で、本来戦勝国にしか認めていない核物質の実験や取り扱いを「平和利用」を掲げて日本に認めた。ちなみにこの協定は日本の国会では一度も審議されることなく決まった。
アメリカが日米原子力協定を締結した目的は「日本に核兵器開発と核戦略の一翼を担わせる」ためであり、日本側には「核兵器を保有する」という思惑があった。
日米原子力協定では、核燃料サイクル技術を日本に認めている。原発でウランを燃やし、その使用済み燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、そのプルトニウムを高速増殖炉の燃料として燃やすというものだ。現状ではほとんど破たんしているが、重要なのは天然ウランを原子炉の燃料にするためのウラン濃縮技術や使用済み燃料からプルトニウムを抽出して再利用する再処理技術で、これらは核兵器への転用が可能な技術だ。
天然ウランは核分裂しにくいウランが大半で、0・7%程度の核分裂しやすいウランを原発で燃やせるように濃度を3~5%に高めたのが低濃縮ウランである。その濃度を20%以上に高めた高濃縮ウランは核兵器に使われる。広島型原爆「リトルボーイ」に使われた。
また、核分裂しにくいウランも原子炉内で燃やせば自然界には微量しか存在しないプルトニウムができる。原発で燃やした使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを抽出し再利用する。これは長崎型原爆「ファットマン」に使用された。
日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムをとり出し、現在約46㌧を国内外で保有している。敗戦国にもかかわらず日本がこれだけ大量のプルトニウムの保有が可能になっているのは、アメリカが容認しているからだ。核保有国以外でこれほどのプルトニウムを保有しているのは日本だけで、諸外国からは事実上の核兵器保有国とみなされている。
日本の電力業界は「日本が保有しているプルトニウムは“原子炉級”であり、“兵器用”には適さない」と主張してきた。プルトニウムの同位体のなかで、核分裂の連鎖反応を起こしやすいのがプルトニウム239で、アメリカ政府はこれが93%以上のものを「兵器級」、そこまで高くないものを「原子炉級」などと分類している。
だが、1997年に米エネルギー省が発表した報告書では「原子炉級プルトニウムでも、より高度の設計技術を用いればより大きな破壊力を持つ核兵器が生産可能」と結論づけている。
IAEAもプルトニウムが原子炉級、兵器級にかかわらず、一発の核爆弾がつくれる可能性がある量を8㌔としている。日本は約46㌧のプルトニウムを保有しており、約6000発の核爆弾が製造可能ということになる。
1974年にはインドがカナダから導入した民生用の研究用原子炉からプルトニウムをとり出して核実験を成功させ、核兵器を開発しており、日本の核兵器開発は物理的に可能である。
歴代の自民党幹部 繰り返される核武装発言
敗戦後アメリカに単独占領された日本の歴代政府が「核兵器保有は合憲」との発言をくり返しているのを見ても、原発が核兵器製造と密接に結びついていることがわかる。
1957年に岸信介総理大臣は参議院予算委員会で「核兵器と名前がつけば憲法違反かというと、憲法の解釈論としては正しくない」と答弁し、「核兵器保有は合憲」との認識を示した。
1964年に中国が初の核実験に成功すると、当時の佐藤栄作政府は1969年に西ドイツとのあいだで核保有の可能性を探る会合を持っている。
1970年には中曽根防衛庁長官が核武装について日本の能力を試算し、「(当時の金で)2000億円、5年以内で核武装できるが、実験場を確保できないため現実には不可能」との結論に達したと明らかにした。ちなみに当時の防衛費は4800億円。
1971年には石原慎太郎参議院議員が「(核兵器が)なければ日本の外交はいよいよ貧弱なものになり、発言権はなくなる」「だから一発だけ持っていてもいい。日本人がなにをするかわからないという不安感があれば、世界は日本のいい分を聞くと思う」と発言した。
1973年には田中角栄総理大臣が参議院予算委員会の答弁で「自衛の正当な目的を達成する限度内の核兵器であれば、これを保有することが憲法に反するものではないというのが、従来政府がとってきたものだ」とのべた。
1975年には日本の科学技術庁の原子力担当課長が在京の英国大使館員に「日本は3カ月以内に核兵器の製造が可能」と語り、イギリス政府は大騒ぎになった。
1978年には福田赳夫総理大臣が参議院予算委員会で「憲法第九条によってわが国は専守防衛的意味における核兵器はこれを持てる。ただ、別の法理により、また別の政策によりそういうふうになっていないというだけのことだ」とのべた。
1979年には旧ソ連のアフガニスタン侵攻をきっかけとして、「ソ連からの核攻撃の脅威を回避するためには日本も核武装し抑止力を持つべきだ」という主張がおこなわれた。1991年に宮澤喜一は総理就任前に「日本にとって核武装は技術的に可能であり、財政的にもそれほど難問ではない」とのべている。
1991年にソ連が崩壊し、米ソ2極構造が崩れたのちの2001年に内閣府高官が雑誌のインタビューに「3年で核武装可能」と回答している。
2002年、安倍晋三官房副長官(当時)は早稲田大学の講演で、「自衛のための必要最小限度をこえない限り、核兵器であると、通常兵器であるとを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではない」とのべた。
2003年に発表されたアメリカの国防白書は、未来予測のなかで「2050年までに日本が核武装する」としている。
2005年北朝鮮が核武装を公式に宣言したのをうけて評論家の大前研一は韓国マスコミの「北朝鮮の核保有が最終確認された場合、日本も核武装に動くのか」との質問に対し、「その可能性は大きい。日本はその気になれば90日以内に核爆弾を製造し、ミサイルに搭載できる技術的能力をもっている。われわれはすでに大陸間弾道弾(ICBM)水準のミサイル(ロケット)を保有しており、50㌧以上のプルトニウムを備蓄している。核爆弾2000基を製造できる分量だ。日本はすでに30~40年前、原爆製造に必要なあらゆる実験を終えた。日本が核武装しないのは国民情緒のためだ。9割の日本人が核兵器の開発に反対している。広島と長崎の悪夢のためだ。しかしわれわれが北朝鮮核兵器の実質的脅威を受ける状況になれば世論は急変するはずだ」と答えている。
こうした発言からも、戦後一貫して日本政府がアメリカの核戦略の一翼を担う形で核武装を意図し続けており、そのための原発建設であったことが浮き彫りになっている。
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日刊ゲンダイの記事【経団連会長が“撤退”発言? それでも脱原発が進まない理由】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/244900)。
東京新聞の社説【平成と原発 神話崩壊、廃炉の時代】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019010602000146.html)。
《「お客さまが利益を上げられない商売でベンダー(提供企業)が利益を上げるのは難しい。どうするか真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。全員が反対するものをエネルギー業者やベンダーが無理やりつくるということは、民主国家ではない」 経団連・中西宏明会長の年頭会見が波紋を呼んでいる》。
《「わかっちゃいるけどやめられない」では、それこそ「無責任」。可能な限り次の時代に負担を残さぬよう、私たちは今年もこの「なぜ」を、突き詰めていかねばなりません》。
アベ様らや経産省、関電や九電など、原子力「推進」委員会の面々は、それでも核発電「麻薬」中毒のママで核発電推進。どうやら、ニッポンは《民主国家ではない》ようだ。
核発電「麻薬」中毒なアベ様や経産省がニッポンをミスリード…小型原発開発など、中毒は治まらず。《脱原発はブラフ――。利権のための原発推進を止められない日本は、世界の潮流から取り残されていくだけだ》。
核発電「麻薬」中毒患者の覚めぬ悪夢…《核兵器の実相を糊塗(こと)するために陳列された空虚な夢は、安全神話、経済神話、クリーン神話-三つの神話の温床にはなりました》。《三つの神話》の崩壊に加え、倫理的にも、環境倫理から考えても、世界的に恥ずかしいニッポン。ニッポンの環境倫理観の欠如は救いようがないようだ。
『●《余ると分かっている電力を、なぜ原発で作り続けるのか?》
核発電「麻薬」中毒なアベ様に忖度する九電』
『●《地球温暖化対策を名目に、経済産業省が新たな小型原発の開発》
…「海暖め装置」でホントに温暖化防止?』
『●《経団連を引き連れての俯瞰する外交の破綻》…
日立製作所も断念、アベ様による原発輸出が《全て暗礁》…』
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/244900】
経団連会長が“撤退”発言? それでも脱原発が進まない理由
2019/01/06 06:00
(原発メーカーの会長も務める経団連の中西会長(左)と
廃炉のめども立たない福島第一原発(C)共同通信社)
「お客さまが利益を上げられない商売でベンダー(提供企業)が利益を上げるのは難しい。どうするか真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。全員が反対するものをエネルギー業者やベンダーが無理やりつくるということは、民主国家ではない」
経団連・中西宏明会長の年頭会見が波紋を呼んでいる。今後の原発政策について踏み込んだ発言をしたからだ。中西氏は原発メーカーである日立製作所の会長も務めている。それだけに、脱原発とも取れる発言は驚きをもって受け止められた。
もっとも、日立が英国で進めてきた原発建設計画も暗礁に乗り上げているし、三菱重工と政府がシャカリキになってきたトルコでの原発建設も撤退のニュースが報じられている。安倍政権の目玉政策だった原発輸出は、ことごとく頓挫。世界的に見ても、原発ビジネスは採算が取れないのだ。
一方、元日の読売新聞は1面で「原発1基分の洋上風力」と、東京電力が国内最大級の洋上風力発電の建設を計画していることを報じた。1兆円規模の事業費を投じ、千葉県銚子沖などに1基5000キロワット級の風車を約200基設置し、約30万世帯の年間電力を賄う計画だという。
■政府に対する“脅し”をかける
年明け早々、脱原発と再生可能エネルギーへのシフトを予感させるニュースの連続。今年は脱原発元年になりそうな勢いだ。何が何でも利権を手放さないとみられていた原子力ムラに何か異変が起きているのか。
原発政策に詳しい元経産官僚の古賀茂明氏はこう言う。
「そもそも原発ビジネスは政府の支援がなければ成り立ちません。電力会社もメーカーも民間企業だから利益が出ない事業は続けられないし、原発は採算が合わないと分かっているが、国策だから協力してやっているという意識がある。経団連会長の発言は『公費投入や法制度による手厚い支援がなければ撤退せざるを得ない。続けて欲しければ、国民を説得しろ』と、政府に対して脅しをかけているように感じます。東電の風力発電にしても、今後の成長が期待される再生エネ事業を新興企業に取られる前に主導権を確保しようという意図だけで、脱原発へのシフトを考えているわけではないでしょう。おそらく、原子力ムラの住人たちは、経産省の力が強い安倍政権のうちに原発推進を不可逆的に決定づけようと、政府のお尻を叩いていると思います」
脱原発はブラフ――。利権のための原発推進を止められない日本は、世界の潮流から取り残されていくだけだ。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019010602000146.html】
【社説】 平成と原発 神話崩壊、廃炉の時代
2019年1月6日
昭和の高度経済成長の推進力にはなりました。しかし今や原発は、何をするにも莫大(ばくだい)な費用がかかる負の遺産。神話の創生、そして崩壊、次の時代は-。
「神話」は、昭和に始まりました。一九五五年の日米原子力研究協定仮調印からまもなく始まった「原子力平和利用博覧会」。東京を皮切りに全国十一カ所を巡回し、五番目の開催地が広島でした。
◆免罪符のようなもの
米ソ冷戦構造下、原子力技術の一部を提供し、日本を核の傘の下に置きたい米国の強い意向があっての開催でした。
史上初の被爆地、しかも会場は広島平和記念資料館。たとえ二十二日間とはいえ、核兵器の惨状を伝えるべき通常の展示物を、別の場所に移して平和利用をうたうのです。米国にしてみれば、免罪符のようなものでもありました。原子力イコール原爆のイメージをぬぐい去ろうとしたのです。
焼き尽くされた廃虚の記憶の中に、一筋の光明を探そうとしたのでしょうか。会期中、通常の一年分に当たる十一万人が入場し、実物大の原子炉や原子力飛行機の模型の展示、放射性物質を取り扱うマジックハンドのデモンストレーションなど、原子の力が切り開く夢の未来にまどろみました。
世界遺産の原爆ドームも、本体を電球で飾り立てられて、平和利用の夢を彩る“展示品”の一つにされたのでした。
原水爆禁止運動に生涯を捧(ささ)げた哲学者の故森滝市郎さんさえも「軍事利用はいけないが、平和利用だったらいいのじゃないか、と考えたのです」(「人類は生きねばならない-私の被爆体験から」)と、一時は評価に傾きました。
五七年には茨城県東海村の実験炉に初の原子の火がともり、十年後には福島第一原発の建設が始まった。
◆夢はずっと夢のまま
こうして被爆国日本は五十四基の原子炉を有する世界三位の原発大国になったのです。ところが、しょせん夢は夢。原子力の飛行機も鉄道も、超小型原子炉で十万馬力の鉄腕アトムも、使えば使うほど燃料を増やす夢の原子炉も、実現を見ることはありますまい。
核兵器の実相を糊塗(こと)するために陳列された空虚な夢は、安全神話、経済神話、クリーン神話-三つの神話の温床にはなりました。
二〇一一年三月十一日-。ゾンビのようによみがえる神話の終わりは平成でした。
福島第一原発事故が崩壊させたのは、「安全神話」だけではありません。事故処理にかかる費用は最低二十一兆円。恐らくさらに増えるでしょう。結局は国民負担。これ一つとってもすでに、「経済神話」は粉々です。約二十年探し続けても、高レベル放射性廃棄物の受け入れ先は見つからない。たとえ見つかったとしても、十万年に及ぶといわれる厳重管理に、どれだけ費用がかかるやら。
安全対策にかかるコストは膨らみ、新増設どころではありません。現在、二十三基が廃炉を決定、または検討中。平成は「大廃炉時代」の幕開けにもなりました。廃炉にもまた、長い歳月と膨大な費用が必要です。
一五年、温暖化防止の新ルール、パリ協定の採択を受けて、化石燃料から再生可能エネルギーへ、宇宙船地球号のエンジンの付け替えが始まったのも平成です。
ドイツの「脱原発」だけではありません。世界第二の原発大国フランスも、原発依存度を減らすため、三〇年までに陸上風力発電を三倍、太陽光発電を五倍に拡大、洋上風力の増設も具体化が進んでいます。高速炉計画は凍結です。英国の原発新設計画も、コスト高のため暗礁に乗り上げました。
福島の惨禍を見れば、原発は二酸化炭素(CO2)を出さないクリーンなエネルギーという「クリーン神話」もとうの昔に絵空事。温暖化対策を持ち出して小型原発の開発に向かうという日本は、国際的にはかなり異質な国なのです。
世界で唯一、それも、第五福竜丸事件を含め三度の原水爆禍を背負う国、世界最悪級の原発事故と今現に向き合う国、その国の政府が、なぜここまで原発にこだわりを持つのでしょうか。
「去年の夏の異常な暑さも乗り切りました。省エネも進み、九州では太陽光の電力が余っています。原発へのこだわりは、電力のためだけではないのかもしれません。もしや軍事利用の可能性とか…」。東北大教授(環境科学)の明日香寿川さんは首をかしげます。
◆わかっちゃいるけど…
いずれにしても、「わかっちゃいるけどやめられない」では、それこそ「無責任」。可能な限り次の時代に負担を残さぬよう、私たちは今年もこの「なぜ」を、突き詰めていかねばなりません。
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