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Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●コドモに見せないようコッソリ画策する情けないオトナ達: 中沢啓治さんの想い

2013年09月19日 00時00分11秒 | Weblog


asahi.comの記事が二つ、【「ゲン」なぜ消えた 市教委の判断急変、議会意識し焦り】(http://www.asahi.com/national/update/0827/OSK201308270022.html?ref=com_top6)。【「戦争の残酷さ知らせねば」 ゲン描写へ中沢氏の思い】(http://www.asahi.com/national/update/0827/OSK201308270021.html)。

   『●情けないオトナ達: コドモへの『はだしのゲン』閲覧制限事件

 やはりというべきか、〝とある暴力集団〟関係者が絡んでいたらしい。

   『●「言論の暴力」の一線を超えた暴力を行使する〝とある暴力集団〟
   『●「日本の恥と呼ぶべき存在」
   『●「言論の自由」と、「言論の暴力」をも超える行為
   『●ヘイトスピーチ、自らの言論の自由を狭めている
   『●冷たい国: 国が経産省前テントひろばの撤去を訴え裁判を起こす

 議会は否決したにもかかわらず、教育委員会の委員に相談することもなく、事務局サイドが閉架した、という手続きの不備で「『はだしのゲン』閲覧制限事件」を矮小化して落着させたいようだ。あとで、教育委員会も知っていた、なんてことにならなければいいですけどね。それに、問題は手続き論じゃない、と思いますよ。

 『はだしのゲン』を書いた中沢啓治さんの想いは、
   
   「「きれいな戦争というのはないんだ戦争の残酷な実態
    知らせなければ、子どもに戦争というものが伝わらない」。
    戦争の恐ろしさに小さな頃から触れ、大人になって戦争を
    防ぐ方法をじっくり考えてほしいというのは、死ぬまで変わらぬ思い」
   
だったそうです。

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http://www.asahi.com/national/update/0827/OSK201308270022.html?ref=com_top6

2013年8月27日19時1分
「ゲン」なぜ消えた 市教委の判断急変、議会意識し焦り

 漫画「はだしのゲン」の閲覧制限は、松江市教育委員会事務局の手続きに不備があったという理由で撤回された。同市内の小中学校の図書室から「ゲン」が消えるまでに何があったのか、検証した。

■市教委、「重要な教材」から一転

 「子どもに間違った歴史認識を植え付ける」

 松江市教委が「ゲン」について「対応」を始めたのは、昨年4~5月、当時市内在住の自営業男性(35)が3回にわたり市教委を訪れ、小中学校の図書館からゲンを撤去するようしつこく求めたことだった。

 うち1回は、京都市の朝鮮学校の授業を街宣活動で妨害した事件で有罪判決を受けた在日特権を許さない市民の会の元幹部らが同行。男性らはその様子を動画投稿サイトに投稿し、それを見た人たちから市教委に抗議電話が殺到するなど、「一時は業務がマヒ状態になった」(教育総務課長)。

 だが、この時点では市教委事務局にゲンを問題視する考え方はなかったという。「はだしのゲンは平和学習の重要な教材であり、外部の圧力から守ることで一致していた」(当時の教育長)。市教委は警察にも対応を相談していた。

・・・・・・。
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http://www.asahi.com/national/update/0827/OSK201308270021.html

2013年8月27日23時46分
戦争の残酷さ知らせねば」 ゲン描写へ中沢氏の思い

 【聞き手・武田肇】松江市教委事務局が「暴力的で過激な描写」と問題視し、閲覧制限を求める理由としたのは「はだしのゲン」10巻に登場する旧日本軍兵士の中国戦線での行為にかかわる描写だった。昨年12月に死去した中沢啓治さんはこの場面をどんな思いで描いたのか。中沢さんのそばにいて、「ゲン」の背景描きを手伝った妻のミサヨさん(70)が朝日新聞に語った。

検証…「ゲン」なぜ消えた

 兵士が中国人男性の首を面白半分に切り落とす。妊婦のおなかを切り裂き、赤ん坊を引っ張り出す――。今から30年近く前、主人がこの場面を描いたとき、私もショックを受け「残酷すぎるのでは」と言いました。主人の答えは「きれいな戦争というのはないんだ戦争の残酷な実態を知らせなければ、子どもに戦争というものが伝わらない」。戦争の恐ろしさに小さな頃から触れ、大人になって戦争を防ぐ方法をじっくり考えてほしいというのは、死ぬまで変わらぬ思いでした。

 自分が体験した被爆の場面でも、いろんな資料を集めて描いていましたが、体験のない戦場の場面を描くときは、特に多くの資料や文献を読み込んでいました。描けば批判が来ると覚悟していました。「ゲンはぼくの思いを託しているのだから、ヘンなことは描けないんだ」と言っていました。

・・・・・・・・・。
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●ヘイトスピーチ、自らの言論の自由を狭めている

2013年05月11日 00時00分45秒 | Weblog


『WEB RONZA+』http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/special/2013042600007.html?iref=webronzahttp://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/special/2013042600008.html?ref=comtop_fbox_d2)。

 誰にも言論の自由があるはずだけれども、逆にそれを脅かす言論の自由の行使じゃないだろうか。天に唾する行為で、自らの言論の自由を狭めている。「奇声」などというレベルの発言ではない。「犯罪教唆の暴言」。

   『●「言論の暴力」の一線を超えた暴力を行使する〝とある暴力集団〟
   『●「日本の恥と呼ぶべき存在」
   『●「言論の自由」と、「言論の暴力」をも超える行為

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http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/special/2013042600007.html?iref=webronzahttp://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/special/2013042600008.html?ref=comtop_fbox_d2

ヘイトスピーチに抗する市民の政治(上)――デモの形を借りて人種差別を行う者たち
五野井郁夫(高千穂大学経営学部准教授/国際基督教大学社会科学研究所研究員)
2013年04月27日

 「信念が薄れていくにつれ、みせかけの憎悪の対象を広げていった。労働者やユダヤ人やフランス人を罵倒するだけでなく、カトリックとローマ教会をも痛罵した。」(ヨーゼフ・ロート作、池内紀訳「蜘蛛の巣」『聖なる酔っぱらいの伝説他四篇』所収、岩波文庫、2013年、67-68頁)
 上の文章はナチス台頭前夜の1923年にユダヤ系オーストリア人作家のヨーゼフ・ロートが当時の状況を描写した小説の一節である。
 ロートはのちに迫害を受け亡命を余儀なくされた。ロートが表現するところの「みせかけの憎悪」、すなわち、さしたる考えもなく軽い気持ちでの人種差別を入り口にしてさまざまな差別の「蜘蛛の巣」へと人々を絡め取っていく現象が、徐々に現在の日本でも広がりを見せつつある
 この数年来、日本ではインターネット内にくすぶっていた差別主義者らが路上の現実間に出て目立つようになった。人種や国籍、ジェンダーなど特定の属性を有する集団や個人をおとしめたり、差別や暴力行為をあおったりする言動であるヘイトスピーチをあたり構わずわめき散らすデモや、「右翼」の名を借りた行政・企業・個人への脅迫はその過激さを増しつつある。
 なぜ、近年ヘイトスピーチと排外主義がデモという形を借りて、リアルな空間に登場してきたのか。こうした草の根からふくれあがった差別主義者の集団化に対して、わたしたちの社会はどう向き合い、是正していけばよいのだろうか。
 差別主義者による路上でのヘイトスピーチの横行は何も今に始まったことではない。2009年の子どもたちを狙った京都朝鮮学校への嫌がらせや、2011年の水平社博物館前差別街宣事件、韓流に偏向しているとしフジテレビやスポンサー企業の花王に対し行われた抗議デモ、竹島問題が一般に顕在化した2012年にテレビCMでキム・テヒを起用したロート製薬本社に脅迫をし、逮捕者も出た事件など、枚挙にいとまがない
 2013年に入ってからはさらに勢いづいた。象徴的だったのは今年2月9日以降の新大久保での差別主義者らによる外国人排撃デモ参加者が掲げていた「良い韓国人も 悪い韓国人も どちらも殺せ」「朝鮮人ハ皆殺シ」という殺人教唆を指示する内容のプラカードであろう。
 デモの最中も「殺せ、殺せ、朝鮮人」などと奇声を発し、路上から沿道のコリアンタウンを行き交う人々に罵声を浴びせたほか、さらに3月24日の大阪・御堂筋のデモでは「朝鮮人の女はレイプしてもいい」という犯罪教唆の暴言まで飛び出すようになった。
 けだし、反社会的であり、こうした暴言がまかり通る危機の時代を再び迎えつつある。
 もちろんこれまでもインターネット上では、ネット右翼(いわゆるネトウヨ)らによるあからさまなマイノリティ差別やヘイトスピーチを目にすることはあったし、現在でも野放し状態だ。
 だが匿名性の空間であるネットとリアルを区別できず、現実の社会でも顔をマスクで被うなどして素性がばれないよう工夫をした上で群れになって大勢でヘイトスピーチを行う者たちが、近年、路上に多く出現するようになった。
 通常、街中で1人ないし少数の人間たちが差別発言やレイプ容認発言、そして何よりも「殺せ、殺せ」などと公言すれば周囲から注意のみならず、警察にも通報される。くわえて正義感の強い心ある人々と、物理的に衝突することも覚悟せねばならないだろう。
 だが、たとえネット上以外では一人で何もできない差別主義者たちも、ひとたびデモ申請をして集団になれば気が大きくなり、警官隊に守られて安全な場所から「デモ」の形を悪用して好き放題にヘイトスピーチを叫び散らすことが出来るのである。
 2011年の東日本大震災をひとつの契機として一連の脱原発デモなどが巻き起こり、日本も「デモが出来る社会」の復活を遂げて、デモ行為が日常の風景になった。とまれ、この「デモが出来る社会」への変化は、なにも良識ある市民たちのみに開かれているわけでない。
 これまでは既存の右翼団体のマネをして情宣を主たる活動としてきた差別主義者たちは、今日ではデモという手段を逆手にとり、警察に護衛されて大勢で群れ、反社会的な主張をウェブ上ではなく路上でも行うようになった。むろん、参加者の大半がその反社会性を理解しているからであろう、顔を隠して匿名性を担保しなければ参加出来ないことは変わりないのだが。わたしたちの社会では、こういう輩を「卑怯者」という。
 この差別主義者によるデモの形を借りた公共の場でのヘイトスピーチの横行を煽動している中心が――在日特権を許さない市民の会――通称、在特会という団体だ。これまでの伝統的な保守や右翼のような主張はなく、信念の薄いただの差別主義者団体である。同会の設立は2007年であり、歴史は浅い。とまれ「行動する保守」としてネット上動画投稿サイトや掲示板を中心に加入者が増えており、会員数は1万人以上と裾野が広い。
 彼らはインターネットの生放送等で視聴者に差別を娯楽として提供し、映像を消費させ寄付を募る手法をとっている。いうならば彼らの情宣やデモは・・・・・・・・。


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ヘイトスピーチに抗する市民の政治(下)――法規制に先だって今わたしたちにできることは何か
五野井郁夫(高千穂大学経営学部准教授/国際基督教大学社会科学研究所研究員)
2013年04月27日

 ヘイトスピーチをまき散らす差別団体の活動に対して、いったいわたしたちには何ができるだろうか。
 在特会らのヘイトスピーチについては、日本国内でもすでに3月16日の朝日新聞をはじめ、多くのメディアが警鐘を鳴らす意図のもとに報道を行っている。
 またすでに東京・新大久保などでは韓国のKBSやMBCなどが現場取材をしてニュースになっているとともに、CNNにも取りあげられ、在特会の醜態は、文字通り世界中にまで拡散された。さらには3月31日での大阪・鶴橋の排外デモでは太極旗に鉤十字を描いたプラカードを掲げた在特会の画像がKyodo News Koreanで紹介され問題となるなど、東京オリンピック招致など到底出来ないような国益を損ねる事態に発展している。
 だが、もっとも憂慮すべきは、在特会会長の桜井誠氏(本名を使用していない)が4月6日のインターネット生放送番組で視聴者からの「半島での有事の際には在特会は何をしますか? 自警団結成とか」という質問に対し「万が一テロが起きたときには、絶対に鮮人狩りやりますからね、誰がなんと言おうとやりますからね」という発言であろう(13:50-14:10)。この発言は明らかに常軌を逸しており、すぐさまCNNでDeclaration of ”Korean Hunting”として報道された。
 諸外国にはヘイトスピーチや差別に対する規制法もあるが、恥ずべきことに日本では野放しである。集団化する差別主義者にたいして、政府に頼って法制化を待ち望むこともひとつの選択肢だろう。だが「お上」の助けの前に、わたしたち一般の市民に出来ることもまだ多く残されているのではないか
 そこでさまざまな対抗的な路上の政治の試みが、市井の人々によって現在なされつつある。在特会による新大久保デモに対して、社会人大学生の木野寿紀さんがネット上で「反韓デモに対する意思表示」を呼びかけ「仲良くしようぜ」と書かれたプラカードを掲げて、ヘイトスピーチ反対を訴えた。
 2月17日には150人規模で行われた差別主義者のデモに対し最初は30人ほどだった参加者は、その後の3月17日には150人、そして3月31日には400人へと増加し、レイシストのデモ隊側を圧倒的に数で凌駕するようになった
 新大久保の韓流商店街による案内サイトである「新大久保コリアンタウンホットガイド」も木野さんの提案に賛同し、ネット上でバナーを出して応援をするようになった
 さらに同じ31日には、1ネットユーザーである岡田ぱみゅぱみゅ氏らが私財を投じて、新大久保のK‐PLAZA街頭ビジョンで津田大介氏ら知識人9人による「排外主義に対するメッセージの広告を、在特会のデモが通過する時間帯に合わせて放映することで、街全体で排外主義に対するNOを突きつけた
 在特会による路上の罵詈雑言に対してはさらに先鋭的な試みもなされるようになる。公道のヘイトスピーチ自体を街頭からの声と音でかき消して物理的に無効化し、ネトウヨが「娯楽」として楽しめないようにすることを試みる「レイシストをしばき隊」も結成され、ストリートからの音の力によるカウンターを開始した。
 これら勇気ある一般市民らによる反差別の取り組みは、韓国のMBCでも大々的に報道された。
 くわえて宇都宮健児日弁連会長をはじめ、首都圏の弁護士12名が周辺住民、外国人の安全を守るため警察が適切な行政警察権限を行使するよう東京都公安委員会と警視総監に申し入れるとともに、東京弁護士会に対しても人権救済の申し立てを行った。
 政治家たちの側でも民主党の有田芳生参院議員ら11人の国会議員が呼びかけ人になり、3月14日には「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会」が行われるようになった。次回は5月7日に開催される予定である。
 そしてついには、・・・・・・・・・・・。
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●「言論の自由」と、「言論の暴力」をも超える行為

2013年04月30日 00時00分49秒 | Weblog


asahi.comの記事二つ(http://www.asahi.com/national/update/0426/TKY201304260220.htmlhttp://www.asahi.com/national/update/0428/OSK201304270133.html)。

 おぞましい言論状況。例外なく何人にも「言論の自由」は認められるべきであろう。

   『●「日本の恥と呼ぶべき存在」


 でも、石川真澄さんの言葉を思い出した。

   『●『別丁 石川真澄 という人がいた』読了(3/3)

     「本多さんによる最後の電話インタビューでは、
      「やはり一番問題なのは「表現の自由」」とし、
      『週刊文春』によるある政治家の娘の離婚問題掲載記事販売差し止めの
      件について。「あのとき僕はつくづく思ったんだけど、
      みんな表現の自由を問題にし、応援したくもないクソッタレ文春を
      弁護しなけりゃならないことにウンザリしながらやってました」

 一方、もはや「言論の暴力」の域である。差別や(子供までが)殺人教唆することまで、人権を侵害することまでが「言論の自由」なのか?
 二番目の記事の彼らの言葉のおぞましさを見てみてください。「会員は公称1万2千人」だそうです。「歴史的な経緯を初めて知った」ということに驚く、慄く。この国の教育は「とても上手くいっている」ことを実感。
 ハシズム=「「を見つけ、暴力的な言葉を浴びせる人々がいる。それを容認し、駆り立てる空気がある」、である。


 そして、すでに、「言論の暴力」をも超える行為が・・・。

   『●「言論の暴力」の一線を超えた暴力を行使する〝とある暴力集団〟

 東京弁護士会は、「とある暴力集団」等の「言論の自由」が侵害され、人権侵害があったかどうか、当然、調査すべきである。「デモに抗議する人たちから暴行・妨害を受けたこと」は本当なのかどうか、を明らかにしてほしい。でっ、同時に、「とある暴力集団」等が「言論の自由」を超えた「言論の暴力」を為していないかを明らかにすべきだし、暴力行為を告発すべきだ。

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http://www.asahi.com/national/update/0426/TKY201304260220.html

2013年4月26日18時52分
在特会、人権救済申し立て「デモで抗議側から妨害受け」

 東京・新大久保で、「朝鮮人を殺せ」などと連呼するヘイトスピーチ(憎悪表現)のデモが繰り返されている問題で、デモを主催する「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠会長らが26日、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。

 許可を得たデモであるにもかかわらず、デモに抗議する人たちから暴行・妨害を受けたこと、「ヘイト」「レイシスト(人種差別主義者)」などと決めつけられたことが、人権侵害に当たると主張している。

 新大久保のデモを巡っては、宇都宮健児前日弁連会長ら有志弁護士が3月、差別や暴力をあおる言動が在日外国人に恐怖を感じさせ、周辺店舗の業務にも影響を与えているとして、東京弁護士会に人権救済を申し立てている
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http://www.asahi.com/national/update/0428/OSK201304270133.html

2013年4月28日5時4分
在日攻撃 牙をむく言葉(敵がいる:1)

■「みる・きく・はなす」はいま

 【石橋英昭】3月の日曜、昼下がり、東京・新大久保。
 「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠会長(41)が、先導車から拡声機でコールする。

   「新大久保のゴキブリの皆さんこんにちは! 
    こちらは『全日本・社会の害虫を駆除しよう清掃委員会』のデモ隊です」
   「変態民族を撲滅しましょう!」
   「在日韓国人をテポドンにくくりつけ、韓国に撃ち込みましょう!」

 なぜ、こうも激しい言葉を投げつけるのか。桜井会長はこう言う。

   「韓国や北朝鮮の振る舞いに本気で怒ってるから、
    殺せとまで言うんです。単に排外主義と決めつけないでほしい。
    怒りを間違えないでほしい」

 「在日韓国・朝鮮人が不当な特権を得ている」と主張する市民団体だ。外国人への参政権付与や生活保護の受給、朝鮮学校生の授業料無償化。次々と抗議の的を見つけては、過激なシュプレヒコールで練り歩く。2006年末の結成で、会員は公称1万2千人。

    □

 反対側の歩道には、デモへの抗議に集まった人たちのプラカードが並ぶ。指を突き立て「ザイトク帰れ」と叫ぶ一団も。韓流の街・新大久保で2月以降、繰り返されている光景だ。

 雑踏に隠れるようにして見ている眼鏡の男性(39)がいた。仮に生主(なまぬし)さん、と呼んでおく。

 在特会や同種の右派系市民団体のデモや街宣に、過去65回参加した。外から見るのは初めて。涙が出そうだった。

 在特会を知ったのは、数年前のこと。

 メーカー勤めのころ、海外との取引で日本が不当におとしめられている、と思うことが多かった。歴史問題でも領土でも外国に責められてばかりではないか。

 そんな時、ネットで在特会の動画を見つけた。自宅でパソコンに向かっては、興奮で机をバンバンたたいていた。後に妻から、そう聞かされた。

 生主さんが初めて参加したデモは11年8月、フジテレビへの抗議。韓流ドラマが多いのは偏向と訴えた。10月、民主党本部前の座り込みに加わった。政府が中国や韓国に弱腰なのが、許せなかった。

 デモの後の居酒屋では、気の合う仲間が何人もできた。会社員もいれば、主婦もいる。生主さんも脱サラして事業を起こし、小学生の子が2人いる

 やがて、ニコニコ生放送の「生(なま)放送主(ぬし)」を引き受けるようになる。パソコンとカメラを手にデモを追いかけ、ネットで動画を中継する。頼まれれば全国どこへでも車を駆った。

 中継画面はいつも視聴者のコメントで埋まる。「そうだあああああああ」。多くの人が机を鳴らし、そして路上に出た。

    □

   「日本を、取り戻す」

 昨年12月の総選挙結果は地方のデモの帰り道、車中で知った。安倍政権誕生に「高揚感がありました」。日の丸持参で街頭演説に出かけた仲間もいる。

 生主さんはその後、目標を見失った気がした。仲間うちのツイッターのつぶやきも急に減る。デモでより激しい言葉が使われるようになるのは、それからだ。

 中継のとき、デモ参加者と通行人との温度差は、前から気になっていた。飲み会で主張と少しでも違うことを言うと、みなすぐに激高した。

 でもその「怒り」の根拠って何だろう。

   「ネットで都合よい情報ばかり集めては、
    身内でそうだそうだと盛り上がっていただけではないか」

 立場の異なる人が書いた本を読んでみた。在日韓国・朝鮮人がなぜこの国にいるのか。歴史的な経緯を初めて知った

 2月。自分は行かなかった大阪のデモで「朝鮮人を殺せと連呼するのを、動画で見た。

 ビールをあおった。

 3月、新大久保でのデモの前夜。迷いに迷った末、「決別宣言」を、自宅からニコ生で放送した。

   「殺せ、ゴキブリと言いながらのデモには、もう賛同できない。
    スタンスの違う人からは、モンスターに見えるのではないか」

 灰皿には吸い殻の山。

   「怒りを伝えるためにタブーを破るんだという。
    でも、あんな言葉を使わないとできないのか」

 1時間で5471件のコメントが殺到。「お前は在日認定」「氏(し)ね~~」

 言葉が今度は自分に刺さってきた

 ただただ、怖かった。

     ◇

 「を見つけ、暴力的な言葉を浴びせる人々がいる。それを容認し、駆り立てる空気がある。朝日新聞阪神支局で記者2人が殺傷された事件を機に、時代の言論状況を見つめてきた企画の第38部。不寛容な社会の危うさを追う。
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●『創(2010年8月号)』読了

2010年10月09日 10時25分35秒 | Weblog

『創』(2010年8月号)、8月に読了。

 「映画「ザ・コーヴ」上映中止騒動の全経緯/鈴木邦男さん突入の騒然現場写真」(pp.14-16)。「・・・市民が、持っていたスケッチブックに「恥ずべきは上映妨害」と書いて掲げている」。「・・・「君たちのやっているのは弱い者いじめの営業妨害じゃないか」と講議団に抗議」した鈴木邦男さん。

 特集/映画「ザ・コーヴ」上映中止騒動。
 
篠田博之編集長「上映中止騒動の全経緯とそこで問われたもの」(pp.26-31)。「・・・一般に想定される「抗議行動」の範疇を超えている・・・。/・・・「主権回復を目指す会」と「在日特権を許さない市民の会(在特会)」・・・」。
 
森達也綿井健陽・坂野正人・鈴木邦男野中章弘さん「上映会で議論された上映中止と「自粛の連鎖」」(pp.32-37)。
 田原総一郎・崔洋一・石坂啓さん「映画館主と表現者たちの上映中止をめぐる議論」(pp.38-45)。
 綿井健陽さん「和歌山県太地町の人たちは映画をどう考えているのか?」(pp.46-50)。「表現の自由」とは一体何なのか。「・・・撮影した側と撮影された側の間の関係性において、フェアに呼応して相互理解を得られる言葉なのだろうか。表現する手段や機会を普段は保証されない人たちを尊重することで初めて対等に成立する権利だと思う」。

 上杉隆・神保哲生・高田昌幸氏「記者会見の開放をいかにして進めるべきか/崩壊しつつある記者クラブ制度と大手マスコミの特権」(pp.52-63)。

 長岡義幸さん「否決はされたものの秋には再浮上/「非実在青少年」と条例改定をめぐる攻防の行方」(pp.76-83)。「・・・石原都知事は・・・。/・・・規制強化反対を訴えたマンガ家や読者らに悪罵を投げつけた」。

 佐高信さん「タレント文化人筆刀両断!/「いいやつ」と「どうでもいいやつ」村上春樹」(pp.84-85)。

 森達也さん「極私的メディア論/第53回 プロパガンダ展で見たプロパガンダ」(pp.94-97)。「・・・つまりこの展示の最後は、イランがいかに危険な国であるかを訴える(まさしく)政治的プロパガンダとして終わっていた。・・・展示にはイラク戦争が無い。・・・中東戦争もないし、イスラエル・パレスチナ問題もない。/要するにイスラエル国家にとって都合の悪い戦争や虐殺が、すべて削除されている。/「・・・・・・露骨ですよねえ」/プロパガンダの危険性を訴える展示で、・・・臆面もないほど見事なプロパガンダが行われていた」。

 林眞須美さん「大阪拘置所で綴った近況と心情/死刑確定後も無実への思いは変わらない」(pp.102-107)。免田栄さん、赤堀政夫さんの死刑台からの生還。

 矢崎泰久さん「ワープロ打ちのその文面を見て次々と疑問が湧いてきた/井上ひさしが残した謎の『遺言公正証書』」(pp.108-115)。「・・・『文藝春秋』は・・・表紙に特記し、電車の中吊り広告にもデカデカと発表している。こんなインチキも珍しい。・・・ユリ夫人が書いた「手記」を大々的にうたうのならともかく、井上ひさし本人が書いたかのように欺いたことは、どんな理由にせよ許されることではない。死者に対しても冒涜に他ならないと思う。羊頭狗肉とはまさにこのことだろう」。「・・・小泉首相に頼まれて道路公団民営化の委員になり、当時からしきりに権力にスリ寄っていた全共闘くずれの猪瀬直樹が、日本ペンクラブの最重要委員会の委員長に任命されるなんてまさしく噴飯ものではないか。・・・/日本ペンクラブに絶望した私たち(本多勝一鎌田慧佐高信北村肇)5人は脱会届を提出し、会報に抗議文を掲載するよう求めた。井上会長の後任・阿刀田高会長はそれすら無視した」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第14回 菅直人なん知らない!」(pp.128-135)。「「市民運動家」という言葉の違和感」、「市民感覚が問われる沖縄問題への対応」、「「市民感覚」と「庶民感覚」」、「顔つきが変わったのは政治屋になったせい?」。

 大川豊さん「月刊「壊(こわす)」/第86回 参院選と菅一発内閣」(pp.144-147)。福岡県大木町の「おおき循環センター/くるるん」
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