後期高齢者の前立腺がんは進行が遅いので,放置するのがベストかもしれない.お医者さんも内心そう思っているらしいが,なかなか口に出しては言わない.
自分の場合,ではなぜ治療するかといわれると,放置する勇気がないがない代わりに,暇と好奇心だけは十分あるためである.なぜホルモン療法ではなく手術/放射線かというと,化学より物理の方がわかりやすいため.
放射線治療は局所的被爆だから,お医者さんはたいしたことはないと言うが,それなりの健康な細胞に対する損傷は避けられない.
かっての職場の先輩が,がんの放射線治療の副作用対策に味噌が有効と示唆してくださった,
この本「味噌力」かんき出版 (2012/3) の著者 渡邊敦光先生は広島大学名誉教授で,ジャズ研 OG HO 嬢のライブでお目にかかったことがある.
味噌に放射線損傷を回復する力があることを示すデータの一例が,右のグラフ.
小腸はとくに細胞分裂が盛んな組織で,1日に1兆個ちかい細胞が生まれる.線窩は小腸の絨毛の下で増殖を司る組織らしい.実験では10%の味噌をふくむ/ふくまないビスケットを1週間食べさせたマウス群に毎分4グレイの x 線を3分照射して (何日か後には死亡する量),3.5日後に解剖し,線窩を観察したデータである.放射線は線窩を破壊するが,その再生数は味噌エサ群で多く,しかも熟成日数が長い味噌ほど効果がある.
本には,長崎の被爆者が味噌汁で長寿を得たというお話も載っている.
この効果には味噌中のメライノジンなる物質が関係しているらしい.しかし生命体というブラックボックスの中での味噌の働きが,じゅうぶん解明されているわけではない.著者はそのうえで「味噌を食べるのに確実な根拠はいらない」と言っておられる.そこから「医療用被曝のために味噌汁を飲もう」と続くので,このところ J 子はまめに味噌汁を作って下さる.
しかしマウスみたいに,味噌が全体の 10% を占める食事は不可能だ.ふつうに味噌汁から摂る程度で効果があるとは思えないが,害もないだろう,美味しければいいや というのが僕的ホンネ.
帯には味噌にがんの予防・治療効果もうたっているが,読んでみたらぼくの場合は関係ないのだった.