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強度変調放射線治療 IMRT (Intensity Modulated Radiation Therapy)

2016-09-27 09:47:12 | 科学
今月初めから前立腺がん再発の治療中
動画の例では患部は三日月型だが,この部分にもっぱら放射線が集中するように,照射口を体の周りで回転させる.さらに,照射口に取り付けられた MLC (Multi Leaf Collimators) と呼ばれる多分割絞りを同一照射野内で動かし,不均一な線量分布を実現する.
このアメリカ製アニメーションもうまくできている.

準備がけっこうたいへんだった.
照射中に身動きしないように,まず固定具作成.原理は石膏で型をとるのと同じだが,あれほど原始的ではなく,20分くらいで終わった.

この固定具を使用して CT 撮影.
この CT 映像をもとに,もっぱら患部に集中するように,放射線の軌跡.線量分布,MLC 操作などの計算機シミュレーションを行う.
しかし放射線の軌跡は直線だ.直線上に健康な臓器が,なるべく かぶらないように,臓器を配列したほうがよい (配列しなければならない).自分の場合このために照射時に必要なのが 1) 膀胱をいっぱいにすること,2) 直腸を空にすること の2点であると宣告された.
シミュレーションの結果をみて,患者の腹具合を変えて臓器を再配列し,CT を再度撮影し,それをまたシミュレーションにフィードバックするという手順を踏んだ.

治療は1日1回 2Gy ずつ,33 回照射する.土日祭日はなし.
毎回まず臓器の位置確認を行い,MLC を最適化する.放射線は 7 方向から照射.ベッドも微妙に動くが,もっぱらわが胴体を軸に照射装置がぐるぐる回る.

こちらは食事と排便排尿の時間を調整して治療に臨む. うまくいけば 15 分くらいで終了.これまでの経験では,直腸がガスで膨れていてまずかったことがあった.

設計値からの照射位置のずれは 100 ミクロン以下ということだ.しかし設計に際し仮定した場所にがんがいるかどうかは別問題.このあたりは物理の実験と似たところがある.

白血球低下,倦怠感・食欲不振といった副作用とは無縁らしい.2週間目あたり (今頃) から,照射や周辺の膀胱・直腸の損傷による副作用が出る可能性があるというので気が重い.

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