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楠木正成・正行・正儀

2024-05-27 07:59:06 | 読書
生駒孝臣「楠木正成・正行・正儀 南北朝三代の戦い」発行 : 星海社,発売 : 講談社 (星海社新書 2024/4)

講談社 BOOK 倶楽部の内容紹介
*****時代によって評価が変わった楠木氏三代
鎌倉時代末期から南北朝時代の武将楠木正成とその長男の正行、三男の正儀。この三人の父子が本書の主役である。後醍醐天皇と南朝を支え続け、戦前の教育では理想の「忠臣」として賞賛された正成・正行だが、戦後になると正成は権力に抗う「悪党」へと評価を一変させた。いっぽうの正儀は「裏切り者」のイメージから戦前の教育で触れられることはなかったが、近年は南朝を代表する武将として再評価が進んでいる。時代によって評価が大きく変わった楠木氏三代の実像とはどのようなものか。気鋭の研究者が同時代史料や『太平記』を駆使しながら虚飾のない新たな楠木氏像を再構築していく。
*****

小学校高学年の社会科は,センセイの講談の時間だった.好きこそものの話し上手であって,おかげで ぼくたちには義経・秀吉・元寇などの巷説が身についた.楠 (木) 正成はヒーローと記憶してしまったが,戦後教育のタテマエとは違っていたようだ.

本書では楠木正儀に多くのページを割いている.彼は正成・正行よりずっと長生きした.彼の時代の南朝の軍事力は楠木一党だけと言っても良かったが,京都の地を4度も南朝に奪還した.でも最後は北朝に寝返る.
楠木氏の支配は近畿のほんの一部なのに,全国を曲がりなりにも統治する北朝を相手に合戦を続けられたのはなぜか ?  彼らの経済的基盤を,もっと掘り下げて欲しかった.

林屋辰三郎「南北朝」朝日新聞社 (文庫 1991/1) は手持ちの古い本だが,その記述はけっこう良い線に行っていたようだ.

一昨年? 朝日新聞に今村翔吾の小説「人よ,花よ」が連載された.主人公は楠木正行.北村まさみさんの挿画は紙上ではモノクロだったのがネットではカラーだった.デジタル新聞では初めからカラーだったのかな.
トップ画像左は「楠木正成・正行・正儀 南北朝三代の戦い」のカバー,3人の画像は国立国会図書館蔵「本朝百将伝」による.その右の3葉は朝日新聞連載「人よ,花よ」の,北村さゆりによる挿画より.

小説「人よ,花よ」には北畠親房が敵役として登場するが,本書では影が薄い.
小説には正儀もちょっと登場するが,彼を主人公に小説化したら正行よりおもしろそう...もうプランがあるのかもしれないが.

あとがきの付記によれば,本書は JSPS 科研費の研究成果の一部である.



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