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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

絶版殺人事件

2019-03-28 08:53:58 | 読書
ピエール・ヴェリー, 佐藤絵里 訳,論創海外ミステリ (2019/3).

1930 年の作品で,第1回フランス冒険小説大賞受賞作.戦前の探偵小説雑誌「新青年」に「超訳」が掲載されたことがあり,「絶版殺人事件」のタイトルはそれを踏襲している.原題はフランス語で直訳はバジル・クルックスの遺言.このタイトルは不適 : ここで問題となる本の初版は1冊しか売れず.その1冊も返品されるのだから,絶版もクソもない.
訳者あとがきによれば,上野三郎の上記超訳は講談調で,ティーポット -> 土瓶,チェリーパイ -> ジャムパン,チェス -> 将棋 などの置き換えかあり,「下女姫」のルビにはシンデレラだそうだ.

停泊船上での殺人事件に,後半でこの絶版本探しが絡み合ってくる.ストーリーはまあまあで,まじめに進行して結末で脱力させる.
著者は純文学とミステリを往復したというが,それは訳文からも感じられる.人物のスケッチも一味違う.フランス人のアマチュア探偵が面白い.しかし,ブラウン神父や亜愛一郎にくらべると,変人度は少ないかもしれない.

わが町の図書館にはけっこう論創海外ミステリが揃っているが,もっぱら僕が借り出している.ハードカバー 228 ページ 2200 円.買う人が少ないから高いのか !
☆☆☆

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