─光る波の間─

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壬生義士伝3

2004-09-28 19:01:36 | 
「どうも男は‘存在’ではなく‘現象’だと思う」と言ったのはある生物学者。
生命のもともとの形は♀で、♂は細胞分裂の途中で男性ホルモンを浴びせられて
無理矢理♂に作り変えられるというのはよく知られた話。
つまり、「種の保存のためにそういう形態を負わされたのだ。」
と、生物学的には見えてくるらしい。
生まれてきたそのあとは、ジェンダー(♂♀の社会的役割)がある。
単純に種の保存のためだけに生きられない人間にとっては、男も女も難儀な話よ。

去年NHKで『蝉しぐれ』ってドラマをやってた。
主演の内野聖陽さんがすごく良くて、武士の所作や物腰、美意識をすごくよく
表してたんだけど、その立ち居振舞いが美しければ美しいほど、
形のみでなく、精神が伴うほど張り詰めて危うく、思いきって言うなら
‘儚く’すら見えたんだ。
『壬生義士伝』を読んでも同じような感覚があった。

下巻の途中からは、主人公の息子達の話に移っていって、
函館戦争での死の場面は泣きました。またしても(Τ△Τ)
自ら植えた菜の花の中で死を目前にして母親への独白。
その周囲で、負けることは分り切っていても信念(か意地)に従う人々の様子。
考えてみれば、薩長も300年もの間幕府に辛酸を舐めさせられてきたわけで、
だからこそ、滅びていく者の気持ちも分かるんだっていう、
そういう場面も描かれていたし。
強く優しく、己の信念と美学に貫かれた男たち。‥やっぱり儚いかも。

終わりの方は清清しく、爽やかな気持ちで読み終えることができて
正直ほっとしました。
そうそう、今日は会津戦争後に「藤田五郎」と名を変え、
会津人として生きた斎藤一の命日です。
死ぬときになって、布団から起き上がり、正座して目を見開いたまま
亡くなったんだそうですよ。 合掌

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