NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

グレープフルーツ色の空

2009-07-29 | 休み
「佐野元春のザ・ソングライターズ」(NHK)

今更公式を見てみると、「2009年7月から9月にかけての夜11時台に、12回シリーズで放送予定。」と書いてあります。1人あたり2回なので出演するのは6人ということに。今見ると何とシカオちゃんが4人目に。ということは前半古い世代、後半新しい世代ということなのかもしれません。あと足りないのは女性のソングライターのような。若くてセンスオブワンダーで女性といえば…s

前半3人小田和正さん、さだまさしさん、松本隆さんの作詞は非常に物語性が強くて、シカオちゃんは物語性よりも意味性が強い。しかも感情の。でも詩ってそれだけなんだろうかって言う突っ込みはありそうなわけで。言葉遊びだったりとか感性だけで書いてしまった意味の無い詩とかそういう可能性もあって欲しいなぁ。物語性と意味性の外にも詩はありえるわけで。シーズン2に期待です。



そしてさださん2回目。学生との小さなワークショップは面白かった。さださんは歌を歌いたくなる時は?と問いかけて、歌作りのモチベーションを求めました。そこで1人の学生が悲しいときと答え、さださんはその悲しいときを具体的にさせてゆきました。おじいちゃんが亡くなったから悲しい→おじいちゃんから思い出す物→曲がった腰(背中に改変)・大根→大根の花が咲く季節→夏に咲く→夏の空→無理からにグレープフルーツのような雲と連想ゲーム的に詩の外堀を埋めてゆきました。

ただ全てをさださんが手取り足取りやらねばならず、曲作りなどは特に残念な感じになってしまっていました。主体性が足りないのはもちろん、特に季節に関する学生の知識の少なさをさださんが暗に揶揄していたようなところも垣間見られました。でも物語的に作詞を行う場合は情景描写に目を向けねばいけないのでそこへの興味・知識が必要でしょうが、感情が中心となる現代の作詞ではそういった知識への興味が落ちているのは仕方がないようにも思えます。



歌う対象を情景描写で具体的に埋めてゆき、それを感情で纏め上げる、というのが今回示されたさださんのソングライティングの手法でした。何故歌いたいのか、という問いかけからの出発はおそらくはワークショップ向けの手法の簡略化でしょうが、それにしても見事にさださんの詩世界の理由が垣間見れるような素晴らしい手法でした。さださんの詩に感じるあざとさのようなものの正体が分かったような気がします。惜しむらくは散見される”落ち”の多さと落語・小説の関係性への言及があったらもっと良かったかも。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿