goo blog サービス終了のお知らせ 

NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

脳内ニューヨーク

2010-07-25 | 休み
『アダプテーション』や『エターナルサンシャイン』の脚本をつとめたチャーリー・カウフマン初監督作品なので期待して観る。チャーリー・カウフマン大好き!原題は『Synecdoche, New York』。直訳すると、『提喩、ニューヨーク』。「提喩」って何だよ。どうやら小さな分類で大きな分類を表す比喩らしい。邦題つけた人はすごい頑張ったな。意味は良く分からないけど。


『脳内ニューヨーク』(公式サイト)
脳内ニューヨーク
『マルコビッチの穴』は明らかにフィクションとしての不条理があり、『ヒューマンネイチュア』も荒唐無稽なフィクションがあって、『アダプテーション』では小説と現実が交差し、入れ子になる構造の面白さがあり、『エターナルサンシャイン』でも物語の構造に面白さがあった。主人公は陰気だけど、そこにチャーリー・カウフマンの脚本が不思議な彩を加えてくれて、なんとも華やぐ。


筋だけで言えば、舞台演出家の主人公、ケイデンが倦怠期にあった妻に子供を連れられ逃げられ、劇場の売り子の女性や自身の舞台に出演している女優と関係を持っていく。一方で、マッカーサー・フェロー賞という賞を受賞し、その賞金で自分の実人生を余すところ無く舞台化する。映画のスタジオのような規模で舞台を作り上げ、ケイデンを取り巻く人々からケイデン自身までも登場してくる劇を上演することも無く作り続け17年以上も費やす。

筋に落とせば、こんな感じ。正直言って退屈。退屈なんだけど、これでもかと言うほど純度100パーセントというか、高純度のチャーリー・カウフマン。あの変なダイアローグやらぶつ切りのカット、それが高純度で物語的な山場も構成もさほど無いままに2時間近く続く。実存的な問題意識や強烈なパンチも素晴らしい恋愛も無い。でも強烈ではないけど変でシュールなんだよなぁ。というか何と言えばいいんだろう。

個人的に一番引っかかるのは頻出するシュールな演出。これまでの作品だとシュールな設定や演出には意味があった。少なくとも物語上の意味や魅力があった。でもこの映画のシュールはかなり異なる。娘の便が緑だったり、ケイデン自身の尿や便もおかしかったり、売り子のヘイゼルが購入した家は燃えていたり(そして後にケイデンとヘイゼルが結ばれた夜にヘイゼルはその燃えた家の煙を吸い込んで死んでしまう)だけど、あまり意味は無い。


エンドロールにかかる歌の歌詞でちょっとは理解できたけど、おそらくはケイデン自身が人間の提喩ということなのかな?やたら同音異義語が出てきたり(絶対あれ意味あるだろ)理解できないモヤモヤが残る。いやぁ、モヤモヤする。退屈だけど悪くない。というか、チャーリー・カウフマン好きなら結構。このまま先鋭化してデビット・リンチっぽくなったら、良いなぁ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。