『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が遂に最終回を迎えてしまいました。これまでどんなに辛いことがあってもヨンウの涙はカメラには捉えられませんでしたが、今回初めてヨンウの涙がはっきり映されました。また、ラスト"達成感"を得て、表情が豊かなヨンウはもはやヨンウでは無く、パク・ウンビンでした。寂しい…
ハッキング事件の犯人はヨンウの異父弟、高校生ハッカーのサンヒョンであり、その黒幕は被害企業ラオンのウォズニャックこと共同代表のキム代表だった事が明らかになり、もう1人の共同代表ペ代表の自殺未遂をきっかけとして自首したいサンヒョンと法務長官になる為に息子の自首を阻みたいテ・スミと言う構造から話が転がされました。
まず、事件の構図が面白かったです。共同代表の1人が黒幕と言う設定から、ハンバダ弁護士チームは依頼人の利益相反の為、事実を公に出来ない事態に陥りますが、入院中のミョンソクの助言とヨンウの閃きでなんとか立ち回ります。この構造は本作ならではなスッキリ感。
続いて、ヨンウの異父弟サンヒョンのキャラクター描写。金持ちの息子で天才ハッカー設定はありがちながらも、未熟なりに倫理観は持ち合わせており、自分の罪を償いたいと考えているのが面白かったです。また、ヨンウと同じように耳栓とアイマスクで睡眠をしていたり、モノの置き方にこだわりがあったりと、ヨンウと同じだ!となり親近感を抱きました。(なおサンヒョンとヨンウのこの性質はテ・スミ譲りである事が過去の描写で描かれています。)
サンヒョンがヨンウの元に突然訪ねてくるのもアクロバットながら、説得力ある前段のテ・スミとのやり取りや大企業へのハッキング事件の犯人と言う設定から、何故サンヒョンがヨンウの事を知り得たのかと言う点に脚本の飛躍ではなく、納得感がありました。サンヒョンとヨンウとのやりとりもヨンウの困惑具合が良いシーンでした。
地味に、"春の日差し"ことスヨンに惚れられて、絆されたミヌが、テ・スミからヨンウをハンバダから追い出せと言う依頼を断る際に、「バカになることにしました」と断る理由を述べていたのが、ミヌの変化が感じられるシーンでした。また、その中でヨンウの近況を報告しますが、「社内恋愛の相手と別れた」と伝えると、テ・スミがヨンウが社内恋愛していた事に喜んでいる描写があり、彼女が鬼では無い事が示され、これも良いシーンでした。
ヨンウの説得シーンにこの鬼では無いテ…スミは繋がっていたと感じます。決死の覚悟で聴聞会前のテ・スミと面会し、テ・スミに息子サンヒョンの法廷での証言を認めさせようとするヨンウは、サンヒョンに罪を償わせる機会を与えて欲しい、子供を叱れる親だと信じているサンヒョンを裏切らないで欲しい、私にとっては良い母親ではなかったけれどサンヒョンにとっては良い母親でいて欲しいと説得。ここもまた演技合戦でしたよ…ええ…泣くよ…
猫の例えのジュノの告白からのヨンウの逆告白で捨てられた子犬顔だったジュノがアホみたいな顔でヨンウを見つめていて、ジュノは本当はアホなんじゃ無いかと思えてきました。ミヌはミヌでスヨンが好きで居てくれる男である為に、良い人になっていくのもアホっぽくて最高です。サンヒョンへの尋問前にヨンウを励まそうとグーを差し出すもののスルーされるのもアホでかわいいです。
最後の敵はテ・スミでした。韓国ではしばしば財閥などの富裕層の子息が犯罪を犯しても、警察に手を回したり、お金を積んだらすることで罪を免れると言う話があったように思うので、今回はそこがエピソードのテーマだったのかなと。
結局、ヨンウの出生の秘密は暴露されませんでした。この点で予想は当たっていましたが、ヨンウはハンバダを辞めませんでしたし、ミョンソクは辞めそうではあったもののラストの逡巡を見る限り辞めなさそう。
それにしても良い最終回でした。ただ、ラスト、"達成感"を得たヨンウは表情豊かになっており、私の知るウ・ヨンウではなくて、パク・ウンビンになっていました。これは「あー、ヨンウが居なくなってしまった」と寂しい気持ちに…