NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

プリズナーNo.6 第1話

2010-05-20 | 休み
よくよく考えたらAXNミステリーのホームページ上でリメイク版の『プリズナーNo.6』の第1話だけ期間限定で公開してた。あと数日待てば良いだけだったけど、せっかくなので恐ろしさ半分に観てみた。


『プリズナーNo.6』(AXNミステリー)
プリズナーNo.6


オリジナル版の『プリズナーNo.6』を現代風にアレンジしたらどうなるのか。まさしくこうなったということなんだろう。どこかの島だかなんだか曖昧だった”村”は砂漠の真ん中ということだけはしっかり分かる現実感。オリジナル版ではちょっと広めのローターリークラブ的な広さしかなかった”村”はリアリティを増し、それなりの大きさに。結構人は溢れ返り必然的にオリジナルには基本的に無かった車(オリジナルはゴルフカートだった)でも移動している。

プリズナーNo.6

車といっても最新の車ではなく趣のある60年代、70年代のオールドカー。どこか空気が乾いていて、皆麻の服とかを着ている。申し訳程度に東屋みたいな建物もあるが、それらのおかげでどうにも”村”がパナマやキューバなどの南米に見える。非常に洗練されてはいるが、かといって特段の統一感は無い。オリジナル版で”村”の多くが着ていた黒地に白のパイピングジャケットも冒頭でNo.93が着ていたのみ。No.2ことサー・イアン・マッケランは白の麻のスーツ姿。

プリズナーNo.6

美術セットや画作りはとても洗練されている。とってもお金がかかっている。でもそこには60年代的なSF意匠が入る隙が無い。ぼくが大好きな60年代ロストフューチャー的な美術の要素も無い。変な観測装置も近未来的なコードレスフォンも無い。そればかりかイコンとなるような”組織”としての”村”の統一感は皆無だ。おそろいのパイピングジャケットも自転車マークも無い。代わりにあるのは貧弱なマークとリアリティのみ。別に昔のままが良いとは言わないが、それに変わるものが皆無だ。

プリズナーNo.6


ステレオタイプな男前の主人公に耳に残らない音楽。洗練されてはいるが、それだけの意匠。オリジナル版とまるで正反対だ。そしてそれよりも何よりも気にかかるのが、このリメイク版の『プリズナーNo.6』には”答え”が用意されているのではないかということ。『LOST』的なことになってるんじゃないかと不安になる。オリジナルでもNo.6は”村”からの脱出を目的としていたが、ドラマの本質はNO.6と”村”や人々とのやり取りだった。でも今回はどうも”謎”に力点が強く置かれているように感じる。何より会話が詰まらない。とりあえず全6話観ようと思うが、オリジナル版『プリズナーNo.6』のHD版の方が楽しみになってきた。アメリカ製作だから駄目なのか。