「九条自由広場」

「昭和区九条の会」(名古屋)のブログです。会と市民の皆さんとの交流の広場です。ぜひ「コメント」をください。

新テロ民主対案の問題点を検討しよう。      平和探知機

2008-01-07 22:47:49 | 時事問題・・政治・国会・政党・選挙
1月6日(日)の「赤旗」に下のような記事がありました。
自民党政治の終焉を目の前にして旗頭の民主党が党内合意の不徹底のままこのような重大な提案をすることに不安を禁じえません。赤旗の見解が全て良しとは思いませんが警鐘を鳴らした点では評価できます。皆で検討してみたいものです。
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{与党 新テロ法案より危険民主党の「対案」}

 民主党は昨年末、「アフガニスタン復興支援特別措置法案」を国会に提出しました。与党の新テロ特措法案の「対案」と位置づけるもので、「アフガン復興支援」が主な内容だと主張しています。しかし、実際は自衛隊の海外派兵の恒久法の制定に向けた検討を義務付けるなど、政府・与党案以上に危険な内容です。


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★派兵恒久法づくり“国連”看板に武力の行使へ

 法案は、全五章二十八カ条からなります。一見して異様なのは、わざわざ第五章を設け、「アフガニスタン復興支援」とは関係のない自衛隊派兵の恒久法の早期整備(二五条)を大きな柱として盛り込んでいることです。

 小沢一郎代表の強い意向を受けて盛り込まれたもので、「二大政党」合作での海外派兵体制づくりに道を開くという法案の性格が露骨にあらわれています。

 二五条では、国際的なテロ防止・根絶を口実に「国際社会の取組に積極的かつ主導的に寄与する」として、派兵恒久法の制定を「速やかに行われるもの」としています。法案は、一年の時限立法ですが、その間に恒久法制定に着手させようというのです。

 しかも、恒久法に盛り込むべき基本原則として、国連憲章第七章の軍事行動を含む強制措置に関するものとともに「憲法の下での自衛権の発動に関する」ものが含まれています。“テロ根絶に主導的に寄与するために自衛権を行使する”となれば、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使を意味することは明らかです。いわば立法改憲の強行です。

★憲法破壊する最悪の策動

 恒久法整備は小沢一郎代表と福田康夫首相の「大連立」論議の最大のテーマでした。国連決議があれば海外での武力行使に参加しても憲法に反しないという小沢氏の“持論”の採用を福田首相が約束したとされています。さらに米国や、外務省関係者からも小沢氏の主張を歓迎する発言が現れています。

 国連を“錦の御旗”とすれば、海外での武力行使も許されるという小沢氏の議論は、憲法と国際法を二重にゆがめるものです。国連の安全保障活動であっても、自衛隊の海外派兵はあくまでも「国家の意思」で行われるものです。憲章上の国連軍も「各自の憲法上の手続に従」うこととされています(憲章四三条)。まして、主権国家が自主的に構成するISAF(アフガニスタン国際治安支援部隊)のような多国籍軍やインド洋での海上阻止行動を展開する有志連合軍への参加は、主権の発動そのものです。

 憲法は「国権の発動」としての戦争はもちろん、武力の行使・威嚇も禁じており、国連の看板をつけて憲法を踏みにじることは許されません。

 憲法九条の下で海外での武力行使に積極的に参加し、集団的自衛権による派兵まで可能にする民主党案は、これまでのすべての派兵法を凌駕(りょうが)する最悪の憲法破壊策動です。

★陸自 アフガン派兵

 民主党の「アフガン復興支援特措法案」のもう一つの問題は、「アフガン復興支援」を口実に陸上自衛隊の派兵を可能にしていることです。

 法案では、自衛隊部隊の派兵は「抗争停止合意が成立している地域」(四条四項)としています。「停戦」や「休戦」といった国際法上の概念と違って、「抗争停止合意」という新たな概念をどう解釈するかは政府次第。イラク派兵のように、「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域」(小泉元首相)という事態になりかねません。

 法案発議者の一人は「『抗争停止合意』の存在が前提だから、現状では陸自の派遣は事実上ありえない」と述べます。しかし、法案作成作業チームのメンバーが「合意がなくても自衛隊をだせるのかと聞かれれば、法文上出せる仕組みにはなっている」というように、「抗争停止合意」の存在が自衛隊派遣の絶対の要件ではありません。

 活動地域は「抗争停止合意」のほか、活動への妨害行為がないと認められる場合も含まれるからです。これではアフガンの反政府武装勢力タリバンの支配の強い地域を除けば、現状でも自衛隊をアフガンへ派兵することができます。

 民主党内からも「陸上部隊を派遣するということの重大さを熟慮していない。皮肉なことだが、自民党のほうがむしろ慎重だ。民主党にも、とにかく自衛隊を出したいという人たちがいる」という声が出されています。

 しかも、法案では「抗争停止合意」の前にも「(合意の)形成の支援その他…安全及び安定の回復に資するための措置」ができるとしています。この活動にも、自衛隊が関与する余地があります。

★武器使用基準緩和打ち出す

 また、自衛隊の派遣に伴い武器使用基準が問題となりますが、「支援活動の実施に対する抵抗を抑止するためやむを得ない必要」があるときに許されるとされている点も重大です(二〇条)。

 PKO(国連平和維持活動)協力法・イラク特措法などの現行法では、武器使用を自己やその周辺にいる人の生命防護に限っています。活動への抵抗抑止を名目に武器使用ができるとなれば、憲法が禁じる「武力の行使・威嚇」に道を開くことになります。

★海上阻止活動へも

 また、第五章の二七条では、インド洋での海上阻止活動への参加について、国連決議の存在を条件にしてその「要否を含めて検討する」としています。

 インド洋での海上阻止活動への給油継続を柱とする与党案との接点であり、アメリカのアフガン攻撃(不朽の自由作戦)と一体をなす海上阻止活動への直接参加に踏み込むものです。

 民主党の「対案」が呼び水になって、与党の新テロ特措法案とのすりあわせや政策協議がすすむことにもなりかねません。


またぞろ武器三原則緩和を画策    まもる

2008-01-07 11:36:05 | 時事問題・・外交・平和・防衛・国際
6日の中日新聞の記事によれば、政府が武器輸出三原則を緩和する検討を始めたという。
 米国とのミサイルの共同開発をてこに欧米各国との共同開発や輸出を狙っている。また今回の防衛次官汚職を巧みに利用して調達コスト高などを理由に武器輸出緩和を策している。転んでもただでは起きない強かさだ。景気減速が叫ばれる今注意しないと「平和の基本原則」までなしくずしにされる危険がいっぱいだ。

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★中日の記事    「武器輸出3原則を緩和 政府検討」
                         2008年1月6日 朝刊

 政府は5日、武器輸出3原則を緩和する方向で検討に入った。現在は米国とのミサイル防衛(MD)で、例外的に認めている他国との武器の共同開発・生産と、共同開発参加国への輸出を解禁することが課題に上っている。政府の「防衛省改革会議」で防衛装備品調達方式の見直しと合わせて検討を本格化させる。

 政府は1967年に3原則を打ち出した当初は、輸出禁止の適用地域を共産圏諸国や紛争当事国などに限定していたが、76年に範囲を拡大し、武器輸出を事実上、全面的に禁じた。

 現在は日米のミサイル防衛技術の共同開発で、部品の対米輸出などが例外的に認められているだけだ。

 ところが、前防衛次官汚職事件に絡んだ防衛省改革論議の中で、防衛装備品技術の高度化に伴い、諸外国と比べて調達のコスト高が指摘された。他国との共同開発が認められれば、政府は(1)防衛産業の国際競争力強化(2)装備品開発のコスト高解消-につながるとみている。特に、次世代戦闘機F35など欧米各国による共同開発への参加も可能となる。

 このため政府・自民党からは、武器輸出を禁じる地域を、当初の3原則の対象地域に戻して、欧米との共同開発を可能にすべきだとの意見が出ていた。米国からも、武器輸出を認めるよう強い働き掛けがあった。

 ただ、武器輸出3原則は憲法の平和主義に基づく「国是」ともいえる政策だけに、その緩和は世論の強い反発を招くのは確実だ。