よみびとしらず。

あいどんのう。

2018-07-30 14:14:51 | 散文
かいなに抱かれた幼子(おさなご)の
みた夢は現に続けども
目をあけてみた世界に夢はなく
なくした悲しみに赤子泣く

幼子の世界に満つ歓びは
空かけめぐり風となり
歓びを世界にともすとも
火の明かりともす暗闇に
また静かなる夜はくる

見えぬ海続く暗闇の
波音(なみね)は絶えることもなく
いつかみた夢を知る海の
闇を飲む波に背を向ける

視覚によらないさざ波は
それでも記憶のそこにあり
たとえ海から去ろうとも
波の音忘れる者はなく
ひとは夜な夜な夢をみる

命の境におとされて
夜に抱かれたあの海は
みた夢の眠る潮騒に
懐かしき調べは重なりて
幾度耳にした子守唄
ぬくもりを本当は知っていた

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