シャーペンの上についていた消しゴムをずいぶんと前に失くしたが、それが見つかる夢をみた。
夢のなかでみつけても、現実のシャーペンの消しゴムはないままだけども。
夢のなかでわたしは「あ、あった」と思った。
黒くて小さな、円柱型のその消しゴムは夢のなかでも小さいままだった。
夢のなかのわたしは、それをわたしが失くしたことを知っていた。
現実のわたしももちろんそのことを知っている。
もし現実のわたしがそれを見つけたら、わたしは夢のなかのわたしと同じように「あ、あった」と思うだろう。
あのときのわたしが、本当にわたし自身であったかは誰にも分からない
なくなった消しゴムは白黒反転することもなく、
ただ黒色の文字やかたちはゴシゴシと消されていく。
消しゴムは自身をすりきらせながら
でも結局は、
その消しゴムは最後までその責務を全うするのとは異なるかたちで姿を消した。
もしかすると彼だけではなく、この世の多くの消しゴムもまた。
夢のなかでまためぐり合う
その消しゴムをわたしが手に取ることはない
朝目が覚めると、わたしの右手の小指には小さなすり傷が出来ていた。
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