◎三省堂、桃林堂、開新堂、十字屋からなる「同盟四書房」
一昨日のブログで引用した文章中に、次のようにあった(『神保町が好きだ!』第16号所載「神保町・辞書と辞典のものがたり」より)。
一八八四(明治一七)年三月に『英和袖珍字彙』を出版する。四社同盟版ではあるが、これが三省堂として最初の英語辞書出版となる。
その日の記事では、「四社同盟版」という言葉について、説明を怠った。江戸時代からの伝統で、明治期には、いくつかの出版社が共同で本を刊行することがあったらしい。――『英和袖珍字彙』の刊行に際しては、三省堂、桃林堂、開新堂、十字屋の四社によって、「同盟四書房」なるものが結成されたという(「神保町・辞書と辞典のものがたり」二ページ下段)。
国立国会図書館のデジタルコレクションで、『英和袖珍字彙』を閲覧してみる。扉には、「明治十七年三月刊/英和 袖珍字彙/四書房合梓」とある(「英和」の二字は角書き)。
奥付を見ると、「編輯者」は西山儀行で、「訂正者」は露木精一。「印刷人」の記載はなく、「出版人」のところは、順に、次のようになっている。
十字屋 岩 藤 錠太郎 ㊞
開新堂 加 藤 鎮 吉 ㊞
三省堂 亀 井 忠 一 ㊞
桃林堂 石 川 貴 知 ㊞
豊田實の『日本英学史の研究』(岩波書店、一九三九)は、もちろん、この『英和袖珍字彙』についても解説している。その紹介は次回。
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