礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

インタビュー記録「ホトケを送って35年 及川一男」より

2013-07-04 04:54:19 | 日記

◎インタビュー記録「ホトケを送って35年 及川一男」より

 昨日の続きである。『歴史民俗学』第一九号(第一刷、二〇〇一年三月二五日:第二刷、二〇一三年六月三〇日)に載っているインタビュー記録「ホトケを送って35年 及川一男」の一部を紹介してみよう。

小林〔義孝〕 今から千二百年ぐらい前の平安時代に書かれた『日本霊異記』〈ニホンリョウイキ〉という本があるんですが、その中に、こういう話があるんです。ある人が、自分の遺体が焼かれている夢を見ます。ところが、焼いている人が下手で、「これでは成仏できない。もっとうまく焼いてくれ」と、夢の中で、本人が手伝いに行くという話なんです。だから、遺体をうまく焼くというのは、昔から大切なことだったように思うんですが。
及川〔一男〕 そうだね。こう、お骨が出てくるでしょ。その時、「ああ、うまく焼けたな」という時は、自分でも気持ちがいいですよ。
ところが、麻薬をやってた人とか、骨粗しょう症の人の場合は、うまく焼けたと思っても、冷えると、こう、サクッと潰れてしまう。箸でお骨〈オコツ〉をつかむと、崩れてしまうことがあるんです。
小林 その、うまく焼けたというのは、どういう状態を言うんでしょうか。
及川 五体満足に、スッと残るものだね。そういう時は、従事している私も気持ちがいいです。
礫川 それで、今日はうまく焼けたという割合は、大体何分の一ぐらいですか。
及川 そうだね、今のところは、八割方は、うまくいってるね。
礫川 八割方ですか。さすがは名人ですね。
及川 だって、三五、六年だよ。

 こんな感じで、及川一男さんへのインタビューは続いた。【この話、さらに続く】

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